« 鎌田實の一日一冊(65) | トップページ | 鎌田實の一日一冊(66) »

2010年6月16日 (水)

完全なる試合

大リーガーのガララーガという投手が絶好調だった。
9回2アウトまで完全試合。

野球に興味のない方にちょっと一言。
完全試合というのは、27人(9回×3人)のバッターをすべてアウトにすること。
なかなか達成できない偉業だ。

P6051418

27人目のバッターがバッターボックスに入った。
ガララーガがボールを投げる。
バッターの打ったボールは、セカンドゴロ。
ピッチャー・ガララーガが1塁に走る。
2塁守は簡単に取って、1塁に走りこんでいくピッチャーのダララーガに投げた。
完全試合、達成と思われた。
どうみても、そう思えた。
スロービデオが流された。
やはり、アウトである。

奇跡に近い完全試合が達成したと思ったところ、1塁審判がセーフのサインを出した。
ガララーガがにやっと笑って、ソリャナイダロウという顔をした。
球場も興奮の坩堝となった。
一度下されたジャッジは覆らない。それがルール。
試合は次のバッターをアウトにして終わった。

審判はビデオを見直して、ミスジャッジであることがわかった。
審判は正直に自分のミスジャッジをわびた。
このときのガララーガ投手がかっこいい。
「パーフェクトな人間はいない」
許したのである。
すばらしい。

審判が潔く自分のミスを認めたことはかっこいい。
それを許したダララーガはもっとかっこいい。
完全試合は逃したが、これこそ、見事な人間ドラマの「完全なる試合」だったのではないか。
あたたかな人間の心が示された、これ以上の完全試合はない。

写真は、岩次郎小屋から望む初夏の空

|

« 鎌田實の一日一冊(65) | トップページ | 鎌田實の一日一冊(66) »

スポーツ」カテゴリの記事