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2010年6月23日 (水)

消費税の問題を考える

消費税の問題が突然、浮上した。
参院選の争点となりそうだ。
消費税を上げるかどうか、国民が選挙によって決めるほうがいい。
前々から消費税の議論を開始すべきと主張してきたので、いいことだと思う。

すでに世論調査では、消費税に言及した民主党の支持率はダウンしている。
消費税をどうするべきか議論する必要があるが、選挙のために、国民を惑わすことを言うのはまずい。

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今年の当初予算の公共投資5.8兆円は、昨年より1.3兆円も少ない。
1990年代は、GDP比6%あった。
補正予算を含めると、1998年の小渕内閣のときなどは、15兆円近くあった。
今年度は削減しすぎている。
民主党がやりたいことはわかるが、これ以上、下げることは国民のためのよくないと思う。
軍事費もGDP比1%と、これ以上は手をつけることは難しいだろうと思う。
企業に税金をもっと多く出せというのも、無理。
法人実行税率は、先進国のなかでは最も高く、40%に近い。
むしろ、今の舵取りとしては、法人税率を下げることだ。
一見、大企業寄りの政治のように見えるが、今の時点では国民のためになる。
そのことはぼくの『ウエットな資本主義』にも書いた。

一つあるとすれば、個人所得税の見直しだ。
日本の個人所得税はGDP比5.1%で、アメリカ10.2%、カナダ12.1%、イギリス10.8%と比べると低い。
この個人所得税を、所得の多い人にもう少し多く払ってもらうように、累進課税を見直すようにする。

ただでさえ、毎年、高齢化にともなって1兆円の社会保障費が自然増する。
年金の建て直しにも、毎年2.5兆円がかかる。
国と地方と長期債務残高が、今年度末には860兆円になる。
これらのことを考えると、とにかく財政バランスを改善していくというメッセージを世界に発信しないと、日本の信用は失墜してしまう。

おそらく、このままでいくと、2012年には長期債務残高が1000兆円を超える。
そのときには、まさにギリシャと同じ悲劇が起こる可能性がある。
借金を一気に返すことはできないが、徐々にこの国の財政が快方に向かうことを世界にアピールしないと、外国人投資家などは、日本の株式から撤退するだろう。
そうなれば、今以上の株の暴落が起こる。
経済が冷えると、雇用が縮小する。
さらに悪い状況になる可能性がある。

そうならないように、みんなで考えなければならない。
参院選はいいチャンスである。
みんなで議論して、自分なりの考えを一人ひとりが持つことが大事だ。
国民一人ひとりが自分の生活を起点にしながら、この国全体がどうあるべきか、そして若者に、元気な国を引き継ぐにはどうしたらいいかを考えるときが来ているように思う。

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