つかこうへいさん逝く
つかこうへいさんが、亡くなったという。
62歳。ぼくと同じ年。
代表作「蒲田行進曲」は芝居でも映画でもみた。
つかさんの芝居はスピーディーで展開が速く、台詞があふれるように出てくる。
笑わせて、笑わせて、泣かせる。
平田満、風間杜夫など、優れた役者を育てた。
肺がんだというのは聞いていた。
朝日新聞によると、こんな遺言があったという。
「思えば恥の多い人生でございました。先に行く者は後に残る人を煩わせてはならないと思っています」
通夜や葬儀、お別れ会など一切を遠慮するという。
娘さんに、対馬海峡あたりで散骨してもらうという。
つかさんらしいなと思った。
つい最近、週刊現代で、どんな死に方を考えているかと聞かれた。
葬儀もお別れ会もいらないなと思った。
ぼくが死んで、たいへんなときに、家族が疲弊した状態で、たくさんの人にごあいさつをしたりするのは忍びないのである。
ぼくを看取ったあとは、家族がそっと集まって、おいしいものを食べて、
「ミノくん食べたいだろう、あの世じゃ食べられないな」なんて、悪タレ口をみんなで笑いながら語り合ってくれたら、最高。
死に場所は、岩次郎小屋がいい。
がんがあったら、諏訪中央病院の緩和ケア病棟。
つかさんはお墓もいらないと言ったようだが、ぼくはお墓にはこだわっている。
血がつながっていない岩次郎さんのお墓に入ること。
育ててくれた親が眠るお墓に入ることが、ぼくの最後の親孝行だと思っている。
それでぼくの人生は終わり。
そんなふうに今は思っている。
死ぬときには、岩次郎小屋に、坂田明のサックスが流れていたら最高。
ぼくがプロデュースしたアルバム「ひまわり」が聞こえてきたら、きっとにんまりしてしまうだろう。
家族だけの葬儀には、ジャニス・ジョプリンの「サマータイム」がいいなあ。
それに、知り合いの住職、高橋卓志さんが2、3分の超短いお経をあげてくれたらいい。
つかこうへいさんのご冥福をお祈りします。
| 固定リンク