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2010年7月29日 (木)

まだら

兵庫県で、15歳と14歳の中3の女の子が放火し、母親が死亡した事件があった。
毎日新聞によると、2人は、事件直前、同級生たちに「また5年後に会おう」といっていたらしい。
時間さえ経てば、簡単にやり直せると思っていたのだろうか。

『よくばらない』(PHP研究所)という本のなかに、「まだら、まだら」という詩を書いた。
人間の心のなかには、いい心もあれば、獣のような心もある。
やさしい心あれば、邪悪な心もある。
親切な心もあれば、意地悪な心もある。
まだらなんだと思う。

Img_2620

ぼくは、18歳の夏、父の首に手をかけてしまったことがあった。
ぼくを拾って育ててくれた、命の恩人の父に。
この2人の女の子と、18歳のぼくはそんなに変わらないのだと思う。

これだけの事件を起こしてしまうと、そう簡単にリセットはできないが、もう一回、ちゃんと生き直せるチャンスがあるといいなと思う。
まだらの心のなかには、いい部分もいっぱいあるはず。
そのいい部分をできるだけ大きくするということが、人間の成長なんだと思う。

人間はいつも失敗する。
取り返しのつかない失敗もする。
しかし、まだ若い。
起こしてしまった罪の分だけ、人のために、世のために、一生懸命生きることだ。
時間はかかるけれど、それが、取り返しのつかない失敗をしてしまった自分を救う方法だと思う。

写真は、鳥取砂丘に沈む夕日

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