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2010年7月 7日 (水)

各党のマニフェスト

参院選の各党のマニフェストを見た。
分厚くて、目を通すのも大変。
医療のところだけ、横断的に読み比べてみたい。

民主党は、診療報酬の引き上げに、引き続き取り組むという。
たしかに、今年10年ぶりに0.19%診療報酬が引き上げられた。
医療崩壊を防ぐには微々たるものであるが、日本経済が厳しいなかで、0.19%でも上がったのは大したものだったのかもしれない。
民主党は政権交代して、医師数を1.5倍に増やすと目標を立てている。
医師不足は相変わらず厳しい。
1.2倍くらいなら、日本中の医学部の教室、設備などの手直しはそれほどいらず、教員の数を若干増やすくらいで対応できると思うが、1.5倍となると大変である。
よい医師教育ができるのか、ちょっと心配である。

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自民党のマニフェストを見た。
診療報酬を大幅に引き上げると書いてある。
今まで10年間、なぜ診療報酬を上げてくれなかったのかと不満に思う。
1000人体制による「県境なき医師団」をつくって、地域の医師不足を解消するという。
1000人の医師をプールすることができるのか。
おもしろいが、実効性は薄いのではないかと思う。
震災などで、医師を緊急派遣するときには、2週間くらいが相場である。
期間限定の医師派遣なら対応は可能であり、実際、優れたシステムができはじめている。
しかし、地域医療の医師不足に対する県境なき医師団は、場合によっては1年ちかく、その地域に医師を派遣しなければならない。
そんなに長い期間、派遣できる医師がいるのだろうか。

公明党は、24時間、すべての患者を受け入れる病院を全国400箇所に配備するといっている。
資本投下すれば可能だと思う。
全国をカバーするドクターヘリを50機配備するという。
救急医療にドクターヘリは効果的であるが、ヘリコプターの出動を必要とする医療は、救急医療のなかのパーセンテージは低い。
コストパフォーマンスを考えると、どうかなと思う。

共産党では、医療費の窓口負担を引き下げることを目指して、まず高齢者と子どもの医療費の無料化を国の制度として実施するとある。
今のような状況のときに、医療費の無料化は、医療費の高騰を起こすのではないか。
かつて老人医療費が無料だった時代があるが、医療費の破綻が起こりかけた。
その反省を踏まえ、患者が自己負担し、自己判断することを目標してきたはずである。
フリードマンの経済の本を読んでみると、こういうサービスを否定している。

社民党は、地域の病院を守るため、公立病院の統廃合に歯止めをかけ、妊婦検診と出産を無料化するとしている。
いいことだ。

だが、やっぱり、すべての党を通して、バラマキという感じがしてしかたない。

国民新党は、健康保険組合を統合して、医療保険制度を一元化を図り、同時に患者の窓口負担などの上限を2割に軽減するとしている。
2割になるとありがたいが、それで医療保険を崩壊させないで、続けていくことができるのか、ちょっと心配。

みんなの党は、対GDP比10%を超える程度まで増やす。これは非常にいい。
いま8.1%である。
ぼくは、医療費をGDP比9.4%までもち上げれば、日本は世界一の医療を国民に提供できると今まで言ってきたが、これに近い。
問題は、財源をどうするか。

立ちあがれ日本は、医療に3年間で3兆円を投入し、各地域の特性を生かして、機能分担、連携を強めるとしている。
これはかなり実効性があるような感じがする。

新党改革は、医師を増やすほか、医師の勤務環境を改善すること、夜間や救急での病院の利用を適正にすること、予防接種の充実などをあげている。
これは、まあまあの提案で、相場的という感じ。

医療に関するマニフェストと読んで感じたことは、各党とも前向きに改善策を提案していることだ。
しかし、本当にできるのだろうか。
サービスが過剰で、バラマキではないかと感じるものもある。

完璧な政党はない。
どの提案も、実効性はクエスチョンマークだ。
それでも、ぼくたちは希望を託して選挙に行く。
すべてのことに賛成でなくても、このことは、この政党に託したいというものがあれば、選挙にいくべき。

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