鎌田實の一日一冊(73)
『ぼくのオカンがうつになった。』(佐口賢作著、サトウナオミ・イラスト、PHP研究所)
漫画を読まないぼくが、久しぶりに漫画を読んだ。
家族がうつ病になったとき、どうすればよいかがわかやりすい、コミックエッセイである。
うつ病は100万人を超えたといわれている。
うつは身近な問題だ。
この本は、うつ病になったオカンとぼくとの16年を描いている。
うつ病は本人もたいへんだが、家族もしんどいということを、作者は強く述べている。
同時に、家族としてできることは何かを考え、こんなふうに書いている。
「人はどんなにうつうつとしているときでも、家族に伝えたい気持ち、感情があります。そのなかなか言葉として出てこないひとことを聞いてあげるのが、家族にできることなのかな。今はそんなふうに考えています」
話をきくことの大切さは、すべての人間関係の大前提かもしれない。
著者の佐口さんとは、ある雑誌のインタビューの仕事でお会いした。
その佐口さんからぜひ読んでほしいと、いただいた。
お母さんがうつ病になり、たいへんだったと思う。
佐口さん自身もあぶないときがあったように思う。
でも、土俵際でこらえて、自分の人生を歩んでいくことは、すごいことだ。
お母さんも少しずつよい方向に向かっているようで安心した。
ご家族や身近な人がうつだという人は、ぜひお読みください。
参考になります。
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