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2010年8月22日 (日)

報告・放射能のまちを訪ねて⑦

放射能が60キュリー以上ある森の中に、不思議な泉があるという。
この泉の水からは、何度調査をしても、放射能が検出されない。
おそらく、昔降った雨水が深い地層にもぐりこみ、ろ過され、再び地上に湧いてきているからだろう。

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泉の上には掘っ立て小屋が建っていて、雨が入らないようにしてある。
「きれいで、おいしいんだよ」と言われ、恐々と飲んでみたが、たしかにおいしい水だった。

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ベトカでは、59の村がつぶされ、土のなかに埋められた。
埋葬の村だ。
その村には、サマショーロといわれる人たちが今も住んでいる。
サマショーロとは、「わがままな人」という意味。移住を拒んで、自分の意思で村に留まり続けている人たちのことだ。
サマショーロの住む村は、ベトカには2つある。
1つは、16人のサマショーロが暮らしている。

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一人暮らしのおじいちゃんを訪ねた。
この日は、ゴメリとミンスクに住んでいる娘夫婦たちがやってきて、おじいちゃんはちょっとうれしそう。
「放射能で汚染されなけば、豊かで美しい村だった。私たちもできれば離れたくなった」と娘たちは口々に言う。

また別の、一人暮らしのおばあちゃんを訪ねた。
裸足だった。
汚染が強い地域でとてもこわい。

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魚の干物を見せられた。
この地域でとれた魚を塩水につけ、ガチガチになるまで干している。
かじるとうまいというが、ちょっとこわくて食べられなかった。
たいがいのものは、何でもおいしくいただいてきたのだが、これには手が伸びなかった。

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埋葬の村を訪ねていくと、人恋しいのか、おじいちゃんやおばあちゃんがたっぶりと話をしてくれる。
魚やりんごを持っていけという。
うれしいような、こわいような。

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