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2010年8月 1日 (日)

うれしい波紋

南相馬市立小高病院の遠藤院長とお会いした。
院長を含めて医師が3人に減り、病院の存続が難しくなったという。

遠藤院長とは、3年ぶりの再会だった。
ぼくは、宮城県で障害者の支援活動をしている虹の園を全力で応援している。
東北新幹線で白石蔵王を通るときには、できるだけ下りて、小さな講演会を開いてきた。
30人とか50人とか、参加者が車座になれるような小さな講演会で、地域の人たちに虹の園のすごさを伝えたいと思ったからだ。
3年ほど前、この小さな講演会に、遠藤先生が来られた。
そのとき以来の再会だった。

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小高病院は、非常事態にある。
地域から病院がなくなることに危機感をもった住民が署名活動をはじめた。
1万人以上の署名が集まった。
病院を守る会もできた。
住民のパワーを感じるすごい活動である。

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こうした小高地区の活動は、兵庫の県立柏原病院を守る会の活動を見習ってはじめられたという。
驚いた。
柏原病院の小児科医・和久先生と地域の病院を守ったお母さんたちのことは、『空気は読まない』(集英社)などに書いた。
兵庫のある地域の取り組みが、場所を隔て、南相馬市のある地域にも波及している。
驚きとともに、うれしくなった。

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住民運動の成果で、医師は1人増えて4人になった。
遠藤院長は月12回当直をしている。
ピンチはまだ続いているが、院長としてはできるだけのことをやっていきたいという決意ができたという。
急性期医療と在宅医療と介護の機能をもつ、やさしい病院として小高病院の存続を目指したいという。
どこにも地域医療に情熱を燃やしている医師はいるなあとうれしくなった。

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遠藤先生は、ぼくの本のどこかをよく引用して、職員に話をしているといってくれた。
ありがたいことである。

地域医療を崩壊させないことが、日本の原風景やコミュニティーを守ることになるし、あたたかな日本を守ることになると信じている。

写真は、相馬野馬追祭の様子。

500頭近くの馬と武者装束をした人が集まるという、なんとも勇壮なお祭りである。
このために馬を飼っている人もいるとか。
馬や武者装束を借りると、15~30万円くらいかかるという。
しかし、経済はこうやって回っているのではないか。
そして、地域のコミュニティーはこうやって守られているのではないか。
日本の豊かな祭りは、観光立国日本の目玉にもなる。
それをどう世界の人たちに伝えるかが問題。

元気な日本にしたいなあ。

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