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2010年9月 7日 (火)

自分を変える旅

船には、禁煙プログラムに参加している人が10人ほど乗っている。
毎日集まって、禁煙をお互いに確認し、一酸化炭素の測定を行っている。

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タバコを吸う人の呼気には、一酸化炭素が多く含まれる。
禁煙できていない人の場合は、一酸化炭素の数値は16だが、きちんと禁煙して2週間ほど経過するとゼロ近づいていていく。
ヘビースモーカーの人は3週間経過しても2くらいだが、なんとか禁煙に成功したいと思っている。
ドクターの話を聞いたり、心理療法士のサポートを受けながら、みんな本気だ。
船の上という、一種の閉鎖的な環境に身をおくことは、禁煙に成功するためのいい方法なのかもしれない。

引きこもりの若者たちも30人ほど参加している。
彼らと膝詰めで話をした。
どうも気に入られたみたいである。
その後、一緒に食事をしようと声がかかったり、パーティーに呼ばれたり。
すれちがうと、声をかけてくれるようになった。

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引きこもりは内閣府の推計で69万6000人。
家に閉じこもって外に出ない人の気持ちがわかるという予備軍は、155万人もいるといわれている。
引きこもりの背景には、さまざま原因がある。
だから、対応策も一概にはいえない。
だが、人とのコミュニケーションに不安をもち、なかなか自信をもてないという場合は、船でいろんな国を訪ね、世界にはいろんな人がいることを実感することは、大事な体験になると思う。

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乗船している7割くらいの若者は仲間づくりに成功し、いろんな企画に参加している。
引きこもりの若者が、お菓子パーティーなどを提案し、自分のことを語れるようになった。

船に乗ったときの自分と、やがて船を降りたときの自分はたしかに変わっている。
旅とはそういうものだと思う。

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