鎌田實の一日一冊(76)
『シゲコ! ヒロシマから海をわたって』(菅聖子著、偕成社)
著者はぼくの友人の菅聖子さん。
菅さんと、この本の主人公・笹森恵子(ささもり・しげこ)さんと一緒に、チェルノブイリを旅したことがある。
広島で被爆し、ヒロシマガールズとしてアメリカに渡った笹森恵子さんの物語が、小学生から大人まで読めるように書かれている。
笹森さんは、ピースボートに乗って反核を訴えたこともある。
アメリカでも核を無くしてほしいと訴え続けている。
週刊ポストにも書いたが、反核を訴える笹森さんに対し、ミネソタ州立ウィノナ大学は名誉博士号を授けた。
授章スピーチで、彼女は三つのことが大事だと語った。
一つは勇気。目標に向かっていく勇気が大事である。
次に行動。勇気があっても行動しなければ、何も変わらない。
最後は愛。愛がなければ進むべき方向を間違うことがある。
「愛をもって行動すれば、神様はあなた方を必ず守ってくれるでしょう」と言う。
現在78歳。
日本に来るたびに連絡をくれ、ときにはアメリカの養父ノーマン・カズンズの遺品をいただく。
ぼくのことを「日本のノーマン・カズンズ」と言ってくれるあたたかな恵子さん。
勇気と行動、愛は、78歳になっても変わらない。
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