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2010年9月 9日 (木)

フランスの移民政策

マルセイユで、フランスの移民政策について語り合った。
ピースボートがおもしろいのは、15000円の参加費で、移民政策について、移民や移民をサポートする人たちと話し、移民の多い町を散策したりできることである。
17世紀につくられた貧しい人たちのための福祉施設の庭を借りて、コーヒーやクロワッサンを食べながら、フリーディスカッションした。
20代の若者たちが多く参加し、議論は熱気にあふれた。

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ある移民は、アルジェリアから来た。
アルジェリアでは結婚しなかったために、イスラム原理主義者に批判を受け、自由を求めてフランスにやってきた。
偶然、飛行機の隣りの席に座ったアルジェリア出身のフランス人が泊めてくれた。
不法入国でも2年間猶予があり、社会保険や宿泊施設も無料で世話をしてもらえた。
2年後、帰国するようにいわれたが、いろんな人の応援で、帰国するとイスラム原理主義者に狙われるという理由で、難民として認められた。
仕事をすることも許可され、北アフリカから来た人たちの、フランス語の教師をしているという。

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ベルナルトさんは、移民たちにボランティアでフランス語を教えている。
ベトナムの青年を一人養子にして、大学にも行かせた。
その青年の知り合いということで、ベトナムから不法入国した22歳の青年を世話したりしている。

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もともとフランスは大学の授業料が無料なので、移民の子どもも大学で学び、出世していくチャンスがある。
フランスは個人主義のクールな感じのする国であるが、移民に対しては実に寛容なのだ。

9/22発売号の婦人公論に、フランスの若い女性の映画監督ウニー・ルコントとぼくの往復書簡が掲載される。ルコント監督は、韓国で生まれたが、親に捨てられ、フランス人の養子になった。
「私は韓国で親に捨てられた。捨てられたおかげで私の人生は始まった」
ルコント監督は、こんなふうに書いている。

マルセイユでは、移民2世や3世まで入れると50%近くになる。
フランス全体では約10%にのぼる。マルセイユの人たちは、ほかの国の人たちが移り住んでくることを怖がったり、差別したりしていないという。
そればかりか、最近、サルコジ大統領がロマ族を国外追放していることに対して、マルセイユでは大きなデモがあった。

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移民を受け入れると経済の足腰が弱くなるのではないか? とぼくは質問した。
むしろ移民の多いほうが工場が多くでき、産業が活気づく。
そして、働いた移民たちがものを買うので、内需は拡大していく。
まちがいなく移民政策がフランスの経済をよくしているという。
移民がほかへ移った町は、経済が急激にダウンしている、ということだった。

日本は移民に対して厳しい国である。
人口減の現在を考えると、現在の人口を維持する程度に移民を受け入れてはどうか。
きちんとした政策のもとに、何%かは農業や介護の分野の仕事についてもらうなど、日本に来たいという人たちを受け入れていくことが、日本の経済を支えていくためにも必要なのかもしれない。

今後、日本の生きる道として、検討の余地はあると思う。

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