ウエットな資本主義①
月刊「日経マネー」で経済の連載を続けている。
この連載をまとめた『ウエットな資本主義』(日本経済新聞社)は好評である。
一年後くらいを目標に、再び、経済のわかりやすい本を書きたいと思っている。
このブログでも、ときどきカマタ流の経済再建について述べていきたいと思う。
厚生労働省は9月初め、所得格差についての調査の発表をした。
所得格差の指標として、ジニ係数というものが使われる。
それによると、日本のジニ係数は、1981年の0.3491から、2008年の0.5318と上がり、格差が広がっていることがわかる。
1.5倍になった計算である。
高齢者が多くなったことも大きな要因である。
注目したいところは、税金や保険料、年金、生活保護による再分配の仕組みで、再分配後のジニ係数は1981年は0.314であったが、2008年は0.375で実質的な格差の広がりは緩い。
現実的な格差は広がっているが、再分配の機能はそれなりにうまくいっているのだ。
もう少し高額所得者の保険料や税金を多くして再分配機能を高めれば、ジニ係数は81年並みに戻すことができる。
ただし、若者のジニ係数の改善は、ここでは反映されていない。
若者にとって大切なのは雇用である。
雇用が充実し、安定した収入が得られるようになれば、かつての右肩上がりの経済のなかでの勢いはつくることはできなくても、成熟社会のなかで、あたたかな資本主義としてお金を回転させながら、デフレに落ち込まない程度の改善はできるのではないか。
写真は、岩次郎小屋の周りの田んぼ。すっかり稲刈りが終わった
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