在宅療養をあきらめない
東京都がアンケート調査を行った。
在宅で療養したいという人が34.6%を占め、そのうちの62%は自宅での療養は難しいと考えている。
在宅を希望している人が3人に1人いるのに、そのうちの3分の2の人たちはあきらめているのだ。
理由はいくつもある。
自宅が狭い。
介護する人がいない。核家族化、少子化の現代では、介護の交代要員はなかなか望めない。
往診をしてくれる医師がそう簡単に見つからないのも問題だ。
しかし、最近は次第に在宅医療に取り組む医師も多くなってきた。
突然、状態が変わったときに、夜中でも来てくれる医師もいる。
あきらめずに、地元のケアマネジャーに相談してみると、いい情報をつかむことができると思う。
介護保険の訪問介護や訪問看護も十分とはいえないまでも、ずいぶん充実してきた。
ときどきショートステイなどを利用しながら、上手に在宅療養を続けている人も多い。
うまく方法を考えれば、在宅療養をあきらめなくてもよくなる。
65歳以上の人口は2900万人。
特養待ちが42万人いるという。
みんなが施設を希望しても、入ることができない時代になった。
諏訪中央病院では、現在15人の医師が100人の在宅の患者さんを診ている。
15人の医師は、決して病院から強制されてやっているのではない。
在宅医療に興味をもつ若い医師は実はとても多く、チャンスさえあれば、自発的に在宅医療に取り組み、その深さやおもしろみを体得していく。
在宅診療部の部長である高木先生は、在宅医療の目標を「その人がその人らしい生活ができるようにしてあげること」と言う。
在宅で療養している患者さんという視点よりは、「病気をもっている生活者」としてみている。
そして、自宅で生活している本人や家族に、どれだけ安心感を持たせられるかが大事だという。
なるほどなと思った。
脳卒中や末期がんなどになっても、自宅で暮らしたいという人がいるならば、それを叶えられる国にしたいものである。
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