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2011年1月10日 (月)

鎌田實の一日一冊(96)

「希望のつくり方」(玄田有史著、岩波新書)

希望のつくり方のヒントが書かれている。
過去の挫折の意味を自分の言葉で語れる人ほど、未来の希望を語ることができるという。
なるほどなと思う。
挫折していい。
過去の挫折を語ったほうがいいということだ。

「無駄に対して否定的になりすぎると、希望との思いがけない出会いもなくなっていく」
そうだ、そうだ。
無駄なことと希望がつながっているというのは、けっこうありそうな気がする。
「わからないもの、どっちつかずのものを理解不能として安易に切り捨てたりしない」
同感、同感。

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ぼくは昨年パレスチナに行った。
憎しみ合う国同士の国境を超えて、少年から少女へと心臓移植が行われた。
その話を絵本にしようと思っている。
今のところ500万円くらいのお金がかかっている。
パレスチナやイスラエルの若い母親、子どもたちに読んでもらうようにするには、さらにお金が必要だろう。
無駄といえば、無駄である。

62年間、国連の事務総長もアメリカ大統領も、ここに平和をもたらすことができなった。
もし、一冊の絵本が平和に向かって1ミリでも動かすことができたら・・・。
これこそがぼくの希望である。
希望は与えられるものではなく、自分で作り出すもの。

玄田有史は、「大きな壁にぷつかったら、大きな壁の前でちゃんとうろうろするといい」という。
12歳のパレスチナの少年が殺されたのは5年前。
そのときから、ぼくは壁の前でうろうろしてきた。
2年前、スイスのジュネーブでこの話をしたときに、スイスの人たちが賛同してくれて、少年の父親を探してくれた。
また壁の前でうろうろしていると、ピースボートの人たちがこの父親と連絡をとってくれた。
逃げずにうろうろし続けると、いつか越えられるときがくるのではないか。

2011年はもしかしたら、壁を越えて新しい世界が見える年になるかもしれないとぼくはひそかに期待している。

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