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2011年1月

2011年1月31日 (月)

台湾を一緒に旅しませんか

「ドリームフェスティバル in 台北、花博5日間」の日程が、4月17日からに決まった。
4泊5日の旅である。

ドリームフェスティバルは、重い障害があっても、がんがあっても、安心して旅ができるように計画されたツアー。
旅のわくわく感やどきどき感が、いろんな物語を生んできた。
要介護5だった人が参加して、また旅行がしたいという希望をもち、要介護2になったという「奇跡」もある。
これまで、ハワイやグアムで開催してきたが、7回目の今年は台湾だ。

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台湾は親日家が多く、カタコトの日本語を使える人たちも多い。
旅行者にも、あたたかくて、やさしい。
食事もおいしい。
台北では、ちょうど花博が行われている。
宿泊は、世界の一流ホテルシェラトン。
日本航空か全日空を主に使う。
鎌田の講演会もある。

台湾は、ずっと以前から検討していたが、バリアフリーの手配ができず、見合わせてきた。
今回は、バリアフリーのバスを3台借りることができた。
シェラトンでも、このツアーのために、浴室に手すりをつけるなど配慮してくれている。

台湾も、楽しい旅になると思う。
生きる力がわいてくる旅になれば、うれしい。

旅をしたいけれど、ちょっと高齢で心配という方、障害や病気があって、旅をあきらめていた方、あるいは鎌田と旅行してみたいという方、大歓迎です。

問い合わせは、クラブツーリズムのバリアフリー旅行センター03-5323-6915へ。

写真は、2009年のドリームフェスティバル イン グアムのときのもの

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2011年1月30日 (日)

「こころの遺伝子」が本に

新しい本ができた。

『鎌田實の「あなたがいたから」 NHK「こころの遺伝子」ベストセレクション』(主婦と生活社、980円)

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昨年放送されたNHKの番組「こころの遺伝子」が一冊になった。
テーマは、「病だけではなく、まるごとの人間を診る」。

人にはだれにも「この人のおかげ」とか、「この人がいたから」という存在がいるはず。
ぼくにとって大切な人のことが書かれている。
白血病の患者さんを支える妻子から、ぼくがどんな影響を受けたか。
そして、どんなふうに変わっていったか。
司会者の西田敏行さんのコラムも随所に載っている。

番組をつくるのに4ヶ月くらい検討を重ねた。
放送されたのはほんの一部。
放送されなかった部分にも、ずいぶん大切なものがあり、その部分を一冊にまとめた。

ぜひ、お読みください。

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2011年1月29日 (土)

ポンペイ遺跡の危機

1/22の読売新聞に、ポンペイ遺跡が崩壊寸前という大きな記事が載っていた。

ポンペイ遺跡は、昨年9月に見に行ったばかりだった。
円形闘技場が、壁の崩壊があって見れなかった。
いたるところ崩壊していたので、気になっていたのだが・・・。

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ポンペイは、紀元前7世紀から発展し、商業で栄えた町である。
紀元前7世紀といえば、日本ではまだ縄文時代の末期。
この時代にこれだけの町ができていたというから驚きである。
79年のベスビオ火山の噴火で埋もれた町は、現代に奇跡的に遺跡として残った。
その貴重な遺産が危機に瀕している。

少女買春疑惑で批判を浴びているベルルスコーニ首相が、遺跡保存に必要な予算を約20億ユーロから14億ユーロに減らし、かつて76人いた職員を4人にしたという。
奇跡の遺跡が、指導者の感性のなさにより崩壊寸前というのはなんとも悔しいことである。
やっぱり、リーダーの能力や感性というのは大切だ。

この10年、日本にも碌なリーダーがいない。
日本を崩壊させたくないなあ。

写真は、昨年9月に訪ねたポンペイ遺跡。遠くにベスビオ火山が見える

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2011年1月28日 (金)

鎌田實の一日一冊(98)

「リンパを流すと健康になる」(大橋俊夫著、PHP研究所、1470円)

信州大学医学部の生理学の教授で、日本リンパ学会理事長の大橋先生の本。
大橋先生は、「ためしてガッテン」や「世界一受けたい授業」でも紹介されている。
日本の生理学の第一人者である。

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むくみのことや、リンパ流がうまく流れているといろいろな病気の予防になることが書かれている。
専門家がわかりやすく書いた、とてもいい本だと思う。

諏訪中央病院の前院長の今井澄先生が、双方向テレビを使ったニューメディアの研究会を行っていたとき、地域の在宅から心電図や胎動の波形をどうおくったらいいか、大橋教授からたいへんなお力をいただいた。

この本には、鎌田のことも書かれている。

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2011年1月27日 (木)

行き場のない患者

統合失調症の男性が救急車で搬送先がみつからず、亡くなったという記事を見た。
東京都東久留米市での話だ。
日本中でこういう事例がたくさんあるという。

精神科がない総合病院では、統合失調症の患者さんを受け入れて手術をしたり、脳卒中などのリハビリをしたりするのは難しい。
それが現実である。

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諏訪中央病院でも、精神科の常勤医がいない。
半年ほど前、統合失調症の末期がんの患者をみた。
ほかの患者さんへの配慮ができず、自分の世界に入り、ゴーイング・マイ・ウエイで、なかなかケアに難渋した。
ぼくが、回診のとき、患者さんの話し相手になってコミュニケーションをとろうとするのだが、「声が大きい」と一喝された苦い思い出がある。
ほかの患者さんやご家族が利用するラウンジも、独占することが多かった。

この患者さんを投げ出すのはたやすい。
しかし、病棟で何度も話し合いながら、ぼくたちがこの患者さんを投げ出せば、どこも診てくれるところがないと判断した。
精神科のある総合病院からは、高度医療をするところで、ベッドが空いていないと断られた。
精神科の病院からは、がんの末期患者を診たことがないと断わられた。
本当にどこにも行き場がないのである。

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諏訪中央病院の緩和ケア病棟には、認知症の患者さんが末期がんとなり、入院してきたこともあった。
大声を出すおばあちゃんだった。
ほかの患者さんたちは、その声に明らかに参っていた。
しかし、この患者さんも、ほかのどこかで診ることは不可能と判断し受け入れた。
ほかの患者さんやご家族たちには、なんとか理解をいただき、マイナス点を挽回できるように全力でケアすることを心がけた。
行き場のない患者さんを、見捨てることはできない。

しかし、難しい患者さんを受け入れるために、必死にベッドのやりくりをし、あたたかな医療を展開しても、制度上、経営的なサポートがあるわけではない。
これが日本の現状である。
お寒い、お寒い、医療の現状が浮き彫りになっている。

写真は、諏訪中央病院の緩和ケア病棟から見た冬景色の庭と八ヶ岳。

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2011年1月26日 (水)

鎌田のカレー

NHKアナウンサーの村上信夫さんから、カレーをいただいた。
その名も「鎌田のカレー」。

シェフの鎌田さんのイラストを見ると、髪の毛がほとんどなく、こちらの鎌田によく似ているとでも言いたいのだろうか。
村上さんのニヤニヤ顔を見て、つい、そんなことを思った。

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食べてみた。
おいしい!
そして、辛い!!
ベースは甘い感じがするのに、かなり辛い。
ぼくの好みの味である。
名古屋にある「炭焼きステーキ鎌田」というお店で、カレーも出しているようだ。

鎌田という名前は、東北地方に多い。
ぼくの父、岩次郎は青森の出身だった。

四国にも多い。
ただし、四国の鎌田さんの半分くらいは、「かまだ」という読み方だという。
鎌田醤油という有名な醤油屋さんがあるようで、四国に行くと看板をよく目にする。

一週間ほど前、名古屋で講演したときに、豊橋から鎌田さんが4人やってきた。
「かまだ」と読む人たちだった。
愛知県にも、鎌田がけっこういるようだ。

鎌田のカレー。
こちらは「かまた」と読むようだが、興味のある方は一度食べてみては。

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2011年1月25日 (火)

JVC30周年記念シンポジウム

1月29日午後2時~5時、昭和女子大で、日本国際ボランティアセンター(JVC)設立30周年記念シンポジウムがある。

鎌田は、「平和をつくるための人と人のつながり」と題して、講演する。
その後、2人の女性とともに、パネルディスカッションにも参加する。

通常、ぼくはパネルディスカッションはお断りしている。
だが、JVCはJIM-NETの仲間で、JCFの兄貴分のようなもの。
お祝いの意味で、自分のオキテを破って、パネルディスカッションに参加することにした。

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パネリストの一人、セリーナ・ムラバさんは南アフリカ在住。
サッカーのW杯が行われた南アフリカだが、依然として貧しい生活をする人たちは多い。
町には立派な建物も目立つが、黒人居住区の生活はいっこうに改善していないようだ。
JVCは、HIV陽性者を精神的に支え、農園で野菜をつくり、病気を発症させないために栄養的サポートをするなど、きめ細かな支援をしてきた。

セリーナさんは、長男妊娠のときにはじめて自分がHIV陽性であることを知った。
自分の病気をコントロールしながら、家族を支え、ほかの患者を支えようとしている。

もう一人のパネリスト、マナール・アルアッサさんは、パレスチナの難民キャンプで子どもや女性たちの人権を守ろうとしている。
女性の自立を推進するために、刺繍雑貨の製作のリーダーをしている。

たいへんおもしろいシンポジウムになると思う。
南アフリカやパレススチナの女性を支援するために、参加費は1000円。
ぜひ、ご参加をお願いします。

詳しい内容や参加申し込みは、こちらまで。

写真は、雪の八ヶ岳

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2011年1月24日 (月)

大卒の就職内定率が最低

大卒者の就職内定率が史上最低の68.8%を記録した。
昨年12月1日現在の数字である。
中小企業にはまだ優秀な人材を採りたいという余力があるようだが、大卒予定者は相変わらず大企業志向だ。
ミスマッチの問題が生じている。

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医療は違うといわれるかもしれないが、ぼく自身も医学部卒業後、累積赤字4億円の地方の中小病院に赴任した。
医師のなかでは決して恵まれた就職口ではなかったと思う。

ぼくは、「物事には波がある」と考えている。
今は経営が厳しい小さな会社でも、いい波が来て大きく飛躍することがある。
そのとき、中心的な役割をする仕事というのも、考え方によってはおもしろいのではないか。

外国へ行きたがる人たちが少ないという話も聞いた。
世界に羽ばたける若者が増えてくれることも、日本がもう一度元気になるために必要だと思うのに、ちょっと残念。

ぼくは、18歳の高校生のとき、医学部に入れなかったときは、おすし屋さんになろうと思っていた。
資本もないので、裸一貫で店を持ち、世界進出なんていうのも楽しい。

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今ほど大変な時代ではなかったが、ベビーブームで現在よりも、2倍くらい若者が多い時代であった。
決して、らくらくの時代であったわけでもない。
今はつらいと思うが、負けないでほしい。
自分の人生を羽ばたかす方法を考えてほしい。

旧政権の自民党を中心にした政治も、新政権の民主党を中心にした政治も、なんともまどろっこしい。
救国内閣のようなものを作る必要がある。
マスコミも野党も足を引っ張るだけでなく、若者たちのことを考えて、もう一度協力し合えることは協力し、強くて、あたたかくて、やさしい日本をつくってほしい。
それには、批判しながら、協調するという大人の姿勢が必要だと思う。

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2011年1月23日 (日)

アーシアを忘れないで

本日の読売新聞の連載「見放さない」に、アーシアちゃんのことを書いた。

アーシアちゃんはずっと白血病と闘ってきたが、先日、7歳で亡くなった。
悲しい。

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アーシアちゃんが描いてくれた絵は、今年のチョコレートの缶にプリントされ、とてもかわいいと評判だった。
12万個を販売する予定だが、あと残すところ3万個となった。
なんとか、バレンタインデーまでには、完売したいと考えている。

チョコレートの収益は、アーシアのような病気の子どもたちの薬代になる。
アーシアは助けられなかったが、できるだけ多くの子どもたちの命を救いたい。
それがせめてものアーシアへの供養になると思う。

バレンタインにチョコレートをあげるならば、おいしくて、かわいくて、人の役に立つチョコレートはいかがでしょうか。
ご注文、お問い合わせはこちらへ。

よろしくお願いいたします。

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2011年1月22日 (土)

中島啓江さんの音楽会

中島啓江さんの音楽会が2月20日、午後2時から茅野市民館で行われる。
中島さんの「涙そうそう」「千の風になって」「アメージンググレース」は、出色だ。

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ぼくは、中島さんのラジオ番組に2度ほど出たことがある。
子ども時代いじめに遭い、たいへんな生活だったらしい。
お父さんともうまくいかなかった。
トラウマを抱えながら生きてきた中島さんの音楽は、聴く人に癒しを与える。

写真は、雲をかぶる八ヶ岳

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2011年1月21日 (金)

ヨーガン レール氏を訪ねて

月刊日経マネーで、ぼくはどうすれば日本の経済がよくなるかを考える連載をしている。
本日発売の3月号では、ファッションブランドのヨーガンレールを訪ねたときのことが載っている。

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このところ、鎌田自身が“突撃取材”をすることが多く、現場の雰囲気にいろいろと刺激を受け、楽しい。

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日本のファッションは中国、台湾、韓国、東南アジアの国々などから注目されているという。
ヨーガンレールの服はとても着心地がいい。
ヨーガン レール氏に、こだわりのファッションについて話を聞いてきた。
このときのことは、このブログで、以前ちょっとだけご紹介した。
http://kamata-minoru.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-7318.html

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ヨーガンレールでは、JIM-NETで行っている子どもたちの医療支援活動にご理解いただき、チョコレート募金やCD「ひまわり」「ふるさと」を置いてくれている。
ありがたいことだ。

ぜひ、日経マネーをお読みください。

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2011年1月20日 (木)

鎌田劇場へようこそ!(69)

「ゴダール・ソシアリスム」

久しぶりのジャン=リュック・ゴダール監督の映画だ。
「勝手にしやがれ」を発表してから半世紀。
ゴダールはやっぱりゴダールだった。
言葉が氾濫して、怒涛のよう。
趣旨はあるような、ないような、いつものスタイルだ。

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スペイン内戦の最後、埋蔵金はどこに消えたのかという推理仕立てだが、その謎解きも途中でどこかに消えていってしまう。

カメラは、エジプト、「戦艦ポチョムキン」の舞台となったオデッサ、パレスチナ、ギリシャ、ナポリ、バルセロナを疾走していく。
昨年、このあたりを旅したので、個人的に親近感がわく。
それにしても、ハンディカメラで撮っているので、すごい緊迫感だ。
今年で80歳になるのに、ゴダールは相変わらず自由。
いいカメラで撮らなくちゃいけないなんていう固定観念はない。

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公式サイトで予告編が見られる。
黄金について、悪い奴らについて、歴史について、言葉について、動物について、子どもについて、伝説について、ゴダールは語っておきたいことを自由に語ったようだ。
西洋がつくった民主主義や資本主義について、これでいいのだろうかという強い疑問符がつけられている。

ぼくは青年のころ、ゴダールの「気狂いピエロ」にかなり影響を受けた。
ゴダールがちょっと気になる人は、まず「気狂いピエロ」をおすすめする。
心を揺さぶられたら、今回の映画を映画館に見に行ってほしい。
こんなのが映画なのか、と唖然としてしまう人もいるかもしれない。
映画ならなんでも大好きという人にはおすすめである。

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2011年1月19日 (水)

鎌田劇場へようこそ!(68)

「ムサシ」

昨年亡くなった井上ひさしの作。
演出は蜷川幸雄。
藤原竜也のほか、個性派俳優の白石加代子らが出演する。
音楽は宮川彬良。

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ロンドン、ニューヨークの舞台で上演され、ニューヨークタイムズ紙やガーディアンで絶賛されている。
井上ひさしが武蔵と小次郎を描くとどんな舞台になるのか。
抱腹絶倒、はちゃめちゃ。
それでいて哲学的。
能があり、ラインダンスのようなものがあり、さすが井上ひさしと思わせる作品になっている。

舞台を映画で見るというのも、新しい流れだと思う。
東京でのロードショーは終わってしまったが、山形や長野、福岡などで上映される。

よくばらないで、怒らない侍以外は、刀を抜く権利はないというような面白い台詞が出てくる。
深い意味がありそうな言葉がいっぱい出てくるが、本当に深い意味があるかどうかはわからない。

まさに、井上ひさしワールドである。

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新刊好調

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『人は一瞬で変われる』(集英社)が出版されて2ヶ月。

初版3万5000部だったので、増刷までには時間がかかるかと思っていたが、早くも増刷が決定した。
好評をいただいているようだ。

読者から、「変われるんだと自信がもてるようになった」と感想を聞く。
そう、変われない人なんていない、とぼくは思っている。

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2011年1月18日 (火)

厳寒の朝

マイナス11度。
信州ではそんな朝が続いている。
厳しい寒さのお陰で、諏訪湖には氷が張りはじめている。

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寒さがこのまま1週間ほど続けば、久しぶりに御神渡りが見られるかもしれないと、地元では沸いている。
平成になってから御神渡りが見られたのはわずか6回。

昨年、盛大に行われた御柱祭に続き、今年、久しぶりの御神渡りがあれば、こんなに明るいニュースはない。

厳寒の冬にも、楽しみがある。

写真は、夕日が映える八ヶ岳

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2011年1月17日 (月)

鎌田實の一日一冊(97)

正月はとにかく本をよく読んだ。
かいつまんで、ご紹介したい。

「根津甚八」(根津仁香著、講談社、1470円)

根津甚八の妻が書いている。

ぼくは、根津甚八のファンだった。
いつの間にか、根津甚八の顔をテレビや映画で見なくなった。
2001年、右眼下直筋肥大症。
右目の眼瞼の下垂は、手術で治ったが、ものが二重に見える複視が長く続いた。
腰痛症もあり、椎間板ヘルニアの手術も行った。
そのうちにうつ状態になった。
仕事ができなくなっていったのである。

根津甚八の芝居をよく見ていた。
「ジョン・シルバー」「愛の乞食」「吸血鬼」「二都物語」「唐版・風の又三郎」「糸姫」
歌もうまく、色っぽくて、状況劇場のスターになった。
その後、黒澤明の「影武者」や「乱」にも使われ、あれよあれよという間に映画界やテレビ界のスターになっていった。
かっこよく、なんでもやれる。
だが、知らないうちに根津甚八は疲れ切っていったのだと思う。

彼は、俳優は止めた、とこの本で宣言している。
どんな生き方でもいい、根津甚八らしい生き方をしてくれることを望む。

「クレアモントホテル」(エリザベス・テーラー著、集英社文庫、750円)

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著者は、あの有名女優と同じ名前だが、別人。
いま岩波ホールで上映されている映画「クレアモント・ホテル」の原作だが、なかなかいい。

「日本の解放区を旅する」(鎌田慧著、七つ森書館、2100円)

勇気ある生活者に耳を傾ける作家・鎌田慧の姿が迫ってくる。

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ぼくが10年前「がんばらない」を書いたときに、鎌田慧さんが手放しで評価してくれた。
それ以来、手紙でやりとりしているが、まだお目にかかったことはない。

「子どもが幸せになる学校」(菅聖子著、ウェッジ、900円)

「横浜サイエンスフロンティア高校の挑戦」という副題がついている。
いま、日本でもっとも注目を集める理数科専門の公立校だ。
昨年もノーベル賞受賞者が日本から出たが、科学にもう一度目を向けるいいチャンスだと思う。

「奇縁まんだら 続の二」(瀬戸内寂聴著、日本経済新聞出版社、2000円)

「奇縁まんだら」の続編につづく、第三弾。
美空ひばりがいたり、森重久弥がいたり、東郷青児や藤山寛美がいる。

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なかでも、埴谷雄高の話は出色である。
寂聴さんしか書けないだろうなと思う。
井上光晴が死んだときに、埴谷雄高がアカペラでハウプトマンの「沈鐘」を歌ったという。
寂聴さん70歳、埴谷さん80歳の夏のことだったという。

埴谷さんは、武田泰淳夫妻と仲がよかった。
埴谷さんは、武田さんの妻、百合子さんを連れてよく飲みに行き、午前様をしたという。
お二人とも亡くなった。
あの世であまり、百合子さんを連れ出すと、泰淳さんに焼かれますよというと、
「何をいうか、あの世では所有権なんてないんだ、フリーラブだ」と言ったという。
なんともすごい話だ。
こんな面白い話が満載である。

「脳卒中リハビリと生活ケア」(稲川利光著、雲母書房、2310円)

著者は、NHK教育テレビの福祉ネットワークに出演している稲川先生。
脳卒中の急性期から終末期までのトータルサポートがわかりやすく書かれている。

そのほか「持続不可能性-環境保全のための複雑系理論入門」(サイモン・レヴィン著、文一総合出版、2940円)を読んだ。

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2011年1月16日 (日)

孫とスキーとバイオリン

今日も、朝4時半に起きた。
前夜からしんしんと降り続いていた雪も、朝には止んだ。

6時45分くらいになると、八ヶ岳の麓からやっと太陽があがってくる。
週刊ポストの原稿を一本を仕上げた。
読売新聞の「見放さない」の原稿も推敲している。

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7時になると、家族が起きてきた。
松本に住んでいる息子や孫がやってくるので、みんなでスキーに行く。
5歳の孫がリフトで上がって、ボーゲンで降りてこれるようになった。

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スキーのあとは温泉。
一休みして、茅野市民館に天満敦子さんの無伴奏バイオリンを聴きに行った。

名器ストラディバリウスの響きがすごい。
度肝を抜かれたのが「望郷のバラード」というルーマニアの曲。
演奏する天満さんの迫力と微妙な繊細さ。
心の底から揺さぶられるような感じがした。

バイオリンを習っている5歳の孫も、すごく感動したようだ。
一流の人の仕事を見たり聞いたりすることは、子どもにとって、とても大きな宝になる。

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2011年1月15日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(67)

「四つのいのち」

第63回カンヌ国映画祭の監督週間正式出品作。

人間、ヤギ、もみの大木、その大木の炭。
4つの命のサイクルを、長回しのカメラで追い続けている。
ほとんど言葉は登場しない。

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詩人・田村隆一の「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」というフレーズが、頭のなかでよみがえってきた。
言葉を超えた、しっとりとした感動がある。

今年の春、ロードショー公開される。
一年に1、2本程度の映画をみる人たちにはおすすめできないが、
映画好きの人はおすすめの一本である。

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2011年1月14日 (金)

鎌田劇場へようこそ!(66)

「RED」(レッド)

なかなかおもしろいハリウッド映画である。
ブルース・ウィリスが好演している。
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REDとは、引退し年金暮らしをしている超危険人物たちの意。
凄腕の元スパイたちが再結成し、仕組まれた陰謀と戦うというストーリーだ。

アメリカの副大統領は、兵士として一般人を虐殺した過去を持つ。
その過去を消すため、悪い仕掛けをしてくる。
それと戦うのが、よぼよぼした年金暮らしのおじいちゃんやおばあちゃん。

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もっとも粋な活躍をするのが、旧ソ連の元スパイだ。
アメリカの映画なのに、アメリカの副大統領が悪役で、旧ソ連の元スパイが人間的な仕事をするという設定。
こんな映画をハリウッドがつくっているというのがおもしろい。

アクション映画が好きという人には、こたえられない映画だと思う。
むずかしいことは考えたくない、ひたすら楽しみたいという人には、期待にこたえてくれるはずだ。

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2011年1月13日 (木)

「吸わない自分」に変わる

たばこ税の増税をきっかけに、禁煙を始めた人が多いという。
いいことである。

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最近では、チャンピックスという禁煙をサポートをする薬ができた。
ニコチンとは関係なく、脳に働いて、たばこがおいしくなくなるというもの。
チャンピックスがおもしろいのは、禁煙のために病院に行っても、一週間、喫煙をつづけてくださいといわれるところだ。
おやっと思う。
このへんの意外性が、行動変容には効くようだ。
一週間、喫煙をつづけていると、チャンピックスの血中濃度が高まり、たばこがおいしいと感じなくなり、自然と禁煙できるというわけだ。

チャンピックスは、ファイザーの製品である。
増税を機に禁煙をする人が増えたために、生産が追いつかなかったが、このところ、ようやく充足してきた。

禁煙の方法はいろいろある。
従来のニコチンパッチ、ニコチンガム、新しいチャンピックス・・・。
これらを使うのもいいが、ぼくがいちばんおすすめしたいのは、カマタ流の禁煙法である。

『人は一瞬で変われる』(集英社)では、禁煙について詳しく書いている。
興味のある方は、ぜひお読みください。

写真は、朝日が映える雪の里山

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2011年1月12日 (水)

イラク料理

イラク料理を、リカア先生が作ってくれた。
リカア先生は、信州大学に4年間勉強に来ている。

イラクの優秀な小児がんの専門医でありながら、クリスチャンであるために、テロリストから脅迫され、お母さんを連れて日本に来た。

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作ってくれたのは、ドルマというイラクでは有名な料理。
たまねぎなど野菜の中や、ぶどうの葉っぱの中にお米をつめ、煮たものだ。

イラク料理を食べながら、イラクにはやく平和が来ることを願った。

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2011年1月11日 (火)

寒天ゼリー新発売

かねてから健康づくりにすすめてきたトマト寒天が、「ドクターかまちゃんの寒天ゼリー」として発売されることになった。
販売にあたっての記者会見には、テレビ2社、新聞社6社が来てくれた。

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特徴は、お湯を入れて、一分間かきまぜ、冷蔵庫で冷やすだけで食べられるという手軽さ。
トマト寒天の場合、一人分は、10kcalとヘルシーだ。
お肌によく、血糖値を下げ、おなかが膨らむので、食事量を少し減らしたい人にいい。

トマト寒天のほか、ショウガレモン寒天というのも開発した。
ショウガは、アメリカの国立がん研究所のデザイナーフーズ、がんになりなくい食べ物として知られている。
アディポネクチンという血管を若返らせるホルモンの分泌を促す効果も知られている。
とてもおいしく、これがいちばん好きという人も多い。

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子どもにおいしく食べてもらうために考えたのがブルーベリー寒天。
大人のデザートにもいい。
赤い色素が抗酸化力たっぷりで、動脈硬化の予防や目の健康も期待できる。

この商品の収益は、チェルノブイリやイラクの白血病の子どもの医療支援に使われる。
買っていただけると、みなさんの健康づくりのお役に立ち、同時に子どもたちの命を救うことにつながる。
ぜひ、ご協力をお願いいたします。

各種6人分×3種類(トマト、ショウガレモン、ブルーベリー)、合計18人分で1000円(内税)。

ご注文は、JCFのホームページからか、電話0263-46-4218(JCF事務局)までお願いいたします。

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2011年1月10日 (月)

強くて、あたたかく、やさしい長野

長野県の飯山にできた高橋まゆみ人形館はなかなかの評判らしい。
長野県全体が元気でいてほしいと思う。

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長野県知事の阿部守一さんと対談した。
しっかりと情報公開に取り組みはじめている。
透明性を高めることは民主主義の基本であるから、まずまずのスタートだと思う。

県民の支持率は82%。
選挙は激戦だったが、反対票を投じた多くの県民からも、いいスタートと評価されたようだ。

強くて、あたたかくて、やさしい長野県にするために、しっかりとリーダーシップを発揮してほしい。
そのために、ぼくも応援しようと思っている。

ぼく自身の2011年については、著名な占星術研究家の鏡リュウジさんに占ってもらった。
この1、2年の間に大きく変化し、精神的に何か深くなるとのこと。
どんなことがあるのか皆目わからないが、なんとなくいいことがあるみたいだ。
おもしろいことが起こり、それが大きな変化をもたらし、深化する。
そう思い込んでいればいいみたいである。

写真は、雪の岩次郎小屋にのぼる朝日

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鎌田實の一日一冊(96)

「希望のつくり方」(玄田有史著、岩波新書)

希望のつくり方のヒントが書かれている。
過去の挫折の意味を自分の言葉で語れる人ほど、未来の希望を語ることができるという。
なるほどなと思う。
挫折していい。
過去の挫折を語ったほうがいいということだ。

「無駄に対して否定的になりすぎると、希望との思いがけない出会いもなくなっていく」
そうだ、そうだ。
無駄なことと希望がつながっているというのは、けっこうありそうな気がする。
「わからないもの、どっちつかずのものを理解不能として安易に切り捨てたりしない」
同感、同感。

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ぼくは昨年パレスチナに行った。
憎しみ合う国同士の国境を超えて、少年から少女へと心臓移植が行われた。
その話を絵本にしようと思っている。
今のところ500万円くらいのお金がかかっている。
パレスチナやイスラエルの若い母親、子どもたちに読んでもらうようにするには、さらにお金が必要だろう。
無駄といえば、無駄である。

62年間、国連の事務総長もアメリカ大統領も、ここに平和をもたらすことができなった。
もし、一冊の絵本が平和に向かって1ミリでも動かすことができたら・・・。
これこそがぼくの希望である。
希望は与えられるものではなく、自分で作り出すもの。

玄田有史は、「大きな壁にぷつかったら、大きな壁の前でちゃんとうろうろするといい」という。
12歳のパレスチナの少年が殺されたのは5年前。
そのときから、ぼくは壁の前でうろうろしてきた。
2年前、スイスのジュネーブでこの話をしたときに、スイスの人たちが賛同してくれて、少年の父親を探してくれた。
また壁の前でうろうろしていると、ピースボートの人たちがこの父親と連絡をとってくれた。
逃げずにうろうろし続けると、いつか越えられるときがくるのではないか。

2011年はもしかしたら、壁を越えて新しい世界が見える年になるかもしれないとぼくはひそかに期待している。

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2011年1月 9日 (日)

「いのちの対話」再放送

昨年11月、岡山県矢掛町から生放送でお送りした「鎌田實 いのちの対話」が、明日10日午前9時05分から、NHKラジオ第一で再放送されます。

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テーマは、「凛として生きる」。
ゲストの森下洋子さん、ジュディ・オングさん、黒田福美さんらが、凛とした生き方を語ります。
凛としているのは女性陣で、鎌田と村上は、圧倒されっぱなしでした。

放送は約3時間。
お聴き逃した方は、ぜひ、どうぞ。

写真は、元日に初滑りを楽しむカマタ

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鎌田實の一日一冊(95)

「聞書き<ブント>一代」(石井暎禧著、市田良彦著、世界書院)

ぼくは、この本の帯をこう書いた。

「バリバリの左翼から、凄腕の病院経営者へ見事な変身。ときには左翼と、ときには闇の権力と、ときには日本医師会と戦ってきた実戦家。よく生き延びたなあと思う。すごい!」

かつて学生運動をした人にはぜひ読んでもらいたい。
あの時代がどう動いたのかわかり、なるほどと思う。

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ぼくはこの本を読んで、諏訪中央病院の今井澄元院長がどんな政治的な役割をしたのかやっと見えてきた。
この本には、新潟にあるゆきぐに大和病院のあと、諏訪中央病院のことが書かれている。
「諏訪中央病院は、もともと外科医師連合系だったということもあり、連中は今井を別にすれば、医療思想として特に左翼的ということはなかった」
そうなのである。
鎌田の名前も一か所出てくるが、左翼の活動家としては書かれていない。
諏訪中央病院は、今井を除けば、ほとんど活動家らしい活動家はいない。

「ただし、今井の近代派ブ・ナロード路線は、佐久総合病院などの長野の病院運動を引き継ぐものとして、病院全体を牽引していたといえます。先端的医療を田舎へ移植しようという発想。東京からその手の連中をつれていくんだけど、ある意味では大学病院のコピーをつくろうとしていたんです。病理なんかも東大からひっぱっていった。研修重視の姿勢はぼくなんかよりも先に強く打ち出します。だから、大学に対抗して医局をつくる路線だといってもいい。東大での医局解体路線がそういう形にしようされた。それと外科は手術するんだから、病院でないとやれないでしょ。在宅だけではたちゆかないんです」

たしかに、諏訪中央病院は今井先生とぼくがタッグを組んで、在宅医療とともに、救急医療や高度医療を展開した。
政治的な色は、今井先生しかついていなかったが、それも途中からなくなっていっていったように思う。
20世紀の後半、どんな病院がいいのかということを純粋に追求していきたことが、この石井さんの言葉からも見えてくる。

ぼくが一時、会長をしていた地域医療研究会がどんな形でできたのかも、ここには書かれている。
1960年から80年にかけて、日本が政治の季節だったことがよくわかる。
これを読みながら、ぼくが「遅れてきた青年」だったこともよくわかった。
そのおかげで、政治的季節にあまり翻弄されず、今は自由に、ニュートラルに、いろんなことを考えて動けている。

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2011年1月 8日 (土)

臓器移植と情報公開

阪大病院で肝臓と腎臓の同時移植を試みたが、肝臓移植1時間10分後に患者が急変し、亡くなった。腎臓は、移植前だったため、ほかの患者さんに提供されたということだ。
臓器移植で助からないこともあること、そして、臓器が無駄にされず、ほかの患者に提供されたこと。
一般の人は、この二点を知ることができる。

だが、改正臓器移植法で認められた親族提供の2例目の角膜移植は、10月に行われたにもかかわらず、公表されなかった。
親族提供の場合は、機会の公平性という点で微妙な問題があるから、公表しなかったと思われてしまう。

しかし、親族優先提供条項という法律が通った以上、情報公開は必要だ。
もちろん、当事者のプライバシーを守った形での情報公開ということは言うまでもない。
親族間の臓器提供は親子と配偶者に限定されている。
事実婚や特別養子縁組は認められていない。
臓器移植のために、養子縁組が行われてはいけないからである。

情報公開することは、親族優先提供のルールというものがあるということを知らせるいい機会になる。
いまの法律に照らして、臓器提供をするか、しないか、一人ひとりが自分の意思を明確にするきっかけになる。
日本の臓器移植を広めるためにも、日本臓器移植ネットワークは、できるだけ情報公開をすべきだと思う。

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2011年1月 7日 (金)

民主主義は検証から始まる

イラク戦争で傷ついた子どもを助けたい。
そう思い、6年半活動をしてきた。
イラクの4つの病院に薬を3000~4000万円を送っている。
北イラクのアルビルに日本の医師や看護師を派遣し、治安のいい北イラクで、バクダッドやバスラの小児病院の看護師に、感染症対策の実技研修などを行ってきた。

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その支援のために、哲学のある義理チョコを販売している。
現在までに7万個が売れた。
1月いっぱいであと5万個を販売し、12万個を完売したい。

2003年3月20日、イラク戦争が始まってから、多くの不幸が生まれた。
本当のこの戦争は正しかったのか、検証したほうがいい。
すべての大きな問題に関して、検証するというスタイルが必要だ。
そういう経験を積むことによって、政権はつねに慎重になる。
検証そのものが、民主主義のトレーニングである。

オランダやイギリスでは、イラク戦争に対して、厳しい検証が行われた。
日本も、本当に日本のイラク戦争の加担は正しかったのか、検証すべきだ。
右の人も、左の人も、ニュートラルの人も、一度議論しておく必要がある。
同じような状況になったときに、方向性を見誤らないためにどうすべきか、学ぶことができると思う。

「強くて、あたたかくて、やさしい国日本」をつくるためにも、外交の課題をきちんと検証することが、政権与党になった政党を育てていく。
今後もねじれは続くだろう。
どの政党が政権をとったとしても、磐石な政権にはならない。
だとすれば、きちんと検証しながら、日本の歩むべき道を探していくことが大事なのだと思う。

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2011年1月 6日 (木)

ほろ酔い勉強会

12/15に行われたほろ酔い勉強会は、満員の参加者で、たいへん盛況だった。
山梨大学医学部の武田教授(泌尿器科)が前立腺の病気についてわかりやすく話してくれた。
最先端の話をしてくれたために、質問も多く、30分ほど質疑応答がなされた。

山梨大学では、来年、前立腺がんの手術のためのロボットが導入され、小線源療法なども行われるようになるという。
いざというときには、武田教授にセカンドオピニオンをしてもらおうという話も出た。
ふだん疑問に思っていたことが解決したようで、参加者も「今日は来てよかった」と話していた。

次回のほろ酔い勉強会は、1/19(午後2時~)。
山梨大学医学部脳神経外科教授の木内博之先生が頭痛と脳手術について話してくれる。
お楽しみに。

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2011年1月 5日 (水)

広島は、子どもたちの目にどう映ったか

イスラエルとパレスチナの少年柔道チームが、昨年12月に開かれた福岡での柔道国際大会に出場するため、広島を訪問。
チームの中学生13人が、原爆資料館を見学した。

イスラエルとパレスチナという62年間憎しみあってきた国同士の子どもたちが一緒に、戦争で傷ついた広島を見たというのはとても意味が深い。

憎しみは暴力へ、暴力は戦争へとエスカレートしていく。
こういう体験の積み重ねが大事なんだと思う。
この積み重ねが、イスラエルとパレスチナの間にある憎しみを少しずつ解消していくのだろう。

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2011年1月 4日 (火)

いよいよ仕事始め

今日は仕事始め。
緩和ケア病棟を回診し、午後からは予約外来である。

明日5日は、ケーズデンキの社長と「がんばらない対談」をする。
ケーズデンキは電気小売業界のナンバー2。
がんばりすぎなくていいと社員に言う、おもしろい社長だ。

5日午後2時25分からの約25分間は、大竹まことさんの「ゴールデンラジオ!」(13.0~15.30、文化放送)に出演。
その後は、JIM-NETの理事会があり、チョコレート販売を手伝ってくれているスタッフたちに夕食をごちそうする予定だ。

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6日は、レギュラー出演している「ニュースエブリィ」(日本テレビ系、16.53~)。
鎌田が「がんばらないコーナー」で、パレスチナで行われた命のバトンタッチの話をする。

BSTBSの「忘れられない一言」の収録もある。
月刊「がんサポート」の対談もある。
仕事始め早々、パンクしそうなスケジュールだ。

今年2月は、中南米に行く。
ガラパゴス諸島も見てこようと思っている。
このブログでも、ご報告したいと思っているのでお楽しみに。

3月末~4月上旬にかけては、イラクに入る。
4月17~21日は、クラブツーリズムの企画で、障害や病気をもつ人と一緒に旅行する。
今回の行き先は、台湾。
今年、台湾は花博が開催されているということで、花博を見たり、親日的な台湾の人と交流したり、おいしいものを食べてこようと思う。

「鎌田實 いのちの対話」は、入場チケットの希望者が多く、倍率が高くなってきた。
まだ秘密だが、おもしろい企画を計画中である。

今年も仕事は過密スケジュールだが、できるだけニュートラルな立場で発言しつづけていこうと思う。
「強くて、あたたかくて、やさしい国日本」という物語を語り続けていくつもりである。

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2011年1月 3日 (月)

一茶さんのそばと餅

ぼくの家では、もう10年ほど、小林一茶(ひとし)さんが打ってくれたそばで年を越し、一茶さんがついたお餅をお雑煮にして、いただいている。
一茶さんの味が、すっかり我が家の味になって、体にしみこんでいるようだ。

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一茶さんのお母さんである小林一江さんのことは、昨年5月、NHKテレビ「こころの遺伝子」で紹介された。
ぼくにこころの遺伝子を伝えてくれた、大事な人のひとりである。

このテレビは大好評で、司会の西田敏行さんのコメントも活字にし、一冊の本にする準備が進んでいるようだ。

何人かの患者さんを通して、鎌田がどのように変わり、諏訪中央病院の地域医療がどのように育てられていったか。その物語が本になる。
NHKと主婦の友社が協力し、1月末発売の予定。
お楽しみに。

写真は、小林一茶さん(左)と鎌田

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2011年1月 2日 (日)

カレーとスキーのお正月

ぼくら夫婦と子ども2人、それぞれのつれあい、そして孫3人の合計9人。
鎌田家みんなが岩次郎小屋に集まっている。

鎌田家のお正月は、なぜかカレー。
みんなが大好きな蓼科のナマステというカレー屋さんに行き、お年取りカレーを食べた。
スキーをして、温泉に入るのもお決まりのコースだ。

わいわいと賑やかなお正月となった。

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ぼくはその合間に、絵本の原稿を書いている。
パレスチナで行われた命のバトンタッチを絵本にするためだ。
12歳の少年が殺され、その命を奪った国の少女へと心臓が移植された。
62年間憎しみあった国同士で、憎しみを超えて、心臓という臓器がバトンタッチされた。
だが、それは心臓だけでなく、心もバトンタッチされている。
このことを、絵本という形で伝えたいと思っている。
これが、今年いちばんの大仕事だ。

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できればピースボートと協力し合い、殺された少年の父親イスマイルさんを日本に招き、講演会をしたいと思っている。

今年も忙しく飛び回る一年になりそうだ。

写真は、ナマステのおいしいタンドリーチキンと、スキーを楽しむ鎌田。どちらも鎌田家のお正月の定番

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2011年1月 1日 (土)

あけましておめでとうございます!

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  (撮影・前田真三氏。許可を得て転載しています)

12/24付の朝日新聞に、気になるアンケート調査が載っていた。
日米安保条約は、「アメリカの世界戦略のため」と考える人が59%で、「日本を防衛するため」と考える人は10%。
アメリカは、日本と中国のどちらの国との関係が重要と思うかという設問に対して、「中国」と答えた人は50%、「日本」と答えた人は33%というのも興味深い。

日本は、アメリカのと関係をよくしながら、日本の向かうべき道を模索していく必要がある。
東アジアを冷戦構造にしてはいけない。
まず日本と韓国が仲よくし、中国とも大人の関係を築く。
そして、北朝鮮を閉じこもらせず、まっとうな国にしていく必要がある。

大晦日に続き、新年の今日も、『よくばらない』(PHP研究所)の詩に、ぼくの思いを託したい。

1パーセント、だれかのために

鳥が休みやすいように
一本の木は枝を広げています
さりげなく
知らないだれかのために生きていました

昔、自己否定という言葉がはやりました
ワガママなぼくは
自己否定なんて、できるわけがありません
99パーセントは、自分のため、家族のために生きています
でも残りの1パーセントはだれかのために、生きてみたい
1パーセントって思うと、ちょっと楽になります
1パーセントなら、できそうに思います
たとえば、収入の1パーセントを
恵まれない地域の子どもたちへ
1パーセント分、だれかのために汗をかくというのもいい
みんなが1パーセント、だれかのために動き出せば
この世の中はもっとあたたかくなります
不思議なことに
だれかのために動いた1パーセントが
やがて自分のところに
ブーメランのように、
不意に
もどってくるときがあります
人生はうまくできています

みんなが「1パーセント、だれかのために」と思えば、家庭も明るくなり、地域や職場もやさしくなる。
今年こそ、強くて、あたたかくて、やさしい国ニッポンをつくりたい。
そう思って、行動していこうと思う。

今年も、よろしくお願いいたします。

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