残念なことに、全国で鳥インフルエンザの感染例が報告されている。
宮崎でも、感染が認められ、養鶏の殺処分が行われた。
昨年12月に韓国で鳥インフルエンザが確認され、約400万羽が殺処分されたという。
観光や貿易のことを考えれば、人が移動しないことを望むわけにはいかない。
人が移動しながら、どうやってウイルスをひろげないようにするかを考えていく必要がある。
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宮崎を応援したいと思い、名物のチキン南蛮を食べてきた。
延岡で昭和40年代に生まれたという。
チキンカツのコロモがパン粉ではなく、片栗粉と卵で揚げたものに、甘酢で味をつけ、タルタルソースで食べるというスタイルが多い。
チキン南蛮のお店は町中にいくつもあるので、違ったスタイルのチキン南蛮もあるようだ。
チキン南蛮は、もともとまかない食だった。
B級グルメとして評判になり、町中の食堂で出すようになった。
有名なのは「直ちゃん」。
しかし、並んで待つのが嫌いなぼくは、駅前の津山食堂に入った。
なんとなく寂れている。
入り口のチキン南蛮ののぼりが、風情ありげにはためいている。
お店のなかはもっとすごい。
自転車やらバケツやらが置かれ、所帯道具が店のテーブルに並んでいた。
ぼくが往診にいく、信州の田舎のおじいちゃんとおばあちゃんのうちに入り込んだような錯覚をおぼえた。
ある意味、いい雰囲気の店だった。
おばあちゃんがおもしろかった。
大正時代から三代続いているお店だという。
高千穂のほうへいく電車の起点でもあり、延岡には人が集まった。
旭化成の工場もあり、駅前は栄えたという。
この津山食堂も、駅の待合室のようにごった返した時代があった。
しかし、ぼくがいた12時半から30分ほどの間、お昼時というのにお客さんは誰一人来なかった。
いまは、駅前全体に人がいないのだ。
食べ終わり、タクシーに乗って講演会場に行く途中、運転手さんとチキン南蛮の話になった。
年配の運転手さんは「チキン南蛮なら、直ちゃんにいかないとだめだ」と言った。
でも、ぼくは津山食堂でよかったと思う。
じいちゃんとばあちゃんがやっている、どこかなつかしい店が気に入った。
写真は、宮崎名物のチキン南蛮。駅前の津山食堂で、雰囲気ごと味わった。