パナマ運河の戦い
パナマ運河に入った。
太平洋から大西洋へ、悠々とした運河越えである。
しくみを簡単に言うと、三段階にわたり、水門を開閉して水位を上げ下げしながら、水位差を越えて船を通すというもの。
巨大な客船やタンカーなどが上昇した水位に乗って、海抜26メートルまであがると、ワニがいるというガトゥン湖に出る。
この湖は人工湖というが広い。
しばらく走った後、また三段階に分けて、水位を下げながら、ようやくカリブ海へと抜けていく。
太平洋と大西洋をつなげる画期的な運河は、1914年に開通した。
15世紀末、コロンブスがカリブ海に入ったあと、このパナマ近辺に上陸している。
そして、もう一つ大きな海、太平洋があることに気がついた。
ヨーロッパの人間にとって大きな驚きであり、発見であった。
はじめて大西洋から太平洋を眺めた人間の感動は、たいへんなものだったのだろう。
地球が丸いということを推測する人間も当然、出てくる。
パナマ運河の権利は、1999年、アメリカからパナマに譲渡された。
パナマにとって、パナマ運河の使用料は膨大な利益になる。
ぼくらが乗るこの客船クラスは、通航料が2000万円くらいといわれている。
それでも、重油の高騰を考えると、南アメリカの南端マゼラン海峡を通過するよりも、日数も少なく、コストも低い。
この運河を年間、1万4000隻のタンカーや貨物船、客船が通過するという。
アメリカやロシアは、別の国に別ルートの運河を通せないか検討しているようだ。
中国は、コロンビアにコンテナや石油を陸送できるよう検討をはじめたという。
自分の国の貿易力を強くするために、
小さくなった世界の海をどうやったら制覇できるか、目に見えない戦いが行われている。
それにしても、運河は長い。
通航中、こんな光景を見た。
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