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2011年6月

2011年6月30日 (木)

ガレキの処理問題

福島のガレキ288万トンが行き場に困っている。
焼却できるのは年間50万トンのみ。
すべて処理するには、おそらく6年くらいかかってしまう。
燃やした後の灰も問題。
1キロ当たり8000ベクレル以下ならば最終処分場に埋め立てていいという処理方針が決まったが、これは仕方ないと思う。
シートを敷いて、埋めるしかない。
よその県に持っていくわけにはいかない。
情けないし、悔しい。
納得できない人も、批判する人も多いと思うが、海や山に捨てるわけにはいかない。

だから、事故を起こす可能性のある原発はいらないという理論はその通りだと思う。
しかし、事故は起きてしまい、288万トンのガレキが福島にあることは間違いない。

1103265__ 3/26の南相馬。大量のガレキが野積みになっていた

だれがやっても大仕事である。
政治主導の力をみせるべきである。
新しい首相は、若手の、できれば超党派の国会議員をあて、本気で住民と話し合い、埋設することの是非、また、埋める場所の理解を求めるために、血を流すほどの努力をしていくしかないのではないか。
政治家と官僚、市町村が手をとりあって、住民と話し合っていくしかない。
民主主義が問われている。
おきてしまった現実はくつがえせない。そのなかで、みんなが納得できる方針を決めていくしかない。

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大事な法案

稚拙な政権運営が続いている。
こんな大事な時期に政局をやり、首相を変えるならば、いくつか大事な法案を通すことを前提にして話をするほうが、よっぽと大人の政治的判断というものである。

1106295__ 先日、訪ねた蓼科高原パラクライングリッシュガーデン

特例公債法案、再生可能エネルギー特別措置法案、また、すでに閣議決定しているが原子力損害賠償支援機構法、東日本大震災の復興財源にあてるため、国家公務員の給与を減額する国家公務員給与減額措置、この4つはかなり大事である。
閣僚の数を17から20人に増員する内閣改正案はしてもいいが、次の首相が考えることのように思う。

菅さんの首を差し出す代わりに、特例公債法案、再生可能エネルギー特別措置法案の審議をしっかりとやり、与野党で前向きな議論をして通したほうがいい。
そして、菅さんもいつまでも居座っているのはいいことではない。

引き際をきちんとして、次の人に譲らないと、外交や沖縄問題、財政赤字の問題がますます後手後手にまわってしまう。

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誕生日

6月28日はぼくの誕生日だった。
63歳になった。

たくさんの人からお葉書やメールをいただいた。
ピースボートの若者たちが、お祝いの寄せ書きをしてくれた。

「ドクターかまちゃんの寒天ゼリー」をつくっている北原産業の北原さんから、山陰のカキが送られてきた。
自分で料理する自信がないので、久しぶりに蓼科にあるみつ山というおすし屋さんに行き、調理してもらった。
とても、おいしかった。

1106292__

みつ山さんも、ぼくがシンコのにぎりが好きなのを知っていて、わざわざ取り寄せて準備をしてくれていた。
シンコは、コハダの小さい魚で、約2センチくらい。
これを開いて骨をとり、12枚張って、にぎりの上にのせる。
とても、手のかかる仕事だ。
見た目も美しく、奇跡のような仕事にほれぼれする。

1106291__ 1106293__

ここのおすしは、海のない信州にいることを忘れてしまうくらいおいしい。
そして、最後に食べる、おばあちゃんが漬けたカリカリ梅の海苔巻きが最高だ。

たくさんの人にお祝いしてもらい、妻や子ども、孫たちとこんな誕生日を迎えられるなんて、幸せなことだと思う。

石巻から電話が入った。
受話器の向こうから、女川の巡回診療で出合ったお母さんと小学校4年の女の子が、声を合わせて「おたんじょうび、おめでとう」と叫んでくれた。

母子は、家を流された。
弟の康(こう)ちゃんを亡くした。
少し前、女の子に学校に行くための新しい洋服を買って送ったことがある。
そのころは宅配便が届かず、何度も戻ってきた。
いろんな人のプロの仕事で、荷物が届いたときは本当にうれしかった。

3歳の康ちゃんは、偶然、ぼくと誕生日が一緒だった。
康ちゃんは、4歳の誕生日を迎えられなかった。
康ちゃんの分まで、しっかり生きないといけないと思っている。

7月中旬、石巻に行く際は、小学校4年のお姉ちゃんに、ご飯をごちそうする約束をした。

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2011年6月29日 (水)

原発事故285

南相馬市の新田川でとれた鮎が4400ベクレル。真野川でとれた鮎が3300ベクレル、伊達市の阿武隈川でとれた鮎が1260ベクレル。
解禁前なので鮎は出回っていないが、出荷制限するかどうか政府は検討しているという。

チェルノブイリでも、川が汚れ、川魚もかなり汚染された。
暫定基準値は1キロ当たり500ベクレルなので、今回の検出値はかなり高い。
風評被害を起こさないためにも、内部被曝を防ぐためにも、採取や出荷を制限すべきと思う。

しばらくの間、雨が降るたびに、土手など周囲にあった放射性物質が川へ流れていく。
浄化するのに、半年近くかかるのではないだろうか。

Img_4159 岩次郎小屋の花

福島県のホウレン草などの野菜は3週間連続で暫定基準値を下回り、原発周辺地域をのぞいて、すべて出荷制限が解除された。
残っているのは、地物の梅、タケノコ、シイタケなどである。

放射性ヨウ素は半減期が短いために、3ヶ月でほとんど消えたことが大きいと思う。
今後は、土壌に入ったセシウムが吸収されてこないかどうかが心配である。

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お知らせ

「クロワッサン」7/10号では、原発事故で大量に放出された放射線とどう向き合えばいいのか、特集を組んでいる。
そのなかで、鎌田は、エネルギー問題と民主主義について語った。
子どもたちの健康と未来のためにすべきことは何かも語った。

京都大学原子炉実験所助教の今中哲二さんの話はたいへんわかりやすく興味深い。
今中さんには、JCFでかつて講演をしてもらったことがある。
小出裕章さん、飯田哲也さんも書いている。

Photo

別の特集では、辰巳芳子さんが食物の力について語っている。
昔、クロワッサンの仕事で辰巳さんの自宅におじゃまして、スープをいただきながら対談をしたことがあった。

山本ふみこさんが、乾物を自在に活用した料理を紹介しているのもおもしろい。
昔、よくわいわいやったことを思い出してしまった。

ぜひ、お読みください。

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原発事故284

福島の人たちに話を聞いてきた。
多くの人が原発の安全を信じていたが、こんなことが起きてしまい、「原発はもういらない」と言う人と、「原発はいやだけど、仕事がほしいので、原発が再開すれば、結局は、原発に関係する仕事をしてしまうかな」という人がいて、複雑な状況がよくわかる。
避難所も多くの人が一箇所に落ち着いている人はほとんどいない。
4~5箇所を転々としてきた。
4箇所まわって結局、南相馬の20~30キロ圏の自宅に戻ってきた人が、避難所を移ってきた大変さを語ってくれたこともある。

Img_4221 戦争の暴力はやめようよと呼びかける神戸の「花と爆弾」というグループから、東北の応援のメッセージを託された

20キロ圏内に家がある人たちは、「帰れないならはっきり言ってほしい」「自分の人生設計がなかなかできない」。
県外に避難した子どもが、「放射能がうつる」と、いじめられそうになったという話も聞いた。
県外に出ても福島ナンバーだと、嫌な顔をする人がいる。悲しくなるという話も聞いた。

県外に避難していると、住民サービスが受けにくい。長期戦になったときに心配である。どのくらいの長期戦になるのか目処を教えてもらいたいという声も聞く。

船を流された漁師さんは、「魚を獲りにいければ、気分も晴れるだろうが、船がない」。
いや、船は無事でも、福島沖で漁をしていいというゴーサインがでない。
踏んだり蹴ったりである。
「海は、いつまで汚れているのかわからない。本当に原子力は恐ろしい」と嘆いた。

みんな、怒りや悲しみにあふれている。
それでも、東北の人はぐっとこらえているような気がする。

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2011年6月28日 (火)

海の彼方に何が

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沖縄本島の南側に「浜辺の茶屋」という有名なカフェがある。
ここに座ってしばらく、海を見たり、本を読んだり。

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台風で海がしけている。
雨も吹き込んできたが、窓を開け放った。
じっと海をみていると、海にとけていくような感じがする。

水平線をみていると、何かがみえてくる。
ランボーは、「永遠」と書いた。
ランボーの詩は、青春時代に見た映画をフラッシュバックさせる。

ジャン=リュック・ゴダールの「気狂いピエロ」の主人公も、最後は海を見ながら、何かが見えたような気になった。

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こんな感覚は久しぶりだ。
心と体に、沖縄の海がしみこんでくる。

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沖縄で

ぼくは岐阜経済大学の客員教授をしている。
この大学には沖縄から100人近い学生が来ている。
父兄懇談会で話をしてほしいと頼まれ、週末、沖縄を訪ねた。

「新しい人生をきりひらくために―何を、どこで、だれに学べばよいか―」という話をした。

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沖縄は台風のため、大荒れだった。
車で40分ほどかかったが、北谷町のライブハウス「カラハーイ」まで、りんけんバンドのライブを聴きにいった。
3.11以降、東北の応援にかけまわっていたので、ライブは久しぶりだ。

稀代の歌姫、上原知子のバラードはいい。
明るさと悲しさがしみじみと混ざり合い、不思議な力強さをみせる。

心が洗われた。

【おまけ】

沖縄そばを食べた。
ごはんとゴーヤチャンプルが付いて650円。安い。

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菌をつけない、増やさない

避難所で食中毒やダニなどが発生しているという。
7月16日、ピーコさんと慰問することになっている田村市の避難所でも、食中毒が起きたとのこと。

食中毒の予防は、菌をつけない、増やさないこと。
肉や魚を切った後、包丁やまな板を殺菌したり、手を洗い、流水で洗い流すことを心がけたい。
気温が高くなっているので、料理は作ったらすぐに食べるようにすることも大事だ。
時間がたったものは、もう一度、加熱すること。

1106141__ 岩次郎小屋に咲くヤマボウシ

梅雨のため湿気が多くなり、ダニも増えている。
イエダニやツメダニは噛むが、チリダニは死骸がアレルギーの抗原になり、ぜんそくや皮膚炎、鼻炎などを起こす。
家庭でも、布団やじゅうたんなどに少しはいると考えて、掃除を心がけたほうがいい。

石巻では、JIM-NETやピースボートなどが協力しあい、ダニバスターズを組織して布団干し運動を行っている。

入浴や布団干し、手洗いなど、基本的な日常動作の徹底が、感染症対策の基本となる。

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2011年6月27日 (月)

おでん

震災発生から数週間、屋内退避指示で南相馬の避難所では、炊き出しができず、あたたかいものが食べられなかった。
ぼくたちはアイエー・フーズの黒沢会長にお願いし、レトルトのおでんをいただいた。
ほんとうに大量のおでんだった。

このあたたかいおでんは、避難している人たちにとても喜ばれた。
避難所の雰囲気も明るくなり、元気も出てきたと思う。
この様子は、日本テレビの「ニュースエブリィ」でも、NHKの「おはよう日本」でも放送された。

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Img_3019 屋内待避指示がでている南相馬の避難所で、みんなに喜ばれたアイエー・フーズのおでん

そのレトルトのおでんが売れ行きが絶好調とのこと。
いいことをした企業がさらに栄えていく。新しい時代の資本主義のあり方だと思う。

この企業はもともと群馬県でこんにゃくの商品を得意にしていた。
それを核にして、おでんや惣菜、デザートをつくり大成功。

この前、JA新聞で取材に来てくれた松岡公明さんが、黒沢会長をご存知で、人の縁は不思議なものだなと思った。

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原発事故283

お茶は1キロ当たり500ベクレルがEUの基準値であるが、空輸された静岡のお茶からセシウムが1038ベクレル検出されたと、フランスが発表した。

静岡県知事は、お茶を飲むときにはもっと薄まる、心配ないなどと談話を発表していたが、見当違いも甚だしい。
こういうところから風評被害が生まれるのである。

1106182__ 鮮やかな花が咲く諏訪中央病院の庭

生茶葉と荒茶を同じ基準で規制する政府の方針に、お茶の業界は納得していない。
乾燥している荒茶は重量が軽いので、もっと基準値を緩和してほしいと思っているのである。

しかし、日本の商品を輸入する側になって考えてみる必要がある。
かつてチェルノブイリ原発事故が起きたとき、ヨーロッパのお茶に対して、日本でも厳しい感覚で対処しようという人たちがいた。

今回、フクシマが起きてしまったわけだが、厳しい見方をする相手の立場にたつことは、日本の国民の健康を守ることにもつながる。

日本とEUは水と牛乳の暫定基準値はセシウムでともに1キロ当たり200ベクレル。
野菜類も、肉も、魚も1キロ当たり500ベクレルだ。
日本国内には、この暫定基準値が甘いと考える人もいるが、アメリカでは水や牛乳は1キロ当たり1200ベクレル、野菜や肉も1200ベクレルを指標値としている。
それに比べれば、日本とEUは厳しい数値を使っているのがわかる。
これを徹底的に守ることである。

内部被曝が怖いので、1ベクレルもよくないという学者もいるが、それはそのとおり。
できるだけ1ベクレルでも余分な放射性物資発は取り込まないように努力すべきである。
しかし、1ベクレルも許さず、飲料水や野菜や肉や魚を市場に出すのは今の時代、難しい。
世界の最も厳しい基準値を日本の基準として使い、それを守ること。
それが、日本全体の風評被害を防ぐために大事だと思う。
そして、それぞれの国のなかでどう生きるかは、それぞれの自己決定でいいのだと思う。

まず、二度と、今回のフランスで廃棄処分されたお茶のようなことが起きないように、ルールの徹底化を図ることが大事だ。

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2011年6月26日 (日)

あこがれの帽子

NHK放送文化賞のお祝いに、村上信夫さんがプレゼントをくれることになった。
なんと、平田暁夫の帽子を、である。

ぼくは帽子が大好きで、いつか平田さんの帽子をかぶりたいと思っていた。
平田さんは、世界のトップデザイナーに支持され、皇室や各界の著名人の顧客が多い。

Photo 帽子デザイナーの平田暁夫さんと

普段は、10個くらいあるパパスの帽子のなかから、選んでかぶっている。
パナマに行ったきには、パナマ帽(実は、パナマではなく、エクアドルで作られている)を買ってきた。
どこへ行くにも帽子をかぶっている。

西麻布の平田さんの店を訪ねると、平田さん自身が出てきて、ぼくの頭の木型をとってくれた。
ぼくに似合う帽子をつくってくれるという。
いつできるかわからないが、とても楽しみだ。

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原発事故282

メルトスルーによって、放射性物質がコンクリートをつきぬけて、地下水を汚染している。
何らかの遮蔽策をとらなければならない。

東電もそのことを覚悟しているにもかかわらず、予想される1000億円という建設費を総会で公表していない。
株主への情報公開からすると、東電のやっていることは違法行為なのではないか。
当然、政府も知っているはずである。

Img_4158 岩次郎小屋の庭

ここへ来て地下の問題がクローズアップされているが、まったく議論されていないのは、石棺をつくるということ。
格納容器が破損している以上、石棺をつくらざるを得ない。
この検討もきちんとはじめないといけないと思う。

政府は、起きてしまった事実を小さくみせようと必死であるが、情報公開をきちんとすべきである。

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2011年6月25日 (土)

原発事故281

文部科学省はホームページ上で、福島原発周辺の放射線モニタリングデータを公表している。
空間線量や土壌の線量の状況をつかむ重要な目安になる。
これをみると、福島原発から80~100キロ離れた地域にも、ホットスポットがあることがわかる。

こういうデータが事故後すぐに毎日、示されていれば、一人ひとりの自主避難なりをすすめるきっかけになったと思う。
情報公開が十分にされなかった罪は重い。

1106186__岩次郎小屋のエゴノキ

福井県福井市の殿下地区というところで、東日本大震災の被災者を受け入れていると聞いた。
空き家が10~20軒、雇用対策もあり、休耕田も無償で提供、漁業関係の仕事も紹介できるという。
こういうところで生活したいという人は、問い合わせてみてはどうだろうか。

http://www.pref.fukui.jp/doc/furusato/uturn/dennga.html

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原発事故280

海江田経済産業相が、IAEAの閣僚級会議で今回事故があった福島第一原発で1~5号機として使われているアメリカのGE製マーク1について、「40年以上と稼動年数が増えるなかで、どんな安全対策をとればいいか、廃炉にすべきか検討課題だ」と述べたという。

Img_4124 今も遺体捜索が続く沿岸の地域

このマーク1は、もともと格納容器が小さく、もろいということが、GEの社員から問題提起されていたが、会社はその発言に耳を傾けず商品として売り続けた、いわくつきのものである。
40年以上過ぎているマーク1を廃炉にするというのは、たいへんいい選択だと思う。
議論して、その方向にまとまることを望む。

マーク1は、女川原発1号機や島根原発1号機、敦賀原発1号機に使われている。
浜岡原発の1、2号機はすでに廃炉が決定した。

エネルギー問題は民主主義が問われる問題。
きちんと議論して、なぜ廃炉にするのかという統一見解を出し、その結果として日本に10基あるマーク1を廃炉にできたら、日本の民主主義も少しずつ育っているといっていいだろう。
期待している。

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原発事故279

福島第一原発で作業中の男性の内部被曝を、ホールボディカウンタで測定したところ、0.24ミリシーベルト被曝していることがわかった。
大事には至らなかった。幸いである。

Img_4104 20キロ圏内の警戒区域に入るカマタ

500ミリシーベルト超の内部被曝をしたという報告もあるが、全体的に作業員たちにメルトダウンが起きている可能性があることなど、きちんと説明したうえで仕事をさせていたかどうか、管理責任が問われると思う。

作業員たちはなんとなく大変な状況だとわかっていても、きちんとした情報がなければ、注意力は喚起されない。
眼鏡の人がゴーグルをしなかったり、喫煙で被曝したり、敷地内での飲食で被曝したり。

事故の実態が作業員たちにどれだけ詳しく説明されていたか、検証されるべきだと思う。
国民の健康や命を守ることに最善の努力をしていなかった東電や政府。
作業員たちの健康や命を守るために、最善の努力をしていたのだろうか。

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2011年6月24日 (金)

お知らせ

「日経マネー」8月号の、26回目のカマタの連載では、JIM-NETの千人風呂プロジェクトのことを取り上げた。
被災地を救援しながら、どうしたら日本の経済をよくしていけるかを考えてみた。

Top

以前、自転車販売チェーンのあさひを取り上げた。
株価は、一本調子に1200円台から1700円台まで上り詰めた。
ぼくは株の値動きが読めるみたい。
カマタ・マジックともいわれている。
人の3歩も4歩も先は読めないが、0.5歩先を読むのは比較的得意。

来年の1月ごろを目指して、経済の新しい本を出す準備をしている。
世界や日本がどうなるのか、時代を読んだりするのは、とても好奇心をそそられる。

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原発事故278

汚染水の浄化装置にトラブルが続いているが、なんとか乗り越えてほしい。
それにしても、尋常ではないことがおきている。

2号機の圧力抑制室では300平方センチの穴が開いているらしい。
かなり大きな穴である。
冷却する水を入れれば、ダダ漏れの状態になる。
当然、その水はかなりの高汚染である。

Img_4094 放射線量を測定するカマタ(右)

300平方センチの穴をふさぐということは並大抵ではない。
工程表の見直しが行われているが、工程表どおりにはいかないだろう。

原子炉の冷却に成功したとしても、メルトダウンし、メルトスルーしている穴から、放射能が少量、出続ける可能性がある。
おそらくチェルノブイリと同じように石棺をつくらなければいけなくなるのではないか。

福島原発をコントロールするには2、3年かかるように思う。
完全に心配のない状況にするには、さらに数十年かかる可能性もある。
チェルノブイリのように炉心爆発を起こして、放射能を遠くに飛ばさなかっただけで、実際はにチェルノブイリに近いことが起きたと思うべきだろう。

闘いは長く続くようだ。

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原発事故277

福島市は市内の小中学生、幼稚園、保育園の子どもたち3万4000人に、バッジ型の積算線量計を配り、9月から3ヶ月間、被曝線量を測定することを決めた。
伊達市では子ども8000人に、川俣町では子ども1700人に線量計を配布し、同じようなことを行うという。

Img_4032 原発から33キロ地点にできた仮設の幼稚園

一ヶ月の積算被曝量が推計できることは一歩前進である。
積算計では、放射線量の全体を把握するのに役立つ。
一日単位で測定し、「昨日は高かった」「今日は少し低かった」と、一喜一憂するのは精神衛生上よいこととはいえない。

悔しいし、悲しいし、なさけないど、重大な原発事故が起きてしまった以上、少しでも福島県民の命や健康を守ることを考えなければならない。
特に子どもに関しては、0.1マイクロシーベルトでも被曝を下げる努力をすべきだと思う。

JCFは、支援者の応援を得て、南相馬市や二本松、飯舘村の子ども50人に積算線量計を配布した。
このことが、一つの大きなきっかけをつくったと思う。

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2011年6月23日 (木)

原発事故276

福島の山林の汚染調査を、独立行政法人森林総合研究所が行うという。
チェルノブイリの周辺の林は25年経った今も、セシウムの高汚染が続いている。
林はなかなかきれいにならない。
そこで採れたキノコや山菜も当然、汚染が心配される。

Img_4028 放射線量を測定するカマタ

福島県でのキノコや山菜に関しては、当面、丁寧に検査したうえで、慎重に市場に出すことを許可したほうがいい。
特にキノコに関しては数年単位で、注意しないといけない。

飯舘村の境にある南相馬市の大原地区に行ったとき、キノコのことを聞かれた。
マツタケ採りの名人のようだ。
「数年は採らないほうがいいのでは」と言ったら、えらくがっかりしていた。

汚染調査をし、その数字を見ると多くの人は納得できる。
しかし、数字を知らないと、ついついキノコや山菜を採ってきて、知らないうちに市場に出してしまう心配がある。

そのためにもまず、放射線量の調査をすることが大切だ。
被曝に十分注意しながら、山林を調査してもらいたい。

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再建への光

甚大な被害を受けた岩手県釜石市。
そのまちのメーカーが作る、クラフトマンというブランドのペレットストーブが人気だという。前年より4倍の売れ行きを示しているとか。

Img_3759 甚大な被害を受けた釜石市で

ペレットストーブは環境にやさしい。
木が燃料であるから、燃やすときには二酸化炭素を出すのであるが、もともと木が育つときに二酸化炭素を吸収するので、大きなサイクルのなかでは二酸化炭素フリーということになる。
ぼくの家のペレットストーブは、新潟県のさいかい産業のもの。
これは環境運動家で、いま反原発のカリスマ的存在になっている田中優さんに「鎌田先生、いい製品なので、応援してあげてください」とすすめられた。
環境にやさしいだけでなく、とてもあたたかい暖房器具である。

釜石のペレットストーブも、売れるといいな。
雇用が広がることも期待したい。

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鎌田實と東北へ行こう

病や障害があっても「旅をあきらめない」をコンセプトに、7年前から続けているドリームフェスティバル。
今年の秋は、松島に行くことが決定した。
題して、「がんばろう東北、ドリームフェスティバル イン松島」
9月27日から3日間の旅である。

東北を旅することで、東北を応援したいと思っている。
風光明媚な松島は、さいわい被害が少なかった。
松島町の大橋町長も心から歓迎してくれるという。

遊覧船で松島観光をしたり、郷土芸能のすずめ踊りを見たり、おいしいお寿司や牛タン、笹かまぼこなどを食べたり、楽しさ満載。
大村みのりさんの叙情歌コンサートや鎌田の講演もある。
オプショナルツアーでは、福島のあづま果樹園のブドウ狩りもある。

Img_3273 今年4月に行ったドリームフェスティバルイン台湾

病や障害があっても、だいじょうぶ。
クラブツーリズムの社員20人と、都内の社会福祉学科の大学生のボランティア4人がサポートする予定だ。
もちろん、健康で元気な人も大歓迎。できるだけたくさんの人に参加してもらいたいと思う。

鎌田もみなさんと一緒にごはんを食べたり、観光したり、全力で歓迎する予定。
ぼくは放射線量の測定器を持っていく。
松島へ行く途中のバスの中では、津波に遭った地域のことを鎌田が説明したいと思っている。

みんなで東北に行き、東北を応援しよう。

申し込み、問い合わせはクラブツーリズム バリアフリー旅行センター03-5323-6915
詳しくは↓こちらをご覧ください。

http://www.club-tourism.co.jp/press/2011/0620.pdf

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2011年6月22日 (水)

感謝

松山バレエ団よりJCFに寄付をいただいた。

森下洋子さんは広島出身。
核に関してはデリケートな感覚をもっている。
バレエ団のスタッフの方たちが公演のロビーに立ち、募金箱をもって、必死に募金を呼びかけてくださった。

Img_1127 森下洋子さんと

心から感謝します。

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アメリカからの手紙

南相馬での鎌田の慰問講演会にさだまさしさんが飛び入りで、コンサートをしてくれた。
まさしさんは、自虐ネタで、会場のみんなから一気に笑いを誘い出す。
さすがである。

この避難所の体育館に、アメリカの人たちから託された手紙を展示した。

その一通を紹介しよう。

<<6年前、私はニューオーリンズに住む12歳の小学生でした。
新学期の最初の週を迎えたとき、ハリケーン・カトリーナがやってきて、私の家を襲い、私の家を流してしまいました。
4日間、私と家族はスーパードームに避難しました。
私はすべての希望が失われたように感じました。
この経験から、(いま東日本大震災で困難のなかにいるあなたに)手紙を書こうと思いました。

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深い悲しみは、誇りや希望の光や信じる力に変わり、自分が生かされているように現在は思っています。
私が最初に希望を感じたのは、災害の2日後に、スーパードームの中の小さな穴から、太陽の光が見えたときです。
私は一日中、スーパードームの中にいて、おばあちゃんが持ってきたラジオから、町全体が水であふれ、その中を泳ぐ人たちのことや、略奪など、そのほか多くの心がいたむ出来事を知りました。
それは、外にいる人だけでなく、スーパードームの中にいる私たちにも恐怖を感じさせる出来事でした。
そんなときに、みんなが太陽の光を見て、叫び騒ぎました。

スーパードームをやっと離れる日、避難所にいたほかの仲間たちと、安全なところに避難するために、6時間以上、外でバスを待ちました。
私たちが町を離れるとき、太陽はとてもまぶしく輝いていました。
私は太陽の光を見つめ、ほほえみました。
嵐の後に、太陽の光が差し込むことを知ったからです。

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太陽の光は、あなたにとって、もっとも暗闇にいるように感じるときや、もうあきらめてしまおうとするときにも、あなたの心や体や魂を照らしてくれます。
だから、人生を、家族を、魂を、そして、未来を、決してあきらめないでください。
あなたやあなたの家族、周りの人たち、そして、日本が、この困難を乗り切れると私は信じています。
あなたを信じています。
日本はきっと乗り越えます。
たくさんの時間と希望が必要となるでしょう。
みなさんが、太陽の下で再び笑うことを信じています。ぜび、そうあってください。
愛しています。
そして、どうぞ、頭をあげて前に進んでください。

あなたと同じ災害を乗り越えた被災者の一人、エイミー>>

こんなハートフルな手紙が1000通届いた。
まだ5000通の手紙がアメリカで翻訳され、東北に送られる準備がすすめられている。

「大竹まこと ゴールデンラジオ」では、ほかの手紙を読ませてもらった。
アメリカからのやさしさを素直に受け取りたいと思っている。
感謝。感謝。感謝。

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心のケア

津波で自宅が壊れた気仙沼の80代の夫婦が、避難先の親類の家で遺体で見つかった。
無理心中した可能性が高いという。

自殺に関してはとても心配していた。
石巻の精神科開業医の宮城先生に電話をして、情報をもらっていたところだった。

Img_3655 気仙布の大島の避難所を巡回診療するカマタ

宮城先生によると、自殺者は数こそ多くはないが、ポツポツと出ているという。
心のケアを専門にするチームが全国から東北に入っていて、それがとても支えになっているという。
石巻市では、多いときで14チームが入っていた。
チームは、医師2人、心理療法士、看護師、事務など4~5人一組で、避難所などを回っている。
現在は5チームが活動しているという。

「支援者の支援」という合言葉も生まれたという。
たとえば、現場で被災した精神科医を支えようと、日本精神科学会が精神科医を応援派遣したり、子どもたちを支えている学校の先生のメンタルヘルスを支えようとしている。
大事な取り組みだと思う。

宮城先生の話では、被災者が仮設住宅に移りはじめてからが心配だという。
仮設住宅で孤立させないように、人とのつながりをどう維持し、つくっていくか考えていかなければならない。
みんなで支えあって、悲劇を少しでも減らしたい。

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2011年6月21日 (火)

ダニバスターズ続報

石巻では、ピースボートやJIM-NETなどいくつかのボランティアグループがダニバスターズを結成。
布団乾燥機などを使いながら、ダニの駆除をはじめた。
先日、ダニバスターズのボランティアを募集したところ、4人から問い合わせがあった。

保健師の資格をもつ方が、1ヶ月仕事を休んで来てくれるということで、現地の川添看護師としては鬼に金棒、いま話が進んでいる。

110619__ 岩次郎小屋に咲く花

もう一人くらい、長期的に協力してくれる方を探している。
男性、女性は問わない。一般の方でも大歓迎。
できれば1ヶ月くらいと思っているが、3週間程度ならご相談に応じます。
興味のある方は、こちらにメールをお寄せください。
unchainedbluesno8@yahoo.co.jp

短期間の応援ならできるという方は、ピースボートに相談してください。

ゴールデンウィーク後、全般的にボランティアが少なくなり、ダニバスターズも人手不足にあえいでいる。
梅雨は、ダニやカビ、食中毒が心配になる季節。衛生状態の改善は必須だ。

こうしたJIM-NETや他の団体が協力して行っているダニバスターズの地道な奮闘ぶりは、23日の「ニュースエブリィ」(日本テレビ系、16.53~)でも紹介されることになった。

ぜひ、応援をお願いします。

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つぶれない企業

東電の赤字は、1兆2500億円とか。
もう東電の社債も売れないだろう。
世界の格付け機関からも、投資不適格の烙印を押されている。
本来ならば、東電は会社更生法を申請すべきだろうが、それでも破産させないということは、政治的な配慮である。
資本主義社会のルールからすればとてもおかしいことだ。

11060181__ 諏訪中央病院の庭

選挙で勝った政権がそういう配慮をするのならば、それは仕方ない。
その分、東電は原発事故の収束と賠償に全力投球すべきである。
二回目の工程表の見直しがされ、工程表どおりにいかない可能性が高まっている。

福島第一原発の敷地内では、作業員たちが命がけの努力をしている。
作業しにくい状況のなかで、汚染水浄化の作業もトラブっているが、それでもあきらめていない作業員がいることを、日本全体が感謝し、評価しないといけないと思う。

それはそれとして、政治家と東電幹部のふがいなさは、頭に来る。

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長野でサマーキャンプ

長野県が、夏休み、南相馬市や伊達市の子どもたちにサマーキャンプ「こどもリフレッシュ」の参加を呼びかけたところ、伊達市教育委員会からいい返事があった。
小学校5、6年生200人が7月末~8月上旬にかけて、参加してくれることになったという。

このサマーキャンプのために、長野県の官民協働の東日本大震災支援県民本部が募金活動をはじめた。
阿部知事に頼まれたので、ぼくも応援することにした。
県民本部長の内山二郎さんをよく知っている。
とてもいいことだと思う。

先週、松本の高橋住職たちがやっているライフプランニングセンター10周年記念で、講演をした。
謝礼はいらないと言うと、高橋さんたちが会場で募金箱を回してくれた。
12万円集まった。
このうちの5万円を、このサマーキャンプに募金したいと思う。
南相馬の子どもたちも来てくれたら、うれしい。

Img_4153 岩次郎小屋に咲く紫蘭

あとの7万円は、福島の中学生をピースボートの船旅に招待する「福島子どもプロジェクト」に寄付する。
湯川礼子さんとお話する機会があり、このことを話したら、「子どもたちのために応援しないといけないわよね」と言ってくださった。
いろいろな応援をしていて手いっぱいのようだったが、快く、応援してくださるという。

福島の子どもを支える輪がもっともっと広がるといいな。

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お知らせ

「ラジオ版学問ノススメ」というラジオ番組に出た。
被災地での医療支援活動について話した。
↓ポットキャスティングでは、ラジオで放送されなかった分も含めて公開されている。

http://www.jfn.co.jp/susume/

ぜひ、お聞きください。

Img_4056 南相馬の避難所を慰問するさだまさしさん

先日、お知らせしたが6/20発売号の「週刊朝日」では河野太郎さんと対談している。
「週刊ポスト」では、南相馬での鎌田の講演に、さだまさしさんがサプライズゲストとして応援に入ってくれたことをエッセイに書いた。
どうぞ、ご覧ください。

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2011年6月20日 (月)

1%

文藝春秋7月号に、ちょっとおもしろいのがあった。

「震災復興、全国民が貯金の1パーセントを寄付しよう」という藻谷浩介さんの原稿だ。

1106184__ 岩次郎小屋のナツツバキ

ぼくは以前、「1パーセント」という詩を書いた。
1パーセントだれがのために動きだせば、世の中が変わるというものだ。

経済をデフレにしないために、貯金の1パーセント使うというのはおもしろい発想。
しかし、義援金が千数百億円も使われないままの状況を考えると、せっかくお金を出すのなら、次々と使われるような寄付の仕方を考えなければならない。
被災者を支援しながらも、経済を動かすような寄付の仕方をしないといけないと思う。

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桜色のパッチワーク

今年も遠藤由美さんに、パッチワークの手帳カバーをいただいた。
労作です。

Img_4145 Img_4146

カマちゃんの顔がなんとも鎌田らしい。
一度、ホテルに忘れそうになったが、このニコニコ顔のついた手帳なら紛失しそうもない(笑)。

1105211__毎年、すてきなパッチワーク作品をくれる遠藤由美さんと

今年の春は大変だった。
ゆっくりお花見ができなかった。
来年の春は、日本中が桜色に染まり、お花見ができるようなムードになっているといいな。
そんなことを祈りながら、日本列島を桜色の布で縫ったと遠藤さんは言う。

ありがとう。

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原発事故275

特定避難勧奨地点が指定されることになった。
あいまいな避難計画がさらにあいまいになるという、あいからわず政府のいいかげんな指示ではあるが、二点いいところがある。

一つは、この地点では、自主避難しても損賠賠償の対象となること。これは一歩前進だと思う。
もう一つは、住居単位で指定すること。

今回の調査対象地域になっている南相馬市の大原地区を先日、訪ねた。
その地域の佐藤造園には、いくつかの家族が避難していた。
公的な避難所には巡回診療があるが、こうした民間の避難所には医師が来ない。
そんな声をボランティアコーディネーターが聞きつけ、そのボランティアコーディネーターの案内で、聴診器をもって訪ねたのだ。

Img_4023 佐藤造園に避難しているみなさんと

この地域を測定してみると、家と家が離れていて、近隣のある家では7マイクロシーベルトだが、佐藤造園では1マイクロシーベルト前後。
同じ地域でも、一戸一戸違うことがわかった。
住居単位での避難というのは、たしかにこの地域では合っているかなという感じがした。

Img_4025

Img_4028 南相馬市大原地区を線量測定

佐藤造園で暮らす人たちは、みんな元気だった。
「来てくれただけでうれしい」
聴診器の仕事はなかった。
ガイガーカウンターを持っていたので、シイタケ栽培をしているところや、植木などを測定。
「仕事をするときに注意する目安にしたい」と喜ばれた。

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2011年6月19日 (日)

岩次郎小屋の初夏

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急に彩りが豊かなってきた。

ウッドデッキのエゴノキが満開。
ナツツバキ、ヤマボウシも白い花が咲いている。

農園では、ラディッシュ、ニラ。
紫蘭やいろとりどりの花々も・・・。

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Img_4156

東北を駆け回っていて、庭の花や野菜に目がいかなかった。
久しぶりに早朝、庭に出て、信州の初夏を実感。

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福島っ子の夏休み

カタログハウスが「福島っ子の7泊8日の旅」を計画。福島の子どもとお母さんを招待するという。
長野県の車山高原や蓼科高原のホテル、旅館、ペンションなどに宿泊してもらい、大自然のなかでほっと一息ついたり、元気に駆け回ったりしてもらおうというものだ。

1106183__

日時は、7/25~8/29。
赤ちゃんから中学生までの福島っ子とお母さん(おばあちゃんでも可)、さらには友だちのお母さん一組も参加できる。
福島県内の所定の場所に集まってもらい、そこからバスで往復送迎する。もちろん、無料。

滞在中は一日3食。
湖上花火大会、サッカーやドッジボールの大会、乗馬、人形劇、ハイキングを予定しているそうだ。

茅野市が協力することになっている。
体調を崩したときには、市内の諏訪中央病院や北山診療所、前島医院などが支援する。

カタログハウスには、チェルノブイリやイラクの子どもの医療支援でお力添えをいただいている。
少しでも恩返しになればと、ぼくもできれば顔を出すつもりだ。

震災発生以来、福島の人たちはみんな疲れている。
原発の問題になると、不安や怒りがこみ上げてくるのもわかる。

しかし、せめて夏休みくらいは、子どもたちにはのびのびといい時間を過ごしてもらいたい。

JCFも協力し、体調が悪い子がいれば、信州大学の小児科の小池教授と相談し、健診ができるように相談をはじめている。
みんなで子どもたちを守っていきたい。

「福島っ子の夏休み」の申し込み、問い合わせはカタログハウス0120-532-832(通話料無料)

写真は、岩次郎小屋の散歩道

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「PHP ほんとうの時代 ライフプラス」7月号に、鎌田が詩を書いている。

Photo

今回は「青空に浮かんだ雲の向こうにみえるもの 苦しみのなかなかの再生」という詩。
3ヶ月に一度だが、故・前田真三さんの写真をお借りして、詩の世界をお届けしていく。

ぜひ、ご覧ください。

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2011年6月18日 (土)

6/20講演会

6月20日、川田龍平君のイベント「いのちが最優先される新生日本への提案」で、鎌田が講演する。
テーマは、「チェルノブイリ・フクシマ なさけないけどあきらめない、困難な時代をどう生きるか」
講演のあとは、川田龍平君と対談する。

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龍平君には、松本短大で講義をしているとき、毎年、諏訪中央病院看護専門学校に来てもらい、看護学生や新人医師に薬害エイズの話などをしてしてもらったことがある。
義理と人情の鎌田としては、龍平君には借りがある。

ぼくはいつも、特定の政党や政治家とは距離を置こうと思っている。
阿部長野県知事は高校の後輩であるため、新年会で一度だけ講演したことがある。
今回の講演会も、例外的。
龍平君や阿部さんは、政治家としてつきあっているのではなく、友人として信頼しているのだ。

日時・6月20日(月)18.30~20.30
会場・四谷駅前 主婦会館プラザエフ
会費・3000円

よろしければ、鎌田の講演を聞きにきてください。

写真は、諏訪中央病院の庭

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緊急・ダニバスターズ募集

石巻市の河北地区で在宅ケアに取り組んでいるJIM-NETの川添看護師から緊急要請がありました。
梅雨に入ったため、避難所で2例、ダニが発生。
まだ多発しているわけではありませんが、できるだけ早く元を断つ必要があります。

現在、寝具に掃除機や乾燥機にかけてダニ退治に取り組んでいますが、手が足りません。
ダニバスターズのボランティアをしていただける方を緊急募集しています。

期間は、約1ヶ月間。3日交代とかではなく、できれば続けてやってくださる方を希望します。
男性、女性は問いません。医療従事者でも、一般の方でもかまいません。
宿泊は、涌谷町国保病院内に、男性の部屋、女性の部屋を一つずつ確保しています。

ボランティアで協力していただけるとありがたいですが、条件については相談に応じます。

ご協力いただける方は、↓こちらのメール(川添看護師宛)に連絡をお願いいたします。

unchainedbluesno8@yahoo.co.jp

件名に「ダニバスターズ」と明記し、氏名、連絡先など簡単な自己紹介をお書きください。
よろしくお願いいたします。

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2011年6月17日 (金)

河野太郎氏と対談

河野太郎さんと対談した。
この対談は、来週発売の「週刊朝日」で掲載される。

河野太郎は空気に流されずに、空気をかきまわす男だ。
ぼくは『空気は読まない』(集英社)という本を書いたが、「空気」に対する考え方、身の処し方がぼくに近いと思った。

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この国のテーマは3つ。
財政の建て直し。
エネルギー政策。
社会保障の問題。

どれも河野太郎は強い。
外国からの風評被害を防ぐために、メッセージ力が必要だが、演説もうまい。
外国の首脳と英語で対等に話せることが大事だが、河野は英語にも強い。

選挙地盤がしっかりしているので、選挙の勝ち負けにこだわって言うことが変わったりしない。
へんなお金をもらわずに済んできたので、しがらみからも解放されていると思う。

ぼくは、「文藝春秋」7月号の、日本復興を託せる次の総理はだれかという特集に、河野太郎を推した。
なんとこの奇人変人が、4位であった。

日本の首相の選び方では、河野総理が誕生するのは難しいかもしりないが、人材的には適任だと思う。

首相になれなくても、せめて連立内閣で経済産業大臣になれないか。
そうすれば、日本のエネルギー政策も画期的に変わると思う。

ぜひ、ご覧ください。

写真は、“奇人変人”の河野太郎さんと

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お知らせ

NHK放送文化賞をいただいた。
3月にNHKホールで授賞式が予定されていたが、東日本大震災の発生で授賞式はなくなった。

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先日、佐藤忠良のブロンズ像と賞金をいただいた。
賞金はすでに全額、東北の被災した障害者支援グループに寄付した。
佐藤忠良の彫刻は大好きだったので、とてもうれしい。

ラジオ「鎌田實 いのちの対話」が評価されての受賞。
ラジオセンター長をはじめとして、NHKのラジオを支える方々からお祝いをしていただいた。

写真は、村上信夫さんらラジオを支える方々と。NHK放送文化賞の受賞をお祝いしていただいた

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2011年6月16日 (木)

鎌田實の一日一冊(99)

「慈悲の怒り 震災後を生きる心のマネジメント」(上田紀行著、朝日新聞出版、1050円)

震災後、「みんなでがんばろう」といったメッセージが、毎日毎日投げかけられる。
でも、何をがんばればいいのか。
「がんばろう」の連呼しかできないような貧しいコミュニケーションが、今の苦難の状況を生み出しているのではないか、と著者は言う。
「原発をめぐる空気」という章もある。

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ぼくが心配していたこの国の問題が、まさにここに書かれている。
「がんばろう」は、判断停止の言葉である。
「大丈夫」もいい言葉だが、この時期に使う「大丈夫」は改善する努力をとめてしまう。
学校の校庭を3.8マイクロシーベルトまでは大丈夫と言ってしまうと、少しでも放射能を減らしていく努力をしなくなってしまう。

判断を停止させる「がんぱろう」と「大丈夫」。
そして、空気に染まり、人の顔色をうかがう自立しないニッポン。
それが、まさにフクシマを起こしたのではないか。

「がんばろう」がいかに表層的な言葉で、「がんばろう」と言っている人のコミュニケーション能力が低いかに気がつくだろう。

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寒天デザート

『0kcalからの寒天デザート』(小菅陽子著、主婦の友社、780円)が出版された。

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著者の小菅先生とは、何度か一緒にお仕事をし、いろいろなヒントをいただいてきた。

「ドクターかまちゃんの寒天ゼリー」は、売り上げの一部を東日本大震災の被災者支援に使わせいただいているが、そのなかのしょうがレモン寒天の開発にもお力をお借りした。

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<ドクターかまちゃんの寒天ゼリー・ご購入はこちら>

80キロカロリー台の低カロリーでありながら、おなかは満足のメニューが載っている。
鎌田も、「がんばらない寒天ダイエット」のアドバイスをしている。

家族みんなが喜ぶ寒天デザート。
とても参考になると思う。

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2011年6月15日 (水)

福島の子どもたちに夢と健康を

これまで医療支援のため何度も訪れてきた、福島県南相馬市。震災から3ヶ月が経ち、町の皆さんにもだんだんと笑顔が戻ってきた。

鎌田が行くといつも温かく迎えてくれる。そこでなにか応援したいということで、この夏休みに南相馬市の中学生を、船旅に招待しようと計画をはじめた。

国際交流の船旅を企画しているNGOピースボートも協力をしてくれることになった。

震災で大変な経験をし、なおかつ見えない放射線の脅威のなかで暮らす南相馬市の子どもたち40人をピースボートに招待し、夢と健康をプレゼントしたいと考えている。

船旅は、ベトナムからスリランカまでの10日間。
ベトナムでは、枯葉剤の被害者と交流。シンガポールでは、インド、マレー、アラブなどの多文化共生社会を体験してもらい、スリランカでは、2004年の大津波で被災した子どもたちとの交流を予定している。

アルピニストの田部井淳子さんや環境活動家の田中優さん、精神科医の香山リカさんたちも呼びかけ人になってくださった。

子どもたちがのびのびと船旅を楽しみながら、海外の文化に触れ、様々な出会いを体験をすることで元気になってもらい、これを福島、南相馬に持ち帰ってもらいたいと思っている。

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このプロジェクトは、一時はスポンサーが応援してくれるという話でしたが、突然キャンセルになってしまいました。なんとか、実現するために、募金のご協力をお願いしています。

往復の飛行機代などを考えると、少なくとも800万円は集めたいと思っていますが、小額でもかまいません。ぜひ、子どもたちに「夢と健康」の船旅をプレゼントしてください。

詳しいお問い合わせは
福島子どもプロジェクト(ピースボートセンター内)
電話:03-3363-7561  
担当:川崎、篠原

郵便振替口座 00180-3-177458
加入者名 ピースボート
通信欄に「フクシマ」とご記入してください。

インターネットバンキングや他金融機関から振り込む場合:
銀行名:ゆうちょ銀行
支店名:〇一九 店(ゼロイチキユウ店)
種 目:当座
口 座:0177458
名 義:ピースボート
(※振込依頼人名の前に「フクシマ」とご入力ください)

ご協力よろしくお願いいたします。

写真は、2009年ピースボートでポリネシアを訪ねたときのもの

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2011年6月14日 (火)

寄付税

NPOの寄付税優遇を拡充しようという改正法が、6月中に成立する可能性が出てきた。
超党派の議員が動き始めている。

認定NPO法人への寄付は、個人が寄付した金額の約半分が、所得税や住民税から減額されるようになるようだ。
とてもいいことである。

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JCFは、認定NPO法人を取得した。
認定NPO法人は、全国で215法人しか認定されていない。
取得するための手続きがとても大変だった。
しかし、そのわりには、その後、特に寄付が増えたわけではない。
もっと税優遇を拡充しないと、欧米のように寄付習慣は身につかないと思う。

党同士いがみ合ってないで、大事なことはどんどん超党派ですすめていってほしいと思う。

写真は、緑が鮮やかになった岩次郎小屋の散歩道

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原発事故274

福島第一原発の施設の地下水や外で、ストロンチウムが検出されていることが発表された。
当然、予測されていたことである。
プルトニウムも原発敷地外のところにも出ていた。

ストロンチウムは、62キロ離れた福島市でも発見されている。
核燃料棒が高温のうちに格納容器が破損し、大気中に放出された可能性が高い。

ストロンチウムは骨に蓄積され、がんを起こすことが懸念される。
大変なことが起きていることが明確になってきた。

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2011年6月13日 (月)

女性の視点

避難所の生活も長くなってきた。
いかにプライバシーを保ちながら、どのようにストレスを軽くしていくかを考えるとき、女性の視点が役に立つ。

避難所は集団生活。
着替えひとつでも、プライバシーがないところでは苦労している。
ふとんをかぶって、そのなかで着替えている人も多かった。
女性が避難所の運営に参加するようになって、プライバシー確保のためのしきりや、更衣室ができた。
授乳室もできた。
乳幼児がいる家庭用のエリアを設けているところもある。

1106121__

ぼくが訪ねた気仙沼大島の避難所でも、子どものいる家族用に一室を設け、そこに何組かの家族が共同生活していた。
情報交換できるし、ほかの避難者に迷惑をかけているというストレスも減ったので、ありがたいと言っていた。

支援物資の中から、女性が下着などをもらうときなどは、担当者が男性だと言いにくい。
その点、女性の担当者がいるといい。
しかも、段ボールの中に入れっぱなしではなく、デパートの商品のように見やすく並べるなどの気配りをする女性もいて、ほしいものがわかりやすい。

震災の初期のころは、生理用品などが手に入りづらく、南相馬に届けたことがあった。
アルソア化粧品に化粧品をたくさんいただいき、千人風呂プロジェクトで、お風呂に入ってもらった女性たちに配ったところ、大喜びされた。
化粧品などは、ほしいと思ってもなかなか言い出せない。
しかし、長期戦になってくると、気分転換になるものや元の習慣を取り戻せるということが大事なのである。

トイレやお風呂のことは最初から問題になり、議論されたが、女性が避難所の運営に参加するようになると、洗濯の問題も取り上げられるようになっていった。

女性が「こうしてほしい」と発言したり、女性の視点で改善していくことは、男性にとっても、生活しやすくなることが多いようだ。

写真は、岩次郎小屋のナンジャモンジャの木。福島から帰ったら、真っ白い花が満開になっていていた

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動画:ドリームフェスティバルin台湾2

鎌田實といくバリアフリーの旅。
春の台湾ツアーに続き、秋のツアーは、「鎌田實と東北へ行こう!」

東北へ行き、地元のおいしいものを食べたり、地元のものを買ったりすることで、東北を応援したい。
病や障害をもつ人たちと、できたら200人くらいで行きたい。

予定は、9月27~29日の2泊3日。
具体的なことが決まり次第、ご紹介したい。
たくさんの人が参加してくれたらうれしい。

みんながあたたかい連鎖を起こすとき。
閉じこもらず、元気を出そう。

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2011年6月12日 (日)

原発事故273

NHKの「あさイチ」に、コメンテーターとして出演した。
「ママたちの決断」に出ていた母親たちは、さまざまな決断を迫られていた。

ある女性は、放射性物質が怖くて、いわき市から3人の子どもを連れて、旧赤坂プリンスホテルに宿泊中。プライバシーは保たれるが、経済的な負担がたいへんだ。
夫は福島に帰ってきてほしいと望んでいる。
いわき市の大気中の放射線量は、0.24マイクロシーベルトくらい。
小学校のグラウンドは0.23マイクロシーベルトくらい。
不安なんだと思う。

避難すると、大げさだといわれることがある。
子どもを避難させるために、周囲に隠して、東京と福島を行ったりきたりしている人もいる。
いわき市では避難していることを言えない雰囲気があると言っていた。

避難する人も、避難せず残る人も、お互いに被害者でありながら、相手を批判的に思ってしまう。いたたまれない。

一時、東京に避難して、福島にもどってきた人もいる。
夫も、子どもたちとの生活を喜んだ。
元の生活がもどったように見えるが、幼稚園では外遊びを自粛しているため、ストレスが大きい。夜うなされるようなことがある。
もっとのびのびと遊ばせたいという。
子どもをのびのびと遊ばすことができない不安と、外で遊んだときの被曝の不安。
両方の不安にさいなまされている。

東京都の教育委員会が用意した避難施設に、8歳の男の子を預けている親がいる。
母親は、毎日、子どもに手紙を書き、1ヶ月に1度会いに行く。

子どもからの返事にこうあった。
「ママ大嫌い、もう会い来なくていい。会社の人に迷惑かけるからいい。さびしいことも思い出すからいい。でも被曝したり、死んじゃったりしないでね。早く帰れるといいな」
子どもの思いは正直である。

この人の住む二本松は、大気中の放射線量は1.61~0.22マイクロシーベルト。
校庭2~3.18マイクロシーベルトだが、5月中旬に表土を削り取っているので、もっと低下しているはず。

あらためて子どもをもつ親たちの不安の大きさを感じた。
これをどう解決していったらいいいのか。

まず、校庭の表土は削り取り、その後の経過も測定し、オープンにしていく。
文部科学省の示す3.8マイクロシーベルト以下ならいいと思わず、わずかでも子どもたちを被曝させない努力が大事である。

それから、身近な地域の「安全マップ」を作成すること。
たとえば、母親たちのグループで一台、線量の測定器を持ち、子どもたちの生活圏を細かく測定していく。
通学路の脇の草むらや花壇などに、放射線量が高いところが多い。
アスファルトの道路はそれほど高くなくても、路地を一本入ると、まったく違う。
モニタリングポストの値が低いからといって安心しないほうがいい。
自分たちの町の汚染状況を知って、子どもを守ることだ。

子どもにどう行動させるかは、最終的には親の判断による。
保育園や学校でも、全員一緒というのは無理。
教育委員会がグラウンドで運動できると判断したときは、それに従う人がいていいし、参加させたくない親は自粛を申し出てもいい。
強制しないことが大事である。

震災発生から3ヶ月。
時間はかかるかもしれないが、子どもたちが安心してグラウンドに出られる日が来ることを祈っている。

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2011年6月11日 (土)

お知らせ

季刊「コトバ」で、「我々はどこから来て、どこへ行くのか」という連載をしている。
夏号は、4回目「やさしくて、強い国へ 『新しい日本』をつくる」

未曾有の災害、悲しい現実のなかで、ぼくは新しい光をみつけようと必死にもがく。
個人主義的で、ものばかりが豊かになっていた日本で、別の方向へ向かうことができないかと模索し続ける。

ぜひ、読んでください。

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2011年6月10日 (金)

短時間睡眠

月刊誌「クーリエ・ジャポン」に、短時間睡眠のことが書かれている。
3、4時間の睡眠でも元気な人として、レオナルド・ダ・ヴィンチやトーマス・ジェファーソンを例に挙げている。

ショートスリーパーは人口1~3%いるとか。
遺伝子変異が起きた人に多いとか、軽い躁病が多いというデータがあるらしい。

ぼくも40数年、4時間半睡眠でやってきた。
ぼくは、これは遺伝子の問題ではなく、行動変容という技術の問題だと思っている。
やろうと思えば、だれでも4時間半睡眠はできるように思う。
行動変容という技術で生活習慣を変えてしまえば、あとは苦痛なく続けられる。

短時間睡眠のライフスタイルは、人よりたくさんの本が読めるし、音楽を聴いたり、思索にふけったりできる。
活動の時間が増えるので、自分の成長のために時間を使うこともできるし、人のために時間を使うこともできる。

時間がいっぱいあるということは、素敵なことだと思う。

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2011年6月 9日 (木)

「原発事故」に関する書籍出版のお知らせ

リアルタイムでアップし続けたグログ「原発事故」シリーズ。大変好評で、書籍にまとめてほしいとの要望を多数いただきました。出版社からも5社、出版のお話をいただきました。

7月7日発売の予定で、書籍出版の準備をしています。
「原発事故(1)~(265)」をブログより削除させて頂きます。

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「~チェルノブイリ・フクシマ~
なさけないけどあきらめない」

(表紙・タイトルは仮)

  定価:1400円+税
  朝日新聞出版社

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原発事故272

国家戦略室の「革新的エネルギー・環境戦略」の素案が明らかになった。
原発を推進するというから笑ってしまう。

原子力事故、安全の徹底検証をして、世界最高水準の原子力安全の実現をするとか。
この政権は、やはり感性が悪い。

菅さんは、土俵際に追い込まれたわけだから、もう怖いものはないはず。
歴代の首相がやらなかったようなこと、だれもが怖くてできなかったことを、思い切って舵を切ってやったらいい。
10年後に国民に評価を受けることを狙うべきだと思う。

だが、この素案をみると、今までと同じように姑息である。
ほんのわずか自然エネルギーに目を向けながら、原発を推進している。

「どうしてもこれをやりたい」ということがない人なのかもしれない。
せめて電力会社の発電と送電の分離などを、「遺言」としてしっかり残しておけば、次の首相がやりやすくなる。
二代の首相が脱原発と電力会社の発電・送電分離をやるとなれば、大きな力になる。

菅さん、ここまで来たらもう怖いものはないはず。
勇気をもって、正しいと信じることをしたほうがいいと思うのだが、まだ延命策を考えているのだろうか。
原発推進の人たちのご機嫌もとっておきたいと思っているのだろうか。

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動画:ドリームフェスティバルin台湾1

鎌田實と旅に行こうと呼びかけて、毎年、春と秋、バリアフリーツアーを企画してきた。

今年は台湾。台湾は親日的。震災後も、多大な応援をしてくれている。
台湾の外交部によると、台湾からの義捐金の総額は5月12日現在、170億円を突破したという。

実際、親日的な台湾の人たちに歓迎され、とてもいい旅となった。
震災直後は迷ったが、自粛ムードを打ち破る意味でも、決行してよかったと思う。

参加者は38名。重症の方もいた。
みんないろんな事情をもちながら、命がけで生きている。

病気や障害をもっていても、旅することができる。
旅の感動や高揚感に背中を押され、元気や自信がわいてくる。

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2011年6月 8日 (水)

原発事故271

チェルノブイリ原発事故の現場を訪ねたり、資料を読むと、キュリーという単位がよく出てくる。

5~15キュリーは、1平方メートルあたり18.5万~55.5万ベクレルに相当し、チェルノブイリでは農作物の徹底的な検査が必要とされた。

15~40キュリーは、55.5万~148万ベクレルで、その土地では農業が禁止される。

40キュリー以上の地域では、強制移住が行われた。

チェルノブイリでは、40キュリー以上(148万ベクレル以上)の土壌汚染地域は、3100平方キロメートルあったという。
福島では、600平方キロメートルにわたっているのではないか、といわれている。
600平方キロメートルとは、東京23区と同じ広さ。
福島もかなり広範囲に汚れているということがわかる。

しかも、そのなかにはかなり放射線濃度が高い地域が点在する。
京都大学原子炉実験所助教の今中さんの調査では、飯舘村の一部で、チェルノブイリで居住禁止とされ強制移住させられた15キュリー(55.5万ベクレル)の4倍にあたる219万ベクレルが検出されているという(朝日新聞、4/8付)。

かなり大変なことが起きていると考えたほうがいい。
子どもたちの避難をすすめているが、なかなか進展しない。
せめて夏休みは、信州などに疎開し、思いっきり外で遊んでもらいたいと思う。
週末には、南相馬市を訪ねるので、できるだけ多くの親子にすすめてみたいと思う。

                  ◇

6/10、11は、南相馬を訪ね、浄水器をつくっている落合工機の斉藤社長と会う。
この会社は、オマーンから大量の受注があったという。
また、5つの家族が一緒に避難している個人のお宅も訪ね、巡回診療をしようと思っている。
公的な避難所では、医療スタッフが巡回診療をしているが、個人でがんばっているところには、医療の手が届きにくいようだ。
食料費だけでも大変な額になるのではないか。
せめて、ごくろうさんと言いに行ってあげたいと思う。

6/10は、ある音楽家と一緒に、南相馬の避難所を慰問する(音楽家がだれかはサプライズ!)。

6/11は、大地震からちょうど3ヶ月。
サックス奏者の坂田明さんが、南相馬の海岸で慰霊の演奏をする。
ぼくもその演奏を聴き、犠牲となった方々を追悼したいと思う。

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義援金はだれのものか

双葉町は町役場ごと埼玉県加須市に避難しているが、避難した男が、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された。
これを受けて、双葉町長は義援金の辞退を町民に表明した。

なんとも納得できない。
義援金は困窮する被災者に寄せられるもので、町長が勝手にできないはずである。

双葉町は原発を置いている町。
本当に深い議論の末に、原発誘致を決めたのだろうかと心配になる。
民主的な議論が行われず、一部の町の有力者により原発誘致が決まり、その結果の事故だとすれば、日本中は納得できないし、悲しくなってしまう。

やっぱり民主主義が問われている。

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2011年6月 7日 (火)

原発事故270

事故当初、検出されていたテルル132のデータが公表されていなかったことを6/3、原子力安全・保安院が明らかにした。
情報隠しがあったということだ。
政府による情報隠しも多いと思うが、これは東電の情報隠しではないかと思う。

テルル132というのは、ウランが核分裂する際にできる放射性物資。
これが3/12の午前8時30~午後1時30分の間に、浪江町、大熊町、南相馬市の大気中から測定されていたという。
たいへん大きな問題である。

ぼくは、核種のデータがなぜ公表されないのかと疑問に思い、それをこのブログにも書いてきた。

1号機のベントも行われておらず、水素爆発も起きてない、ごくごく早い段階で、出てはいけない放射性物質が出ているのである。

ということは、地震直後から炉心とつながっている配管に隙間ができ、放射性物質を閉じ込める機能がなくなっていたと考えられる。
この時点で、メルトダウンや、格納容器の破損も起きていたのではないか。
核燃料棒の破損も、明らかである。

この情報が公開されていれば、避難指示ももっと大胆にできたのではないか。
情報隠しの罪は大きい。

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ある党の三大政治家

小沢さんは、ずっと政局を仕掛け続けている。
自民党時代からまったく変わっていない。
国民のために働いたことなど、ないのではないだろうか。
自分の権力を誇示するために、立派な建物をいくつも建ててきただろうが、本当に国民のためになっているとは思えない。
民主党のマニフェストを死守するという。
できるわけがない。

鳩山さんは、首相を辞めた後、次の選挙には出ないと公言したにもかかわらず、民主党の黒幕になろうとしている。
首相経験者は、政界から引退したほうがいいと思う。

今回、菅さんとの確認事項はひどい。

一に、民主党を壊さないこと
二に、自民党政権に戻さないこと
三に、東日本大震災の復興と被災者の救済に責任をもつこと

最後にようやく被災者のことが出てくる。
本心がこういう順番としても、感性のいい政治家ならば、この文章は世に出さない。
まず自分の党のことを最優先している文章なんて、恥ずかしくて出さないはずである。

菅さんは、リーダーシップがないため、人を動かすことができない。
今回の鳩山さんとのドタバタも、密室政治そのもので許せないが、鳩山さんの悔しい気持ちはよくわかる。
辞任カードを切ったのだから、そのカードを最大限利用して、やりたいことを徹底的にやって、さっと辞めるのが優れた政治家だと思う。

民主党は、小沢、菅、鳩山を早く切ったほうがいい。

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原発事故269

NHKの首都圏スペシャル「“原発からの避難”追跡75日」という番組に出演した。

原発立地市町村の双葉町は、埼玉県加須市に役場ごと避難した。
住民は1400人いたが、2ヶ月半たつなかで1000人ほどになっていった。
ふるさとの情報がほしいからと、福島にもどる人たちも出てきている。
全国各地に避難し、散り散りになってもいる。

原発事故の収束のめどが立たず、放射線汚染の状況を考えると、しばらく加須市で生活するのが最善だと思う。
しかし、なかなか住民は割り切れない。
まわりの企業も正社員で雇おうとするが、それを喜ぶ人もいれば、いつでも福島に帰れるようにアルバイトを希望する人もいる。

尾瀬の近くの片品村には、福島から約1000人が移動した。
新潟県湯沢町、栃木県那須町、群馬県草津町など、観光地の旅館は、半分はボランティアで、半分は安い滞在費、多くは受け入れ側の町の負担で、サポートしてくれている。
体育館で避難している人たちよりも恵まれた環境にある。
しかし、夏のかきいれ時になると、観光地の負担が大きくなる。
支える側も、避難している側も、厳しい状況に追い込まれているのだ。

現在、片品村に400人、新潟県湯沢町670人、栃木県那須町220人。
避難している人たちのつながりや絆をどう結び付けていくか、大きな課題も見えてきた。
健康や命は大事だから、避難することが第一。
だが、同時に仕事や収入、生活なども考えながら、絆についても配慮する必要がある。
避難者が高齢者なのか、働き盛りなのか、子どもなのかによって、配慮の仕方も違ってくる。

そろそろ3ヶ月。
被災者を長期的に支える方法を、全国民が考えていかなければいけない時期が来ている。

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2011年6月 6日 (月)

政治家がすべきこと

古ぼけた写真が見つかった。

諏訪中央病院の元院長、今井澄さんは1995年当時、参議院議員をしていた。
チェルノブイリを視察したいというので、一緒に行った。
ゴーストタウンとなった原発労働者の町プリピャチを視察しているところだ。
放射線防護服まがいのものを着て、マスクをしている。

Img006

この国のルールは急変する。
30キロゾーンにまったく入れない厳しい時期と、申請すると簡単に許可がでる時期、ときには観光まがいに、お金を出すと入れてくれる時期、説明者がついたりする時期もあった。

今井先生は国会議員を10年続け、その任期中に病気で亡くなられた。
鳥の目をもった、すぐれた政治家だったと思う。
とてもかなわないと、彼を見ていて思った。
今井先生が今生きていたら、福島の問題ももっと違った形で対処できたのではないか。
おそらく厚生労働大臣をやったのではないか。

実は、ほくは何度も政治に出ることをすすめられれたことがある。
しかし、政治の世界に出ようとしなかったのは、今井先生を見て、とてもかなわないと思った。身の程を知ったのである。

IMDが毎年発表する国際競争力ランキングで、59カ国中、日本の政府効率性は50位だった。
環境技術などはすぐれていて2位。
本当に政治の力は弱い。
財政状況の健全性は58位。

財政的危機に瀕していながら、小異を捨てられない大人気ない政治家たち。
うんざりである。
内閣不信任案が提出されたが、結局は否決。
与党も、野党も、子どもじみている。
猿山の猿。ボス猿になりたいための戦いはもうしばらく結構だ。

もっと被災者のことを考えるべきだと思う。
本物の政治家なら、東北のことも、日本の財政のことも、本気で考えてほしい。

こんな国会をしているなら、国会を休会し、国会議員は避難所に泊まってみるといい。
福島原発の敷地内で、作業員たちと2、3日一緒に共にしたらいい。
現場で何が求められているか見えてくるはず。

超党派で分担を決め、復興計画を考える人、新しいエネルギー政策を考える人、分配が滞っている義援金の流れをつくる人・・・優秀な官僚と一緒になり汗をかいて国民のために働くことが求められている。

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2011年6月 5日 (日)

原発事故268

京都精華大学の山田教授らが、福島市の放射線量を測定したところ、通学路の草むらで28マイクロシーベルトを検出したという。

ぼくが昨年、チェルノブイリ原発から3.5キロにあるプリピャチの公園内で測定したときは、18マイクロシーベルトだった。
そこよりも高い値である。

28マイクロシーベルト×24時間×365日=245ミリシーベルト

ホットスポットである。

Dh000112

3月15日前後、福島市や郡山市でも放射線量が高い値を示していたことがたいへん気になっていた。
アスファルトが多い都市では、放射性物質は何度かの雨で流されてきれいになる。
しかし、土があるところ、路地や花壇、道路わきの用水路などは放射性物質がとどまっている可能性がある。

チェルノブイリ原発から200キロ離れたゴメリでは、町中は早い時期からきれいになったが、その周りの畑や山林では今も高いレベルの汚染が残っている。

いろんなグループが呼びかけをして、福島の子どもたちの疎開を考えたほうがいい。
せめて夏休みだけでも、福島を離れてはどうか。
信州では、受け入れる用意をしているので、ぜひ、考えてもらいたいと思う。

写真は、チェルノブイリの放射能汚染が残る畑

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原発事故267

少しだけいい話。
2号機の使用済み燃料プールで、循環冷却機能が回復した。
温度を下げることができれば、建屋内での今後の作業がすすみやすくなる。
燃料用プールの冷却はおそらく1~4号機まで成功するだろう。

しかし、一番の課題は原子炉の冷却。
水を注入して冷却するだけでは、汚染水の処理に困る。
汚染水をもう一度使いなおす閉鎖式のサイクルで冷却しないかぎり、問題解決にはならない。
ひびが入った圧力容器や格納容器で、閉鎖的な循環冷却に成功するかどうか。これは実に難題である。

IMDの国際競争力ランキングの評価では、熟年労働者の技術に関しては、日本は世界で6位。
なんとか早く原子炉の循環冷却に成功し、放射能漏れの状況を収束しなければならない。

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柔軟な支援を

仮設住宅を整備することも大事だが、仮設住宅にこだわる必要はない。
仮設住宅にかかるお金を、新しい家をつくるときのローンの一部として支給すれば、早く家が建ちはじめるのではないか。
避難所では苦しみが慢性化している。
早く、希望をもって、人生の再スタートを切らせてあげたい。

避難所から社会復帰できる人たちを少しでも増やすように、法律をつくり直すなど、柔軟な方法をとっていく必要があるる

野党が仮設住宅のことを責めたからといって、仮設住宅だけつくればいいと思いこまないほうがいい。
仮設住宅は、復興への一段階なのだ。

政策はつねにやわらかく、タイムリーに。
困難のなかにいる人のために、政策をときには変更してもかまわない。

ドイツでは、福島原発の事故を受け、あっという間に古い原子炉7基を廃炉にすると決めた。すべての原発を2022年までに廃止することも決めた。
このスピードは見習いたい。

困難のなかにいる人をまず助けることが大事である。

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2011年6月 4日 (土)

8割が再開

石巻市医師会長からお礼状をいただいた。

市医師会の8割が全壊や半壊、2人の医師が亡くなったが、2ヵ月半して、8割の医療機関が再開にこぎつけた。
9軒の医療機関は廃院あるいは長期の休院になっている。
5月から休日在宅当番医制、妊婦健診も再開、6月からは乳幼児健診も実施を予定している。
少しずつ快方に向かっている。

JIM-NETが毎週金曜日に巡回診療に行っている入釜谷地区では、診療所が流され、開業医が亡くなっている。。
河北地区の大川小学校が近くにあり、この地区一帯はたいへんな被害を受けた。
傷は深かったが、少しずつ復興が始まっている。

諏訪中央病院の金子先生が先週、応援に入った。
来週からはオク先生が救援に入る。

しかし、一般のボランティアも減っている。
医療関係者の支援も徐々に撤退傾向にある。

被災者たちの精神的な疲労は強い。
長期的な支えが必要だと思う。

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原発事故266

南相馬市は4つの区域に分かれている。
警戒区域、20キロ圏内で立ち入りが制限されているところだ。
計画的避難区域、南相馬ではほぼ避難を終えている。
緊急時避難準備区域、ここがいちばん広い。
そして、何も制限されていない区域。

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子どもたちの多くは、原発から32キロ離れた小学校に通っている。
本来の児童数は120人であったが、現在は321人。
廊下やランチルームや図書室までも教室にしている。
お昼ごはんはおにぎり一個とりんご一切れ。

病院も、脳卒中に関連する疾患に関して、5人以内72時間以内の入院しか認められていない。
小児科の専門医の診察を受けることはできない。

にもかかわらず、南相馬市にはもどってくる市民が多くなり、4~5万人の人が生活している可能性がある。
子どもたちの教育の場や病院は、ライフラインの一つである。
緊急時避難準備区域はこのライフラインがいびつな状況になっている。
長期間、市民生活を続けるにはまったく適していない。

緊急時避難準備区域には、田村市、川内村、広野町、楢葉町などの一部が指定されている。

長期戦に備え、このいびつな状況をどうしていくか、難しい問題である。

写真は、3/25に撮影した南相馬市の様子

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スイスの仲間と不思議な縁

ジュネーブの中条さんのグループから、JCFに65万円のご寄付をいただいた。
今までにも、バザーをしていただいたり、あたたかな応援をいただいてきた。

以前、そのお礼に、ぼくと神谷事務局長がジュネーブで講演をしたが、そのときもホームパーティを開いて、応援してくれたのを今でも鮮明に覚えている。

そのホームパーティーは、ぼくにとって忘れられないものとなった。
そのときぼくは、パレスチナの12歳の少年がイスラエル兵に殺され、少年の心臓がイスラエルの12歳の少女に移植されたという話をした。
すると、ジュネーブの方々が、殺された少年の父親や、臓器移植を受けた少女の家族のことを調べてくれたのである。
それがきっかけとなり、ぼくは昨年、少年の心臓が結びつけた二つの家族に会いに、パレスチナとイスラエルを訪ねることができた。

今年8月には、パレスチナから、殺された少年の父親イスマイルさんをお呼びして、講演会をしようと思っている。
同時に、この命のリレーの話を絵本にしようと準備をすすめている。
瀬戸内寂聴さんにも帯を書いていただいた。
ピーター・バラカンさんにも英訳してもらった。
できたら、イスラエルの子どもや若いお母さんに読んでもらいたいと思っている。

恨みは何も生まない。
世界を救うのはあたたかさだと信じている。

困難のなかで日本を建て直しながら、地球環境をどう守るか、世界の平和をどうつくるか、同時進行的に大きな課題を解決していけなければならない。

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2011年6月 3日 (金)

おしらせ

明日6/4は、毎日新聞「さあ、これからだ」の5回目の連載が掲載される。

前回、震災関連死を防ごうと、必死で取り組んできた気仙沼の特別養護老人ホームのことを書いた。
震災直後から避難してくる障害者を次々に引き受け、入所者たちが廊下にあふれだしても、それでも断らなかった。
必死に引き受けながらも、感染症も出さず、二ヵ月半持ちこたえた。
その原稿を、職員の方たちも読んでくれたようだ。

自分たちがしてきたことが、どんなにすごいことだったのか、あらためてわかった。
みんな大感激。
そんなうれしい手紙を、特養の方からいただいた。

最近、批判や悪口や愚痴が横行している。
批判や愚痴や憎しみ、恨みは何も生産しない。
今、日本に必要なのはあたたかな連鎖。
この連載では、あたたかな風を吹かせることを心がけて書いている。
ぜひ、お読みください。

6/6は、「あさイチ」(NHK総合、8.15~)に出演する。

6/6発売の週刊ポストでは、久しぶりに震災のことから離れてエッセイを書いた。

6/8は、「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送、13.0~)に出演する。
ぼくの出番は、14時20分~。
ほぼ月1度、タイミングが合うと出演していたが、ここ2ヶ月はタイミングが合わなかった。久しぶりの出演である。
大竹さんのほうが若く見えるが、実は同い年。
なんとなく気が合う。
大竹さんは、ゲストにぼくを呼んでおいて、自分が言いたいことを一方的に話しまくることが多い。
ときどき何のために来たのか、わからなくなることがある(笑)。
社会に対する怒りをもつ、大きな人だと思う。
ぼくも話したいことがいっぱいあるので、負けないように話しまくりたい。

ぜひ、チェックしてみてください。

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今年もチョコ募金

JIM-NETは、石巻で千人風呂プロジェクトや在宅ケア支援など特徴的な支援を展開しているが、ずっとやってきたイラクの子どもたちの医療支援も継続している。
劣化ウラン弾の廃絶を訴え、イラク戦争の検証を行っていく予定だ。

先日、井下先生がイラクに入った。
アルビルの事務所では、日本人スタッフの阪口さんがつめている。
バグダッドやバスラに、現地のスタッフが活動しているが、アルビルでそれらの支援をコーディネートしている。

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JIM-NETのサポーター会員も安定して1000人を超えるようになった。
ぼくたちが活動できるのも、多くの人に支援してもらっているお陰と感謝している。

今年度もチョコレート募金を行おうと、理事会で検討中。
昨年度は12万個を完売したが、今年は13万個を販売する予定。
夏には、鎌田が六花亭の社長にお会いする予定だ。

今後とも、JIM-NETにご協力をお願いいたします。

写真は、緑が美しい諏訪中央病院の庭

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手紙

アトランタに住んでいる日本人の方からメールをいただいた。
元CNNリポーターのキャサリン・コックさんが、日本の被災者を救おうとあたたかな手紙を送るプロジェクトを開始。
たくさんの、感動的な手紙が集まっているという。
それを、翻訳ボランティア190人が、日本語にしてくれている。

ぼくは、6月10日、南相馬市の原二中で、慰問講演をする。
ぼくの命の講演だけでなく、サプライズゲストもかけつけてくれる予定。

そのときに手紙プロジェクトの趣旨を説明して、参加者に渡したらどうかと、南相馬で支援活動をしている高橋さんが、いいサジェスチョンをくれた。
英文と日本文があるならば、日本の中高校生は喜んでくれるのではないか。
もしかしたら、被災した日本の学生と、手紙をくれたアメリカ人と交流がはじまるかもしれない、なんて夢が広がる。

今回、アメリカ軍は被災地で命がけの活動をしてくれた。
20キロ圏内に入り、遺体捜索もしてくれた。
原発事故への対応も、おしみなく協力してくれている。
被災地では多くの人たちが、アメリカに感謝していると思う。

いろんな考えの人がいるが、仲良くなって悪いことはない。
愚痴や憎しみ、批判は何も生み出さない。

今、ぼくたちの国では、愚痴や批判が横行している。
憎しみも横行している。

今回の震災を機に、日本は強くて、あたたかくて、やさしい国へ舵を切るべきだ。

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2011年6月 2日 (木)

政治家の言葉の力

原発の安全神話をつくった政治の責任は重い。

5/29の毎日新聞によると、小泉元首相は講演会で、自民党政権時代に「日本が原発の安全性を信じて発信してきたのは過ちだった」と語ったという。
そして、原発をこれ以上、増やすのは無理、世界に先駆けて自然エネルギーを推進しないといけないと述べたという。

小泉さんは、ぼく個人はあまり好きではない。
しかし、この人の言葉には力がある。
的確に状況を読み、切り開く力がある。
この国の物語を語ることができる政治家だと思う。

小泉さんの考え方は好きではないが、物語を語れる政治家がいま本当にほしいと思う。

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年をとること

文藝春秋スペシャル季刊夏号「老後の核心」で、「混沌を生きる」というエッセイを書いた。
年をとると、いいこともある。
チェルノブイリの子どもの医療支援、イラクの子どもの医療支援、そして、東日本大震災で南相馬に支援に入ったときのこと。
支援の仕方を考えながら、年をとることもまんざらじゃないということを書いた。

だが、年をとると悲しいこともある。
東京でお世話になった人を連れて行く店がある。
実は、そんな店は一軒しかない。
シェ・ルネという店で、看板も出ていない。気さくな洋食屋という感じだが、とことんおいしい。
1964年にモンパルナスの、正確にはわからないが、いくつもの☆をもらうような店で修行し、38年前に、新橋演舞場のはす前に店を出した。
開高健がこよなく愛した店。
なんでもおいしいが、ムール貝は特別だ。

その店が幕を閉じるという。
年をとるとだんだん怖いものがなくなっていくが、店仕舞いや幕引きに立ち合わなくてはならない。それはさびしいことだ。

いつかぼくも、そんなときが来るのだろう。
幕引きのときが来るまで、精一杯カマタらしく生きるしかないと、今は覚悟を決めている。

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2011年6月 1日 (水)

届かぬ義援金

東日本大震災の義援金が、5/27までに2389億円集まっている。
そのうち、支給がすんだのは287億円にとどまっているという。

行政も被災し、行政力が低下している面もあるのだろう。
しかし、被災者にとって、お金は大きな力になる。

現地を歩くと、少しずつラーメン屋さんなどが再開しはじめている。
そんなお店を応援するには、お金がほしい。
避難所などで、何がほしいかと訪ねると、今はお金という答えが多くなった。

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早く被災者にお金を届けるべきである。
2000億円もののお金が宙に浮いているなんて、被災者の痛みがよくわかっていない。
行政が被災し、配る力がないなら、他の行政から応援を出すべきだと思う。

日本の行政マンは優秀で、志も高い。
きっと、被災した行政を助けたいと思っている人たちはたくさんいる。
そんな思いを受け止めて、コーディネートする人も必要だ。
その役割を、政治がすすめていったらどうだろうか。

各党から国会議員を一人ずつくらい出して、超党派で、義援金をすばやく配分する。
同時に、行政のシステムを見直しながら、一気に改善させることもできるはず。
やれることから、まずやろう。
被災地にあたたかな血を通わせていく必要がある。

政局の争いなんてしている場合じゃない。
具体的な問題を着実に解決してくべきだ。

写真は、花が咲く諏訪中央病院の庭

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動画:千人風呂の歌

石巻永巌寺の境内にひらいた「不動の湯」
ボランティアに来てくれているピースボートの仲間が、「千人風呂の歌」を作ってくれた。

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多彩な支援が必要

石巻市の入釜谷地区への巡回診療に、松本の神宮寺の高橋住職が同行した。
被災者の心のケアが求められているなかで、高橋さんは被災者の話をゆっくり聞いてくれる。

震災発生から2ヶ月半たち、ずっと緊張状態だった被災者の心は疲れ果てている。
そこで、高橋さんのような、心がわかる宗教者の支援は心強い。

高橋さんは心のケアをしながら、同時に、具体的な生活上の問題も見つけ、解決しようとしている。
入釜谷地区でも、お風呂の問題があった。

Img_3904

実は、この地区のお風呂の問題は、以前から相談を受けていた。
一軒だけお風呂が壊れなかった家があり、そのお風呂を地区の人がみんなが使っていた。
その家の方がいくら親切でも、2ヶ月半はちょっと長すぎる。
原村のハセヤンと相談し、この地区に五右衛門風呂を3つほど運ぼうかと考えていたところに、高橋さんから電話があった。
週一回、バスをチャーターし、隣町の温泉に連れて行く計画ができたというのだ。

さすが、高橋住職だ。
自分のお寺に集まった募金で、しばらくやれるところまで応援しますということだった。

入釜谷地区は、被害が大きかった海岸沿いの地区の一つである。
川を挟んで隣にある大川地区もそうだ。
大川小学校では7割の子どもが亡くなった。
11人いる先生のうち9人が亡くなった。

家を失くし、子どもや先生を失ったこの地域は、本当に傷ついている。
心温かな医療者や、高橋さんみたいな宗教者など、まだまだ多彩な応援が必要だ。

写真は、石巻の希望の湯。あつい心のメンバーたちにより、たくさんの人がお風呂に入れることができている

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知恵を集めて土壌改良を

週刊朝日6/10号で、飯舘村の畜産農家や特別養護老人ホームを訪ねたときの様子を紹介している。
「お年寄りと牛の涙」
そこには不条理があった。
なんにも悪いことをしていないのに、風と雨と里山の小さな高低差のために、たくさんの放射性物質が降りつもってしまった。

Photo

どうにかして、この土地をきれいな状態に戻すことを考える必要がある。
原子力に詳しい専門家、放射能を食べてくれるというロドコッカスなどに詳しい生物学者、土壌改良に詳しい専門家・・・いろんな人の知恵を集めながら、やれることからやったらいいと思う。

土地を汚れた畜産農家は、しばらく仕事を続けられない。
その人たちをどう支えるか。
たとえば、土壌改良するとき、その土地の農家の人を雇う形で給与を払い、専門家集団からサポートを受けながら、土地をきれいにするために働いてもらうというのはどうか。
農家の人の生活も支えることができるし、その土地を再生していく希望ができる。
キャッシュ・フォー・ワークという考え方だ。
その土地を守ることができれば、地域で生活してきた人たちの絆も守ることができるのではない。

Img_3948

夢のような話だが、こういう土壌改良プロジェクトに取り組むNPOがたくさんできたらいい。
手ごたえがありそうならば、政府が効果があった土壌改良の方法を全村的に展開していけばいいのではないか。

下の写真は、飯舘村の畜産農家

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