鎌田劇場へようこそ!(76)
「ぼくたちは見た-ガザ・サムニ家の子どもたち-」
古居みずえ監督。
悲しみ、憎しみ、怒りがあふれている。
子どもたちの心が傷ついている。
少女は、両親が下敷きになって亡くなった廃墟で、一日の大半を過ごす。
顔に絵の具を黒く塗りたくる。
殺された両親のことをいつまでも忘れられない。悲しい。
イスラエルにやってきたユダヤ人たちの同胞は、かつてホロコーストの犠牲になった。
悲しみが身にしみているはずなのに、いまはパレスチナ人を悲しませている。
人間の心には魔物がすんでいる。
そんなことを思わせる映画だ。
しかし、映画は少しずつトーンが変わっていく。
監督が子どもたちの心を救っていくのだろう。
子どもたちの心が変わりはじめる。
「祈ります、そして、神を敬います。そして、我慢します」
両親を殺された怒りは消えようはずもないが、憎しみの連鎖を暴力や戦争へと広げないようにしようとする子どもたちの感性がみえてくる。
イスラエルの大人たちよりも、パレスチナの子どもたちのほうが大人だなと思った。
イスラエルとパレスチナがいつか分かり合える日が来ることを祈る。
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