思いを継ぐ
昨年、大学の野球部の1年先輩(ぼくがキャッチャーで、先輩はピッチャー)から講演を頼まれ、北関東のまちを訪ねた。
講演の前、一人の患者さんに会ってほしいといわれ、病室に案内された。
その患者さんは、この地域では信頼される看護師であり、同時に看護学校の教授も長く務め、若い看護師を育てていた。
がんの末期であった。
それから半年ほどして、亡くなられた。
40歳前後という若さだった。
ご主人から何度もお手紙をいただいた。
奥さんが看護学校の授業で資料に使わっていた参考書や本を全部、諏訪中央病院看護専門学校に寄贈してくれることになった。あたたかい申し出だった。
諏訪中央病院の庭
最近、また、ご主人から手紙をもらった。
「妻のピアノを処分した代金を寄付させていただきたい」
お金が入っていた。
看護学生のために、本の購入に充ててほしいという。
「東北の大震災で多くの看護師さんがたいへんなご苦労をしていると思います。
看護学生がはやく活躍できるといいですね」という文が書かれていた。
ご主人は生活を180度変え、尾瀬の湿原で山林の管理をするという。
なんともかっこいいなと思った。
最愛の妻を亡くし、つらいのだろう。
あたたかな応援に感謝し、亡くなられた方の思いを継いで、看護学生をしっかり育てないといけないと思った。
いまは三年生の「看護哲学」の授業が終わり、一年生の「看護概論」を教えている。
これからキューブラー・ロスのがんになった後の患者さんの心の変容について授業をする予定だ。
全力でいい授業をしたいと思う。
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