原発事故331
この夏、福島の母子が白樺湖にサマーキャンプにやってきた。
そのとき、ぼくはお母さんたちに放射線の話を2回ほどしたが、その後、ぼくを取り囲んで、いくつも質問された。
そのなかにこんな質問があった。
チェルノブイリでは6000人の小児甲状腺がんが発生したというが、重症で亡くなった子どもはどれくらいいるのか?
IAEAやWHOがまとめたデータでは、小児甲状腺がんで亡くなった子どもは15人となっている。
これに対して、異論を唱えている学者もいる。
15人というのはわかっている数字であり、現実はもっと多い可能性がある。
ただ、小児甲状腺がんの多くの子どもも助かっている現実もある。
6000人のうち、死亡者は15人よりも多い可能性はあるが、チェルノブイリ原発事故で発生した小児甲状腺がんに関しては、ほかのがんに比べて予後がいいと考えていい。
3月下旬に政府が行った福島県の高汚染地域の子ども1150人の内部被曝検査では、45%の子どもにわずかだが、被曝が確認された。
1ミリシーベルト以内なので、がんになる可能性は少ないと考えていい。
ただ悔しいのは128億円をかけて開発したSPEEDIの予測結果が、公表されたなかったこと。これはかなり大きなミスである。
屋内退避を命じていれば、45%の子どもも被曝しないですんだかもしれない。
大したことがないとSPEEDIのデータを隠したのだが、3/12~15の間にベントが行われ、15日の明け方3時に、東電社長が福島第一原発からスタッフの撤退を決定した。
おそらく東電の幹部はこの時点でメルトダウンが起きたことをほぼ確認していたのではないだろうか。
それを隠し続け、原発推進派の学者たちは「大したことはない」と言い、官房長官も原発はコントロールできると言い続けてきた。
その後、政府が東電を説得したり、脅かしたりしながら、政府と東電の総合本部をつくったわけだが、このときにすでに大変なことが起きていたのは、間違いがないと思う。
このことは、事故検証委員会がきちんと検証してくれることを期待したい。
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