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2011年9月

2011年9月30日 (金)

10/16おらほの復興市

JIM-NETでは石巻で在宅ケアや千人風呂プロジェクトなどに取り組んでいるが、その石巻で10/16、復興市が開かれる。
石巻、女川、東松島の地域が復興に向けた取り組みを、県内外に発信しようというものだ。
「おらほ」とは、「私たちの」という意味。

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会場では、石巻焼きそばや、浜焼き、スイーツなど地元の味を楽しめるほか、新鮮な野菜や果物、水産加工品、地酒、手工芸品などの地場産品、復興Tシャツなどの販売もある。
郷土芸能や特別ゲストが出演するステージ、子どもたちが楽しめるこども広場などもあり、一日楽しめるように趣向がこらされている。

石巻に初めて行く人も、ボランティアとして訪ねたことがある人も、今も支援活動を続けている人たちも、石巻を応援したいという人も、ぜひ、足を運んでもらいたい。
「おらほ」の秋を楽しみながら、復興への一歩を体感できる一日になると思う。

【催事名称】おらほの復興市 ~石巻・女川・東松島~

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【開催日程】2011年10月16日(日)午前9時~午後3時
【開催場所】石巻市総合運動公園 石巻市南境字新小堤18番地
  最寄り駅 JR石巻駅(無料シャトルバス JR石巻駅発8.30、10.0、11.30、13.0/石巻専修大学からは随時)
  駐車場 会場500台 石巻専修大学700台

(→クリックすると拡大します)

【集客見込】5,000名
【開催概要】石巻圏域(石巻・女川・東松島)の地場産品、飲食物販売、ステージ、こども広場、他
【開催体制】主催:おらほの実行委員会
     実行委員長…窪木好文(社団法人石巻青年会議所)
  後援:石巻市・女川町・東松島市(東松島市のみ申請中)


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絵本の力③

ぼくは、こどもたちに本物の聴診器を見せて、
「お医者さんだけれど、絵本もかいている変なおじさん」と自己紹介した。

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「ぼくをだいて」(はたよしこ著)という絵本を読んだ。

風だいて、ぼくをだいて
草むらだいて、ぼくをだいて
雲だいて、ぼくをだいて
空だいて、ぼくをだいて

美しいフレーズが繰り返されていく。

3ヶ月ほど前、ぼくは寺内公民館にできた仮設の幼稚園を訪ねたことがある。
30キロ圏のなかの3つの幼稚園が集まっていた。

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子どもたちのなかには、ぼくのことを覚えてくれている子もいた。
そのとき先生たちが、「子どもを草むらでゴロゴロさせてあげたい」と言っていた。
しかし、いま子どもたちに安心して草むらでゴロゴロさせてあげることができない。
ぼくたち大人の責任である。

絵本は最後にこんなフレーズを終わる。

お母さんだいて、ぼくをだいて

もし、お母さんを地震や津波で亡くしている子がいたら、と心配になった。
ぼくも子どものころ、お母さんがいない時期があった。
いろんな人がぼくを抱いてくれた。
抱いてくれる人がいっぱいいると救われる。

元気がない子がいたら、ぎゅっとしてあげるといいね、とぼくが言ったら、子どもたちは大きな声で、はあい、と答えてくれた。

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絵本を読み終えて、握手をしたり、ハイタッチをしたりして別れた。
一人の女の子がぼくのところにやって来て、ぎゅっとしてくれた。
なんだかとてもうれしくなってしまった。
子どもを元気づけようとして来たのに、小さな子にぎゅっと抱かれて、生きている感激を味わうことができた。

「ぼくをだいて」

いいフレーズだと思う。

                     ◇

絵本の読み聞かせのとき、福島大学の学生たちがボランティアに入ってくれた。
小さな子どもたちに対して、きめ細かいサポートをしてくれた。

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JIM-NETでは福島大学のボランティアセンターと協力し、三重県の伊勢志摩の海水浴場に福島の子どもたち招待したが、そのときにもボランティアとして参加してくれていた。

絶望的な状況のなかで、あたたかな希望がたちあがりはじめている。

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絵本の力②

娘が17歳のとき、「お父さんのこと、嫌い」と言われた。
ぼくはそのころ、病院の仕事にばかり打ち込み、家庭を顧みなかった。
その娘と仲良くなるきっかけをつくったのが絵本だった。
孫が生まれて、孫たちに絵本を読んで聞かせている。
絵本を読んでいくうちに心が和んでくるのを感じる。

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この夏、福島の子どもたちが信州にサマーキャンプにやってきた。
130人の子どもたちが健康診断を受けた。
頭痛を訴える子15%、腹痛を訴える子15%、鼻血がある子12%、眠れない子20%。
子どもなのに眠れないなんて。
けっこう大変な数字だなと思った。

石巻市の被災者1400人を対してにした調査では、大人の43%に睡眠障害が疑われるという。
大人も子どもも、不眠を訴えている。

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ぼく自身、絵本に救われた思いがあるので、どうしても福島の子どもたちに絵本の読み聞かせをしたいと思った。
子どもたちの心をなんとか守ってあげたいと思ったのだ。

南相馬市立中央図書館は、いくつも読み聞かせをする部屋がある。
柳田邦男の部屋、いせひでこの部屋、鎌田實の部屋と、子どもたちがぐるぐる回ってあるいて、3人の読み聞かせを楽しんでくれた。

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絵本の力①

先週、南相馬市立中央図書館で、作家の柳田邦男さんと、絵本作家のいせひでこさんと3人で、絵本の読み聞かせをした。

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とてもすばらしい図書館で、置いている絵本の数はハンパではなかった。
居心地もいい。
屋上にテラスがあり、「天空のテラス」と呼ばれていた。
泣ける場所だという。
図書館のなかに泣ける場所があるなんていいなと思った。

柳田国男さんは、息子さんが亡くなったとき、救ってくれたのが絵本だったという。
この話は「鎌田實 いのちの対話」に出演していただいたときにお聞きした。

絵本を通して、何かを伝えることができると思う。

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2011年9月29日 (木)

原発事故348

野田首相が国連などで演説した。
演説がうまい人なはずなのに、なんとも歯切れが悪い。
ドイツの新聞は野田首相の演説を聞いて、「原発擁護」と見出しをつけた。
脱原発依存ということをしっかり言ったはずなのに。

期待していたのだが、また肩透かしを食らいそうである。
もう民主党はどんなにあがいても、次の選挙で勝てるとは思えない。
だとしたら、身を捨てて、正しいことをきちんとすること。
いろんな人に気に入られるような演説ではなく、正しいと思うことを述べるべきだと思う。

やろうとしていることはそんなにかわらないはず。
明確に述べることが大事。
あやふやに述べるから、原発擁護といわれてしまう。

野田さんは、きちんとした哲学をもったほうがいい。
ドイツが10年で原発を止めるなら、日本は7年で止めるという目標をかがけるべきである。
そこに至るアプローチは、いろいろあっていいと思う。
それは、野田さん流のやり方でやればいい。
電力供給が心配ならば、ストレステストをしっかりやって、厳しい条件のもとで原発を動かしながら、徐々に止めていけばいい。
その間に、新しいシステムのエネルギーを確保していく。
そこに、政治や経済、技術、哲学を集中させていく。
新しいエネルギーのあり方に関して、すべての知を結集すべきである。
いまさら、「世界で最も安全な原発をつくります」なんていったって、だれも信用してくれない。

反原発の人からも、原発推進の人からも票を集めようなんてしないことだ。
ぶれない信念が必要だ。

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原発事故347

JCFでは、食物の放射線測定器で測定をはじめているが、気になるデータが出た。
群馬の農家の方から送ってもらった、雨どいなどの廃水側溝部分の土からセシウム134が一キロ当たり4190ベクレル、セシウム137が4880ベクレル、ヨウ素131が78.5ベクレル検出された。
問題は、ヨウ素である。
いま、ヨウ素がでる理由がわからない。
ウランの核分裂が行われた結果として出たヨウ素の可能性があるように思う。

ヨウ素131の半減期は8日で、3ヶ月たつと2000分の1になる。
6ヶ月たった今ではほとんど消えていなければならないが、いま検出されたということは最近、放出された可能性を考えなければならない。

8/25に奥州市の下水処理場で高濃度のヨウ素131が検出されているが、最近になって全国何カ所かでヨウ素131が検出されている。
大きな病院で、甲状腺検査などで使われたヨウ素だという説もあるが、そうは思えない。
一緒にセシウムが出てくる理由がまったくないのである。

福島第一原発の格納容器のひびが入ったところから、ヨウ素がわずにから出ているのではないか。
非常に気になる。
今後も、丁寧にフォローしていくつもりだ。

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原発事故346

JCFでは、食物の放射線測定器を購入し、測定をはじめた。
支援してくださる群馬県の農家の方から、土やジャガイモ、モロヘイヤ、チンゲンサイなどを送っていただき、測定した。
ジャガイモもモロヘイヤもチンゲンサイも、ヨウ素131も、セシウム(137、134)も不検出であった。
田んぼの土5~10センチもすべて不検出。
表土はセシウム137が203ベクレル、セシウム134が171ベクレル、ヨウ素は不検出であった。

Img_3213 ベラルーシの洋ナシ。果物の規制値は1キロあたり40ベクレルだが、日本では果物の規制値はなく、野菜の暫定基準値500ベクレルが目安にされている。

3/15のメルトダウンのときに風が南に吹き、水戸の辺りで西に向かい、群馬を通り、南魚沼のほうまで行っている。
この時期に雨が降った地域などは少しセシウムが残っている可能性があると考えた。

これでわかることは、表面の土は汚れているが、10センチ下は不検出なので、表土をとって除染することが有効だということ。
ただし、表土をすべて剥ぎ取るのは体積が大きくなりすぎる。
微生物でセシウムを集中的に集めるなどの作戦を考えないと、埋める場所に困ってしまう。
放射能は、消すことはではない。
燃やせば大気中に放出されるし、埋めれば地下水を汚す可能性がある。

表土を除染するなら、体積をできるだけ小さくする技術を開発する必要があると思う。

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2011年9月28日 (水)

この人に会いたい(29)田原総一朗さん

田原総一朗さんと次号の「がんサポート」で対談した。
奥様の節子さんが乳がんで亡くなったときの話をうかがった。

どんなに奥様を愛していたか、堂々と話してくださった。
この年齢の男性はなかなかシャイで、愛について語れない。
その点、田原さんはさすがだ。

Img_8797 田原総一朗さんと

乳がんが全身に転移しはじめたとき、奥様は自由に動けなくなった。
そのとき、お風呂で体を洗ってあげたりするのがとても新鮮だったという。
日本のがん治療からはじまって、経済や政治、原子力問題など、話が広がり、とてもおもしろい対談となった。

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2011年9月27日 (火)

原発事故345

ホールボディカウンタの検査も少しずつ行われてきたが、あまりにも検査の開始が遅かった。
1ミリシーベルト以下の微量の放射性セシウムが見つかった人が若干名いるが、健康に影響はなく、経過観察ということになっている。
だが、セシウムの体内被曝が認められたということは、もっと早い段階で検査していれば、放射性ヨウ素(I-131)も見つかった可能性がある。
放射性ヨウ素は、セシウムの10倍は出たと推測されている。
I-131の半減期は8日と短いため、3ヶ月で2000分の1に減る。
放射性ヨウ素が体内被曝で検出されないからといって、問題がないとは言えないのだ。

Img_3210 ベトカの診療所に通院しているおばあちゃん(2010年8月撮影)

このブログで述べてきたとおり、福島原発事故はチェルノブイリに近い大きな被害を出していることはもう間違いがない。
ドイツは原発問題に関して倫理委員会をつくっているという。
そのメンバーには哲学者や宗教者、社会学者が入っているという。

哲学が大事だと思う。
ぼくは看護学校で「看護哲学」を教えているが、看護だって哲学が必要である。
もちろん、最先端の生殖医療や移植医療、遺伝子医療などにも必要である。
原子力も哲学が必要だといつも思ってきた。
『なさけないけどあきらめない』(朝日新聞社)は、ポスト・フクシマを生きる哲学をどう構築するか、考えた本である。

二項対立の○か×かで、○の生き方を探す時代ではなくなった。
○に近い△の生き方を探さざるを得ない状況をぼくたちは生きている。
今後、日本の原子力をどうするか、哲学が問われているように思う。
ドイツのように政府の諮問機関である倫理委員会を設け、原子力の専門家だけでなく哲学者や宗教者、社会学者がエネルギー問題を議論するというのが必要ではないか。

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原発事故344

8月初旬、1、2号機の原子炉建屋付近で毎時10シーベルト以上の放射線が出ていた。
その後、どうなったかわからない。
10シーベルトというのは、1万ミリシーベルトであるが、年間1ミリシーベルトと言っているときに、毎時1万ミリシーベルというのは、とてつもない数字であることがわかる。
浪江町赤宇木地区では毎時32マイクロシーベルトだった。
1日8時間屋外で過ごすとすると、1年間の外部被曝利用は190ミリシーベルトになる。
これも大変な数字である。
もちろん、避難地域の住民は避難したが、事故から2ヶ月の間におそらく50ミリーベルトは浴びているという。
もっと早く避難指示を出していれば、被曝量を減らすことができたと思う。

残念なのは、せっかく避難した先が、福島市や郡山市など毎時3.2マイクロシーベルトといった地域が含まれていたことだ。
避難先が汚染されていたというのは、チェルノブイリでもよくあった。
ベラルーシの医師たちが、自らの政府を自嘲的に語っていたのを思い出した。

気になるのは、福島第一原発の周辺の海の汚染。
福島県沖約50キロのところで採取されたマダラから1キロ当たり0.03ベクレルのストロンチウムが検出された。
過去の核実験の可能性も否定できないが、今回の原発事故に関係していると考えると大変気になる。
β線のストロンチウム90は骨に蓄積して骨のがんになりやすい。
α線のプルトニウムは肺に蓄積して肺がんになりやすい。
これらβ線やα線も、きちんと測定し続ける必要がある。

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2011年9月26日 (月)

原発事故343

福島市と郡山市などの福島県43市町村の野生きのこが出荷停止になった。

森の土壌改良などは難しい。
チェルノブイリでも25年たっても森はきれいになっていない。
福島県頭部の野生きのこに関しては、長期的に慎重にフォローしていく必要がある。
原木栽培のシイタケも、木が放射線で汚れている可能性がある。

Img_3262 ベラルーシの村。木々は青々と茂っているが、放射能は消えていない(2010年8月撮影)

20年前、チェルノブイリに行ったとき、家のなかで放射線量がいちばん高かったのは、ペチカの周囲だった。
汚染された森の木や、強制移住され廃墟となった家の材木が燃料になっていたからだ。
きのことともに、木も注意する必要がある。

また、福島の産業廃棄物焼却施設から1キロあたり14万4000ベクレルの放射性セシウムが検出されている。
ガレキ撤去が進むにつれ、焼却灰の問題が浮上してきた。

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原発事故342

震災後1週間で、初めて30キロゾーンに初めて医療支援グループとして諏訪中央病院の医師と看護師が南相馬に入ったが、もてもと福島の医師数は不足していた。

Img_3129 ベラルーシの小児科病院(2010年8月撮影)

全国平均の医師数は人口10万人あたり212人であるが、福島では183人。
震災後、南相馬を中心にした浜通りの相双地区では、44人の医師が病院を去った。
民間病院も医師が集まらない。
福島県を出た住民も多く、開業小児科も閉院せざるを得なくなっている。
今の病院の命綱である研修医も集まりづらくなっている。
福島の医療崩壊をどう防ぐか、みんなで考えていかなければならない。

これから200万人の県民の長期間にわたる健康調査をしたり、一般科だけでなく精神科の需要も増えてくる。
医療システムをどう支えるか喫緊の課題である。

県も国も早急に手を打たなければ、傷はどんどん深まるばかりだ。

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2011年9月25日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(87)

「マーガレットと素敵な何か」

東北へ行く電車のなかで、よく映画をみる。
電車はぼくの移動映画館。

誕生日に突然届いた一通の手紙、それは7歳の自分からのメッセージだった。
父親が破産していなくなり、母親と弟との三人暮らしとなる。貧乏な苦しい生活。
そんな7歳の「私」が、将来の「私」に手紙を書いた。
貯金箱のお金を使って、公証人に未来の私に届けるように約束する。
公証人も子どもだましのわずかなお金なのに、約束を守る。
仕事が絶好調の40歳の誕生日というときに、7歳の私から手紙が来る。
なんとも映画らしい見事な空想だ。
映画だからこんなストーリーができる。映画のいいところだ。

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ソフィー・マルソーは、40代になっても素敵。
かつての自分の夢は何だったのか、自分らしい自分とは。
うまくいっていそうな自分のなかに、実はそうでもない自分がいたり、大事なものを捨ててきている自分に気がつく。
仕事に役に立たない時間は全部削除してきた。
弟とも十何年も会っていない。
徐々にそんな家族の絆に気づいていく。
いろんなことを考えさせてくれるおしゃれな映画だ。

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2011年9月24日 (土)

10/18講演会のお知らせ

鎌田の講演会があります。
ぜひ、聞きに来てください。

1018event クリックすると拡大します

<講演の夕べ Part.25>

2011年(平成23年)10月18日(火)

於:よみうりホール[JR有楽町駅前ビックカメラ7F]
http://www.yomiuri-fudousan.co.jp/yomiuri-hall/11.10.html

開場 PM5時 開演 PM6時  終了 PM8:45予定
前売券 1,700円
当日券 2,000円
全席自由

第1部(PM6:00)
『自然の力・人のいのち』-大震災を体験して-
福島県相馬市長 立谷秀清氏

第2部(PM7:20)
『困難な時代をどう生きるか』-「がんばらない」けど「あきらめない」-
諏訪中央病院名誉院長 鎌田實

チケットのお申し込み
○清林寺さんがの会
 TEL:03-3821-2581 FAX:03-3821-6110
 URL: //www.seirinjisanga.com

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大人のかわいさ

シティボーイズミックス「動かない蟻」をみてきた。
相変わらず、大竹まことは不気味でおもしろい。
大竹まことも、斉木しげるも、きたろうも、舞台で生き生きしている。
ラジオのスタジオで時々すれ違うきたろうさんとはまるで違う。

辺見えみりがいい味を出している。
シティボーイズは不条理劇をやっているようにも見えるし、単なるおちゃらけをやっているようにも見える。これが、なかなかいい戦略である。

大竹まことはかわいくて、かっこいい。
子どものように生き生きと楽しそうである。

どんなに忙しくて、一年間にこういう時間があるのはいいなあ。
大竹まことが大竹まことらしくいられる秘密が、この舞台にあるように思った。
こういう芝居を続けてほしい。

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2011年9月23日 (金)

お知らせ

「日経マネー」11月号では、鎌田が北海道の六花亭をたずねたときの記事が掲載されている。

六花亭は、毎年JIM-NETが展開しているチョコ募金のチョコレートをつくっていただいている。
毎年、楽しみにしていてくださる方もおり、六花亭のチョコレートだからと買ってくださる方も多い。

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あらためて六花亭の企業理念をうかがい、発見がたくさんあった。
ぜひ、お読みください。

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原発事故341

東京電力が電気料金の約15%の値上げを検討しているという。
許せないなと思う。

電気料金は、総括原価方式という方法で決められている。
人件費や燃料費、修繕費などの費用を積み上げるまではまあまあ当たり前であるが、最大のからくりは発電所などの総資産額に3%程度の報酬率をかけて算出していることである。
必ずマージンを3%とるというも許せないが、人件費や燃料費ではなく、総資産額に3%をかけるというのがまったく納得いかない。
当然、今後の賠償費用も総括原価に含まれることになる。

東京電力がミスをしても、焼け太りで利益があがるというのは、納得いかない。
事業報酬の利潤を3%上乗せすることだけでなく、全体の原価に対しても厳しくメスを入れる必要があると思う。

民主党はこれをやらなければ国民の信頼は得られない。
国民も、政府の手腕を厳しくみていく必要がある。

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2011年9月22日 (木)

原発事故340

岩手県奥州市の下水道課が8/25、汚泥採取したなかから、2300ベクレルの放射性ヨウ素131が検出された。
8/11には不検出だったが、8/25に突然、2300ベクレルの高濃度が検出され、その後、8/31に590ベクレル、9/6に480ベクレルと徐々に減っていることから、8/25の高濃度は間違いではないだろう。

Img_3072 ベラルーシのヒマワリ畑(2010年8月撮影)

放射性ヨウ素が突然、ある地方の汚泥から見つかることはありえない。
3月に放出されたものはほとんど消えているはずである。
放射性ヨウ素131の半減期は8日で、30日もするとほどんどゼロに近づく。

8/25に2300ベクレルまで上がったということは、この時期にウラン235の核分裂反応が福島原発で起きていたことが推測される。
8/15~23までの間に、核分裂反応の結果出てきた放射性物質が、穴のあいた格納容器から漏れ出た可能性は否定できないように思う。

これからは放射性セシウムを中心にストロンチウムやプルトニウムに注意していけばいいと思っていたが、まだまだ放射性ヨウ素に関しても注視していかなければならないことがわかった。
それにしても、不気味だ。

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2011年9月21日 (水)

原発事故339(追記あり)

米の放射性セシウム検査が行われているが、ND(不検出)という結果が目立つ。
これは、サツマイモやジャガイモと比べて、米はセシウムの移行率が低いからだと思う。

Img_3196 ベラルーシ共和国ベトカの診療所の壁には、放射能汚染された食物のニュースが張り出されていた(2010年8月撮影)

地表や地中の放射性セシウムは、米のどの部分に取り込まれるかというと、根に3%、茎や葉に73%、もみがらに7%、ぬかに10%といわれている。
白米の部分は、7%と低い。
そのため、多くの早場米や一般米でNDという結果になったのだろう。

米のセシウム移行率が低いことは、米を主食にする日本人にとってラッキーだった。
暫定基準値は500ベクレル以下とされているが、米の規制値を10ベクレル以下にしてはどうか。
そうすることで、国民の米に対する安心感は高くなるし、風評被害を防ぐことができると思う。

~~追記~~

米の調査は玄米の段階で行われている。
白米を食べることが多いので、厳しい調査ということになる。
ただし、サンプル調査なので、隣の田んぼのお米はどうかという疑問は残る。
全量検査が望ましいが、できなければサンプル数をできるだけ多くして、しかも玄米の段階で調査することで、国民の信頼につながると思う。

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2011年9月20日 (火)

鎌田写真館~つながり

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左からサマハさんのお父さん、アハメド君のお父さんのイスマイルさん、サマハさん、そしてカマタ。
60年以上の間、戦いつづけてきた国同士の家族がいま、理解と感謝でつながっている。

政治の力で和平交渉をしてきたが、いまだ平和は実現していない。
しかし、ふつうの市民がお互いに尊敬し、大切に思うことで、いつか平和はくると思っている。

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今年11月、ぼくはサマハさんの両親とイスマイルさんを日本に招待する。
そして、京都と東京で講演会を開き、心臓移植のこと、命、平和、絶望から希望を生み出すためにすべきこと・・・を語り合おうと思っている。
日程や会場が確定したら、お知らせしたいと思う。

ぼくは、岩次郎さんに拾われて、命がつながった。
岩次郎さんにもうお返しはできないが、少しでも平和に貢献できたらうれしい。

日常の家庭や職場や地域をしっかり見つめながら、東北や日本、そして世界のことを考えてみてもらいたい。
自分の日常は、間違いなく世界とつながっているのだから。

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2011年9月19日 (月)

鎌田写真館~「医者になりたい」

サマハさんに、浴衣をプレゼントした。
日本の浴衣に、お母さんや親戚の人たちも興味津々。

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桜のもようの浴衣が、とても似合っている。

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「来年医学部を受験する。医者になれたら、いつかパレスチナの子どもを助けられる医者になりたい」

サマハさんのこの言葉を聞いて、ぼくは絵本をつくろうと決意した。

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サマハさんの家のリビングには、アハメド君の写真が飾られていた。
この一家は、アハメド君のことを忘れていない。

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2011年9月18日 (日)

鎌田写真館~二番目のお父さん

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亡くなったアハメド君の主治医は、とても好人物だった。
父親のイスマイルさんを精神的に支えてきた。

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アハメド君の心臓を移植され、命をつないだ少女の家を訪ねた。
1階は親戚が、2階は少女の家族が住んでいるという。

少女の名はサマハ。18歳になっていた。
サマハさんは、アハメド君の父親イスマイルさんを「二番目のお父さん」と呼んだ。
二人の間になごやかな空気が流れた。

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2011年9月17日 (土)

鎌田写真館~壁

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63年前にイスラエルが建国されて以来、パレスチナとの間に紛争が絶えない。
イスラエルは入植地を広げ、その周りを壁で囲っている。
パレスチナは産業がなく生活が苦しいが、もともとパレスチナのものだった丘の上には、イスラエルの高級住宅地が広がっている。

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よく見ると、道の脇には鉄条網が張られている。

そして、町を分断する高さ約10メートルの壁。
パレスチナとイスラエルの現状を象徴するような壁だ。

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『アハメドくんのいのちのリレー』(集英社)は、こんな両国の間でうまれた実話である。
昨年夏、パレスチナとイスラエルを訪ねたときの写真を、これから何回かに分けて紹介していきたいと思う。

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夏の収穫

岩次郎農園でこの夏もトマト、きゅうり、レタスなどが採れた。
自家製野菜を、にんにく入りのラー油で食べる、というのが今、カマタが気に入っている食べ方。

1109103__ 自家製野菜と、グリーンカーテンのゴーヤでつくったゴーヤちゃんぷる。行く夏に感謝

節電のために植えたゴーヤも、涼しげなグリーンカーテンを作ってくれた。
立派な実もなって、ゴーヤちゃんぷるに。

ゴーヤのグリーンカーテンは本当にいい。
来年の夏は、もっとたくさん植えて、岩次郎小屋をぐるりと囲みたいなあ。

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2011年9月16日 (金)

チョコ募金スタッフ募集

今年もJIM-NETでは、チョコレート募金を行います。
今回は、イラクの子どもの医療支援と、東日本大震災の被災者の支援のため、14万個を販売します。
そこで、JIM-NETでは募金にかかわる業務の担当者、特に、JIM-NET最大の募金プロジェクトとなるチョコ募金キャンペーンの業務を担っていただく方を募集します。

Dscn3366 イラクの子どもたちのイラストをプリントしたチョコ缶をもつカマタ(昨年10月)。おいしくて、かわいいと大好評。今年度のチョコ募金の準備も着々とすすんでいる

募集人員;1名
職務内容
1)  募金キャンペーン業務の管理
・営業活動、資金管理、パート雇用等
2)JIM-NETの支援活動のサポート全般

資格;JIM-NETの活動内容・方針に深い理解を持ち、業務を遂行すること
・企業経営、団体運営に関心のある方、営業能力かつコミュニケーション力に自信がある方を求めています。
・OA機器に強い方・事務局ネットワーク管理ができ、事務能力のある方歓迎

待遇;当団体規定による  ※試用期間2011年11月より3ヶ月
勤務地;JIM-NET東京事務所(高田馬場 徒歩5分)
勤務時間;平日10~18時(実働7時間)/ 12月~チョコ募金キャンペーン終了までは9時~18時(実働7時間)を基本とします。
※イベントなどにより休日出勤の場合もあり
契約期間; 一年間 (継続もあり)

応募方法;郵送でお申込ください。 2011年9月30日〆切
1)  履歴書(写真添付・職務経歴記入)
2)  志望動機 A4サイズ1枚程度(形式問わず)
※   書類選考 → 一次面接 → 二次面接 →内定
(不合格者には郵送で履歴書の返送と一緒に書面をお送り致します)

問い合わせ;JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク) 担当:榧野ヒカリ
〒171-0033 東京都豊島区高田3-10-24 第二大島ビル303
℡/fax 03-6228-0746  /  info-jim@jim-net.net http://www.jim-net.net/

スタッフ一人ひとりが限られた仕事をこなすのではなく 積極的に幅広い業務にチャレンジし、戦争の被害者であるイラクの子どもたちや、震災で被害を受けた方々を支援したいと思っています。
一緒に汗を流してくださる方、ぜひ、ご連絡ください。

ぼくたちJIM-NETという団体は・・・

続きを読む "チョコ募金スタッフ募集"

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希望の湯、閉湯

湊小学校の避難者の多くは仮設住宅に移った。
いぜん70人は残って避難生活を続けるものの、湊小学校の避難所は一つの節目を迎える。
これに伴い、校庭に設営した希望の湯も、本日16日で閉湯となる。

その直前に、利用者が2万人となった。
記念として、鎌田の本『希望 命のメッセージ』『へこたれない』『アハメドくんのいのちのリレー』にサインして、プレゼントした。

1109101__ 希望の湯利用者2万人を記念して、プレゼントした本

2万人目のおじいちゃんは松浪町からやってきた常連さん。
2万1人目は、川内町のお父さん。
2万2人目は、タオルを巻くお手伝いをしてくれていた湊小学校避難所のおばあちゃん。
このおばあちゃんには被災者でありながら、いろいろな形で応援していただいた。
お祝いの本を喜んでもらえた。
2万3人目は、いつもクールで伏し目がちにバンダイの前を通り過ぎるお兄さん。この日はとてもにこやかだった。
2万4人目は、初めて来たとき、お風呂の縁が高くてまたぐのが怖いといっていた避難所のおばあちゃん。3日目からは慣れたから大丈夫と言い、同じ部屋のおばあちゃんとおしゃべりしながらお風呂に来るようになった。
1万9999人目の方には、イラクのサブリーンの絵がかかれている手ぬぐいをお贈りした。

20000 2万人目の常連のおじいちゃん

20002200042 2万2人目と2万4人目の利用者さん

たくさんの人たちに愛された希望の湯は、いよいよフィナーレ。
本日16日には閉湯式を行い、みんなに惜しまれながら閉じることになる。
閉湯式には、ご協力いただいた地元や東京、新潟の企業や関係者の方々も出席する。

きょうは最後の湯を楽しみに、150~200人が来るという。
京都の一澤信三郎帆布のご厚意で、本日の利用者みんなにバッグをプレゼントする準備もしている。
ぜひ、ご近所の方も最後の「希望の湯」に入りにきませんか。

                   ◇

みなさん、ありがとう! 

希望の湯は、本当にたくさんの方々にお力をお借りした。
十日町市の株式会社グリーンエナジーの小海社長には、どんなガレキでも燃やせる高機能のボイラーを長期間お貸しいただき、上水道や下水道が機能しなかったときから協力し合って、被災者の方々がお風呂に入れるようにしていただいた。
新潟で自らが被災した経験から、お風呂が大切なことを実感し、いち早く大型テントやボイラーなどを石巻に運んでくれた。
被災地に技術を伴った献身的な協力を行った中小企業に対して贈られる賞を受賞されたそうだ。

ボイラーのご協力をいただいた朝田商会、濾過機のご協力をいただいたサイエンス、のぼり旗をつくっていただいたり、いろいろなメンテナンスをしていただいた小西造型。
仙台から来た人は、大型のテントを専門的に設置してくれた。
ボランティアは、北海道から四国まで日本中から集まった。
仕事を休んで参加してくれたサラリーマンも、学生も、被災者みずからもボランティアをしてくれた。
多くの企業からは、ミニ化粧セットなど、物資の寄付もしていただいた。

JIM-NETの一員の「アラブの子どもとなかよくする会」の西村陽子さんは、ヨルダンで活動していたが、大震災のために帰国。
お風呂の横に小屋をつくり、4月からの5ヶ月半ずっと希望の湯を支援してくれていた。
アラブ支援を行っているご主人も、日本に来たときには一緒に、希望の湯をもりたててくれた。閉湯後、西村さんはしばらく後片付けをし、ヨルダンに渡ることになる。

そして、このブログをご覧のみなさんにも、たくさんの応援をいただいた。
今日まで「希望の湯」を続けることができたのは、たくさんの方々のおかげである。
被災してお風呂に入れなかった方たちに、感染症予防と血行改善、そしてなにより、心も体もあたたまるお風呂を提供できたと思う。

心から、深く感謝いたします。

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2011年9月15日 (木)

今さらドラッガー

「週刊ポスト」9/16号に、もしも鎌田がドラッガーを読んでいたら、てなことを書いた。
ぼくは、「もしドラ」なんて本もアニメもみていない。
今さらドラッガーという感じだった。

Photo

20年前、NPOの運営や諏訪中央病院の経営のために、ドラッガーを読んだことがある。
ぼくは本を汚す癖がある。
折ったり、貼ったり、書き込んだりすることで、鮮明に記憶にとどめようとする。
20年ぶりにその本を見かえしてみると、自分でもこんなに一生懸命ドラッガーを読んでいたのかと驚くばかりだった。
熟読していたのだ。
JCFやJIM-NETは年間7000万円前後の予算で活動しているが、ドラッガー理論が間違いなく役に立っているなとあらためて気付いた。

JIM-NETの活動費のために、『希望』(東京書籍)も出した。
この本の印税はすべてJIM-NETを通し、被災地支援にあてられる。
これもマネジメントだ。
16日には東京で講演会&サイン会があるので、ぜひ、ご協力をお願いします。

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原発事故338

チェルノブイリでは、事故後25年たった今も、30キロゾーンのなかで4000人の労働者が爆発した4号炉の管理をしている。
溶けた燃料棒は取り出すことができず、ひび割れた石棺からは放射線が漏れ出ている。

多くの労働者は4日働いて3日休むとか、厳しい仕事では15日働いて15日休むなど、休みを保障されているため、労働力には困らないといわれている。
1日10マイクロシーベルト以上にならないように働くシステムになっているという。
1日10マイクロシーベルトという数字は、とてもたいへんなことだ。

Img_3039 かつての原発労働者のまちプリピャチの廃墟

昨年7月、チェルノブイリの30キロゾーンに入ったとき、原発から300メートルの地点や、3.5キロ離れたプリピャチの廃墟で、毎時17マイクロシーベルトあった。

労働者は、30キロゾーンのなかに点在するホットスポットに気をつけなければならない。
25年経ったチェルノブイリでも、まだこんな惨状が続いている。

この先の福島のことを考えると、重いものがのしかかる。

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2011年9月14日 (水)

お知らせ

9/16は、『希望』(東京書籍)出版記念の講演会&サイン会。
午後7時~9時、丸善丸の内本店(東京駅丸の内北口オアゾ内)3F日経セミナールームで開かれます。
開催店舗にて対象書籍をご予約、お買い上げの方、先着100人に整理券をお配りします。
(お問い合わせTEL:03-5288-8881)
大震災と希望について語ります。

9/19は「鎌田實 いのちの対話」(NHKラジオ第一、9.05~)。
今回は、山梨県甲州市から生放送。
「納得して生きる」をテーマに、俳優で歌手の上條恒彦さん、歌手のクミコさんと語り合います。

9/21は、南相馬で、ピアノと講演の夕べ。
絵本作家のいせひでこさんと作家の柳田邦男さん、ピアニストのウォン・ウィンツァンらとともに「いのちを大切にどう生きるか」を語ります。
絵本の読み聞かせやピアノ演奏もあります。
会場は、南相馬市民文化会館(ゆめはっと)大ホール。
開演18.15(開場17.30)、入場は無料です。

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台風のなか

先日、台風のなか西本願寺で講演を行った。
会場は、親鸞聖人750回大遠忌で、御影堂の大きな軒から鉄パイプが組まれ、まるでロックコンサートのようだ。
これから何十万人という檀信徒がお参りにくるという。

110907__

あいにく台風12号が来て交通が乱れたが、3000人入るというホールには、2000人が集まった。

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原発事故337

東電が初の原発事故全体の報告書を出した。
それによると、全電源喪失よりも、地震後の津波で、非常時に原子炉に注水するために重要な給水ポンプのモーターがすべて水をかぶり、動かなくなったことが重大な原因となったと考えているようである。
非常用電源も、三重、四重の確保ができていなかっただけでなく、給水ポンプなどの命綱がまったく防衛されてないことがわかった。

Img_3017 チェルノブイリ原子力発電所を遠く望む(2010年8月撮影)

しかも、1~3号機まで、ことごとくベント作業に失敗している。
ベント作業の訓練がなく、マニュアルもできていなかったのではないかと思う。
原発の安全性を強調するあまり、事故への備えをすべてを投げ捨てている。
やらなくてはいけないことを一切やっていなかったことがわかる。

津波ではなく、地震により配管などが破砕したことが原子炉の暴走につながったのではないかという意見に対しては、これだけの報告書でははっきりしない。
原発事故検証委員会できちんと検証してもらう必要がある。

津波が来る前にすでに、地震だけで原発の暴走がはじまっていたとすれば、さらに今後の原発の安全確保は厳しい話になってくる。
地震国日本で原発を動かすことのリスクをどう考えるか、原発安全神話は捨て、科学的にディスカッションする必要があると思う。

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2011年9月13日 (火)

山形の肉そば

山形県河北町で有名な肉そば。
肉は鶏肉である。
一見、あたたかいおそばのようだが、実は冷たい。
そのつゆがとてもおいしい。

1109102__ 不思議な味わいの冷たい肉そば

河北町には、ソースカツどんという自慢のB級グルメもあるようだ。
この冷たい肉そばはとても愛されていて、ラーメンバージョンもあると聞いた。
冷たいしょうゆラーメンの上に、山盛りの大根おろしをかけて食べるという。

江戸時代から紅花油で栄えた豊かな町で、古いお雛様がたくさん残り、街道には美しい町並みが続く。
そんな町で食べた肉そばは、不思議なおそばだった。

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原発事故336

福島県農業総合センターでは、キロ当たり5000ベクレル以上の汚染土壌で米を栽培する実験を行っている。
その結果、6万3000ベクレルの高汚染の土壌で栽培した米でも、80ベクレルであったという。
米は放射性物質の移行度が比較的低い作物と思われる。
作物のなかで、ジャガイモは移行しやすいといわれている。
大根やにんじんは中間くらい。
移行しにくいのはホウレン草やトマトという。
米も移行しにくい作物の一つなのかもしれない。

米は、日本人の主食。
政府は、500ベクレルというざっくりとした暫定基準値を見直し、はやく本格的な基準値を決めるべき。

米に関しては、不検出のものだけを市場に出すことで、米の安全性や流通や市場の健全性を保つことができるのではないか。

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2011年9月12日 (月)

お知らせ

明日13日午後2時25分から、「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)に出演する。

大竹さんとの打ち合わせはほとんどなく、どんな話になるかわからない。
大竹さんの思いつきでトントン話がすすむが、出演しているぼくはハラハラドキドキである。
政治に怒っているときには一直線に、痛烈な批判で盛り上がる。
ぼくは出版した本の話をしてもらいたいと思っているのに、大竹さんとの話に盛り上がり、政権の批判をしてすごすごと帰ってくる。
そんなことがよくあるラジオ番組だ。

明日は、どんな話が飛び出すか。
ぜひ、お聞きください。

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原発事故335

福島県の20市町村101地点で行っていた早場米の緊急時モニタリング検査の結果、福島、二本松市など計10検体で10~41ベクレルの放射性セシウムが検出された。
暫定基準値を下回ったため、全県の早場米の出荷が認められた。

一般米も、予備検査の結果公表がはじまっている。
これまでのところ、6市町村51検体のうち、2検体で98ベクレルと14ベクレルが検されたが、残りは不検出だったという。
今のところ、福島の米に関しては暫定基準値以下ということになり、出荷が認められる。

だが、1キロ当たり500ベクレル以下という、暫定基準値そのものがいいのかという根本的な問題がある。
米は、日本人にとって毎日食べる主食である。
週に1度食べるような野菜などよりは、基準は厳しいほうがいい。

出荷については、すべて暫定基準値500ベクレル以下だったのだから、さらに踏み込んで、放射性物質が不検出の米だけを市場に出すという決断をするのはどうだろうか。
そして、微量の放射性物質が認められた米は、きちんとそのことを明記して、違うルートで売る。
その情報を自分で判断して、福島の農家を応援したい人はその米を食べるか決めればいい。

暫定基準値以下だからといって、不検出の米も微量検出の米もすべて混ぜて市場に出してしまうと、かえって福島の米が売れなくなってしまうのではないか。

らでっしゅぼーやの福島の応援野菜セットや、カタログハウスの福島産の野菜が非常に売れているが、それらは一つひとつの野菜についての情報がきちんとされているからである。

福島の米はすべてが暫定基準値以下で、放射性物質が検出されたものも微量で、しかも数が少ないということを考えれば、微量検出の米はほかのルートで、きちんと情報を明示して売るのがいいと思う。
こういうマネジメントの感覚が、国や県にあるか問われている。
国がやらなければ、県がやるべきではないか。

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原発事故334

汚染地域を明確にしたほうがいい。
チェルノブイリでは55.5万ベクレル(15キュリー)以上の汚染地域を農業禁止区域とした。
転居もすすめた。
148万ベクレル(40キュリー)以上を強制以上区域としている。
チェルノブイリでは強制移住区域が3100平方キロメートルあったが、福島県ではこれに匹敵する区域がどこに、どれだけ広がっているのか。
はっきりと示したほうがいい。

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2011年9月11日 (日)

仮設カフェ

石巻の仮設住宅の一角にカフェが開かれた。
一回目の先週木曜は、38人が来たという。

阪神淡路大震災では、仮設住宅で孤独死が問題になった。
その教訓から、仮設住宅の入居者の孤立化を防ぐことが重要課題になっている。

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5_2 石巻の仮設住宅の内部。入居者の孤立化を防ごうと、仮設の一角にカフェが始まった。(撮影は、JIM-NETの熊さん)

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原発事故333

食物の放射線測定を徹底すべきである。
システマティックに測定すべきと書いてきたが、その一つは測定器の使い分けがヒントになる。
たとえば、島津製作所では、50ベクレル以下のものは測れないが、流れ作業的にチェックできる測定器を出している。
日本の多くの食品の暫定基準値は500ベクレルであるので、この測定器でチェックし、母乳など子どもの口に入るようなものは、50ベクレル以下も測れる精度の高い測定器を使う。
つまり、速く測定するもの、詳しく測定するものを使い分けるのだ。

日本では果物の暫定基準値はないが、ウクライナでは70ベクレル、ベラルーシでは40ベクレルである。
幼児の食べ物の暫定基準値も日本にはなく、ウクライナでは40ベクレル以下、ベラルーシでは37ベクレル以下としている。
日本では、牛乳は200ベクレル以下だが、それ以外の肉も魚も野菜も水も500ベクレル以下。

外食チェーンなどでも、50ベクレル以下の食品は使わないと公表すれば、消費者に対する安心効果を生み出すと思う。

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2011年9月10日 (土)

10/9講演会

10月9日、大阪府堺市で鎌田實の講演があります。
テーマは、「がんばらないけどあきらめない―地域で支えるいのち」。

地域医療に取り組んできた鎌田が、地域の力を語ります。
ぜひ、お越しください。

★第2回 地域いきいきセミナー
鎌田 實講演「がんばらないけどあきらめない―地域で支えるいのち」

日時:10月9日(日)13:00~(開場は12:00)
会場:財団法人堺市産業振興センター イベントホール
(堺市北区長曽根町183番地5)
入場料:前売 1,000円 当日 1,500円

主催・お問い合わせは、三国ヶ丘マッサージ治療院(0120-392-034)

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原発事故332

福島県の捕獲されたイノシシ12頭から563~3221ベクレルの放射性セシウムが検出された。
二本松、相馬、南相馬のイノシシである。
茨城県日立沖で獲れたエゾイソアイナメからも、540ベクレルの放射性セシウムが検出されている。
4月のコウナゴ以降、暫定基準値を超えたの海産物は初めてである。

風向きや汚染水の垂れ流しによって、海を汚染している可能性が高い。
以前、阿武隈川などの鮎をはじめとする川魚が汚染されたというニュースが出たが、川の汚染は海にもつながる。

魚の暫定基準値は500ベクレル以下となっているが、ウクライナの規制値並みの150ベクレル以下に見直してはどうか。
健康危害も、風評被害も、少なくするには規制値を厳しくするほうがいい。

イノシシが汚れ、アイナメが汚れ、放射能汚染はチェルノブイリに近い状況になってきた。
システマチックに食物の放射線測定をできるようにすべき。
JAやJF、食品会社が行うだけでなく、一般の主婦が日常の食べ物を測定できるようなシステムが必要である。

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2011年9月 9日 (金)

お知らせ

明日10日の毎日新聞朝刊に、鎌田の連載「さあ、これからだ」が掲載されます。

被災地を訪ね、絶望的な状況のなかで見つけた、人間の生きる力や希望を書いてきました。
12回目の今回は、「子どもたちの『希望』」について書いています。
津波に流された学校のガレキのなかから、トランペットやアコーディオンを見つけて喜ぶ子どもたちの笑顔に未来を感じました。

連載は隔週土曜。かなり大きなスペースをいただいて連載しております。
ぜひ、ご覧ください。

827 JIM-NETが取り組んできた千人風呂プロジェクトのお風呂

JIM-NETが、「週刊現代」8/13号で「被災地にお金を出すなら寄付金、義捐金ファンド教えます」という特集で、お金の行き先が明確なNPOの5位にランクされていました。
「医師・鎌田實氏が主催する団体で、福島大学有志が行う福島子どもリフレッシュ・サマーキャンプなどを支援している」と紹介されています。

830 JIM-NETのお風呂の利用者。いい笑顔(上の写真とこの写真の撮影は、JIM-NETの熊さん)

JIM-NETは、福島での活動も開始、除染活動にも参加しています。
以前から続けていた石巻での千人風呂プロジェクトも、利用者が9/12ごろ、2万人を突破しそうです
2万人目の方には、前後賞合せて5人の方に、『希望 命のメッセージ』(東京書籍)をプレゼントしたいと思います。

Photo_2

この本は、佐藤事務局長の写真に、鎌田がエッセイを書いたもので、印税はすべてJIM-NETを通して、被災地支援のために使われます。
また、2万人達成後は、京都の一澤信三郎帆布のバッグのプレゼントなども企画中です。

JIM-NETの活動にご注目ください。
そして、引き続きご支援をお願いいたします。

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今こそ、がんばらない

岩手、宮城、福島の被災求職者の就職が2割にとどまっているという。
フロイトは、困難な状況に遭遇しても生き抜くことができる二つの大事な要素があるという。
一つは、働く場があることと。もう一つは愛する人がいること。
人間が生きてくうえで、働くということはとても大事なのだ。

818 雨上がり、石巻で(撮影はJIM-NETの熊さん)

被災求職者の就職が2割というのは、政府の無策が影響している。
野田政権は、何の分野でもいいから雇用拡大をすべきである。
復興のための第三次補正予算を使い、徹底的に雇用拡大をすべきである。
震災で解雇、休業となった人も10月中旬には、失業手当ての受給が延長される特例が終わる人が出てくる。

被災関連と思われる自殺者は、6月が16人、7月は11人いた。
不眠になったり、精神的にまいっている人は多くなっている。

読売新聞の「声援」に、「復興を目指して」というタイトルで、今こそがんばらないとぼくは書いた。
震災から半年たとうとしてる今も、相変わらず、がんばれ東北、がんばろう東北と叫び続けているが、もういいかげんやめたほうがいい。
被災者の闘いは、長い。
がんばれ、がんばろうのスローガンだけでは続けられない。
長い闘いを勝つには、がんばったり、がんばらなかったり、それぞれのペースで闘い続けることが大事だということを、みんなが肝に銘じる時期がきたように思う。

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2011年9月 8日 (木)

お知らせ

1877_issue_img

「婦人公論」9/22発売号の第2回「僕の好きな女性」の連載があります。
新宿の雑踏の中、キリンと歩いた。
行きかう人たちがぼくたちを振り返った。
キリンは、モデルのあの人です。
さて、だれでしょう、お楽しみに。

「kotoba」秋号の鎌田の連載「我々はどこから来て、どこへ行くのか」は、中南米のジャングルで生きるエンベラ族の人々と触れ合ったときの話を書いています。
原発に囲まれ、大量の電力を消費しているぼくたちは本当に幸せなのでしょうか。Kotoba_2

今週発売の「週刊朝日」は、「鎌田實が語る自宅の怖いミニホットスポット」とちょっとおどろおどろしいタイトルです。
JCFが南相馬で行っているフイルムバッジの測定や、除染活動について紹介しています。

ぜひ、ご覧ください。

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原発事故331

この夏、福島の母子が白樺湖にサマーキャンプにやってきた。
そのとき、ぼくはお母さんたちに放射線の話を2回ほどしたが、その後、ぼくを取り囲んで、いくつも質問された。
そのなかにこんな質問があった。

チェルノブイリでは6000人の小児甲状腺がんが発生したというが、重症で亡くなった子どもはどれくらいいるのか?

IAEAやWHOがまとめたデータでは、小児甲状腺がんで亡くなった子どもは15人となっている。
これに対して、異論を唱えている学者もいる。
15人というのはわかっている数字であり、現実はもっと多い可能性がある。

ただ、小児甲状腺がんの多くの子どもも助かっている現実もある。
6000人のうち、死亡者は15人よりも多い可能性はあるが、チェルノブイリ原発事故で発生した小児甲状腺がんに関しては、ほかのがんに比べて予後がいいと考えていい。

3月下旬に政府が行った福島県の高汚染地域の子ども1150人の内部被曝検査では、45%の子どもにわずかだが、被曝が確認された。
1ミリシーベルト以内なので、がんになる可能性は少ないと考えていい。
ただ悔しいのは128億円をかけて開発したSPEEDIの予測結果が、公表されたなかったこと。これはかなり大きなミスである。
屋内退避を命じていれば、45%の子どもも被曝しないですんだかもしれない。

大したことがないとSPEEDIのデータを隠したのだが、3/12~15の間にベントが行われ、15日の明け方3時に、東電社長が福島第一原発からスタッフの撤退を決定した。
おそらく東電の幹部はこの時点でメルトダウンが起きたことをほぼ確認していたのではないだろうか。
それを隠し続け、原発推進派の学者たちは「大したことはない」と言い、官房長官も原発はコントロールできると言い続けてきた。
その後、政府が東電を説得したり、脅かしたりしながら、政府と東電の総合本部をつくったわけだが、このときにすでに大変なことが起きていたのは、間違いがないと思う。

このことは、事故検証委員会がきちんと検証してくれることを期待したい。

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2011年9月 7日 (水)

原発事故330

8/21~27、1941件の食品の放射性物質の検査が行われた。
暫定基準値を越えたものは23件。
思ったよりも少ないが、ウクライナやベラルーシより基準値が甘いということが大きな原因だと思う。

JAやJF(漁業組合)、食品会社などは自力で食物の放射線量をリアルタイムに測り、公表するシステムづくりが大事だと思う。
「ニュースエブリィ」(日本テレビ系)でぼくは、ベラルーシの放射線測定のシステムの話をした。
人口2万人のベトカ地区では、地域の人が露地でとれたトマトや庭の梨などを持ち込むと、すぐに放射線量を測定してくれ、食べれるかどうか確認することができるのだ。

そういうシステムが、福島などにできるといい。
放射線測定器の費用は、国が3分の2、県が6分の1、市町村が6分の1ずつ負担するというのもいいかもしれない。

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原発事故329

JCFでは、みなさんにご支援していただいたお金で、食物の放射線測定器の購入の準備をすすめている。
放射線測定器はいま品薄で、なかなか手に入らない。
JCFでは、早い段階から手配していたので、近々購入できそうである。

南相馬の妊婦や乳幼児にフイルムバッジを貸与して、積算放射線量をモニターしているが、南相馬の主婦の人たちも、この食物の放射線測定器を利用して、少しでも内部被曝の不安を軽減してもらいたいと思っている。
産婦人科医の高橋亨平先生も、食物の放射線測定器はありがたいと言ってくれている。
また、JCFは松本を中心にした信州の人たちにもお世話になっているので、信州の人たちも測定できるようにするというのが、課題の一つである。
カタログハウスとも話し合いながら、協力してもらえないか話をしている。

Photo カタログハウスの「福島っ子の夏休み」に参加した若いお母さんたち。放射線と健康についてのぼくの講演の後、たくさんの質問を受けた。

以前、日本の食品の暫定基準値に比べ、ウクライナやベラルーシの規制値は厳しいということを書いた。http://kamata-minoru.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-3801.html
ベラルーシの規制値について、もう少し補足しておきたい。

飲料水は、日本では200ベクレルに対して、ベラルーシでは10ベクレル。
牛乳は日本が200ベクレルに対して、ベラルーシは100ベクレル。
ジャガイモと根菜は日本が500ベクレルで、ベラルーシは80ベクレル。
果物は日本ではないので野菜と同じ500ベクレルが用いられているが、ベラルーシは40ベクレル。
野菜は日本が500ベクレル、ベラルーシは100ベクレル。
生きのこは日本は500ベクレル、ベラルーシは370ベクレル。
乳幼児食品の規制値は日本にはないが、ベラルーシは37ベクレルである。

ウクライナとベラルーシの規制値と比べると、日本の暫定基準値は多くのものが500ベクレルで、非常に大雑把な印象がある。

野田政権は、まず食物の放射線基準値を見直し、「暫定」ではなく本格的な規制値をつくるべきと進言したい。

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2011年9月 6日 (火)

原発事故328

原子力安全・保安院は3/11~13に関しての1号機の解析結果を、官邸に報告していなかったことが今ごろわかった。
原子力安全・保安院も安全・保安院だが、報告をしていないことに気がついてない官邸も無能である。

3月11日午後5時ごろ、菅首相は一回目の会見をしていて、放射能は放出していない、コントロール可能というようなことを言っている。
しかし、午後5時過ぎには、1号機の燃料棒は溶融がおこりはじめていたはず。
午後9時21分にはメルトスルーがおき、85%の燃料棒が溶けて圧力容器から格納容器の底へ溶け出しているはずである。
このころも原子力推進派の学者たちはテレビに出て、5つの防御システムがあるからまったく心配ないと言い切っていた。

炉心溶融がおきていた午後5時ごろの時点で、ベントを行う決断ができたかどうかは大事なところである。
翌12日のベントでは遅い。
なぜ、ベントを行う決断が遅れたのか。
なぜ、放射性物質を除去するベントのフィルターがついていなかったのか。
なぜ、ベントが簡単に作動しなかったのか。
なぜ、原子力推進派の学者たちはテレビでだいじょうぶと言っていたのか。その根拠は何か。

原子力問題は民主主義が問われているわけで、すべてのことをオープンにして検証したほうがいい。

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2011年9月 5日 (月)

仮設住宅カフェ、求むパチンコ台

石巻では、仮設住宅の入居者が集えるようなカフェをオープンすることになり、その運営をJIM-NETが任されました。
神戸・新潟の震災の教訓を生かし、仮設住宅入居者の孤立化を防ごうというものです。

3 石巻の仮設住宅。この一角にカフェがオープンする(撮影はJIM-NETの熊さん)

中年の男性も来てもらおうということで、お茶を飲むだけでなく、パチンコ台も置こうということになりました。
パチンコ台は1台だけ手に入りましたが、台や玉を寄付してくれる人がいればうれしいです。
玉がたくさん出たら景品を出そうということで、マルハンから景品の寄付もいただいています。

石巻で在宅ケアに取り組んでいる川添、重岡、日下部看護師らは、明るく元気なカフェにしたいといろいろ企画を練ってます。
まずは、パチンコ台と玉の寄付をお願いします
そして、いい知恵があったら教えてください。
カフェのオープンは、8日木曜。
JIM-NET事務局(電話03-6228-0746、メールフォーム)までご連絡ください。

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石巻で活動している諏訪中央病院の医師は、雄勝仮設診療所や東松島町の石垣クリニックの手伝い、石巻日赤病院のERに入っています。

千人風呂プロジェクトのほうは、永厳寺から場所を移した不動の湯は、一日約40人が入浴に来ています。
湊小学校の希望の湯は、約110人が利用しています。
湊小学校の避難所は、仮設住宅の設置がすすんだために人数が減りました。
避難所が今月中に閉じられる場合は、希望の湯も撤収になる可能性が出てきました。
たくさんの人たちに喜ばれてきたお風呂も、ゴールもみえてきたようです。
石巻市でもお風呂が2箇所できたこともあり、千人風呂プロジェクトも節目を迎えようとしています。
在宅ケアなど、石巻への支援プロジェクトは来年3月までしっかりと続けていくつもりですので、引き続きご支援をお願いいたします。

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9/19「いのちの対話」

19日は「鎌田實 いのちの対話」(NHKラジオ第一、9.05~)が放送される。

今回のテーマは、「納得して生きる」。
歌手の上条恒彦さんとクミコさんをゲストに迎え、山梨県甲州市からお送りする。

たっぷり3時間、命の話を語り合う。
ぜひ、お聞きください。

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2011年9月 4日 (日)

命結

いま朝の時間、聴いているのは加藤登紀子さんからいただいた「命結-ぬちゆい」という新しいアルバム。
再生への祈りをこめてつくられたという。
「今どこにいますか」は、なかなかすばらしい。
飯館村でも5月、この曲を歌ったそうだ。
チャリティーコンサートをしたり、現地に飛んでいって慰問コンサートや災害FMにボランティア出演したり、加藤登紀子さんの何かしたいという思いは本物だ。

加藤登紀子さんはほろ酔いコンサートをしているが、今年の12月10日、大阪の梅田芸術劇場では、なんと、トークゲストとして鎌田が舞台に立つ。
東日本大震災のことを語り合いたいと思っている。

「命結-ぬちゆい」は、9/28発売。
ぜひ、お聞きください。
12月には、福岡、埼玉、大阪、東京、名古屋など各地でほろ酔いコンサートがある。
こちらもぜひ、聴きに行ってみてほしい。

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お茶会

毎週火曜日は、諏訪中央病院の緩和ケア病棟を回診している。
医学生や研修医たちがたくさん来ているが、回診の風景をみてもらい、その後、お茶をしながら、若い医学生や研修医たちとディスカッションをする。

緩和ケア病棟は9床。
いつもは2、3人の患者さんが出てきて、一緒にお茶をすることが多いが、この日は久しぶりにたくさんの人が出てきた。
ホスピスボランティアが用意してくれた牛乳寒天のほか、ナスやキュウリ、ミョウガの漬物も並んだ。
みんなでニコニコと語り合う。
いい勉強をするためには、いい環境があったほうがいいと思っている。

110831__ 緩和ケア病棟のお茶会の様子

患者さんのなかには、腸閉塞があり食べ物が通過しずらいために、お茶会の後で食べたものを吸引する人もいるが、それでもみんなでお茶を飲み、食べたいという気持ちは強い。

茅野市の花火の日には、みんなでベランダへ出て花火を見る。
少量のビールも出る。
8月はおすしの日もあった。
みんなでわいわいやっているうちに、つらさや悲しみが和らいでいく。

病室のなかに閉じこもらない。自分のなかに閉じこもらない。
できるだけ、あったかくつながること、これが大事だと思っている。

ホスピスボランティアのお陰で、いいお茶の時間をいただいている。
感謝である。

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2011年9月 3日 (土)

鎌田實と東北へ行こう

9/27~29、2泊3日でドリームフェスティバル イン松島を計画している。
旅の参加者が200人突破し、220人になった。

このツアーは、7年ほど前から障害や病気があっても一緒に旅に行こうと呼びかけて、年2回行っているもの。
今年は、東北を応援するために、松島へ行く。

松島で遊覧船に乗ったり、大きな露天風呂に入ったり。
映画になったフラガールも参加して、フラダンスを見せてくれるそうだ。
叙情歌のコンサートもあるし、鎌田の講演もある。
希望者には、放射線測定した福島県の果樹園で、桃やぶどう狩りをしてもらうこともできる。

障害があって迷っている人も、だいじょうぶ。
介護ヘルパーのライセンスを持っている人や福祉を学ぶ学生ボランティア、トラベルサポーター、クラブツーリズムの社員がしっかりとサポートする。
もちろん、元気な人の参加も大歓迎。

東北を元気にするには、できれば250人くらい参加してほしいと思っている。
ぜひ、この秋、鎌田實と松島を旅しませんか。

申し込みは、クラブツーリズム バリアフリー旅行センター03-5323-6915へ。
詳しくは、こちらでご覧いただけます↓

http://www.club-tourism.co.jp/press/2011/0620.pdf

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原発事故327

放射性セシウムの土壌濃度マップを文部科学省が8/29、公表した。
原発から100キロ圏の土壌汚染の広がりを見て、唖然とした。
大熊町などでは、セシウム134と137の両方をあわせ、1平方メートル当たり3000万ベクレルの地域があった。
チェルノブイリでは148万ベクレルを超えると強制移住としていることから、汚染が想像以上のものであることがわかる。

1108176__

土壌濃度の地図を見ると、300万ベクレル以上の赤い地点は、長期間住めなくなる可能性が高い。
100万~300万ベクレルの黄色の地域は、強制移住に相当する地域であり、30キロ圏外にもある。
60万~100万未満の緑色の地域は、20キロ圏内と伊達市、飯舘村などのほうに広がっている。。
チェルノブイリでは55万5000ベクレル以上を農業禁止区域としている。
6万~60万ベクレルまでの水色の地域は、福島市や郡山市のほうまで広くひろがっている。
この汚染レベルは、チェルノブイリでは、健康診断や食物の放射線量の測定などを行う管理区域に匹敵する。

『チェルノブイリ・フクシマ なさけないけどあきらめない』(朝日新聞出版)にも、農業禁止区域で、できれば生活しないほうがいいとされる55万5000ベクレル以上の高い汚染地域が福島県内に1300平方キロメートルあると書いた。
20圏内の面積は、628平方キロメートルだから、約700平方キロメートルの土地が高い汚染にさせされている計算になる。

今回、文部科学省のセシウム土壌濃度の地図をみて、ぼくが本に書いたとおりのことが起きていたと実感した。

20キロ圏外に広がっている黄色と緑色のスポットを明確にして、農業を禁止したほうがいいと思う。

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2011年9月 2日 (金)

お知らせ

9/25に東京・文京シビックホールで行われる鎌田の講演&対談(http://kamata-minoru.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-4fa5.html)、まだお申し込みいただけます。
テーマは、「いのちを想いあう つよくて あたたかくて やさしい日本へ」

鎌田の命の講演のほか、白血病と闘い骨髄移植を受けて命をつないだ経験から公的骨髄バンクの推進を働きかけてきた大谷貴子さん、駒込病院の坂巻副院長との3者の鼎談もある。
骨髄移植のことに限らず、それぞれの立場から「命」について考えていく。

熱き心をもったバイオリニスト、ジョン・チャヌの演奏を堪能できるというのもうれしい。
司会進行は、NHKエクゼクティブアナウンサーの村上信夫さん。

日時:9月25日午後1時~3時半(開場 正午)
開場:文京シビックホール 大ホール
入場:無料ですが、申し込みが必要です(9/21必着)

詳しくは、こちらをご覧ください↓

http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_seikatsueisei_kanrikeikaku_h22kenkoubunkyo21.html

秋の一日、美しい音楽と講演、対談が、命に栄養を与えることになればうれしいです。
ぜひ、会場にお越しください。

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ゴーヤのカーテン

Img_4501

「ニュースエブリィ」(日本テレビ系、16.53~)でゴーヤのグリーンカーテンの話をした。

岩次郎小屋にはエアコンがない。
周囲に木を植え、今年はゴーヤのグリーンカーテンで熱を遮断し、省エネを心がけている。

そのグリーンカーテンのゴーヤに立派な実がなりだした。
見た目も美しく、涼しく、そして、おいしい。
一石三鳥である。
これに味をしめ、来年の夏は、ゴーヤのカーテンで家の周りをはりめぐらそうと考えている。

Img_4502 岩次郎小屋に涼を呼ぶゴーヤのカーテン

岩次郎小屋の屋根には太陽光発電がついていて、しっかり発電。
今年からLED電球に変えた。
夜は早く寝て、朝4時半に起きる。これも節電の一つだ。

鎌田農園の野菜も、なかなかよい出来栄え。
自給自足とまではいえないが、手ごたえのある生活スタイルが実現しつつある。

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原発事故326

日本放射線安全管理学会が、住宅のホットスポットの発見・除染マニュアル(ttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jrsm/shinsai/0728soil.pdf)を発表した。

放射性物質の汚染が高いところとして、雨どい、側溝、排水溝、マンホール周辺、水溜りの乾燥跡、錆びた鉄材、切り株、木材、こけ、草木、枯葉などをあげている。

ぼくたちJCFも、南相馬市で高橋先生と協力して除染活動しているが、経験的にこれらの場所にホットスポットがあることを実感している。
屋根も日本瓦の場合は、放射性物質がその隙間に残っていて、一階よりも二階のほうが高いことがよくある。
瓦の隙間、雨どいは特に高圧洗浄で洗わないといけないと思ってやってきた。
庭木は水をかけて洗っただけでは下がらないことが多く、木の枝を大胆に全部切り落としたりもしている。
庭の土は10センチほど削ると3分の1くらいに数値が下がるが、さらに新しい土をかぶせると、6分の1くらいに下がることがわかった。

国が汚染された土や枝などを捨てる場所を指定してくれないため、今のところ庭に穴を掘って埋めるしかないと思う。
となると、個人の力ではなかなか難しい。
ボランティアだけでは、屋根に上がることも、穴を掘ることも難しいことを実感している。

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2011年9月 1日 (木)

9/3講演会

京都の西本願寺・御影堂で9月3日午後1時30分から2時20分、鎌田が講演をする。
テーマは「困難な時代をどう生きるか」。

西本願寺はちょうど親鸞上人の750回大遠忌。
京都の方、京都にお出かけの方は、ぜひ、聞きにいらしてください。

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在宅ケアを考える全国大会

NOP在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワークの第17回全国の集いが9月18、19日、信州で開かれる。

18日は午前9時30分から、松本文化会館大ホールで、鎌田が「自ら望む所で生き、死ねることの幸せ」と出して記念講演をする。
その後、ネットワーク会長の黒岩卓夫先生と、信州大会大会長の宮坂圭一先生と鎌田の3人で鼎談をおこなう。

これらは市民に公開しており、入場は無料。
ぜひ、お出かけください。

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原発事故325

北海道電力の泊原発は、やらせメール問題が出ていたが、新たにシンポジウムに電力会社の社員を動員するやらせがあったことがわかった。
原発を導入しているほとんどの電力会社がやらせをしていたことになる。

原子力を推進するときは、どうしてこんなに卑怯なことが平然と行われるのだろうか。
人の営みは、常にまっとうでなければならない。
隠したり、ウソをついたりという原子力には、慎重になったほうがいいと思う。
卑怯な行為やお金が、人間の関係を壊したり、心を壊したりする。

泊原発はプルサーマル計画を一時凍結するというが、当たり前だと思う。
きちんとやらせ問題の検証をして、二度とないようにしないといけない。
民主主義が問われている。

自治体に流れた原発マネーは、電源三法を中心にした2兆5000億円のほか、電力会社から直接、自治体に、公園をつくるとか、ホールをつくるとか、ハコモノのプレゼントという形で寄付がされている。
匿名の寄付も数億円の単位で行われていると聞く。

原発を誘致した市町村や県に固定資産税や核燃料税が入る仕組みがあり、お金で原発を誘致しやすいようにしているのである。

野田新政権では、このへんの仕組みの見直しも、ぜひ取り組んでもらいたい。

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