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2011年9月30日 (金)

絵本の力③

ぼくは、こどもたちに本物の聴診器を見せて、
「お医者さんだけれど、絵本もかいている変なおじさん」と自己紹介した。

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「ぼくをだいて」(はたよしこ著)という絵本を読んだ。

風だいて、ぼくをだいて
草むらだいて、ぼくをだいて
雲だいて、ぼくをだいて
空だいて、ぼくをだいて

美しいフレーズが繰り返されていく。

3ヶ月ほど前、ぼくは寺内公民館にできた仮設の幼稚園を訪ねたことがある。
30キロ圏のなかの3つの幼稚園が集まっていた。

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子どもたちのなかには、ぼくのことを覚えてくれている子もいた。
そのとき先生たちが、「子どもを草むらでゴロゴロさせてあげたい」と言っていた。
しかし、いま子どもたちに安心して草むらでゴロゴロさせてあげることができない。
ぼくたち大人の責任である。

絵本は最後にこんなフレーズを終わる。

お母さんだいて、ぼくをだいて

もし、お母さんを地震や津波で亡くしている子がいたら、と心配になった。
ぼくも子どものころ、お母さんがいない時期があった。
いろんな人がぼくを抱いてくれた。
抱いてくれる人がいっぱいいると救われる。

元気がない子がいたら、ぎゅっとしてあげるといいね、とぼくが言ったら、子どもたちは大きな声で、はあい、と答えてくれた。

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絵本を読み終えて、握手をしたり、ハイタッチをしたりして別れた。
一人の女の子がぼくのところにやって来て、ぎゅっとしてくれた。
なんだかとてもうれしくなってしまった。
子どもを元気づけようとして来たのに、小さな子にぎゅっと抱かれて、生きている感激を味わうことができた。

「ぼくをだいて」

いいフレーズだと思う。

                     ◇

絵本の読み聞かせのとき、福島大学の学生たちがボランティアに入ってくれた。
小さな子どもたちに対して、きめ細かいサポートをしてくれた。

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JIM-NETでは福島大学のボランティアセンターと協力し、三重県の伊勢志摩の海水浴場に福島の子どもたち招待したが、そのときにもボランティアとして参加してくれていた。

絶望的な状況のなかで、あたたかな希望がたちあがりはじめている。

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