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2011年11月18日 (金)

鎌田實の一日一冊(112)

「救命-東日本大震災、医師たちの奮闘」(海堂尊監修、新潮社)

善意の寄付金にふれていることがおもしろい。
「日本医師会は震災後一ヶ月の時点で義援金から、自ら被災したにもかかわらず避難所で医療行為に携わる医師に一律で月額30万円を給与として配分した」
この分配金の出し方は見事だと海堂尊さんは言っている。
なるほど、その通りだと思う。
自分の診療所が津波で流され、体育館で避難生活をしながら、救急医療を展開した医師たちがたくさんいた。
この人たちの行動は見事だし、その人たちを支えた医師会もなかなかなものである。

Photo

海道さんはその一方で怒っている。
日本赤十字社に寄せられた義援金は数ヶ月以上塩漬けにされているらしい。
6月はじめに2523億円が集まったのに、配布したのは823億円。
被災者に届いたのはたった370億円というひどいものである。
「日本赤十字社は医療代表のように目されるが、寄付金対応に関しては医療現場の人間の行為とは思えない」と激しく怒っている。

なるほどと思うことが多い本。
海堂尊さんのテレビ番組に出演した際、サイン入りでいただいた。

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