鎌田實の一日一冊(114)
「がん患者」(鳥越俊太郎著、講談社)
大腸がんで左肺と肝臓に転移が広がり手術。
今も右肺に2年間で2ミリから4ミリへと変化している小さな影を経過観察している。
終わりなき戦いをしている鳥越俊太郎。
自分自身をまな板の上の鯉にして、きちんと料理している。
ジャーナリスト鳥越俊太郎が、がん患者鳥越俊太郎を取材した記録。
「三陸物語」(萩尾信也著、毎日新聞社、1575円)
サブタイトルは、「被災地で生きる人びとの記録」。
毎日新聞連載されたルポを大幅に加筆して一冊にした。
どんなに凄まじい地震と津波に遭ったのか、実によく伝わってくる。
著者の目がやさしい。
被災した視覚障害者や聴覚障害者らにも、あたたかな目が注がれている。
「残酷平和論-人間は、何をしでかすかわからぬ動物である」(鴨志田恵一著、三五館、1470円)
戦争が始まる原因と背景、平和のもろさ、国境とは何か、異文化、異文明との出会い、平和に関係するもろもろのことがわかりやすく展開されていく。
共生とか絆などが見えてくる本である。
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