鎌田實の一日一冊(115)
「十八歳からの十年介護」(町亞星著、武田ランダムハウスジャパン、1365円)
著者の町亞星は、日本テレビの女子アナだった。
40歳にしてフリーになった。
18歳のとき、お母さんがくも膜下出血で倒れる。
その介護のさなか、お母さんに子宮頸がんが見つかる。
さらに、お父さんが胃がんになる。
お酒に浸り、肝硬変になって、ウェルニッケ・コルサコフ症候群というアルコール性の脳の異常を起こす。
精神病院でお父さんは亡くなる。
女子アナ、報道記者としてずっと仕事をしながら、両親や妹や弟の面倒をみてきた。
ぼくは著者から10数年前に取材を受けたことがあったが、こんな苦労をしているということはまったく知らなかった。
日本経済が悪くなっているときにフリーになるのは冒険だと思うが、両親の介護が終わり、やっと自由をつかんだ町さんのこれからに期待したい。
いい風が吹くといいなと思っている。
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