原発事故369
ロシアの小児がんの専門家が来日し、述べたことが朝日新聞に書かれている。
この専門家は、ロシア連邦立小児血液・腫瘍・免疫研究センターのルミャンツェフ・センター長。
2009~10年にベラルーシに住む約550人の子どもの体内の放射性セシウムを調べると、平均で約4500ベクレルの内部被曝があったという。
検査法が同じかどうか確認が必要だが、日本の一般人で確認されている内部被曝は高くても50ベクレルくらい。
ウクライナではホールボディカウンタによる内部被曝の診断基準が統一されていない。
50ベクレル以上を内部被曝としている例が多いようである。
0~50、50~100、100~300という3つの段階に分けているようだ。
紅葉の諏訪中央病院の庭
このドクターの発言で注目したいのは、03年にベラルーシで亡くなった成人と子どもの分析では、脳や心筋、腎臓、肝臓など調べた8臓器すべてからセシウムが検出され、どの臓器でも子どものほうが濃度が高く、甲状腺からは1キロ当たり1200ベクレル検出されたという話である。
放射性ヨウ素131のように甲状腺がんとの相関関係が証明されていないが、セシウムが甲状腺に沈着することはありうる。
長い間にこれががん化する可能性は否定できない。
低線被曝はわからないことが多い。
だからこそ、速やかに、慎重に、そして継続的に検査をする必要があると思う。
子どもたちが2010年に体内被曝をしているということは、食品がまだ汚染されているということである。
そして、このドクターは子どもたちを汚染のない地域に3ヶ月間移住させると、体内のセシウムがかなり減ったと述べている。
このことは、ぼくたちもベトカで見てきた。
もう一つこのドクターの言葉で注目したいのは、ロシアのブリアンスク州の子どもの血液細胞を調べると、活性酸素などのフリーラジカルが通常の約2倍多かったということだ。
ぼくは来年の春、京都府立医科大学学長の吉川先生と共著で健康の本を出すが、吉川教授はフリーラジカルの権威で、「放射線もフリーラジカルの一つだ」と表現している。
なるほどなと思った。
動脈硬化やがん、糖尿病などは、フリーラジカルが引き金になっているともいわれる。
放射線に当たるということは、動脈硬化やがん、白内障を起こしやすくするということだ。
活性酸素などが2倍多かったというデータをロシアで調べるようになったことは、これからの対策に役立つと思う。
JCFでも、信州大学の小池教授と協力し、ナチュラルキラー(NK)細胞の測定をしたことがある。
放射線によりNK細胞がすごく少なくなり、免疫機能に影響することははっきりしている。
だが、一方で放射線によって逆にNK細胞が多くなるのことを説明することができず、学会に発表することはできなかった。
日本でも、放射線と免疫というのをテーマを研究する学者が出てくるといいと思う。
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