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2011年11月12日 (土)

あの連載が一冊に

『「がんばらない」を生きる』(中央公論新社)が発売された。
この本は、昨年、読売新聞で連載された「時代の証言者」に加筆し、まとめたもの。

この「時代の証言者」はとても好評で、いろんな人から「切り抜いて大事に持っています」とよく言われた。
東北に救援に入ったときにも言われた。
気仙沼から大島に渡ろうとしたときの船長さんもその一人だ。

「家も流された。全部失ってしまった。鎌田先生の記事が津波で流されてしまったのが悔しい」

みんな大切にとっておいてくれたんだなと思った。

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読売新聞の鈴木記者がさらに、ぼくが育った杉並区や医学の師、同級生、かつての同僚、父岩次郎のふるとさ青森などを丁寧に訪ねあるき、聞き取りをしてくれた。
かつてのぼくにも見えていなかった「絆の哲学」が見えてきた。
なんだ、がんばらなければよかったのか、と結局「がんばらない」に行き着いていったのである。

「がんばらない」の誕生とその深化
ポスト・フクシマの葛藤
田舎医者が探求し続けた思索の集大成
だれかがもたれてきたら支え、楽になる

「がんばらない」という不思議な思想を時代の背景とともに克明に分析している。
おもしろい本ができたと思う。
ぜひ、読んでほしい。

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