あの連載が一冊に
『「がんばらない」を生きる』(中央公論新社)が発売された。
この本は、昨年、読売新聞で連載された「時代の証言者」に加筆し、まとめたもの。
この「時代の証言者」はとても好評で、いろんな人から「切り抜いて大事に持っています」とよく言われた。
東北に救援に入ったときにも言われた。
気仙沼から大島に渡ろうとしたときの船長さんもその一人だ。
「家も流された。全部失ってしまった。鎌田先生の記事が津波で流されてしまったのが悔しい」
みんな大切にとっておいてくれたんだなと思った。
読売新聞の鈴木記者がさらに、ぼくが育った杉並区や医学の師、同級生、かつての同僚、父岩次郎のふるとさ青森などを丁寧に訪ねあるき、聞き取りをしてくれた。
かつてのぼくにも見えていなかった「絆の哲学」が見えてきた。
なんだ、がんばらなければよかったのか、と結局「がんばらない」に行き着いていったのである。
「がんばらない」の誕生とその深化
ポスト・フクシマの葛藤
田舎医者が探求し続けた思索の集大成
だれかがもたれてきたら支え、楽になる
「がんばらない」という不思議な思想を時代の背景とともに克明に分析している。
おもしろい本ができたと思う。
ぜひ、読んでほしい。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 毎日が発見ネット(2024.12.03)
- 婦人公論(2024.11.29)
- 鎌田實の一日一冊(444)(2024.11.25)
- 売れています!(2024.11.21)
- 鎌田實の一日一冊(443)(2024.11.18)