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2011年12月

2011年12月31日 (土)

2011年を振り返る⑤

来年も応援を

大変な一年だった。
東日本大震災が起きてから、時間をつくっては東北に通い続けた。
9ヶ月を過ぎても、東北の復興はまだまだだ。
震災による死者は1万5841人、行方不明者は3493人。
傷は深い。

ぼくが出演している「ニュースエブリィ」のがんばらないコーナーで、宮城県山元町の夫婦を取材させてもらった。
今も27歳の娘さんを捜している。
死亡届を出しても、なかなか心の決着がつかない。
海を眺めながら、お母さんが「海にいるんだろうね」と言う。
お父さんも「海にいるんですよ」とつぶやく。

12月、何人かのお母さんがぼくと話をしたいということで、巡回診療に南相馬に行った。
お母さんたちと、仮設商店街に再開した双葉食堂にラーメンを食べにいった。
隣の席にいたおじさんは、原発から20キロ内にある小高地区で漁師をしていたという。
家を失い、船を失い、息子を失ったという。
ぼくが「海に出たら元気になるじゃない」と言うと、「いや、眠れなくてね。海が怖い」と言う。
海岸から3キロの地点に立つだけで、身が縮む思いがするそうだ。
傷は深いなと思った。

1112114__ 夕映えの富士山

小さな男の子を今も捜している若いお父さんと、その子がいなくなった海岸沿いで話を聞いた。
家は海面から10メートル高いところに建っていた。
地震の直後、3メートルの津波が来ると放送が入った。
3メートルといわれ、だいじょうぶと思ってしまった。
地震で倒れた家具などを直しはじめ、その後の放送はもう耳に入らなかった。
そこに大きな津波がきて、たくさんの人が流されてしまった。
9ヶ月経っても、心の決着はつなかい。
捜しても捜しても、まだ捜し足りないところがあるのではないかと思うという。
20キロ圏の海岸も、できたら自分の手でもう一度捜したいという。

「もう冬が来てしまったので、これから捜索するのはむすがしい。春が来たら、警察や地域の人、全国からボランティアに集まってもらって、捜してみてはどうだろう。徹底的にもう一度捜せば、心の決着がつくかもしれない」
そうぼくが話を向けると、若いお母さんはこう答えた。
「心の決着は無理だなあ。ずっと背負っていくしかないと思っている」

まだまだ長い戦いになるだろう。
東北の人たちの傷が深いことを忘れないようにしたい。
被災地以外の人は、もういいだろうと思わずに、ほんのちょっとでもいいから、東日本を応援しつづける心を持ち続けてほしいと思う。

決して忘れることができない思いを胸に、静かに年を越えたいと思う。

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2011年12月30日 (金)

お知らせ

明日31日午後1時~1時50分、「ぐるっと信州 県民ラジオ 年末スペシャル」(SBCラジオ)に長野県知事とラジオ対談をする。
本当の豊かさとは何か、地方の活力などについて話す予定。
長野県の方はぜひ、聞いてください。

12/31の毎日新聞朝刊には、連載「さあ、これからだ」が掲載される。
ぜひ、お読みください。

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2011年を振り返る④

責任を取る

1号機の電源が失われると、非常用復水機が作動しないことを東電の上層部は知らなかった。
冷却装置、非常用復水機のことがきちんとできていれば、もう少し時間をかせぐことができたかもしれない。
3号機の作動していた高圧注水系を中止させたことも、メルトダウンに影響している。
高圧注水系を止めるという愚行がなければ、メルトダウンは起きなかった可能性もある。
いくつものミスが見えてきている。

1111257__ 葉を落としたニセアカシア

東電で最も権力をもっている勝俣会長が何の責任をとっていないのは大きな問題である。
津波を想定外として排除してきた原子力安全委員会も大きな責任がある。
事故後の収拾にかんして、リーダーシップを振るえなかった原子力安全委員会の斑目委員長もそろそろ交代させたほうがいい。

462兆ベクレルのストロンチウムが海に流出してしまった。
世界最悪の海洋汚染とされるイギリスのセラフィールド核燃料再処理工場からの汚染を超える可能性もある。
日本の失敗は、世界から糾弾されるだろう。
復興をすすめていくにも、まず問題を明確にして、責任を取らせることからはじめなければならない。
ミスはミスとして責任をとり、新しい体制できちんと前を向いていくことが大事だと思う。

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2011年12月29日 (木)

2011年を振り返る③

むなしい安全宣言

「だいじょうぶ」「安全だ」
3/11以降、政府や東電や学者からずっと聞かされ続けてきたが、実際は大変なことが起きていた。
まず埼玉県の狭山茶。
サンプル調査の結果により、県知事が安全宣言をしたが、汚染されていることがわかり、大きなダメージを受けた。
福島の米の検査も、ざるのような粗いサンプル調査で県知事が安全宣言をしてしまった。
その後、福島市の大波地区や伊達市、二本松とたてつづけに暫定基準値500ベクレルを超える米が出てしまった。
県知事の責任は重い。

Img_5026 夕暮れの八ヶ岳

大波地区で28~136ベクレルの米が見つかった時点で、徹底した再調査をすべきだったと思う。
その前に、二本松で500ベクレルを超える米が出ていたのだから、山に囲まれた同じような立地条件の場所は詳しく調べるべきだったのだ。
しかし、県は200ベクレル以下は再調査しないという方針により、安全宣言をし、その後、汚染が見つかるという事態を許してしまった。
安易な安全宣言はけっして安心を生まない。
かえって風評被害の原因をつくる。

その結果、福島の米は大きなダメージを受けた。
心配していたとおり、流通が減っているという。

福島の米も野菜も95%が、不検出(ND)である。
だからこそ、放射能の「見える化」を徹底すべきだ。
NDのものだけを市場に出すことで、風評被害を防ぐことができる。

国は暫定規制値の見直しをすすめているが、福島県は独自の厳しい基準を設けてもいい。
機械の精度により10ベクレル以下は測れないなら、市場に出すのは10ベクレル以下のものにする。
そして、10ベクレル以上のものは農協や県が補償し、その後、国や東電と話し合いをしていけばいい。
それが福島の農産物を守ることになると思う。

来年こそは、すべてのデータをオープンにすること。
あやふやな安全宣言などするよりも、数値をオープンにし、国民自身が安全かどうかを判断できるようにすべきだ。

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2011年12月28日 (水)

お知らせ

NHKの番組「100分de名著」(Eテレ)が、アランの「幸福論」を取り上げた。
とても好評だったようで、年末、また再放送される。

第1回は、12/29、午前5.10~。
第2回は、12/29、午前5.34~。
第3回は、12/30、午前5.10~。
鎌田が出演している第4回は、12/30、午前5.34~。

見逃した方は、ぜひご覧ください。

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2011年を振り返る②

姑息な手段

受診時定額負担制という姑息的な金集めは、国会に提出するのは今回はあきらめたほうがいい。
再検討するというから、おかしな政権だと思う。
外来患者の窓口負担は一律100円上乗せをする。所得が少ない人は50円。
これによって受診抑制が起こり、約2000億円の医療費も節減できるということになっている。
一律100円徴収した場合には、3700億円が減少する。
これを高額医療費の保障の分に充てると考えているようだ。

だが、その前に、税と社会保障の一体改革をきちんと議論すべきである。
逃げてばかりいないで、どんな形の増税するか、消費税か、違う形なのか検討する必要がある。

1112111__

日本は、近々借金が一千兆円を超えるだろう。
国の資産を計算しても、三百数十兆円の借金があると考えたほうがいい。
だからといって、この国にお金がないわけではない。
財務体質が本当に危ない状況ならば、けっして円高になるわけがない。
円高になるということは、国民のもつ1440兆円の貯金が、世界からみれば担保になっているのだ。

しかし、ギリシャやスペイン、イタリアの轍を踏まないためには、何年か後には財政規律を守られるという、世界を納得させるメッセージが必要だ。
今すぐに税金を上げる必要はないが、ずっと上げなければ社会保障の充実は難しい。
どういう社会保障の改革をするか、国民に問い、国民が納得すれば、3年後くらいからゆっくりと消費税を上げるというような提案のなかで、一体改革を提案すべきと思う。

受診時定額負担制のような一時しのぎはけっしてよくない。
本腰をいれて、きちんと議論すべきだと思う。

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2011年12月27日 (火)

2011年を振り返る①

動かない政治

政治が劣化している。
首相が本当にドジョウのようにもぐりこんで、何を考えているのかわからない。
リーダーはもっとメッセージを発しないといけない。

ぼくは今の状況を考えれば、景気の回復をみながら増税を選択せざるを得ないと思っているが、その前にやらなければならないことがいくつもある。
国家公務員の給与引き下げも行うことができなかった。
自らの身を切らないかぎり、復興増税の問題も、消費税増税の問題も、国民は聞く耳をもたないと思う。
野田さんが、財政規律の建て直しをしたいと思うならば、自らも血を流すべきである。

約束した国会議員の削減もいっさい手付かずである。
高速増殖炉もんじゅの約210億円の予算の削減も行われていない。
国会版仕分けで勧告された、レセプト審査のコストを減らすことも、何ら具体的な施策に反映していない。
震災復興策もスピード感がない。
社会保障改革や欧州危機などの問題が山積みのなかで、日本の経済をどうするか、明確なメッセージがまるで聞こえてこない。

1112096__

野党の谷垣さんはキャンキャンと騒ぐばかり。
野党も与党も腑抜けのようである。
どちらもいい部分を合わせて、救国内閣をつくるしかないのではないか。

問責決議をされた一川さんも山岡さんも、小沢一郎に近い政治家。
民主党は、自民党の派閥政治を批判していたはずなのに、自民党的になっている。
小沢さんの顔を立てて擁立した大臣がなんともお粗末である。
沖縄の問題がある以上、北澤防衛大臣を変える必要はなかった。
首相がころころ変わるのだから、せめて外務大臣や防衛大臣はできるだけ長く務めさせるべきである。
小沢さんの顔を立てるならば、もっと違うポストを考えるべきだった。

沖縄の基地の問題はどうすることもできず、ここまで来てしまった。
首相はドジョウなんて言っていないで、もう土俵際であることを重々自覚して、言いたいことをきちんと言い、正しいと思うことをしっかりやり、それでうまくいかなければ解散すべきなのだ。
それが責任感をもった人間のやることである。
来年こそ、動かぬ政治を動かしてほしい。

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「アハメドくんのいのちのリレー」が歌に

Inochigakufu熊本の障害者&ボランティア音楽グループ「わがままチンパンジー」代表の永松英利さんが、「アハメドくんのいのちのリレー 」(集英社)を読んで感動し、作詞・作曲してくれた。ありがたいことである。

アハメドくんから心臓移植をうけた少女、サマハさんが来年、来日することになった。
まだ日程が決定していないが、サマハさんも、アハメド君の父親イスマイルさんも来たいといっている。
ぼくは、『「がんばらない」を生きる』(中央公論新社)の印税をすべて、日本に招待する費用に使おうと思っている。

日本人が世界の平和に貢献するチャンスかもしれない。
イスラエルもパレスチナも親日的だ。
アメリカの大統領もできなかった和平を一歩前進させることができれば、世界の火種を一つ消すことにつながる。

来年は平和に向けて、全力投球したい。

「アハメドくんのいのちのリレー」は、子どもたちや、大切な人へのクリスマスプレゼントに最適だと思う。「アハメドくんのいのちのリレー」の感動が、たくさんの人に受け継がれていってほしい。

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2011年12月26日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(97)

運命の子

ベルリン国際映画祭特別招待作品。
「北京ヴァイオリン」「さらば、わが愛 覇王別姫」のチェン・カイコー監督の最新作である。
司馬遷の「史記」に書かれているある一族の滅亡事件を題材にしている。
2600年前の話である。
そのとき日本は縄文時代。
中国大陸では、歴史が残り、親子の愛や忠義や憎しみが語られているからすごい。

Photo_2

母性と父性のすごさが入り乱れ、人間の心の複雑さが見事に描かれている。
全滅させられた一族、そのリーダーの血を引く赤ん坊が奇跡的に救い出される。
その赤ん坊は果たして仇を撃つことができるのか。
複雑な人間の心の奥へ、チェン・カイコーが迫っていく。
見ごたえがある映画である。

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「母乳でつなぐ命」(1/28)参加募集

乳房文化研究会は、「母乳を守り、母体を守り、授乳を守る。そして次の世代にどうつないでいくのか」をテーマとし、勉強会を開催します。シリーズ2回目は、鎌田も登場し、「いのちのバトン」について語ります。ご参加お待ちしています。

Ikiru001参加希望の方は、コチラからご応募ください

乳房文化研究会20周年 特別研究会
「Message from 3.11  母乳でつなぐ命 part2」

日時:2012年 1月 28日(土) 13:30~17:30
場所:(株)ワコール本社ビル 
定員:200名          参加費:無料

■講師・講演テーマ

●田代 眞一
 問題提起 「環境汚染と母乳哺育」

 乳房文化研究会 会長 

●安斎 育郎 先生
 「からだのなかの放射能」 

 安斎科学・平和事務所所長 /立命館大学 国際平和ミュージアム 名誉館長
・原発や放射能の専門家として、長年、原水爆禁止運動に取り組む。
 核・被爆者問題に精通し、平和問題のコメンテーターとしても活躍
・2011年4月 「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office,
 略称:ASAP)を開設
・『からだのなかの放射能』 『科学と非科学の間』 『放射線と放射能』など
 著書多数

●鎌田 實 先生
 「いのちのバトン」

 諏訪中央病院名誉院長  /日本チェルノブイリ連帯基金(JCF )理事長
・37年間、医師として地域医療に携わり、そのかたわら、チェルノブイリ救援活動、
 イラクへの医療支援に取り組む。1991年より20年間、ベラルーシ共和国の
 放射能汚染地帯へ94回の医師団を派遣(JCF)
・ベストセラー『がんばらない』をはじめ、
 『アハメドくんのいのちのリレー』(以上集英社)、
 『よくばらない』(PHP研究所)、
 『ウェットな資本主義』(日本経済新聞出版社)、
 『チェルノブイリ・フクシマ―なさけないけどあきらめない』(朝日新聞出版)、
 『希望』(東京書籍)など著書多数。

■パネルディスカッション   総合質疑・ディスカッション

●コーディネーター 北山 晴一 常任運営委員/大阪樟蔭女子大学 教授

※18時より講師との交流会(1時間程度)も予定。

[乳房文化研究会 事務局]
〒601-8530  京都市南区吉祥院中島町29  (株)ワコール 内
FAX : 075-682-1037

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2011年12月25日 (日)

原発事故385

警戒区域と計画的避難区域が4月には見直させれるようだ。
年間20ミリシーベルト未満の避難指示解除準備区域、年間20以上50ミリシーベルト未満の居住制限区域、年間50ミリシーベルト以上の帰還困難区域の3つの区分に再編される。

それぞれの市町村の首長たちは、町を分断するのかと非難しているようが、広い町ではまだら状に汚染されているので、一つの町のなかでも住めるところに住むというのも一案のように思う。

ただし、居住制限区域でも、5年後も年間20ミリシーベルを下らないとされる地域も帰還困難区域としているが、居住制限区域と帰還困難区域に関しては、本来、住まないほうがいいと思う。
この区域は、除染をして経過をみながらも、当面は人は住まないほうがいい。
わかりやすい言葉でいうなら、やはり強制移住区域としたほうがいいのではないか。

1112212__ 諏訪中央病院の庭

チェルノブイリを見てきた経験からいうと、25年後もこの二つの区域がきれいになっているか微妙である。
除染をしても、放射能がこの地域から消えるわけではない。
放射性物質のがれきの処理の方針が明確にならないかぎり、その区域内のどこかに移動しているにすぎない。
チェルノブイリでも25年たった現在も、高い汚染が続いている。

政府はそれぞれの住民に丁寧に説明し、土地の買い上げなどを謝罪しお願いするのが筋のように思う。
該当する地域の人にとってみれば、故郷に帰れないということは納得できないと思うが、高汚染地域に帰ることは国がどんなに甘い基準をつくったとしても、簡単には決断できない。
特に、子どもをもつ親たちは帰りたがらないだろう。
将来、お年寄りだけ戻るという場合、その村のカタチはどんなカタチになるのかも考えなければならない。
みんなが納得するには時間はかかるが、厳しい議論をしたほうがいいと思う。
新しい土地で、新しいコミュニティーづくりをするのも一つの案として、徹底して議論すべき。
むしろ移住することを第一案として考えながら、新しい町村づくりができないとなったときに、そのときは何年後かに自分の故郷に帰るということを検討したほうがいいと思う。

町場の除染はできるが、里山の除染は期待できないだろう。
里山の除染ができない以上、台風などが来るたびに汚染を広げる。
水田の水も汚れ、米が汚染される心配も続く。
20ミリシーベルト以上の居住制限区域や帰還困難区域に関しては、たいへん厳しいと考えておいたほうがいいだろう。

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被災地の医師不足

石巻市の沿岸部は壊滅的な被害を受けた。
131の病院や診療所のうち、15が廃止や休止状態になっている。
宮城県全体の沿岸部では1407の病院・診療所のうち、64が止めてしまったり、休止している。
福島県の20キロ圏内では7つの病院が、休止中だ。
南相馬市では市全体で、震災前は常勤の医師が54人だったが、今は28人。
看護師は451人が297人に減ってしまっている。
医師や看護師でも小さな子をもつ親であれば、原発に近い病院には勤務しようとしない。
しかたないことだが、非常にピンチである。

1111084__ 諏訪中央病院の庭

ぼくが出演している「ニュースエブリィ」(日本テレビ系)で、石巻の雄勝診療所を取材させてもらった。
10月から小倉先生が診療所長として赴任し、雄勝診療所が開設された。
小倉先生は、離島医療の経験があり、整形外科と内科の総合医の研修を受けている。
中国の地震やスマトラ沖地震などの救援にも入っている。
志の高い、雄勝にとってはうってつけの医師が赴任してきたと思う。

諏訪中央病院では、若手の医師を中心に一ヶ月交代で雄勝診療所を応援してきた。
諏訪中央病院の浜口院長が2月までの医師の派遣をしてくれたことが大きな支援になった。
小倉先生にどんな応援が必要か、聞いた。
安定した後方病院がほしいという。
仮設状宅のお年寄りが軽い肺炎になっても、高度医療の病院ではなかなか入院させられない。
仮設暮らしをする、軽い肺炎や小さな脳梗塞の患者が入院させてもらえず、悪化した例もあった。
高度救命救急センターのような命を救う医療ではなく、高齢者を2~3週間、ゆっくり診てくれる病院とつながれるといいとおっしゃっていた。

特に2月以降は、24時間体制で患者の要請に応え続けることとができるか心配である。
小倉先生が万が一、体調を崩されたときや学会などで出ているときに、応援してもらえる体制を県や国につくってもらえたら、ありがたいという。

小倉先生は、災害時の救急医療も力を入れているので、外国で災害が起きたときには飛んでいきたいと思っているだろう。
そのときに、小倉先生の診療所を支えるようなシステムができているといいなと思う。
石巻市立雄勝診療所であるが、市立病院と同じ課で運営されていないために、連携がとりにくい。
これは内部で話し合いをして解決すべきと話ていてた。

いずれにせよ被災地での医師や看護師不足は簡単には解決できない。
まだまだ、たくさんの人たちの応援が必要だろう。

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2011年12月24日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(96)

宇宙人ポール

これは絶対におすすめの映画。
SF嫌いの鎌田が、このチープな作品に何か人間を感じてしまった。
いかした宇宙人といかれた地球人がドタバタを繰り広げる。
エイリアンがいいんだなあ。

Photo

ダメなヤツが出てくるのがいい。
目が悪くて、ずっと閉じこもっている女の子や、子どものころに宇宙船の話をしたためにみんなから馬鹿にされて仲間はずれにされ、砂漠の中で一人で暮らしているおばあちゃん。
これがエイリアンと遭遇する。

60年前に地球にやってきたエイリアンは、アメリカの秘密施設に拘束され、情報を提供されられていた。
60年ぶりに逃げ出したエイリアンは、ふるさとの宇宙に帰ろうとする。
SF作家とイラストレーターという、どうしようもない2人がエイリアンを帰そうとする。
次から次へと襲ってくる難題を、大笑いしながら、宇宙船を呼び寄せ、エイリアンを逃がすのだ。
キリスト教原理主義者が登場したり、ほかのSF作品をパロったり。
お金をあまりかけられなかったためか、親近感がわいてくる。
SF嫌いでも、大笑いしながら、最後はぐっとくる。
エイリアンがかっこいいことを言うんだなあ。
お正月映画におすすめの一本である。

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年越しは船の上で

暮れから正月にかけて、飛鳥に乗って横浜港を出発。
香港に行って来る予定だ。

今年は3.11以降、ほとんど休みなく動き回った。
わずかでも時間があると、福島や石巻に通った。
岩手から福島までほとんどの被災地を訪ねている。
「ニュースエブリィ」(日本テレビ系)でも毎週木曜、できるだけ東日本大震災で被災しながらも立ち上がり丁寧に生きようとする人たちを取材し、伝えてきた。

1112233__

妻のサトさんも、休みなく動くぼくをサポートして大変だったと思う。
お正月の用意をしなくてもいいように、船上で新年を迎えることにした。
奥さん孝行をしたいと思う。

ぼくは船の上で、読みたい本をたくさん読もうと思う。
以前から船の上で講演をしてほしいと頼まれていたので、2回ほど健康の話と命の話を講演する。
バレンタインチョコもCDもたくさん買っていただこうと思う。

1112232___2 クリスマスは、5歳、3歳、2歳の孫がやってくる。久しぶりに孫と遊ぼうと思う。

来年は、今年以上に忙しくなりそう。
今年、東日本支援で奔走し、イラクにもチェルノブイリにも行けなかった。
来年2月にはイラクに、3月にはチェルノブイリの汚染地域に入ろうと思う。
さっそく1月25日には、福島市で永六輔さんとボランティアの講演会をする予定が入っている。

しばらく大忙し。
正月の間は、ちょっと骨休めをしようと思っている。

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2011年12月23日 (金)

お知らせ

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「PHPほんとうの時代 ライフプラス」2012/1月号では、人生の四季を語る第四回。
「雲と影がおりない冬の景色を見て思うこと」と題して、エッセイを書いた、
北海道の美瑛の拓真館で、新しい美瑛や日本中の風景を撮り続けている前田晃さんの写真に触発され、鎌田が詩を書いている。
とても気に入っている連載だ。

「週刊ポスト」の12/23号には地域医療の現状について、暮れから新年の合併号には、鎌田的絆について書いた。

ぜひ、お読みください。

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鎌田劇場へようこそ!(95)

「クリスマスのその夜に」

ちょっと悲しい。ちょっと美しい。
クリスマスという大切な日に、愛する人たちのもとに帰ろうとする人たちの複数の物語。

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ホームレスになった、かつて恋した人を自分の家に招き、食事とワインをご馳走する人。
コソボ出身の対立する民族同士の結婚。それに立ち会う医師。
子どもたちに会うために、サンタに変装して家にもぐりこむ元夫。
いくつものほろっとする物語があり、ちょっと感動。

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原発事故384

ベラルーシでは148万ベクレル以上は緊急強制移住区域とされた。
55.5万ベクレル以上は逐次移住区域、18.5万ベクレル以上は任意移住区域、3.7万ベクレル以上は定期的放射線管理区域とされた。
定期的放射線管理区域は、年間の放射線量が1ミリシーベルトを超える、に相当する。

福島県民の行動調査から、4ヶ月間の外部被曝量の積算推定値が調べられている。
いまのところ、4ヶ月で1ミリシーベルトを超える人が半分というのがわかった。
これは、かなりの範囲で年間1ミリシーベルトを超えていると思われ、ベラルーシのように、定期的放射線管理区域という考え方をもちこんだほうがいいように思う。

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住民の内部被曝量を測定したり、食品の放射線測定器を多数台を整備して、食品の管理を徹底することが大事である。
ベラルーシのベトカ地区病院のナジェージタ院長は25年間、放射線汚染地域で医師として活動してきた。松本の講演会で、生活上の注意をレクチャーしてくれた。
そのなかで、こんな小話をしてくれた。

ロシア人とベラルーシ人、ウクライナ人の3人が一つの船に乗って遭難した。
もうだめかと思ったときに、遠くに島影が見えた。
助かったら、何をしたいか。
ロシア人は「ウォッカ」
ウクライナ人は「サーロ」
ベラルーシ人は「女」

サーロとは、豚のあぶらの塩漬けである。
日本人には食べられそうもない脂身だが、フライパンでよく焼いて、目玉焼きに添えて食べると実においしい。
チェルノブイリの救援に入ったとき、ぼくもウォッカやサーロを経験した。
ベラルーシ人の「女」というのは知らないが、ベラルーシ人がとても明るいことはよく知っている。
何度も住民のパーティーに誘われ、何時間も歌ったり踊ったりする。
こうしなければ放射能の汚染の大地で生き抜くことができなかったのではないかと思うほど、明るいのだ。

ナジェージダ先生は、放射線に対して徹底的に注意する必要があるという話をし、最後に、ストレスはもっとよくないという話をしたのが印象的だった。

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2011年12月22日 (木)

蒜山焼きそば

先ごろ開催された第6回B-1グランプリin姫路には、51万5000人がやって来たという。
優勝は、岡山県の蒜山(ひるぜん)焼きそば。
地元で食べてきた。

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B級のブームに乗った、企画ものではなく、戦後間もないころからこの地域では食べられた焼きそばだ。
特徴は、味噌を使っていること。
鶏を飼っている家が多く、親鶏の肉とキャベツを味噌だれで焼いている。
ソースは使わない。
好みにあわせて胡椒や山椒が使われる。
優勝したのがよくわかる。
迫力がある味である。

今年は、横手焼きそばや富士宮焼きそばも食べたが、それに比べても、蒜山焼きそばは個性豊かな味である。
たくさんの種類を味見すると、個性豊かというのは票を集めやすいと思う。

蒜山焼きそばが食べられる真庭市は、岡山駅から1時間はかかるが、たくさんのお客さんがやってきている。
ほとんど鳥取との境に近い山の中である。
町おこしにとても役立っているように思えた。

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真庭市は、酒蔵など古い町が残っている美しい町である。
ペレットなどの、新しいエネルギー問題の解決も試みている前向きな町でもある。

真庭市の蒜山焼きそば、注目である。

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原発事故383

福島県民の行動調査から、外部被曝を推定する調査が行われているが、回収率はまだ1割。
結果が出た人は県民200万人のうちの1000分の1である。
すべてが後手にまわっている。
ヨウ素131がほとんど消えたころから健康調査が始まっているため、本当の甲状腺の被曝量はわかっていない。
今回の調査も、3月12日どこにいたか? など分刻みで書き込むことによって、外部被曝の推定値を出す。
住民にとっても、たいへん混乱している時期のことを克明に覚えている人は少ない。
外部被曝量は現在のところ37ミリシーベルトの人が最高というが、あくまでも推定である。
10ミリシーベルト以上が10人、平均は1ミリシーベルトを超えている。
1730人の推定値のなかでの話だ。

Img_5027 八ヶ岳

ぼくらJCFは、フイルムバッジを配って外部被曝量の積算値を出しているが、3/12ごろから各地の住民の希望者に配って装着してもらっていれば、各地域での外部被曝の積算量のおおむねの数値がわかったはずだ。
なんでこんな簡単なことをやらないのか。
後からどこの場所で、外に何分いたから被曝量はどのくらいと積算していくのは絵空事のように思う。
積算線量計というのがあるのに使わないのは、本当の数字がでてほしくないという考えがあったのではないかと勘ぐりたくなる。

しっかりリーダーシップをとって、甲状腺がんを起こすリスクがある放射性ヨウ素の外部被曝量をきちんと測っていれば、もう少し住民に安心を与えることができたはず。
残念に思う。
JCFがチェルノブイリで見てきたことをもう少し聞いてくれたらよかったのに。
残念、残念。

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2011年12月21日 (水)

原発事故382

食品の暫定規制値を改定する案が厚生労働省から発表された。
野菜や肉、魚は500ベクレルから100ベクレルにするという。
予想どおりである。
放射性セシウムの許容被曝線量を年間5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに変えた。
当たり前のことである。
そのため、規制値がおおむね5分の1ということになった。

ただし、水は1リットル当たり200ベクレルから、10ベクレル。
ベラルーシでも10ベクレルであり、WHOの基準と同じである。
ウクライナでは、2ベクレルと厳しい。

日本を評価してもらうなら、世界で最も厳しい基準にするというのがぼくの意見である。
日本人の感覚からすれば、水に放射能が混じっているなんて納得がいかないと思う。
ウクライナと同じ2ベクレルにしても、ほとんどすべての水道水はこれを守れると思う。

野菜は100ベクレルで、ベラルーシと同じだが、ウクライナでは40ベクレル。
果物は100ベクレルだが、ベラルーシでは40ベクレルだ。
一般食品は100ベクレルだが、ウクライナではパンは20ベクレルである。
肉はウクライナでは200ベクレル、魚は150ベクレルなので、肉や魚に関しては、日本のほうが厳しくなった。

牛乳は、日本では50ベクレルになったが、ウクライナやベラルーシでは100ベクレルで、日本のほうが厳しい。
とてもいいことである。

乳幼児の食品に関しては日本では50ベクレル、ベラルーシでは37ベクレル。
子どもの食べ物に対して、お母さんたちは神経を使っている。
規制値以下だからといって49ベクレルのものをお母さんは子どもに与えるだろうか。
だとすれば、せめて世界でもっとも厳しい37ベクレルにしたほうが、安心できるように思う。

この基準値を世界がどうみるか、子どもを抱えているお母さんたちがどうみるか、というのがとても大切なことである。
今回の案は、まあまあ評価できるが、世界一厳しい基準にしたほうかいいというぼくの意見からするとまだまだだ。

問題はこの規制値ができたら、各地に食品の放射線測定機を設置し、家庭でできた野菜や自分で釣った魚などを測定できるシステムをそれぞれの町につくっていく必要があるように思う。
ざるのようなサンプリング調査ではなく、全品調査に近づけていくようにすべきだ。

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チョコ募金、あと半分

永六輔さんの「土曜ワイドラジオトウキョー」(TBSラジオ)でチョコ募金の話をしてもらったところ、インターネットで一日で1000件の申し込みがあった。
インターネットでこんなに申し込みがあったのは初めてだ。
どうしても電話で申し込みたいという方は、ラジオ局に問い合わせてもらった。
電話は4回線を用意して、ピーク時には4人のスタッフが対応しているが、とても時間がかかる。

昨年、大沢悠里さんのラジオ番組で放送してもらったとき、10秒間に3500件の電話が殺到し、回線がパンクしてしまった。
ラジオの力をまざまざと感じている。

今年14万個を用意したチョコ募金も、たくさんの方にお求めいただき、早くもあと半分になった。
ありがたいことである。

これから後半戦の勝負となる。
福島の子やイラクの子を救う、哲学のあるチョコレート。
ぜひ、いろいろな方にお声をかけください。
右のチョコ募金のバナーをクリックしていただくと、詳細がご覧いただけます。

明日22日午前8時半から、村上信夫さんの「ラジオビタミン」(NHKラジオ第一)にスタジオ出演する。
もちろん、チョコの話もしようと思う。

2月に予定している「鎌田實 いのちの対話」のことも話そうと思う。
次回の「いのちの対話」は、佐高信さん、姜尚中さん、吉岡幸雄さんという豪華メンバーをお招きして、日本の未来を語り合う。
観覧希望の方はこちら↓
http://pid.nhk.or.jp/event/PPG0133241/index.html

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原発事故381

粉ミルク「明治ステップ」から放射性セシウムが検出された。
最大1キロ当たり30.8ベクレル。
3/14~20に生産されたという。
原料は、外国の製品か、北海道の牛乳、しかも3/11以前の牛乳が使われているという。

乾燥させるために空気を使ったと言う。
埼玉県春日部の工場である。

政府や専門家、東電が大丈夫と言っている間に、空気もずいぶん汚れていたという証明である。
このころにつくられた食品で、乾燥のために空気にさらした食品は再度、調査すべきではないか。
食品を扱う会社は、放射線測定器を整え、自社の製品の安全管理を徹底すべきだ。

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2011年12月20日 (火)

原発事故380

12月16日、野田首相が冷温停止状態に至ったと発表した。
そのとき、ぼくは福島にいたが、福島の人たちは冷ややかな反応だった。
何をいっているのだろうという感じである。

原発事故の収束が前進したとは思えない。
水を注ぎ続けなければ一日半で再溶融が起きてしまうといわれている。
相変わらず危険な状態は続いているのだ。
今も毎時6000万ベクレルの放射能が放出され続けている。
以前より少なくなっただけで、信じられないような状態が続いている。

燃料棒を取り出すのに10年はかかる、すべての問題を解決するに40年かかると取り沙汰されている。
しかし、10年で燃料棒を取り出せるとは思えない。
チェルノブイリでは25年経った今も溶けた燃料を取り出せていない。
一度溶け出した燃料棒は取り出すのは至難の業である。

冷温停止の宣言をする前日、政権のなかにつくられた有識者会議が避難指示基準の年間の放射線量20ミリシーベルトに妥当性を与えた。
有識者会議をつくるときに、放射線に対して厳しい考えを持っている市民をいれ、なぜ議論をオープンにしないのだろうか。
信頼できない人たちに「だいじょうぶ」と言われても、なかなか国民は安心できない。
20ミリシーベルト以下だから、避難しなくていい、安心だといわれる住民は、たまったものではない。

放射能の「見える化」を徹底的にすべきである。
ホールボディカウンタは福島県に3台ではなく、30台は必要と考える。
有識者会議は、加工品も含めて食品は、放射線を測定しなければ市場に出すことはできないと提言するくらいの意気込みを持たないといけない。
少しぐらいの放射線ならだいじょうぶとか、避難の基準を厳しくすると補償金額が膨大になるというような考え方ではなく、国民の健康を守るための提言でなければ、有識者会議の意味がないように思う。

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原発事故379

給食基準に40ベクレルという数字が出てきた。
文部科学省がいっているのであるが、何をいいたいのかよくわからない。
基準なのかと思ったら、放射線検査機器の検出限界なのだと言い直している。
中川文科相は、40ベクレルは法的規制値を示したものではなく、機器の基準としつつ、各自治体の判断の目安の参考するといっている。
わざわざそんなことを記者会見までして語ることはないだろう。
スタンドプレーだ。

40ベクレルということに、納得できないお母さんもいると思う。
40ベクレルの根拠を示せていない。
学校給食は、慎重に綿密に安全をはかるべき。
つまらないことで、お母さんのたちの心を疲れさせないでほしい。

給食の基準40ベクレルというのは、どうも放射線検査機器の検出限界ということらしい。
しかし、放射線検査機器は、無理のない使い方で20ベクレルくらいまでは検出できるはず。
機器の性能の問題なら、基本的に「不検出」を目指すというのが、現代の日本を生きるぼくたちが受け入れざるを得ないラインかもしれない。
福島原発事故は、それだけ大きな事故だった。
あとは前を向いていくしかない。

それにしても、変な大臣がいる。困ったものだ。

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2011年12月19日 (月)

カレンダー

雪と戯れたり、草むらで遊ぶ犬や猫たちのカレンダー。
とてもかわいい。
信州の山の中で、自家製天然酵母パンをつくっている野良屋のオリジナルカレンダーだ。

Photo 野良屋のオリジナルカレンダー

野良屋のおばあちゃんは、諏訪中央病院の緩和ケア病棟に1年8ヶ月入院していた。
そのとき、家族がヒメという犬をよく連れてきた。
ヒメはおばあちゃんの病室に寝そべって、おばあちゃんをいつも見守っていた。
一度もほかの患者さんやご家族からクレームは来なかった。
頭のいい、ヒメなのだ。
そのヒメや、野良屋のペットである猫トラジの写真が、カレンダーになっている。

002 クリックすると拡大します

売り上げの10%は、JIM-NETや、アラブの子どもとなかよくする会に半分ずつ寄付してくださるということ。アラブの子どもとなかよくする会の西村さんは、千人風呂プロジェクトの石巻の希望の湯で4ヶ月ほど、ずっとばんだいさんをやっていた方だ。

一部1200円。ぜひ、カレンダーをお求めください。
天然酵母パンに興味のある方は、パンのご注文も。
パンは、めちゃくちゃおいしい。

詳しい内容やご注文は、こちらまで↓

http://motoraji.com/blog/1077/

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「アハメドくん」韓国版に

『アハメドくんのいのちのリレー』が韓国で出版されることになった。

来年3月下旬、アハメド君のお父さんと、サマハさんの家族、あわせて7人が日本にやってくる。
関西と東京で講演会をし、時間があれば諏訪中央病院あるいは東北の被災地を見てもらうことも考えている。
アハメド君のお父さんは、息子を亡くすという絶望のなかで、病気の子を助けるという新しい希望をもった。
重い心臓病で学校にも行けず、死を待っていたサマハさんは、アハメド君から命をもらった。
絶望のなかを生き抜いた2人の話は、もしかしたら被災地の多くの人に感動をもたらすかもしれない。

Photo_2

京都も案内したい。
パレスチナとイスラエルの2つの家族が一緒に旅することでさらに仲良くなる。
和平に向かって、新しい可能性が出てくるかもしれない。

今すぐに問題は解決しなくても、10年先に花が咲くように種をまき、水をやり、肥料をやる必要があると思う。
自分のお金を使って、種まきをしようと思っている。
講演会などの日程が決まったらお知らせする。
できるだけたくさんの人に、サマハさんに会ってもらいたい。

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2011年12月18日 (日)

母校・和田中を訪ねて

母校、和田中学校に行ってきた。
礼儀正しく、元気ないい子どもたちに囲まれた。
ボランティアで講演した後、学校給食を食べさせてもらっていると、たくさんの子どもたちが質問にやってきた。
この好奇心の旺盛さはなかなかいい。
いつも校長室をオープンにしているためだと思うが、どんどん入ってきて、ぼくに話しかけてくる。

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かつて和田中は学力テストが、杉並区23中学校のなかで21位だったが、現在は1位。
ぼくたちの時代は勉強もできなかった。運動もだめだった。
環状7号線の内側には貧しい人が多く、体格も小さな子が多かった。
外側には新しい中産階級が引っ越してきていて、親が教育熱心なので、勉強もできる。
体の発育もよく、運動もできる子たちがいたらしい。

現在も母子寮や世光寮があり、恵まれない境遇の子たちが通っている。
貧しい家で育ったぼくは、その子たちのことを意識しながら、勇気がでるように話をした。

和田中に講演に来たのは5年ぶりくらいだ。
よのなか科はいまも行われている。
土曜寺子屋(ドテラ)という教師志望の学生たちが100人ほどの中学生を小グループあるいは個別指導している。
授業についていけない子の補習にもなるし、できる子にはさらに上を教えたりしている。
夜は夜スペといって、東進ハイスクールの塾の先生が月水金土の夜7~9時まで、塾の3分の1くらいの値段で教えている。
学業不振の子を「落ちこぼれ」などというが、反対に学力が高く、学校の授業に物足りなさを感じている子を「吹きこぼれ」と言うらしい。
和田中では、「落ちこぼれ」も「吹きこぼれ」もなくそうと、それぞれの子の目標に合わせて教えている。
授業を充実させ、子どもたちの能力をアップさせながら、ドテラや夜スペを展開しながら、なおかつ、よのなか科で、授業以外の社会の動きに興味をもたせている。
よのなか科で社会の出来事に興味をもった子どもたちは、勉強や部活にも強く興味をもつようである。
朝はドリルから始まる。
英語のリスニングや10分間読書、計算など、20分間で子どもたちの脳のウォーミングアップをする。

給食も、いろんな家庭の子たちがいるので、昼食一食で800~900キロカロリーをとれるようにして、子どもたちの発育が平等になるようにしている。

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運動も強くなった。
今年、野球部が優勝したという。
バスケ、卓球、剣道部なども杉並区で優勝しているという。
ぼくらの時代には考えられないことであった。
母校が明るくて元気なことはうれしい。

同級生の市川君がずっとついてくれた。
畳屋の職人で、地域を守っている。
同級生にこういう男がいるのは、うれしくなる。
地域本部という学校を応援する組織が出来上がっている。
なんとも魅力的な学校である。

教育は、人生を変えるチャンス。
50年前、そう思いながら、ぼくはこの学校で勉強をさせてもらった。

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2011年12月17日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(94)

「サラの鍵」

抜群におもしろい。
映画らしい映画である。

1942年、ナチス占領下のパリで起きたユダヤ人迫害事件。
ヴェルディヴに連れてこられた10歳の少女サラは、弟を助けようと思って、戸棚の中に隠して鍵をかけた。

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それから60年後、アメリカ人女性記者ジュリアは、夫の祖父母から譲り受け住んでいるアパートがその家であることに気がつく。
サラとその弟が生きているか、追いかける。
美しい少女サラは生きていたことがわかる。
アウシュビッツからたくさんの人たちの支援で脱出していたのだ。
しかし、悲しみが次々にサラに襲いかかっていた。
つらかっただろうと思う。
サラを追いながら、ジュリアの生活が重なる。
そして、新しい命が誕生し、未来を予感させて終わる。

東京国際映画祭最優秀監督賞と観客賞を受賞。
原作は世界で300万部を突破したベストセラー。

映画好きの人はぜひ。
それほどでもないという人には、ちょっと重いかも。
本日からロードショー。

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原発事故378

東電の事故の中間報告が出た。
外部検証委員会の意見も出たが、どちらも踏み込みが足りず、賠償問題が大きくならないようにしているようにしか思えない。
みずからの判断ミスや謝罪、責任についてきちんと語られていない。

1号機の非常用電源から冷却装置を動かしていたにもかかわらず、なぜ止めてしまったのか。
時間があったにもかかわず、2、3号機の水素爆発をなぜ防ぐことができなかったのか。
原子炉の圧力を下げる操作をする電源のバッテリーをなぜ用意していなかったのか。
これだけの大きな事故を起こして、たくさんの人をふるさとに住めないようにしてしまったのに、原子力安全委員長も変わらない。
東電も外部検証委員会もみずからに厳しく、自己批判をしていない。
なんとも納得できない中間報告であった。

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2011年12月16日 (金)

園まりさんと対談

歌手の園まりさんと、本日12/16発売の「月刊がんサポート」1月号で対談した。

1月26日には石巻の仮設住宅を一緒に慰問。
以前、避難所だったビックサイトで、鎌田の講演と園まりさんのライブをすることになった。
これは、キャンナスの依頼。
キャンナスは日本中からたくさんの看護師たちを被災地に集め、すばらしい活動をした。
キャンナスの活動を応援する意味でも、この企画に賛同した。

20111111 園まりさんと

園まりさんはかつて、「田舎に泊まろう」というテレビ番組で石巻を訪ね、あるおばあちゃんの家に泊まらせてもらったことがあるという。
その家は津波で流れた。
その地域の人たちは、いま三段走りというところに仮設住宅をつくり、移住している。
JIM-NETの川添看護師、重岡看護師が支援に入っている。

園まりさんはミリオンセラーになった「夢は夜ひらく」や「何も云わないで」「逢いたくて逢いたくて」を歌ってくれるようだ。
被災し、仮設暮らしをしているおじさんたちも、とても喜ぶと思う。

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2011年12月15日 (木)

冬もぽかぽか、ショウガ、ユズ

熊本県山都町での講演で、健康づくりの話をした。
「ショウガがいい」という話をしたら、ショウガを栽培している平野さんという方が、ぜひ贈らせて下さいと言う。

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山都町のユズづくりの名人からも、ユズをいただいた。
ありがたいことである。
楽しい旅をさせてもらっている。

さっそく温野菜にユズをしぼり、薄いポン酢でいただいた。

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原発事故377

毎日新聞に、水銀中毒を研究し、水俣病患者の診療に尽力してきた原田正純医師のインタビューが載っていた。
原田医師は、1970年代に起きた宮崎県の土呂久鉱山での砒素中毒、足尾鉱毒事件、水俣病と、今回の原発事故の共通点を語っている。

土呂久鉱山での砒素中毒では、問題になったとたん、医師会を動員して調査し問題なかったと結論付けた。
福島の問題も、実際に低線量被曝がどういう健康被害を起こすのか、まだ科学的に決着がついていないのに、福島県と医師会は、余分な検査をするなという方向で決着をつけようとしているという。

土呂久鉱山の砒素中毒のときや、水俣病のときに、医師がどういう役割を果たすかによって、もっと被害を少なくすることができたはずだ。
医師や学会の役割は大きい。

過去の教訓を生かして、福島の被害を少なくするには、わからないことに関して慎重に扱い、健診を続けていくことが必要だと思う。

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2011年12月14日 (水)

チャリティー写真展

第15回「写真家達によるチャリティー写真展」が12/16~18、東京・富士フイルムフォトサロンスペース1.2(東京ミッドタウン内)で開かれる。

秋山庄太郎さんはじめ大石芳野さんら有名プロ写真家218人が出展している。
気に入った写真があれば、1万円で買うことができ、持ち帰ることができる。
収益金は、東日本大震災で被災した子どもたちのためにあてられ、JIM-NETに寄贈していただけることになった。

プロ写真家の力作を間近で見ることができ、買うことができるというのは魅力的。
しかも、被災した子どもたちの支援にもなる。
写真家の心意気にも触れることができる。

詳しくはこちら↓

http://www.fujifilm.co.jp/photosalon/tokyo/s12/111216012.html

ぜひ、お出かけください。

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小室等50周年ライブCD

小室等さんの「音楽活動50周年ライブ~復興~実況録音盤」がリリースされた。
2枚組みアルバムである。

小室さんは、ゆめ風基金の代表として障害者を震災から守る活動をしている。
ぼくらのJCFの理事も務めてくれている。
募金活動では、たくさんのお金を集めていただいた。

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小室さんの人脈は広く、たくさんの人に慕われている。
坂田明さんをはじめとして、ジャズのそうそうたるアーティストが参加。
詩人の谷川俊太郎さんまで加わって詩を読み上げたり、復興にむけて小室さんの熱い心が伝わるライブであった。
もちろん、ぼくも会場で永六輔さんと並んで聞いた。

日本全体が元気になってほしいという、祈りを感じる。
小室さんのライブをぜひ、聴いてほしい。

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2011年12月13日 (火)

お知らせ

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季刊誌「kotoba」では、「我々はどこから来て、どこへ行くのか」を連載している。
12/6発売の6号では、「霊柩車からの最後の授業」というエッセイを書いた。
がんに冒された一人の女性が、看護師の卵のために毎年続けた命の授業。
荼毘に付される日の朝に行われた授業は、学生たちだけでなく、医師や看護師にも一生忘れられないものになった。

「中央公論」1月号では、「著者に聞く」のコーナーで『「がんばらない」を生きる』(中央公論新社)が紹介されている。

「文藝春秋」新年特別号では、年賀状Photoに書き添えたい一言という欄で、鎌田は「にもかかわらず」という言葉をあげた。
絶望を希望に変えるキーワードだと思っている。

『さようなら原発』(鎌田慧編、岩波ブックレット)では、鎌田實が少しずつ原発はないほうがいいなと思ってきた流れが書かれている。

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チョコ募金、好調

チョコ募金にたくさんの方が応援してくれている。
今年は14万個の完売を目指しているが、早くも残り8万1000個というところまできた。
ありがたいことである。

明日14日(水)は、「大竹まことゴールデンラジオ!」(文化放送)に午後2.25~出演。
17日(土)の「土曜ワイド 永六輔その新世界」(TBSラジオ、8.30~)にも出演する。
ともにチョコレート募金のことを話させていただこうと思っている。

チョコ募金のお申し込みは、こちらへ↓

http://www.jim-net.net/choco/

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野菜の力

肉をよく食べる女性(一日80グラム以上)は結腸がんのリスクが高いというデータが発表された。
肉の摂取量が少ない女性に比べて48%も高いという。
男性の場合には牛肉、豚肉、鶏肉すべて合わせて100グラム以上という人は、44%高かった。
野菜を食べることが大事である。

第32回世界健康フォーラムでシンポジウムを行った。
日野原重明先生の100歳を記念したフォーラムである。

そのなかで、京都大学大学院人間環境学研究科の津田教授が、野菜を350グラム以上食べていると、いわゆる悪玉コレステロールのLDLが減るだけでなく、蒸し野菜で食べると酸化LDLが下がることを実験データで示してくれた。
ゆでるのではなく、蒸して温野菜にすると酸化LDLが減るという。
酸化LDLは、フリーラジカルとして暴れ、がんや動脈硬化を起こすといわれている。
肉は少量にしたほうがいいが、たくさんたべるときには温野菜をたっぷり食べるようにしたい。

1112056___2 無水調理ができるビタクラフトのなべで作った温野菜

カスピ海ヨーグルトで有名な家森先生はブラジルの長寿地域を訪ねて、リンゴ茶をたくさん飲む習慣を報告していた。
リンゴの皮のお茶である。
『ちょい太でだいじょうぶ』(集英社)に書いたが、リンゴの皮の直下にポリフェノールがいちばん含まれているので、皮を干してお茶の材料にするというのはとてもいい考えである。
食べる順番も大事。まず野菜をたくさん食べてから、魚や肉も食べるようにしたい。

日野原先生からは、女性が男性より6歳平均寿命が高いのは、エストロゲンという、男には少ない女性ホルモンが長生きのキーポイントの一つであるためという発言があった。
エストロゲンに近い食べ物は、大豆である。
豆腐や納豆、黒豆をほどほどに食べると、長寿につながる。

日野原先生は100歳になられて、ますます元気。
頭の回転も絶好調である。
基本的には粗食だが、夕食には野菜と大きなビフテキも食べる。
栄養をとりすぎず、しかし、しっかりを取ることが大事である。
おなかをすかす時間も、飢餓細胞を強めるために大事なのだろう。

このシンポジウムの模様は、NHKで放送される予定。
放送日時が決まり次第、お知らせしたいと思う。

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2011年12月12日 (月)

熊本・山都町で

熊本県山都(やまと)町から3年ほど前から講演の依頼があったが、なかなか都合がつかなった。
やっと今年、歴史のある町を訪ねることができた。

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清和文楽館や、石橋の通潤橋を見てきた。
幣立(へいたて)神宮もお参りをした。
高天原神話の発祥の地ともいわれている。
伊勢神宮の裏の宮という人もいる。
ヒーリングスポットとされ、たくさんの参拝客が全国から集まってくる。
芸能人やスポーツ選手もよく来るという話だ。

お払いを受ける参拝者が多かったので、正式参拝する時間がなくなってしまった。
自分のことや家族のこと、やりかけている仕事の成功をお祈りしようと思ったので、手紙を書いて、祈ってもらうことにした。
手紙には、わが国の安らかなることを祈ってほしいとも書いた。
春木宮司さまからご丁寧なお手紙をいただいた。

今年はどこをお参りをしても、愛国者のようになって、国の安らかなることを祈る人が多い。
ぼくは「愛国」というよりは、「愛郷」。
故郷にいられない福島の人たちのことを考えると心がつらくなる。

故郷の安らかなることを祈ってもらった。
ご利益があることを期待したい。

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2011年12月11日 (日)

お知らせ

「婦人公論」12/22-1/7合併号が発売された。
連載「僕の好きな女性」は、女優の小山明子さんのことを書いた。

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小山明子さんはとにかく「大島渚 命」。
大島監督を介護しながら、一緒に生活を楽しもうとしている。

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原発事故376

あの日から9ヶ月が経った。
いまも深く、そして広い傷をもつ東日本に、
厳しい冬が来ようとしている。

                    ◇

電力労組の政治活動費は年間7.5億円。
この膨大な額の多くが民主党に流れているという。
旧政権は電力会社の会社側からお金が流れ、現政権は労組から流れている。
こんなことで国民を守る政治ができるとはとても思えない。
東電は起こしていけない事故を起こしてしまい、賠償資金を政府から受ける。
これは国民の税金である。
にもかかわらず、労組は原発事故後も脱原発は困ると動き回っている。

東電は社長の清水正孝氏が辞任しただけで、いちばんの実力者である会長の勝俣恒久氏は責任を取っていない。
原子力安全委員長の斑目委員長も、大津波を考慮してすべての安全を考えた設計なんてできないと豪語していた。
しかも、原発事故の収束に向けてきちんと働いたとは思えないが、何の責任もとっていないのがおかしい。
責任をしっかり取らせる体制をとるべきだと思う。

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2011年12月10日 (土)

孫とうなぎ

小淵沢駅から5分ほどのところにあるうなぎや「井筒屋」に行った。
たれ焼きのうな重もおいしいが、白焼きにネギをたっぷりかけて、わさびで食べるうな丼もなかなかだ。

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息子夫婦が松本から孫をつれてやってきた。
久しぶりに孫と食事をした。
心と体に、じゅうぶん充電できた。

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お知らせ

「人間会議」2011冬号(宣伝会議社)は、「放射能と生活を考える」という緊急特集をしている。
そのなかにJCFがNHKの協力を得て招聘したベラルーシ共和国ベトカ地区病院のジミナ・ナジェージタ院長の講演と、鎌田の「子どもたちを内部被曝から守り笑顔を取り戻すために」という文章が掲載されている。
南相馬在住でJCFの現地スタッフの高村美春さんの「世の中のお母さんたち、無関心に負けないで」というテーマで書かれたメッセージもある。

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「がんサポート」12月号は、NHKの武内陶子さんと対談した。
武内さんの親友で、元NHKアナウンサーの小林真理子さんはスキルス胃がんで43歳で亡くなった。
一人娘の心のケアを気遣った真理子さんは、小さい子を育てながら、がんと闘っている若い親たちを救おうと新しいAIMS(エイムス)というNPO法人の立ち上げに余命をささげた。
鎌田もそのNPOの応援団になったことが書かれている。

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月刊誌「百楽」で、「生きるヒント、24の断章」という連載が始まった。
先月は、アランの言葉。
3回目の1月号では、ニーチェの「脱皮できない蛇は滅びる」。変わっていくことの大切さを語っている。
哲学的な言葉を選び、自分の小さな生活を哲学する。
鎌田流の生きるヒントを2年間、24回綴っていこうと思っている。

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「毎日が発見」12月号は、今年の漢字を清水寺の貫主ら著名人や読者に聞いている。
ぼくが選んだ一字は「絆」。ここ4、5年前から本のサインにこの文字を書くことが多くなった。
絆には、縦のつながりと、横のつながりがある。
今年ほど「絆」を意識した年はないと思う。

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以上、ぜひ、お読みください。

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2011年12月 9日 (金)

鎌田写真館~雪景色

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今朝、岩次郎小屋に 雪が降りました。

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初日に2万6千個突破

チョコレート募金が始まった。

12/1の受付開始日に、なんと2万6000個以上の申し込みがあったとのこと。
朗報である。
たくさんの人があたたかな支援をしてくださっている。
本当に感謝している。

001 クリックすると拡大します

チョコレートの缶のイラストが、明るくて元気が出ると評判がいい。
白血病を克服したイラクの15歳の少女・ハウラが描いたものだ。

12/5に「あさラジ!」(日本放送)で放送してくれたため、たくさんの注文が入った。
数ははっきり把握してないが、5日間で3万個を突破したようだ。

弁当の日を提唱している竹下和男先生は、10セットも申し込んでくれた。
とてもありがたいことだ。

ぜひ、いろいろな方にお声をかけてください。
毎年バレンタインデーにはすでに完売になっているので、ご注文は早めにお願いします。
今年はイラクの病気の子どもだけでなく、東北の子どもの支援にも充てられます。
よろしくお願いいたします。

お申し込みはこちらへ↓

http://www.jim-net.net/choco/

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原発事故376

政府は12/2、会津地方を除く福島県内と、茨城県、栃木県の全域をイノシシの出荷停止にした。
ぼくが以前から言ってきたことである。
汚染されたイノシシ12頭(もっとも高い汚染は3221ベクレル)が見つかったときから、イノシシは県境とは関係なく動き回るため、広範囲で注意すべきと言ってきた。

福島県中通りの熊肉と、栃木県産の鹿肉も出荷停止となった。
ウサギなども危ないと思う。
わかるまで放置するのではなく、森の全動物に対しては測定しないかぎり食べないように通達を出すべきである。

フランス料理だけでなく、中華料理でもジビエを使う流行がある。
知らないうちに汚染された鹿肉などがレストランに並ぶ可能性も否定できない。
また、ハンターからおすそ分けで配られる獣の肉も心配である。
絶対に後手に回らないように、獣の肉に関しては、放射線量を測定したものだけを食べるようにしたい。

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2011年12月 8日 (木)

「がんばらない」重版

『がんばらない』(集英社)文庫が、重版された。
25刷である。
単行本も文庫もたくさんの人に読んでいただいている。
ありがたいことだと思う。

Ganbaranai 

11月に出した『「がんばらない」を生きる』(中央公論社)もたくさんの人に読んでいただいているようだ。
「時代の証言者」を書いた読売新聞の鈴木記者が岩次郎のふるさと青森を取材し、ぼくが育った杉並区和田へも何度も足を運んでくれた。
ぼくが知らなかったことや、感覚的にとらえていたことがあらためて文章化され、ぼく自身発見の多い本となった。
また、少年鎌田實が育った時代、日本という国がどう動いてきたかが見えてくるのも魅力だ。
まだお読みでない方は『がんばらない』と『がんばらないを生きる』をセットで読んでいただきたい。

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原発事故375

山の放射能汚染が心配である。
今回の米の汚染も、山からの水が川を伝わり、田んぼに流れていった可能性もある。
山と平地はつながっていて、平地を除染しても、山から雨水が流れてくれば元に戻ってしまいかねない。
山や森は、除染の限界を考えなければならない。

チェルノブイリでは25年経った今も、森の汚染は思ったほど低減していない。
昨年、30キロゾーンに入ったとき、驚いた話があった。
森が自然発火し山火事が起きると、放射性セシウムが大気中に舞い上がり、都市や人が暮らす地域を汚染する危険性がある。
それを防ぐために、多くの消防隊員が30キロゾーンのなかに駐留しているのである。
30キロゾーンにはもう人は住まないという前提で、森は除染をしていない。
森で密漁する人たちが森の獣を食べて、体内被曝をしている。

フランス料理など野生の鳥獣を食すジビエブームがあるが、関東より北の地方では、イノシシや鹿を食べるときには放射線量の測定をするシステムをつくったほうがいいと思う。
チェルノブイリの原発事故では、600キロほど離れているノルウェイのトナカイが高汚染された。
森が汚れ、森のきのこなどを食べるトナカイが汚染されたのである。

1111206__ 岩次郎小屋の庭

信州では獣たちが異常に繁殖している。
鹿が本来1万頭前後に抑えたいところ、10万5000頭いると推測されている。
猟友会などが必死に捕獲しているが、増加に追いついていない。

20キロゾーンのなかにも、獣たちは舞い込んでいるはずだ。
30キロゾーンのなかには森や里山がある。
飯館村や伊達市などにも深い森がある。
福島市にも里山がある。

ジビエという食の楽しみ方に関しては、ここ数年は慎重であったほうがいい。
狩猟した獣の肉はきちんと測定して、安全を確認してから、市場に出したり、人におすそわけをするべきだ。
レストランも獣の肉を仕入れるときには測定されているかしっかりと確認してほしい。

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2011年12月 7日 (水)

新潟のお米

新潟からのお米が諏訪中央病院に届けられた。
中越沖地震の救援をしたのが縁で、毎年、おいしいお米をいただいている。

1112051__

病院の栄養士さんが、玄米ごはんをつくってくれた。
お米のいわれを、鎌田が筆で書いて、患者さんたちみんなでいただいた。
また別の日は、玄米を精米して、白米でいただいたり、おかゆにしたり。

新潟のおいしく、あたたかい心がこもったお米。
ごちそうさまでした。

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原発事故374

福島から1700キロ離れた沖縄でも、今回の原発事故が原因とされる放射性セシウムが検出されている。
微量であるが、なかり遠くまで飛んでいることがわかる。
茨城県では、1平方メートル当たり4万801ベクレルのセシウムが検出されている。
チェルノブイリでは1平方メートル当たり3万7000ベクレル以上は放射線管理区域としてかなり慎重に扱われている。
それに比べると、日本は非常に脇が甘い。
日本でも、3万7000ベクレル以上のところは、放射線の空間線量や土壌測定など徹底したほうがいい。

1111207__ 岩次郎小屋から見た八ヶ岳

東京の新宿区でも1万7354ベクレルを記録している。
長野市は2496ベクレル、甲府市は413ベクレルである。
おそらく山が放射雲をせき止めたのだと思う。
放射線の拡散には、風と雨と地形が関係している。

気になるのは、川である。
チェルノブイリでは川がきれいになるのに5年ほどかかった。
沼など流れが少ないところでは25年経った今でも汚染が続いている。

6~8月、阿武隈川から一日当たり500億ベクレルのセシウムが海に流れていた。
おそらく今もそれほど低下していないと思う。
阿武隈川の中流、伊達市付近では1日1万7000ベクレル近いセシウムが検出された。

福島の米が汚染された問題で、農家の人たちは山間を流れる川の水を田んぼに引かないように気をつけてきたという。
山が汚れていることをみんなわかっているのだ。
山に落ちた放射性物質が阿武隈川に流れ、その支流の支流へと広がっている。

福島県に近い群馬、茨城、栃木、千葉、新潟の一部など、大地だけでなく川の汚染の測定も詳細に行うべきだと思う。

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2011年12月 6日 (火)

お知らせ

諏訪中央病院は7日16時30分から、ハーブガーデンでイルミネーション点灯式をする。
毎冬、ハーブガーデンの夜は趣向を凝らしたイルミネーションで飾られる。

アルプホルンの雄大な演奏や、諏訪中央病院看護専門学校の学生たちのコーラスもある。
グリーンボランティアさんによる、ミルクティーのサービスもあるようだ。

今年は、どんなイルミネーションか楽しみ。
お近くの方は、ぜひおいでください。

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ほろ酔いコンサート

加藤登紀子ほろ酔いコンサートに、トークゲストとして飛び入り出演することになった。
12月10日の梅田芸術劇場メインホールでのコンサートだ。

おトキさんと打ち合わせの食事をしながら盛り上がった。
これから原発をどうしたらいいか、なんとなくスタンスが似ていて、話が合った。
うまく日程が合えば、2人で福島に応援に行こうという話もしている。

そのとき、こんな話も聞いた。
おトキさんの亡くなった夫・藤本敏夫さんがつくった「大地を守る会」やカタログハウス、パルシステム、生協の4つの団体が協力して、食品の放射線の安全基準を考えていくということだ。
共同テーブルをつくり、厚労省の見直しの作業の迅速化を求めていくとともに、基準値のあるべき姿を提示しようという。
とてもいいことである。

関西の方はぜひ、12/10のほろ酔いコンサートにおいでください。

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2011年12月 5日 (月)

原発事故373

福島の米の問題が深刻化している。

福島市大波地区の米から暫定基準値(500ベクレル)を超えるセシウムが検出された問題で、県がこの地区154戸4752袋の全袋の検査をすすめている。
その結果、新たに5戸の農家からも500ベクレルを超えるセシウムが検出された。
一番高い数値は、1270ベクレルであった。
さらに検査をすすめると、12戸からも500ベクレルを超える米が見つかった。

伊達市からも2地区3戸の米から、最大1050ベクレルのセシウムが検出された。
福島市渡利地区の3戸からも暫定基準値を超えるセシウムが検出されたが、自家保有米で、市場には出ていない。

福島の野菜や果物を応援してきたカマタとしては忸怩たる思いである。
一貫して、網の目の粗いサンプル調査できなく、全品調査に向けてシステムづくりをしながら、できる範囲で全品調査に近づけて詳しく調べるようにと言い続けてきた。

大波地区では、予備調査や本調査で28~136ベクレルが検出されているにもかかわらず、200ベクレル以下は詳しく調査をしないという甘い基準によって、重大な見過ごしがあり、福島の米は大きなダメージを受けることになった。
ND以外の地域では、全戸調査をすべきだった。
脇が甘かったと思う。

1111201__ 岩次郎小屋のニセアカシア

肉牛の汚染も5月11日に395ベクレルの汚染が発見されたが、500ベクレル以下なので問わないとされた結果、500ベクレルを超える肉が7月8日に発見された。
その間、はっきりしないが2000~6000頭の肉牛が、ほとんど検査なしに市場に出た可能性がある。

汚染された食品が少しでも市場に出回れば、食品への信頼が揺らぐ。
風評被害で、買い控えも増えるだろう。
後手にまわった政府に対して、一生懸命、米づくりをしてきた農家は憤懣やるかたない。
回収できていない汚染米もわずかだがあるようだ。

県や国、専門家も反省すべきだと思う。
傷口を小さくみせようとしたために、福島の米の汚染は深刻化した。

今頃になって県は、4割の農家を対象に、出直しの全戸検査をするという。
とても対応が遅い。

政府はもっときめ細かいサンプリングをし、一年後には全品調査ができるように食品の放射線測定器を多数確保する予算付けをすべきだ。

そして、県や国は、放射線に対して厳しい感覚をもつ学者を相談役として置くべき。
このままでは問題は深まるばかりだ。

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旅をしながら腹ごしらえ

名古屋では、大好きな矢場とんのみそかつを食べた。
久しぶりである。

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沖縄では、沖縄そばのつけめんを初めて食べた。
うどんに近い歯ごたえ。
ふつう沖縄そばは、かつおと豚のだしのあたたかいお汁。
豚の三枚肉や骨付きの肉が入っている。
それはそれでおいしいが、これもさっぱしておいしかった。

羽田空港の第一ターミナルの11番搭乗口の前あたりに、おもしろいすし屋を見つけた。
立ち食いすしだ。
築地で魚のどんぶり物とおすし屋さんをやっているお店が出店したという。

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江戸時代からすし文化があったという。
すしはもともとファストフード。
忙しい職人さんが2つ3つ口に食べて、すぐに仕事に出て行くのに好都合だった。

値段も、高い回転すしくらいの値段で、ふつうのおすし屋さんのカウンターで食べるよりはずっと安い。
魚は体にいい。
すしは体にいいファストフードなのだ。
日本の空港にはじめてできたという。日本のファストフードがもっと広がるといいなと思った。

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2011年12月 4日 (日)

鎌田写真館~さあ、みんなで!

シェ~~~!!

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先日の「鎌田實 いのちの対話」のテーマは「お父さん」。
それぞれのユニークで、すてきな「お父さん」を語った後、みんなでシェー!!。

左から村上信夫アナウンサー、赤塚不二夫さんの娘・赤塚りえ子さん、藤本敏夫さんと加藤登紀子さんの娘・yaeさん、寺島尚彦さんの娘・寺島夕紗子さん、そして、カマタ。

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2011年12月 3日 (土)

鎌田写真館~さとうきび畑

寺島尚彦先生の名曲「さとうきび畑」。
ざわわ、ざわわ、ざわわ・・・。
声が聞こえてきそうだ。

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たしかに、「ざわざわ」でもなく、「さわさわ」のようにやさしくもなく、「ざわわ」なのだ。
見事な擬態語の表現だと思う。

戦争は二度と起こしたくないという思いを、さとうきび畑はみんなに伝えている。
ざわわ、ざわわ、ざわわ・・・と歌い継がれていくだろう。

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2011年12月 2日 (金)

お知らせ

明日3日は、毎日新聞朝刊の鎌田の連載「さあ、これからだ」の掲載日。
今回は、ピック病という若年性認知症になったある男性のことを書いた。
中村成信さん。
彼は、「サザンビーチちがさき」の命名者で、サザンオールスターズの茅ヶ崎ライブの実現に奔走した行政マン。
突然、病気がわかり、どん底に落とされたが、家族や友人、地域の人たちに支えられて、自分なりの社会貢献をしようとしている。
もし、自分や家族がピック病だったらと、自分のこととして読んでいただければうれしい。

12/5発売の週刊ポストにもカマタの連載が載る。

ぜひ、お読みください。

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鎌田写真館~海岸の風と光

沖縄の海外沿いの町は風が強い。
フク木並木が防風林になっている光景は、なんとも情緒がある。

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雲間から夕日の光芒が海に差していた。
きれいな沖縄の海。

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2011年12月 1日 (木)

鎌田写真館~海の哲学者

11/23、「鎌田實 いのちの対話」の生放送のため、沖縄に行った。

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美ら海(ちゅらうみ)水族館では、コバンザメを乗せたジンベイザメの巨大さに圧倒された。

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メガネモチウオという哲学者のような不思議な魚が気に入った。
沈思黙考しているような感じで、人生ならぬ魚生のあり方を哲学しているように見える。

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チョコ募金、受付スタート

毎年たくさんの方々にご協力いただいているチョコ募金が、今年も始まります。
今年は「いのちをつなぐチョコレート」と題し、イラクと福島の子どもたちを支援するために行います。

今年のチョコレートの缶は、5年前に白血病を克服したハウラさんが描いた花のイラスト。
東日本大震災のことを知り、日本が元気になってほしいという願いをこめて描いてくれました。
チョコレートは、六花亭のおいしい3種のチョコ。

1缶500円をお買いあげいただくと、300円はイラクの子どもの医療支援に、50円は福島の子どもを放射能から守る活動に充てられます。

4缶1セットで2000円で販売しています。
ご注文はこちらから↓

http://www.jim-net.net/choco/

電話、FAX、郵便でも申し込みいただけます。

電話:03-3209-8177(平日9.0~17.0 年末年始12/23~1/9は受付いたしません)
FAX:03-3209-8176
郵便:〒171-0033 東京都豊島区高田3-10-24-303 チョコ募金係
 ※FAXと郵便の場合は、こちらの用紙(「p2012.pdf」をダウンロード)でお申し込みください。

ぜひ、おいしくて、かわいい、チョコ募金にご協力ください。

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