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2011年12月25日 (日)

被災地の医師不足

石巻市の沿岸部は壊滅的な被害を受けた。
131の病院や診療所のうち、15が廃止や休止状態になっている。
宮城県全体の沿岸部では1407の病院・診療所のうち、64が止めてしまったり、休止している。
福島県の20キロ圏内では7つの病院が、休止中だ。
南相馬市では市全体で、震災前は常勤の医師が54人だったが、今は28人。
看護師は451人が297人に減ってしまっている。
医師や看護師でも小さな子をもつ親であれば、原発に近い病院には勤務しようとしない。
しかたないことだが、非常にピンチである。

1111084__ 諏訪中央病院の庭

ぼくが出演している「ニュースエブリィ」(日本テレビ系)で、石巻の雄勝診療所を取材させてもらった。
10月から小倉先生が診療所長として赴任し、雄勝診療所が開設された。
小倉先生は、離島医療の経験があり、整形外科と内科の総合医の研修を受けている。
中国の地震やスマトラ沖地震などの救援にも入っている。
志の高い、雄勝にとってはうってつけの医師が赴任してきたと思う。

諏訪中央病院では、若手の医師を中心に一ヶ月交代で雄勝診療所を応援してきた。
諏訪中央病院の浜口院長が2月までの医師の派遣をしてくれたことが大きな支援になった。
小倉先生にどんな応援が必要か、聞いた。
安定した後方病院がほしいという。
仮設状宅のお年寄りが軽い肺炎になっても、高度医療の病院ではなかなか入院させられない。
仮設暮らしをする、軽い肺炎や小さな脳梗塞の患者が入院させてもらえず、悪化した例もあった。
高度救命救急センターのような命を救う医療ではなく、高齢者を2~3週間、ゆっくり診てくれる病院とつながれるといいとおっしゃっていた。

特に2月以降は、24時間体制で患者の要請に応え続けることとができるか心配である。
小倉先生が万が一、体調を崩されたときや学会などで出ているときに、応援してもらえる体制を県や国につくってもらえたら、ありがたいという。

小倉先生は、災害時の救急医療も力を入れているので、外国で災害が起きたときには飛んでいきたいと思っているだろう。
そのときに、小倉先生の診療所を支えるようなシステムができているといいなと思う。
石巻市立雄勝診療所であるが、市立病院と同じ課で運営されていないために、連携がとりにくい。
これは内部で話し合いをして解決すべきと話ていてた。

いずれにせよ被災地での医師や看護師不足は簡単には解決できない。
まだまだ、たくさんの人たちの応援が必要だろう。

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