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2012年1月23日 (月)

鎌田實の一日一冊(120)

「おれたちの青空」(佐川光晴著、集英社、1260円)

「おれのおばさん」の続編。
高校進学へ向けて、旅立ちのときが来る。
内なる自立を問いかけてくるような本である。

「一流の人間というのは、どんな不幸でも糧に変えて成長していく。
二流、三流の人間というのは不幸から逃げようとして、しかも、逃げ方が中途半端だから結局は不幸につかまっちゃう。
もちろん、不幸を糧に変えるなんて思いも寄らない。
自分の覚悟のなさを棚に上げて、世を恨み、不運を嘆き、他人のせいにするだけ。
つまり、進歩がないってこと。
それどころか、現状維持もできなくなって、年々気力も品性も失って、加速度的にだらしなくなっていく」
小説のなかで語られる言葉である。
なるほどなと思う。

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ぼくの高校時代のことをふと考えた。
都立西高時代には、頭の切れがまるで違う人間が何人もいた。
とてもかなわないと思った。
だけど、うらやましいとも思わなかった。
ぼくは、英語は学年でいつもビリのほうだった。
でも、数学だけはいつもトップクラスだった。
なにか一つできるものがあったので、負い目を感じずにすんだかもしれない。
あとはなんとかなるさと思い込んでいた。
トップクラスに入りたいなんて、あまり思わなかった。
入りたいと思う大学に入れれば、ビリで入ってもかまない。
大学に入れたら、卒業すればいいんだくらいにしか思わなかった。
生意気な高校生だったと思う。

「おれのおばさん」と「おれたちの青空」を読みながら、中学時代や高校時代の自分を思い出した。
今の中学生たちともっと話しこんでみたいと思った。
佐川光晴の本どちらか一冊というなら、「おれのおばさん」。
二冊読んでもおもしろい。

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