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2012年1月26日 (木)

鎌田實の一日一冊(121)

「樋口可南子のいいものを、すこし。」(清野恵理子著、集英社、1890円)

樋口可南子は好きな女優の一人。
今から15年ほど前、ひょっこり岩次郎小屋にやってきた。
カメラ屋さんの社長、茅野弘さんが連れてきた。
茅野さんとどんな関係なのか、わからなかった。
茅野さんはぼくの患者さんだったが、「本物をたまに見たほうがいいよ」と言って、年に1、2回、絵を見せに連れて行ってくれたりした。
「本物のおいしいものを食べにいこう」と言って、ぼくが東京で会議があるときに合わせ、わざわざ食事に誘ってくれてたりもした。
それまで医者仲間の付き合いだけだったぼくに、違う世界を見せてくれた人である。

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「樋口可南子のいいものを、すこし。」は、とてもいい本である。
ほとんどぼくには縁のない世界だが、一つだけ、あった。
ムッシュ・ヒラタのオート・モードが出ている。
あの平田暁夫さんだ。
ぼくは帽子がもともと大好き。
NHKの村上信夫さんに案内してもらい、平田さんのお店に行ったことがある。
なんと奥さんがぼくのファンだということで、気に入られ、帽子の木型をつくってもらった。
いつでもぼくの帽子をつくってくれるという。

夏の帽子を2つ買った。
しばらくするとプレゼントだといって、平田さんじきじきに編んだパナマ帽が贈られてきた。
麦わらを丁寧に編んだ、豪華なパナマ帽だ。
ぼくは夏中、ずっと平田さんの帽子をかぶっていた。

秋になって、お店にうかがいたかったが、時間がなかった。
冬の帽子がほしい、一つつくってほしいと手紙を書いた。

すると、なんと黒とグレーと茶の、3つの帽子が贈られてきた。
茶色の帽子はちょっとぼくには小さかったので、ぼくの代わりに奥さんがかぶっている。

ムッシュ平田の帽子を、樋口さんがかぶると、なんとも絵になる。
それにもして、いいものを少し、という考え方は、とても大事なことだ。
哲学がある、この本はいい。
いいものを少し、と時々自分に言い聞かせようと思う。

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