鎌田劇場へようこそ!(104)
「汽車はふたたび故郷へ」
オタール・イオセリアール監督作品の傑作。
さらわれた。
映画に心を奪われた。
なんだかわからないけど、心地がいいのである。
映画を撮影する自由のないグルジアを出て、主人公ニコが旅をする。
しかし、自由の街パリにも本当の自由はなかった。
たくさんの人に見てもらってお金儲けができる映画ではないので、なかなか映画をつくらせてもらえない。
監督自身の体験を投影している。
故郷グルジアへのオマージュであるが、同時に、映画という芸術に対するオマージュでもある。
希望はどこにもないが、心のなかにいつもある。
そんなことを感じさせてくれる素敵な映画である。
ぼくがさらわれたように、映画の最後で主人公は人魚にさらわれていった。
いくつもの時代と、リアルな世界と幻想の世界が斑状に交錯する。
これぞ映画、と思う。
悪がきだった頃、親友の男の子と女の子と貨車にしがみつく光景は美しい。
人間が生きるとき、心のふるさとの大切さをひしひしと感じる。
2/18から岩波ホールでロードショーが始まる。
いい映画、ぜひご覧ください。
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