鎌田實の一日一冊(124)
「最高の一日 最良の最期--やっぱり病院!それとも在宅?」(柏木哲夫、内藤いづみ著、佼成出版、1470円)
内藤いづみ先生は親友。日本の在宅ホスピスケアの第一人者である。
柏木哲夫先生は、病院の緩和ケアをつくりあげ、なおかつ緩和ケアを学問的にまとめた、緩和ケア学会の重鎮である。
その二人が病院や在宅のそれぞれいいところを話し合っている。
柏木先生はがんの末期の患者さんと時々、川柳のやりとりをするという。
毎回、回診に行くまでに、川柳を考えてかなければいけないので、回診前はとてもたいへんだとか。
患者さんも川柳を用意していて、医師と患者がお互いに川柳で火花を散らしているというのはおもしろい光景だ。
患者さんがどんな句ですかというので、「今日のはパンチがありますよ」と柏木先生。
「腹割って 話して解った 腹黒さ」
それに対して患者さんは「なかなかいいですね。私のは自信がないですけれど」と前置きして、
「寝て見れば 看護師さんは みな美人」
一緒にいた看護師さんが、「じゃ、座ったらだめなの」とつっこむ。
「いやそんなことはないです」と患者さん。
思わずほほえんでしまう光景だが、著者の2人は、医師と患者、看護師がユーモアの力で平等になっていると理論的な展開をしていく。
なかなかおもしろい本である。
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