鎌田實の一日一冊(124)
「リハビリの心と力 かかわりが自分を変える、地域を変える」(稲川利光著、学研メディカル秀潤社、1680円)
著者は現在、NHKの福祉ネットワーク「にっぽんリハビリ応援団」に出演中。
もともと優れた感性があるリハビリ医であった。
何回か、我が家に遊びに来たことがあり、筆文字をちょこっと教えた。
もしかしたら一本目の筆は、ぼくがプレゼントしたものではないかと思っている。
その後、ときどき筆で書いた手紙をもらった。
いつも下手だなと思っていた(笑)。
なんと、その下手な文字で、本のタイトルを書いてしまった。
こんな下手な文字はめずらしいくらい。
書の師(ぼくのこと)がよくなかったのか。
ぼくも同じくらいヘタだから。
でも、自分の字のほうがもうちょっといいと思ってしまうのが、人間の弱いところである。
稲川利光も、自分ではけっこういいと思っているんだろうな。
出色は、清志郎さんががんの末期で入院中、リハビリを受けるという話。
あのRCサクセションの忌野清志郎のことだ。
稲川のことを「親方」と呼んでいる。
稲川利光という人間のやさしさが、短い文章にあふれている。
清志郎さんの魅力も、やっぱりそうだったかと思わせるほど、やさしい。
このところを読むだけでも、この本の価値は十分にある。
本全体では、リハビリって何かよくわかる。
一般の人にもわかりやすいように書かれていて、もっとも大切な「情」にあふれている。
いいエッセイを読んだ。
それにしても、ページのところどころに、彼のヘタな文字が出てくる。
ちょっとめまいがしそう。
もうちょっとしっかりと教えなくちゃいけなかったなと反省。
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