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2012年2月 8日 (水)

原発事故393

第二次世界大戦後、ぼくは生まれた。
焦土と化した日本は多くのものを失ったが、顔を上げ、青空を見ながら、いい国をつくろうと思った。
何もないけれど、もうB29はやって来ない。
多くの人が前を向いて歩み始めた。

3.11の災厄から11ヶ月。
日本をもう一度一つにして、立ち上がろうという気運にならない。
復興計画も復興予算も空回りしている。
人々の心をすくいあげることができないからである。
なぜだろう。
見えない放射能が国民の心を引き下げているのではないか。
空を見上げても、放射能のことが心配になり、うつむいてしまう。

1202011__ 雪が積もる岩次郎小屋のウッドデッキ

復興に向けて日本が立ち上がるためには、原発に対する方針を明確にすることが大事なのではないかと思う。
国民の半分は、経済を良くするためには原発が必要と思っている。
その人たちをどうしたら納得させることができるか、ずっと考えている。
経済のために原発が必要と思っている人たちは、原発による電力が必要と思っているわけではない。
安定した安い電力さえあればいいのである。

本当に電力が足りないのか、という大きな問題がある。
2010年は猛暑だったが、またそのときのような猛暑が来ても、すべての原発が停止しても電力は需給できるのではないかという意見もある。
枝野さんは最近、そんなニュアンスで語っている。
電力が足りているのか足りないのかは大きな問題だ。
足りるならば、経済優先オヤジたちを納得させて、定期検査の後、原発をこのまま再開しないという手もある。
電力が足りないならば、原発を2022年までに止めると決めたドイツと張り合って、2020年までにすべての原発を止めると明確に示し、そこにコンセンサスを求めるのがいちばん妥当だと思う。

40年で原発を廃炉にするとか、さらに20年使用できる特例を設けるとか、わけのわからないことを言っているので、国民の心が一つにまとまりにくいのである。
これだけ福島県の人たちを痛めつけておいて、日本に54基の原発があるというのは、やはり納得できない。これでは、国民の心は一つにならない。
国民の心を一つにするためには、何年までに原発を止めるということをはっきり示し、それまでに、再生可能エネルギーや、ほとんど原子力とコストが変わらない天然ガスを使った火力発電、洋上の風力発電などに変えていくことで、経済優先オヤジたちも納得させることができるのではないか。

すでに2010年、世界では30カ国437基の原発があるが、そのエネルギーよりも、再生可能エネルギーのほうが多くなった。
世界全体をみても、古い原子炉が多い。世界でも原発を止めながら再生可能エネルギーに舵を切るはずである。その先頭を日本が走り、技術開発し、貿易の武器にしていくことが日本の生きる道だと思う。

まず、やらなければいけないことは、日本の経済を冷やさないように電力が足りているか足りていないのか、透明性の高い舞台で議論すること。
そして、国民のコンセンサスを得る必要があると思う。

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