« チェルノブイリ省の大臣と | トップページ | ミンスクの街の様子 »

2012年2月29日 (水)

チェルノブイリ情報センター

ミンスクにあるチェルノブイリ情報センターを訪ねた。
子どもの絵や作文を集めて、子どもたちの心の問題を解決しようと取り組んでいるという。
ベラルーシとロシアの学校19校に、空間線量計や食品の放射線量計を置き、測定できるようにしている。
ベラルーシ全体では、一時1000箇所で現在800箇所の地域で、食品の放射線量が測定できる。

ミンスクの中央市場にも出かけたが、その市場で売る場合、1ドル以下で放射線量が測れる。
1ドルは87円くらいだから、とても安い。
家庭菜園で作ったものを自分で食べる場合は、測定料は無料。
そんなふうに放射線量を調べる場所がいくつもある。

089

ベラルーシでは1986~1999年まで5回、食品の規制値を変えた。
体外被曝量と体内被曝量を足して、自然放射線量をさし引いた被曝量が1ミリシーベルトを超えないように、食品の組み合わせを考えて決められているという。

日本でも早く、福島原発情報センターのようなものをつくって、食品の規制値や食べ方などの注意点など、市民にわかりやすくパンフレットやビデオで広めていくことでができるといいと思う。

キノコなども、全てが放射線量が高いわけではないといわれた。
種類によって、放射能を吸収しやすいものとそうでないものがあるようだ。
それをまとめた一覧表をみせてくれた。
食品を食べるには、洗ったり、むいたり、酢漬けにしたりする。
肉や魚は塩漬けにして、食べるときに塩抜きして食べる、などの具体的な情報をわかりやすく説明していた。

084

このチェルノブイリ情報センターには、放射線の専門家や経済の専門家のほか、コミュニケーションの専門家がいるという。この視点は大事である。
日本でも、コミュニケーションの専門家が福島原発事故後の処理をする委員に入っていれば、もうちょっと国民にわかりやすい説明ができたはずだ。

ぼくは以前『言葉で治療する』(朝日新聞社)という本で、患者さんに納得できる形の医療を展開するには、コミュニケーション技術が必要であり、医療にとって言葉というのはとても大事だと書いた。
見えない放射能に関しても、言葉の力はとても大きい。

なのに、政府の言葉も、福島県の言葉も、それを支えている学者たちの言葉も、国民に不信感をもって伝わってしまう。
福島県でも、専門家が県民の心を捉えらていない。
いくら県民に説明しても、県民からは痛烈な質問や批判意見が出て、おだやかな形で説明ができなくなってしまったことは、たいへん不幸なことである。
国民の信頼を得るためにも、コミュニケーションの専門家の役割は大きい。
チェルノブイリ情報センターに学ぶべきことは多いと思う。

|

« チェルノブイリ省の大臣と | トップページ | ミンスクの街の様子 »