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2012年3月

2012年3月31日 (土)

鎌田流・健康レシピ③~そば

本日は、そばの話。
そばはほどんどがでんぷんだが、たんぱく質も豊富。
リジン、スレオニンなど必須アミノ酸を含んでいて、栄養価も高い。
疲労回復にいいビタミンB1や、脂肪の代謝を助けるビタミンB2も多い。
いちばん大事なのはルチンという抗酸化作用の高いポリフェノールが入っていることだ。

ルチンは毛細血管を強くし、同時に血圧を下げる作用もある。
高血圧や脳卒中も少しだけ防ぐことが期待できる。
ビタミンB1、B2、ルチンはそば湯に含まれているので、ぜひ、そば湯を飲んでほしい。

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食後血糖値を急激に上げるものは、体脂肪になりやすい。
そのため、白い砂糖、白いごはん、白いパンよりも、色のついたものがいい。
同じ麺でも、うどんを食べるならば、そばのほうがいいのだ。

半助(はんすけ)というおそば屋さんが諏訪の並木通りからちょっと入った露地のところにできた。
とてもおいしいそば屋さんだ。
卵焼きも、もりそばもおいしい。
十割そばもつくっている。

卵とじそばはぜいたくなほど卵が使われていて、とてもおいしかった。

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2012年3月30日 (金)

バッパの牡蠣

石巻の千人風呂を使ってくれているきくこさんから、たくさんの牡蠣が送られてきた。
みんなからバッパと呼ばれ、慕われているおばちゃんである。
お風呂を守っている熊さんやボランティアの人たちのお昼ご飯の面倒をみてくれているバッパ。
3月10日に突然、千人風呂を訪ねたとき、ぼくがバッパがもってきてくれた生牡蠣をうまい、うまいと感動して食べたので、送ってくれたのだ。
ありがたい。

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牡蠣は、生で食べたり、フライにしたり。牡蠣なべ、牡蠣ぞうすいも楽しんだ。
東北の人はほんとうにやさしくて、あたたかい。

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原発事故407

小高病院の遠藤清次・元院長が諏訪中央病院の報告会とJCFでの報告会に出席するため、福島からやってきた。
JCFと諏訪中央病院は昨年3月の震災直後から、医師、看護師の派遣を決め、協力して医療支援を行ってきた。
30キロ圏のなかに初めて入る医療班だった。
そのことに対して、遠藤先生はどうしてもお礼が言いたいと、今回の来訪した。

遠藤先生は、南相馬の仮設住宅のなかにできる新しい商店街の一角に、絆診療所を開設する。
その看板をぼくに書いてほしいという依頼で、看板にする板も持参した。

遠藤先生は甲状腺の専門医である。
原発から30キロほどのところの診療所で、在宅医療と同時に子ども甲状腺の医療を行うことができれば、地域住民は心強いと思う。
JCFは今後も絆診療所を応援しようと考えている。

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2012年3月29日 (木)

ただいま入院中

諏訪中央病院で、27日に手術をしました。
粉砕骨折したところを針金で集めてつなげています。

1203291__ 諏訪中央病院の夕食。向こうにのぞくのが、ぼくの右足のギプス

あと3週間、右足はまったく着けません。
松葉杖で移動しています。
体力が要ります。

その間、右足の筋肉がやせないように、強化訓練もしています。
5月には障害や病がある人たちと一緒にハワイに行くので、それまでにはしっかり治したいと思っています。

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鎌田流・健康レシピ②~話題のトマト

トマトに含まれる13-OXO(オキソ)ODAには脂肪燃焼作用があり、中性脂肪を減らすということがわかった。
ただし、体重や体脂肪を減らすのではない。
血糖値を20%減らすというデータもあったようだ。
もともとトマトには脂肪を燃焼させる物質があるといわれていたが、京都大学農学部の研究グループによって実証された。

ただし、つらいのは、一日にトマトを6個食べないといけない。
これを続けるのは容易なことではない。
トマトジュースでも3杯。
一時は、トマトジュースが品薄になったとか。

トマトは一日2個くらい食べ、あとはトマトジュース1杯やトマト寒天など、いろいろとり方を工夫したほうがいい。
ドクターかまちゃんの寒天ゼリー」にもトマト味がある。
それをさらにおいしく、健康に食べるにはトマトジュースでトマト寒天をつくるといい。
ドクターかまちゃんの寒天ゼリーは、福島の子どもを救う募金につながっている。
福島の子どもを救いながら、中性脂肪も下げてくれる。

毎日毎日、トマト6個を食べるというのは、おしゃれではない。
情報に踊らされず、それぞれ生活になじむような工夫をして、健康づくりに役立ててほしい。

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原発事故406

神戸のある学者が、西日本にがれきを運ぶのは間違いと言っていた。
東京や神奈川の放射線量は、岩手や宮城とそれほど変わらないから、がれきの焼却に協力すればいい、だが、西日本は違うというのだ。
はたしてそうだろうか。

Img_6343 新宿のホテルから望む

岩手は、震災前の最大放射線量は毎時0.084マイクロシーベルトであった。
現在、岩手は0.028マイクロシーベルトで、事故前の最大値より低いのである。
宮城は、事故前の最大放射線量は0.051マイクロシーベルト。
現在は0.053マイクロシーベルト、ほとんど同等なのである。
西日本も決してゼロではない。自然放射線や、世界で行われた核実験後の放射線も日本中に降り注いだ名残がある。

がれきの量は2200万トン、そのうちの400万トンを広域処理をしたいと政府は考えている。
2割しか解決しないなら各地で燃やさないほうがいいという考えもある。
しかし、がれきの量はあまりにも膨大で、女川町などは自分のところで燃やすと、100年以上かかると試算している。
このままがれきを野積みにしていると、夏になると腐敗臭や感染症が発生する危険もあり、そこで生活する人たちのQOLも低下する。精神衛生上もよくない。
せめて岩手と宮城のがれきに関しては、全国で応援できるところは応援したほうがいいように思う。
住民に納得してもらえるところは、できるだけがれきを受け入れ、負担を分かち合っていくのが筋だと思う。
がれきを受け入れる自治体が増えることを祈るしかない。

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2012年3月28日 (水)

グリーンボランティアと

先日、諏訪中央病院で放射線と健康について話した。
話を聞きに集まったのは、いつも病院の庭を手入れしてくれているグリーンボランティアの人たちや、病院でボランティアをしてくれている人たち約60人。
富山や広島の医学部の学生も参加した。

終わった後、グリーンボランティアの人たちがまだ雪が残っている外で、昼食会をはじめた。
おいしく、ぜいたくな昼食であった。

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グリーンボランティアの人たちがバザーで集めた10万円を、福島の子どもを救うためにJCFに寄付してくださった。
よき理解者、協力者を得たことに感謝である。

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原発事故405

経済産業省の原子力安全・保安院はかつて業界に天下りしたり、企業の専門家が規制をする側に天上がったり。
専門家が少なく手不足のため、企業から貰い受けるのである。
とんでもないことだ。
それが規制をする側に回るわけだから、まともな規制にはならない。

そして現場でも、原発メーカーの専門家が、働かざるを得ない。
原発のことをいちばんわかっているのはメーカーであり、その企業のメーカーが動かないと、原発を動かすことも止めることもままならないのが実態である。

4月から発足するという原子力規制庁は、できるだけ自立した形をとり、専門家の養成もしながら、国民が安心できるようなコントロールタワーになってもらいたいものだ。

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2012年3月27日 (火)

評判のお菓子店

福島県須賀川市で51年続いた大黒屋スイーツ&カフェ。
震災で津波の被害はなかったが、地震の被害がひどく、棚の商品がすべて落ち、ショーウインドーが割れた。
知人のつてを頼りに長野市に避難。
その後、いったん地元にもどってお菓子屋をはじめたが、水のおいしい場所を探し、中学三年の息子を含めた一家で昨年6月から茅野市にやってきた。

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そんな話を聞いて、応援したくなり、大黒屋に買い物に行った。
驚いたことに、あふれるほどのお客さんがいる。
知らなかったのだが、たいへん有名なお菓子屋さんで、東京からもわざわざランチを食べに行ったり、お菓子を買いに行ったり人がいるらしい。

マスターがこだわりの人らしく、和菓子も、洋菓子も、チョコレートも、コーヒーも、みんなこだわっている。
お客さんは一回目は応援のつもりで行っても、次からはおいしくてリピーターになる気持ちがよくわかる。

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奥さんに話を聞くと、茅野市に来てよかった、みんなにやさしくしてもらったと言う。
学校の子どもたちが自分たちで育てた大根を売ったお金を、義援金としてもってきたことがあった。
「もっと苦しんでいる人にあげてください」と、その義援金は断ったが、その気持ちがありがたく、お礼のチョコレートを子どもたちにあげた。
すると、今度は、子どもたちが作文を書いてくれたという。

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大黒屋スイーツ&カフェは、茅野市役所の斜め前にある。
茅野市に来られたら、ぜひ、大黒屋さんのケーキとコーヒーを味わってみてほしい。

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原発事故404

2006年に原子力安全・保安院が原子力防災指針の強化に反対し、指針の改定が見送られたという。
IAEAは重大事故の際、緊急防災措置区域として30キロゾーンを提案してきたが、日本はこれを蹴った。

昨年311以降、福島第一原発事故が発生したときには約26時間の間に、はじめ3キロ以内の避難指示、その後10キロ以内、20キロ以内と、ころころと変わった。
しかも20キロ以内の避難プラス30キロ以内の屋内退避という複雑な指示だった。
屋内退避をするなら、24時間以内とか48時間以内にすべきであったと思う。

結果として、緊急防災措置区域30キロという国際的な提案は、正しかったと思う。
チェルノブイリでも30キロゾーンはかなり厳格に守られ、現在も30キロゾーンには人は住めないようにしている。

国民の健康を守らなければいけない原子力安全・保安院が、原発の安全や国民の健康を無視して、防災指針の強化に反対したというのはふざけた話だ。

そのどうしようもない原子力安全・保安院を中心にして、原子力規制庁を4月から発足するというが、いまだに方針が立っていない。
環境省の外局として、原子力規制庁をつくろうとしている政府と、独立性の高い3条委員会に変更する案を主張している自民党。
原子力規制庁の目処がたたないなかで、原発の再稼動の話が飛び出しているのはおかしいことだ。
コントロールタワーをもっとしっかりさせないといけない。

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2012年3月26日 (月)

働くことの意味

本日26日付けの読売新聞朝刊の思想オピニオン欄に、「潮」での鎌田と柳田邦男さんとの対談の内容の一部が取り上げられている。

その対談でぼくは、働くことの重要性を話した。
東北で入浴支援をしながら、被災者に日当6000円で働いてもらったことで、被災者が生き生きしはじめ、一つのリズムができた。

さらにコラムの筆者は、東京電力の賠償案は、被災者の元々の収入を補填するものであり、被災者に働かない選択をさせ、精神衛生上も肉体的にもよくないと指摘している。

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ぼくはかねてから「働くこと」と「愛する人がいること」という2つが大事だと思ってきた。
若者がこの2つをもてるようになることが、この国の明暗を分けるテーマだと思っている。
4月26日発売の『ニッポンを幸せにする会社』(集英社)はまさにこの雇用をどう広げるか、資本主義を超える資本主義について考えている。

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喪失の後の希望

『希望 命のメッセージ』(東京書籍)が、日本教育新聞の書評欄に取り上げられた。
中央大学の都筑学教授が「喪失の後に求められるもの」と題して、書評を書いてくれている。

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「本書では、写真とそれに寄せた著者たちのエッセーによって、被災した日本とイラクの状況が静かに語られる。病床や不幸のふちにあるイラクの子どもたちを支援してきた優しいまなざしは、東北の人々の暮らしや子どもたちの学びへと向けられる。生きる糧を得る働きがいのある仕事。人間としての真っ当な生き方を学ぶ学校。喪失の後に求められるのは、そうした創造である。子どもも大人も、そこに希望を見いだす。本書は、その大切さを私たちの心に強く訴えるのである。」

全文はこちら↓

http://www.kyoiku-press.co.jp/cgi-bin/books_dtl.cgi?no=1

この『希望 命のメッセージ』や『なさけないけどあきらめない』(朝日新聞社)を、まだ読んでいない方はぜひ、お読みください。
『希望』の印税は、東北の子どもたちの支援に使われます。

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骨の折れた話

右足の腓骨(ひこつ)骨折をしてしまいました。
下腿の細いほうの骨で、足首に近いところです。

今季最後と思い、スキーを楽しんでいたのですが、だいぶ下に下りたところの平らなところで、みぞれまじりの雪に足をとられて転倒。
左のスキー板は外れたのですが、右の板が外れず、足首に異常な回転が加わり、ポキンと折れました。

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JCFが空間線量計を貸し出している福島の二本松の母子に、どんなふうに使っているか聞き取りをするつもりでしたが、行けなくなりました。
南相馬市立総合病院の坪倉先生や、産婦人科医の高橋亨平先生にお会いする約束もしていましたが、残念です。
坪倉先生とお会いし、ひらた中央病院のホールボディカウンタのデータやJCFの積算線量計のデータを一体化させ、内部被曝と外部被曝の総和からより正確な分析ができるのではないかと期待していたのです。
家を流された被災者の横山さんには、かねてから何度も家に泊まってほしいと言われており、今回ようやく泊まらせてもらう予定でしたが、またまたお気持ちを裏切ってしまいました。
いろんな人に迷惑をかけております。

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27日の火曜日あたりに、手術になる可能性もあります。
全治は約2ヶ月ですが、2週間ほどしたら松葉杖で、“社会復帰”するつもりです。

「動きすぎ、働きすぎ、ゆっくり休め」
岩次郎さんがあの世で言っているように思い、2週間ほどのんびりしようと思っています。

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2012年3月25日 (日)

鎌田實の一日一冊(129)

「南三陸町からの手紙 3.11を体験した22人が自ら綴った言葉」(加藤秀視監修、野寺治孝写真、栄久堂、1680円)

元暴走族でジャパン元気塾を主宰する加藤秀視君が監修をしている。
震災後、南三陸町に入り、炊き出しするなど支援を続けながら、出会った人たちの言葉をまとめた。

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「同情されるのが嫌で平気なふりをしています。もうだいじょうぶだって、ふっきれたふりをしています。
でも、正直言うとあなたに会いたいです。ときどき。
3月11日に戻れたら・・・なんて考えたりしています。
私は津波から必死に逃げて助かりました。
生きたからには一生懸命生きようと思います。それでもまだ、私にはあなたが必要です」(34歳、主婦)

こんな手紙が続いていく。
忘れてはいけない、いくつもの思いがこの本にはつまっている。

表紙が不思議。
カバーを外すと、一枚のポスターのようになっている。
そこにぼくの応援メッセージが記されている。

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2012年3月24日 (土)

鎌田實の一日一冊(128)

「ごちそうさま もらったのは“命”のバトン」(竹下和男著、自然通信社、1575円)

子どもたちが食の大切さを知り、食を通して人と人がつながっていることを知る。
それが「弁当の日」だ。

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竹下先生が11年間、命がけで広げてきた「弁当の日」は、全国45都道府県約1000校で実施されている。
ぼくをはじめ竹下ファンや、「弁当の日」応援団は全国にたくさんいる。

感動的な本である。

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2012年3月23日 (金)

唐十郎からのはがき

唐十郎から、絵はがきが届いた。

「下谷万年町物語」の芝居の写真である。
この芝居で、水の中から出てきたり、水の中に消えたりと、唐十郎は命がけで演じている。

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「あれからもっと長い空気の時間が過ぎていったけど、今日も池の中からヨイコラショー、みなさまの足元に、ビショビショとお近づきいたします。これからも、どうぞよろしく。水から上がった唐十郎」

春が来ると、新作のテント芝居が始まる。
今年はどんな新作をつくるのだろう。
楽しみだ。

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原発事故403

折れ線グラフは、ベラルーシでの食品の規制値の変遷である。

黄色い線で示す果物は、1988年では1キログラム当たり370ベクレルだったが、1999年には40ベクレルになった。
その間、規制値は5回改変され、徐々に厳しくなっていった。

793 ←クリックすると拡大します。ベラルーシの食品の規制値の変遷

日本でも、規制値を徐々に厳しくすればいいという意見が強い。
しかし、ぼくは最初から世界一厳しい基準をつくったほうがいいと思っている。
その理由はこうだ。
規制値が厳しければ、それだけ国民の健康を守れる。
それだけではない。
たとえば昨年の福島の果物の約95%は40ベクレル以内に納まっていた。
実質、ベラルーシ並みの厳しい規制値をクリアしているのであるが、日本が世界一厳しい規制値を設け、それを福島の果物がクリアしているとなれば、風評被害を防ぐことになるし、正当な値段で買ってもらうことができるのではないか。

外国で、日本の果物が売れなくなっている。
日本の安全、安心の食品を高級食品として売るには、世界一厳しい基準を設けることはとても意味があるのだ。
そして、それは言うまでもなく、福島の農家を守ることにもつながる。

4月1日から、暫定規制値から新しい規制値が始まる。
安全神話の失敗を繰り返さないためにも、放射能の「見える化」を徹底すべきだ。
先日、茅野市内のニチワ工業の開発の人と会った。
今年夏くらいまでには、食品を10ベクレルくらいまで測定できる機械を開発しているという。
ニチワ工業は、ベラルーシの食品測定機器も販売しているという。

内部被曝を避けて、国民の健康を守るため。
そして、日本の食を守るためにも、旧ソ連が行ったチェルノブイリ事故への対策のスピード程度でいいなどと妥協しないことだ。

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2012年3月22日 (木)

4/15トーク&ライブ

さだまさしさんと鎌田のトーク&ライブが4月15日、スカイホール豊田で開催される。
予約は4000人を超えた。

ぜひ、たくさんの方々に来ていただきたい。
たくさんの人に来ていただければいただくほど、東日本大震災で被災した子どもたちを救う活動に寄付ができる。
収益と会場内で集まった義援金は、東日本の子どもたちを救う活動をしている団体に寄付したいと考えている。
さだまさしさんと鎌田が寄付を届けることで、その活動に光が当たるきっかけになればいいなと思っている。

鎌田は、ふだんの講演会では話さないようなことをお話したいと思う。
まさしさんも、ふだんとは二味も三味も違うコンサートになりそう。
二人とも全力東京でお迎えするので、ぜひ、ご来場ください。

東日本大震災復興支援 いのちのメッセージ
鎌田實・さだまさし トーク&ライブ

日時 4月15日(日)15時開場 16時開演
場所 スカイホール豊田

Ⅰ部 トークショー Ⅱ部 さださましライブ

全席指定S席6300円、A席5800円

問い合わせは、いのちのメッセージ実行委員会事務局(豊田スタジアム内)0565-87-5200へ。

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2012年3月21日 (水)

鎌田の10冊

ある雑誌で、わが人生最高の10冊という特集があった。
鎌田のベスト10は次のとおり。

1位「カラマーゾフの兄弟」(ドストエフスキー)
人間のなかに獣がいる。ぼくのなかにも、もちろんいる。
獣を暴れさせないようにしていくことが、「生きる」ということだと思っている。
この本のなかで、ドストエフスキーが「人類すべての悲しみより、一人の子どもの涙は重い」と書いているが、この言葉は、20年以上のチェルノブイリの医療支援につながった。

2位「胎児の世界」(三木成夫)
三木先生は、ぼくの恩師。大学時代この人の授業を受けたことは、鎌田の考え方を構築するうえで大きな柱になっている。

3位「クローニン全集」
高校3年の春から夏にかけて、悶々としていた自分の心を支えてくれた全集。

4位「どくとるマンボウ航海記」(北杜夫)
世界が見たい、医者になりたいと思った本。

5位「田村隆一詩集」
旅に出るとき、持っていくことが多い。

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6位「今日は死ぬのにもってこいの日」(ナンシー・ウッド)
Yes,Today is very good day to dei.
こんな言葉を言って死にたいと思う。

7位「100万回生きたねこ」(佐野洋子)
何度も繰り返し読んでいる、お気に入りの絵本。

8位「レッツラ・ゴン」(赤塚不二夫)
赤塚不二夫は天才だと思う。

9位「幸福論」(アラン)

10位「非営利組織の経営」(P.F.ドラッカー)
病院の院長として、黒字を出せたのはこの本のおかげだと思っている。

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2012年3月20日 (火)

原発事故402

野菜の宅配サービス、らでぃっしゅぼーやは、独自の放射性物質の検査体制をとり、多くのものが500ベクレルという根拠がはっきりしない国の暫定規制値に対して、その10分の1の自主規制値を設けてきた。
国が4月から新しい規制値を設けるのに先立ち、さらに厳しい自主規制値を決めて運用していくという。
たとえば、飲料水と乳児用食品は不検出レベル。
お米、牛乳、乳製品は10ベクレル。
野菜、果物、きのこ、肉、魚は50ベクレルとしている。
検査体制も手厚く、サンプリング調査をし、作付けでも注意し、入荷の前後、さらに出荷のときもチェックするという。

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また、野菜が自主規制値を超えても契約した生産者にはきちんとお金を払うことで生産者を守り、消費者には安全なものを届けるという姿勢をとっている。
両立ができているところがいい。

こうしたらでぃっしゅぼーやの放射性物質への取り組みが、小冊子にまとめられた。
鎌田は、その小冊子にこんなことに書いた。

放射線はフリーラジカルの一種なので、フリーラジカルが暴れないようにするには抗酸化力がある野菜を多くとる必要がある。
ベラルーシでも、ペクチンを豊富に含んだリンゴやベリー類をすすめていた。
だからこそ、野菜嫌いをつくってはいけない、と。

原発事故を起こしてしまった日本だからこそ、10年先、20年先に、生活習慣病やがんにならないために、野菜や魚、発酵食品をとることが大事。
そのために、野菜をつくる農家を守り、農業を守り、透明性の高い流通を確保することが大事なのだと思う。

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2012年3月19日 (月)

「いのちの対話」総集編

「鎌田實 いのちの対話」総集編が20日午前8時33分~11時50分、NHKラジオ第一で放送される。

スタジオからの放送も入れると9年間続いた。
スタジオを飛び出し、全国各地で公開生放送をしてきたが、いろんな地域の方々とお会いし、会場で直にコミュニケーションできたことは、大きな喜びだった。
なかには、“おっかけ”も。
沖縄にも、北海道にも、遠くから来てくださる人もいた。

多士済々のゲストにも恵まれた。
ステージで深い話をしてくださり、多くのことを学んだ。
ときには予想外の方向に話が進み、話が厚く、広くなったことも多い。
何が起こるかわからない3時間の生放送。
ハラハラドキドキ、でも、いつも心はほかほかした。
たくさんの方々の声がすばらしかったからだ。

リスナーの方からは膨大な数のファクスやメールをいただいた。
時間の関係で紹介できなかったのが残念だ。

総集編は、最後の最後の「いのちの対話」。
すばらしい出会いの数々を、もう一度、振り返ってみたい。

さだまさしさんが途中から飛び入りしてくれる。
スタジオで放送した第一回目のゲストが、まさしさんと、ぼくの兄貴分である原田泰治さんだった。
そして、ずっとパートナーを務めてくれた村上信夫アナウンサーとともに、最後の放送をお送りする。

ぜひ、ぜひ、お聴きください。

番組のHPはこちら↓

http://www.nhk.or.jp/radiosp/inochi.html

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2012年3月18日 (日)

ドリームフェスinハワイ参加者募集

今年のドリームフェスティバルは、ハワイ。
5月13~18日の6日間の予定だ。
すでに70人の参加者が集まっている。

初夏のドリームフェスティバルはこのところグアムや台湾だったが、ハワイは4年ぶりである。
いい旅をすると、心も体も元気が出てくる。
いい風景を見て、おいしいものを食べ、感動することで、生きててよかった、もっと元気になりたいという意欲がわいてくる。
心に病気がある方も、がんと闘っている方も、生きる勇気がわいてくるに違いない。

ハワイはバリアフリーが行き届いているので、障害がある方も、高齢の方にとっても、過ごしやすいと思う。
トラベルサポーターががっちりサポートしてくれる。
ホテルでの入浴介助や、車椅子での移動も大丈夫。
車椅子で船に乗ったり、車椅子のまま海に入ることもできる。

旅をあきらめていた方、ぜひ、鎌田實と一緒に旅を楽しみませんか。

詳しくはこちら↓

http://www.club-t.com/theme/barrierfree/dream-festival.htm

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2012年3月17日 (土)

新刊発売

「生きる力を磨く66の処方箋」(PHP研究所)が発売された。
京都府立医科大学の吉川敏一教授と、鎌田の共著。

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吉川教授は、フリーラジカルやアンチエイジングに詳しく、日本抗加齢医学会、日本酸化ストレス学会の理事長をしている。
ぼくの「ちょい太でだいじょうぶ」(集英社)でも、フリーラジカルの話をうかがった。
老化とがん化はフリーラジカルが密接が関係している。
今回の本では、若々しい血管、皮膚、体を保つための生活上の注意、健康法をわかりやすく、そして、人生論についても語り合っている。

月刊誌「ほんとうの時代」で2回ほど2人で対談したが、とても評判がよく、それならば本にしようということになった。

新しい生き方のヒントになると思う。

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2012年3月16日 (金)

千人風呂のいま

3月10日のNHKの震災特番は、石巻から生放送だった。
午前と午後の放送の間、2時間ほど時間ができたので、放送のキーステーションになっていた石巻高校から5分ほどのところにある「千人風呂」を訪ねた。

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この千人風呂は、JIM-NETと神宮寺の高橋さんらが協力して行っていた千人風呂プロジェクトの一つだが、その後、商店街と熊さんに引き継がれた。
閉湯の話になると、市民からぜひ続けてほしいと強い要望があり、今も続いている。
市民も自分たちで、燃料費を持ちよりながら運営しているが、ほかの団体からも協力してもらえるようになったという。

Img_6316 熊さんと、女湯のばんだいのボランティアに大阪から来ている女性。

久しぶりに訪ねた千人風呂は、熊さんらしい、あたたかな空間ができていた。
お風呂だけでなく、サロンになっていたのだ。

お昼ごはんにも驚いた。
近くの沿岸でとれたといって差し入れしたくれたおばさんが、食べろ、食べろと次々カキをむいてくれる。
うまみがあり、とろけるようにおいしい。
いくつもパクパク食べていると、今度は、蒸しカキ。
そのうちにヒラメのエンガワ、タコが出てきて、しまいには筋子をたっぷり載せたごはんまで登場した。

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突然、訪ねたので、ぼくのために特別に用意されたというわけではなさそう。
熊さんは毎日こんなご馳走を食べているのかと思うほど、地域の人たちが千人風呂を支えてくれている。
定期的に差し入れをしてくれる商店街の中華料理店や、家庭料理を用意してくれるおばさん、この日のように時々魚をもってきてくれる人もいる。
本当に東北の人のあたたかさに脱帽だ。
そして、今も地域にとけこんで支援を続けている熊さんにも脱帽。

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2012年3月15日 (木)

原発事故401

浪江町、飯舘村、Jヴィレッジの土壌からプルトニウム241が発見されたとのこと。
今までの核実験などでは出ていないタイプのもので、おそらく福島第一原発から出たものだという。

Img_6325 岩次郎小屋の雪景色

チェルノブイリでは、セシウムやストロンチウムなどの放射能の汚染地図がきちんと測定され、2年に一度改定されている。
ヨーロッパの観光客が日本に来ないのは、プルトニウムやストロンチウムの汚染地図が出てこないことに、何かまだ隠しているのではないかという不信感をもっているからなのではないか。
日本が観光に力を入れていくなら、できるだけ情報をオープンにするほうがいい。
発見された放射能が多い少ないと断片的に発表するのではなく、汚染の広がりを示す地図をつくり、国民にもわかりやすく公表することが重要なのだ。
ただプルトニウムが見つかったというだけでなく、セシウムやプルトニウム、ストロンチウムなどそれぞれの核種の汚染地図をつくり、オープンにしてもらいたい。

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2012年3月14日 (水)

鎌田写真館~カミ雪

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このところ信州では雪が降り続いている。
冬の終わり、春を前にした雪を、この地方ではカミ雪という。
さらさらとした雪ではなく、カミ雪は湿った重たい雪だ。
雪が好きなぼくにとっては、大好きな光景。

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夜のはじまりの、不思議な一瞬が撮れた。

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2012年3月13日 (火)

鎌田流・健康レシピ①~昼食革命

日本人の食事はピラミッド型と言われ、朝食がいちばん軽く、昼食、夕食とだんだん重くなっていく家庭が多い。
しかし、これが肥満には問題だ。

夜10時くらいからB-MAL1という肥満にさせる細胞が働きだす。
肥満にならないためには、夜8時くらいにカロリー摂取をやめなければらない。
サラリーマンが夜遅く帰宅し、それから食事をとるというのは、肥満のリスクが高い生活習慣なのだ。
糖尿病と糖尿病の前段階の人を併せると2210万人といわれている。
ピラミッド型の食事では、糖尿病にもよくない。

122184__ 淡路島で食べた定食。玄米ごはんに、特産のたまねぎが入った鶏肉のトマト煮、野菜サラダ、味噌汁

この頃、タニタの社員食堂のレシピ本が評判のようだ。
同様に、ヨーガンレールの社員食堂の本も評判である。
ヨーガンレールの社員食堂のメニューはオーガニックで天然素材を用い、環境のいいところで食べるようになっている。

もう一つ、クックパットの昼食も興味を引いた。
月間1千万アクセス以上あるマンモス料理サイトのクックパットは、料理ができる部屋が二つある。
そして、今日は何を作るか、賛同した人たちが集まって料理を作り、みんなでシェアして食べる。
レシピを紹介している会社だからこそだが、社員の空気がとてもいい。

ヨーガンレールの話も、クックパットの話も、4月末にでる経済の本で書くが、昼食が充実している点は共通している。
いろんな会社が昼食を大事にしはじめた。
昼食をめんや丼物の店屋物で簡単にすませてしまうと、一日のバランスが悪くなってしまうが、昼食に野菜たっぷりで魚を食べるようにすると、バランスがよくなる。

昼を充実させて、朝と夜を軽くするダイヤ型の食生活になれば、肥満から脱出できるかもしれない。
特に生活習慣病が気になる年代にとっては、ダイヤ型の食生活に変えてみる価値は大きい。

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2012年3月12日 (月)

忙しい2日間

10日は、石巻で一日、NHKの特別番組に出演。
11日は、フジテレビの「新報道2001」で、平野復興相や細野環境相と鼎談をした。
福島の子どもたちを守るために、健康診断および放射能の「見える化」を強化してほしいと伝えた。

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その後、ギャラリー日比谷のご厚意で14日まで開かれているJIM-NETの「イラクと福島の子どもたち」絵画と写真展に行き、ミニ講演。
会場にあふれるほどたくさんの人に来ていただき、感謝だ。

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Img_9890 坂本龍一さんらと

続いて、日比谷公園での「東日本大震災 市民のつどい peace on earth」に参加した。
日比谷公園は、たくさんの環境系のNPOがブースを出してにぎわっていた。
ぼくは加藤登紀子さんとステージに立ち、「海よ 大地よ」という詩を朗読した。
このブログに以前アップした「ほうれん草の悲しみ」という詩が元になったもので、加藤登紀子さんが音楽をつけている。

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この詩のCDをインディーズから出すことになり、夜遅くまで、加藤登紀子さんと打ち合わせ。
利益はすべて、福島の子どもたちのために役立ててくれる団体に寄付しようということになった。

最終のあずさに乗り、ようやく帰宅。
信州はこの2日間、雪が降り、岩次郎小屋はすっかり雪に埋もれていた。

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鎌田實の一日一冊(127)

「命を結ぶ」(加藤登紀子・対談、中央法規、1575円)

加藤登紀子が、なかにし礼、鎌田實、永六輔、鳥越俊太郎、山折哲雄、C・Wニコル、梅原猛の7人と対談を繰り広げる。
311以降、この国の新しい未来をつくるためにどのように行動すべきか、行動する文化人、知識人と語り合っている。

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「原発文化人50人斬り」(佐高信著、毎日新聞社、1575円)

この人も佐高さんの血祭りにあげられるのかと思って、おもしろく読んだ。

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「遺言 LEGACY OF THE STARS」(デンタルダイヤモンド社、1890円)

時を超えて次世代に伝えたい賢者の遺言。
医学、歯学、ライフサイエンス領域を代表する10人の巨星の叡智がここにあるーー。

恥ずかしながら、日野原重明先生らと一緒に、鎌田もその10人に名を連ねている。
10人のインタビュー集。
この本はもともとは販売目的ではなかったが、いろんな人から欲しいといわれたようで、出版されることになった。

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ちなみに鎌田の「遺言」は3つある。
「弱い人、困っている人、貧しい人のためにやさしくできる医療人であれ。見てしまった以上、見てみぬふりはしない」
医療従事者へ
「手を尽くして尽くしきって、治療できなくなっても、その人の人生には、まだしてあげられることがある。『まるごとの人間』を診るあたたかな医療を」
すべての人へ
「人間は99%自分や家族のために生きていい。でも、1%だけ、だれかのために、他人のためにできることをしてみよう」

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2012年3月11日 (日)

小児科医を募集

福島県平田村にあるひらた中央病院には、震災復興支援放射能対策研究所がある。
福島の子どもを守ろうと、食品の放射能測定器やホールボディカウンタを置いて、福島の子どもたちには無料で内部被曝の測定をしている。
ぼくは、「名誉理事長」という訳のわからない名前をつけられ、子どもの健康を守る活動を応援することになった。

志が高い病院だと思う。
震災時も、20キロ圏内の病院や施設に入院していた寝たきりの高齢者を、ピーク時168人引き受けた。
これを聞いた医師や看護師が全国から交代で400人集まり、支援の輪が広がった。
ホールボディカウンタの予約者が1万人を超えているため、6月にはもう一台、最新型のキャンベラ社製のホールボディカウンタが入る。
小児科医も増やそうとしている。

平田村自体は毎時0.1マイクロシーベルト前後で、放射能は福島県内では最も低い地域のひとつだ。
甲状腺外科の専門医の遠藤先生が、6月ごろから南相馬市の仮設で診療所を開業する。
ひらた中央病院とも連携をとることで、甲状腺の病気や小児全般の病気など、子どもたちの健康診断の体制が充実すると思う。

志のある小児科の医師にぜひ、来てもらいたいと思う。
ひらた中央病院についてはこちら↓

http://www.seireikai.net/

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2012年3月10日 (土)

お知らせ

11日午前7時30分から、「新報道2001」(フジテレビ)に生出演する。
東日本大震災の復興について、細野大臣や平野大臣とお話ができそうだ。
いい提案ができたらいいなと思っている。

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子どもの心を救いたい

以前、鎌田實の一日一冊で『がれきの中の天使たち 心に傷を負った子どもたちの明日』(椎名篤子著、集英社、1260円)を紹介した。

阪神淡路大震災から東日本大震災へ、子どもの心のケアの現場をリポートする渾身のノンフィクションである。
家を失い、家族を亡くし、悲しい経験をした子どもたち。
その子どもを、周りにいる大人たちが必死に支えている。

心の専門家たちが命がけで動いている。
この本は、人は人を救えるのだと信じさせてくれる。
たくさんの大人に読んでもらいたい一冊だ。
災害のときに限らず、子どもを育てるヒントがあふれていると思う。

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著者の椎名さんは、「子ども虐待」をはじめ、子どもの心と家族の問題を長年追求している作家。
福島などとくに、大人たちの生活がなかなかもとに戻らないなかで、親たちのストレスが一因となって、今後、子ども虐待などの問題も増えてくるのではないかと心配している。

大震災からもうすぐ一年だが、「区切り」などはない。
あらためてぼくたちみんなの出来事として、向き合っていきたい。

                ◇

◎福島の高校で講演決定

毎年、全国の高校を2~3箇所まわり、授業をしてきた。
昨年は震災のためできなかったが、今年は福島県立小名浜高校と市立いわき秀英高校で行うことになった。
まだ先の話だが、6月6日の予定だ。
高校生たちに震災の話、放射能の話をしたいと思う。
一生懸命、話してみたい。

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2012年3月 9日 (金)

一日研修

諏訪中央病院に毎年、東京女子医大から医学生が一日研修にやってくる。
今年も約20人がやってきた。

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濱口院長が諏訪中央病院について、高木先生が在宅医療について、若い医師が石巻を中心に10ヶ月間続けてきた医療支援について講義。
また、東大から来て前期研修が終わり、後期研修をしている医師が、諏訪中央病院の研修について話した。

ぼくは、患者さんとのコミュニケーションのとり方について、1時間半ほど話した。

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鎌田写真館~春の気配

帰国してから、目が回るほど忙しい日々が続いている。
神戸に講演に行ってきた。
阪神淡路大震災から17年、絶望のなか人々がどうつながって生きていくかについて話した。
移動中は、4月末に出版予定の経済の本の原稿を書いている。

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ふと岩次郎小屋の木に目をやると、ヒメコブシに蕾がつきはじめた。
山には雪が残っているが、急に春らしい空気になってきた。
庭のイチイの木の上には、鳥が巣をかけている。
産卵されるか楽しみだ。
毎年、1~2箇所、庭の木に鳥の巣を置いているが、そこでヒナが孵えっている。

信州は冬もいいが、春も楽しみだ。

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2012年3月 8日 (木)

短期集中対談スタート

「日経マネー」4月号から3号続けて、短期集中対談が始まった。
一回目のゲストは、ヤマト運輸の山内社長。
140億円の本気すぎる復興支援について語ってもらった。
宅急便をアジアにも展開。
ドライバーを「セールスドライバー」として、支店長など会社幹部にもなれる人事制度をとっている。
もともと障害者の雇用を拡大しようと、スワンというパン屋さんをつくっていて、なかなかのものである。

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以前、ある証券会社の依頼を受けて、帝国ホテルで講演をしたとき、ぼくは資本主義はあたたかくなければ崩壊すると話し、その例としてヤマト運輸の例をあげた。
ちょうど会場にヤマト運輸の社員がいたらしく、社長に報告が入ったようだ。
山内社長からお礼状が届いた。
とても風通しのいい会社だと思う。

相手をたたきのめして自分さえよければいいという資本主義は、もう古い。
あたたかくなければ長い間、勝ちつづけることはできない。
そういう資本主義の時代になったのだと思う。
日経マネーの連載対談をぜひ、ご覧ください。

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鎌田劇場へようこそ!(105)

「アリラン」

キム・ギドク監督。
2011年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門最優秀作品賞。
キム・ギドクは、外国で高い評価を受けている韓国の監督。
韓国内では「異端児」とか「鬼才」とされ、暴力性が高いと否定的な評価をする人たちも多い。

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この3年間、キム・ギドクは映画をつくれなかった。
信頼していた映画仲間は引き抜きにあい、去っていった。
一人、山にこもるキム・ギドク。
その自分自身を、なぜ映画がつくれないのかと責めるもう一人のキム・ギドク。

主演も、製作も、撮影も、録音も、編集も、音響もすべて、キム・ギドクがしている。
なぜ映画がつくれないのか、もがき苦しみ、生きるとは何か、命とは何か、葛藤する。
キム・ギドクの心を正直にあらわしているが、途中で演じているようなところや演出しているところが見えてくる。
最後にピストルが出てきて、単なるドキュメンタリーでないことがわかった。
半分は本当のこと、半分は物語。
ドキュメンタリーと物語を往ったり来たりするような映画である。

映画好きの人にはこたえられない映画であるが、ドラマがない映画が苦手という人は訳がわからなくなってしまうかもしれない。
ギドクファンには大切な一本だと思う。

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2012年3月 7日 (水)

お知らせ

「イラクと福島の子どもたち」絵画と写真展がギャラリー日比谷のご厚意で、9日~14日まで開催される。
イラクの小児がんの子どもたちのメッセージや、福島の子どもたちの絵、写真を展示する。
時間は、11時~19時まで(最終日は17時まで)
11日は、13時から45分間、鎌田が急遽、ミニ講演をすることになった。
会場は、30人程度でいっぱいになってしまうので、たくさんの方に来ていただいた場合は、交代で譲り合って聞いていただければうれしい。詳しくはこちら↓

http://g-hibiya.com/?p=2070

その後、日比谷公園に移動し、「東日本大震災 市民のつどい peace on earth」に参加する。
14時30分ごろ、特設ステージで短いメッセージを発信する。
また、18時ごろからは、加藤登紀子さんとライブ&トーク。
鎌田が自作の詩「ほうれん草の悲しみ」を朗読し、加藤登紀子さんがその詩に曲をつけて歌う。詳しくはこちら↓

http://www.peaceonearth.jp/#program

3月11日はぜひ、ギャラリー日比谷、日比谷公園に足をお運びください。

明日8日は、「ニュースエブリィ」(日本テレビ系)で先日、チェルノブイリの汚染地域を訪ねたときの模様をお送りする。
鎌田實のがんばらないコーナーで17時ごろからの放送となる。

飯舘村の佐藤健太君らとともにチェルノブイリの汚染地域を訪ね、国や州、市は子どもたちを守るためにどんな役割を果たしたのか、行政の役割を取材するとともに、住民にも話を聞いた。
チェルノブイリ省の大臣に会った光景も出てくる。
ぜひ、ご覧ください。

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書の師匠

帰国すると、兄のように慕っている原田泰治さんから手紙が届いていた。
旅に出る前、泰治さんに今年のデザインを見てもらおうと思って、JIM-NETのチョコレートを贈っていた。
その礼状である。

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泰治さんは、ぼくの書の師匠。
さだまさしさんと一緒に、お酒を飲みながら手ほどきを受けた。
まさしさんも鎌田も個性が強く、泰治さんの言うことを聞かない。
何度も直してもらったが、結局、自己流になってしまう。

やはり師匠の文字はさすが。
こんな文字をみると、心があたたかくなる。うれしくなる。

まさしさんとぼくは、それぞれ自分こそ、泰治さんの一番弟子だと思っている。

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原発事故400

政府は、東電に原発事故の賠償原資となる6900億円の追加支援を決めた。
きちんと賠償をするためには仕方ないかもしれないが、政府がこれだけのお金をつぎ込むからには、東電に関しての議決権をしっかり握るべきである。

そして、これだけのことをやる以上は、発送電分離は絶対に行わなければならない。
まず東電から発送電分離が行われるようになれば、エネルギーの自由化は一気に進む。
少し値段が高くても、再生可能エネルギーの電力を買おうという人たちも増えてくるはずだ。
大事なことは国民がそれぞれ選べるということである。

電力会社が絶対にもうかる総括原価方式もなんとかしなければらないない。
競争が働いていることが大事である。

発送電分離と、総括原価方式の見直しが行われれば、電力の闇はかなり解決していくはずである。
お金だけ東電にとられ、相変わらず東電が好き勝手をするというのは避けてほしい。

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2012年3月 6日 (火)

お知らせ

8日早朝の「生島ヒロシのおはよう一直線」(午前5時30分~、TBSラジオ)に鎌田が10分間ほど出演。
原発のことについてお話する。
ぜひ、聴いてください。

9、10日は、鎌田の「この国が好き」の朗読劇がある。
場所は西荻窪のアトリエ・カノン。
興味のある方は、ぜひ、足をお運びください。
詳しくはこちら↓

http://kamata-minoru.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-4c0d.html

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原発事故399

もんじゅのストレステストに、9億円の随意契約をしていたという。
バカなことにお金をかけるものである。
もんじゅは、明らかに技術的に難しい壁にぶつかっている。
開発にお金がかかりすぎ、世界も開発をあきらめた高速増殖原型炉が、ストレステストを受けるというから、なんとものんびりした話である。

国は核燃料の輸送容器に関する検査基準を厳しくしようとしているのに、容器の設計・製造会社から1485万円の寄付をもらっている有冨・東工大教授。
原子燃料サイクル専門部会の部会長で、標準委員会の副委員長をしている人物である。
とんでもないことである。

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菅さんは首相時代、、東工大の仲間を内閣官房参与に任命している。とぼけた話である。
これでいいと思っている大学の研究者というのは、恥を知らないのだろうか。

原子力専門委員の3人が5年間で、原子力を推進する団体や企業から1800万円の寄付をもらっている。
この人たちが原子力政策大綱をつくっているのである。
これだけの事故を起した後も、「原子力は安全」と言い放つ。
しかも、企業からお金をもらっている委員を辞めさせることもできない政権というのは、何の役割をしているのだろうか。

新しい大綱は8月にまとまるが、こんな委員に決められた大綱では不安である。
いろんな考えをもつ人たちが議論するのはいいことだと思うが、少なくとも原子力を推進する企業や団体から寄付を受けているような専門家にはやめてもらうべきだと思う。

日本の民主主義はどこに行ってしまったのか。
日本の恥の文化はどこにいってしまったのか。
悲しいなあ。

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2012年3月 5日 (月)

原発事故398

福島市は、食品の放射性物質簡易測定器を100台以上購入するという。
とてもいいことである。
最近の放射線量をみると、飯舘村が毎時0.74マイクロシーベルトであるのに、福島市の数値は0.80マイクロシーベルト、南相馬市が0.39マイクロシーベルト、いわき市が0.17マイクロシーベルトと、福島市が非常に高い。
福島市には多くの子どもたちがいる。
ちょっと遅いけれど、食品の放射線検査を強化し、「見える化」をするのはとてもいい。

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一方、厚生労働省の食品のセシウムの新基準案に対して、文部科学省放射線審議会の前会長の、東北大の中村名誉教授が「厳しすぎる」と反対し、反対意見の投稿要請を関係学会の会員らにメールを送っていた。
丹羽放射線審議会会長はまったく知らない間に自分の名前を使われていたという。
現会長は了解していないのに、現会長との連名で出していたという。
こんな強制的なことはするというのは民主主義に反する。
こうやって原子力村というのが出来ていくのである。
玄海原発でもやらせメールがあったり、佐賀県知事があらぬことをほのめかしたり、とてもおかしい。
正々堂々と公明正大になぜできないのだろう。

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東日本大震災 市民のつどい

3月10、11の両日11時~19時、東京都・日比谷公園で「311東日本大震災 『ピース オン アース ステージ』」が開催される。
被災地の支援活動を行ってきた市民とともに、著名なアーティストや文化人などが一同に介し、アピールやトーク、音楽プログラムを繰り広げる。

坂本龍一さんや加藤登紀子さん、Yaeさんらによるライブコンサートがある。
中沢新一さん、鳥越俊太郎さんらも出演する。

鎌田は、前日の10日、石巻に入り、NHKの特番「明日へ~震災から1年から」にコメンテーターとして朝から夕方まで出演する。
ぼくが出演する回は、午前9.45~11.52と午後4.05~6.0の番組。
夜は南相馬に入り、南相馬の人たちと交流。
11日は原町中央産婦人科医院の高橋亨平先生にお会いし、震災の犠牲者に一緒に黙祷をささげる。
その後、日比谷公園に駆けつけ、16時45分(14時30分からと、18時ごろからの予定になりました)から「市民のつどい」に参加する予定だ。

詳しくは、こちら↓

http://www.peaceonearth.jp/

あの日から一年。
ぜひ、お出かけください。

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2012年3月 4日 (日)

無事に帰ってきました

イラク、チェルノブイリというハードな旅だったが、無事に日本に帰ってきて、ほっとしている。
さいわい時差ぼけはない。
もともと睡眠時間4時間半で、睡眠不足ぎみのぼくはいつでも眠れる。
いつものように4時半に起きて、父・岩次郎さんの仏壇にコーヒーをお供えした。

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久しぶりにおそばを食べて、スキーに行ってきた。
たまっている仕事の合間に、さっとひと滑り。
リフレッシュして、また仕事にとりかかった。

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10キュリーの村

ベトカ地区のある村は、かつて15~40キュリーの放射能で汚染された。
今は10キュリーと、少し改善した。
人口300人から27人に減った。
おじいちゃんは、言う。
「村の人たちは出て行ったけれど、自分は一度も出て行こうとは思わなかった」
息子や娘たちは町へ出て行って、おばあちゃんと二人で暮らしているが、さびしくはないという。

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家のなかを見せてもらった。
たいへんきれいに暮らしていて、新聞を読みかけていたのだろう、新聞紙の上にめがねが置かれていた。
汚染の村に住んでいるからといって、決して世捨て人ではない。
きちんと世の中のニュースに関心をもって暮らしている。

おじいちゃんはインテリジェンスがあって、自分で作ったジャガイモもカボチャも測定してもらって、規制値以下だと言っていた。
ホールボディカウンタも毎年受けて、自分たち夫婦は心配ないという。

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倉庫にはものが貯蔵されていた。
ロシア式のスチーム・サウナ、バーニャも見せてもらった。
おじいちゃんは、「水がおいしい」といい、ぼくに飲むのをすすめた。
「放射能は測定している。大丈夫だ」と。
おなかを壊さないか心配だったが、おいしかった。やわらかな水で、口当たりがいい水だった。

この村から車で20分ほど離れたところには数箇所、40キュリー以上の強制移住の区域があり、9人のサマショーロ(ロシア語で「わがままな人」という意味)が住んでいる。
毎回、ベトカに来るたびに寄っている「埋葬の村」を今回も訪ねるつもりだったが、雪が深くて立ち往生。
ナージャ先生もパンを届けると市場で買ってきたが、とても埋葬の村には行くことはできなかった。

                                         ◇

ベラルーシの取り組みを見て、日本でも参考にすべきことがたくさんあると思った。
まず、ずっと言ってきたことだが、福島県の各市町村にホールボディカウンタを最低でも1台、大きな市には3台ほど設置して、内部被曝の検査を徹底すること。
そして、食品の放射線測定をきめ細かく、どの地域でも自由にできるようにすること。
情報の公開と充実、子どもたちへの放射線教育に力を入れていくことも必要だ。
ベラルーシでは、子どもの保養を行ってきたが、福島から離れられない子どもたちは、健診をしっかりすることが求められる。

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2012年3月 3日 (土)

全品検査

ゴメリ市にある自由市場。
共産主義だった20年前と比べて、資本主義の現代ではものがあふれるほど豊かになっている。

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その市場には6台の放射線測定器があり、個人が自分で食べる食品は無料で測ってくれる。
市場で売られているものは、すべて検査している。
きちんとしたシステムができていることがわかった。

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共感の空気

現地のNPOのチェルノブイリ子ども救援と懇談したとき、佐藤健太くんが代表に説明した。
チェルノブイリ省の大臣に対しても、佐藤君が福島や飯舘村の状況を説明した。
大臣たちははじめギョッとしていたが、説明をはじめると、スタッフも7、8人遠巻きにしながら、真剣に聞き入っていた。
福島や飯舘村の画像をみせると、「きれいな村」だと口々に言っていた。

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それまでJCFに応援をしてもらおうと思っている感じだったのが、佐藤君の話を聞いて共感したのか、空気が変わった。
同じ苦労を背負っているからなのか、共感の空気が生まれたのだ。

このNPOは、12万人の子どもたちに、外国への放射能疎開を行ってきた。
今後、交流を深めていこうという話になった。

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JCFに市民勲章

ゴメリ州の副知事と面談。各局の部長たちも集まった。
JCFは、21年間、ベラルーシで医療支援活動を続けてきたが、そのことをベラルーシ大使館から報告を受けていたようで、ゴメリ州の市民勲章をいただいた。

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テレビ局は4局くらい、新聞社などマスコミもたくさん集まり、取材を受けた。

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2012年3月 2日 (金)

作物の対策

放射線研究センターでは、放射線汚染された土の改良を研究している。
フッ素やカリウム、カルシウムをまぜて、作物のセシウムの吸収を防ぐ研究をしていた。
これは日本でもかなり参考になるのではないか。

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作物によっては、放射能を吸収しにくいものがある。
豆類は吸収しやすく、トウモロコシは吸収されにくいという傾向がわかった。
赤カブやキャベツ、ジャガイモなど種類にわけて、土壌汚染があっても吸収されにくい作物をつくっていた。
汚染された土壌と付き合ううえで、傾向と対策が立てられている。

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赤い点線は村に住む人たちの体内被曝、青い実線は都市で生活している人たちの体内被曝量。
2002年から村の生活でも体内被曝が少なくなったという。
これはチェルノブイリ情報センターの活躍が大きいかもしれない。
学校では子どもたちに放射線測定をさせ、健診の大切さと放射線から身を守る教育を徹底させている。
そして、子どもたちが親や祖父母に理解を広めている。

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毎年の検査が安心に

ゴメリ州にある人間環境センター病院の院長や副院長が出迎えてくれ、病院を案内してくれた。
かつてゴメリは医療が遅れていたが、だいぶ最先端の医療が行われるようになり、ベラルーシのなかではミンスク第一病院と競うようになったようだ。

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チェルノブイリ原子力発電所から約180キロ離れたところにあるゴメリ州のベトカには、今も40キュリー以上の強制移住区域がいくつもある。
そのベトカ地区病院にはホールボディカウンタがあり、年間8000回検査を行っている。
この日、検査を受けていた主婦はこう話す。

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「森のものを食べないかぎり、市場に出ているものはすべて検査されているので、子どもにも安心して食べさせている。
子どもも、自分も、一度も体内被曝の検査でひっかかったことはない。
毎年、検査を受け、体内被曝量を把握することで安心できる」

ベラルーシの目標は、体内被曝と体外被曝をあわせて年間1ミリシーベルト以下。
この主婦の体内被曝量はゼロに近いということがわかった。

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2012年3月 1日 (木)

強制移住区域のいま

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ベトカの地区病院のナジェージタ院長が用意してくれた馬車で、町中を巡った。
ベトカは小さいが、静かな美しい町である。

しかし、放射能地図では148万ベクレル(40キュリー)以上の高汚染地域がいくつもある。
そこは人が住んではいけないという強制移住区域だが、9人のサマショーロ(ロシア語で「わがままな人」という意味)が自分の判断で暮らしている。

市役所のナンバー2という人に話を聞いた。
この町は強制移住が徹底され、人口の半分がいなくなったが、今から考えてみると、ここで暮らしたいという人の希望を聞き入れてもよかったのではないかという。
町から都会へ移住した人のなかには、早く亡くなった人もいる。
住む場所、暮らし方を変えるということは、放射能とは違うストレスがあるのだという。

226photo_037 ゴメリ州の汚染地図

もちろん、この町に住むには徹底した健康診断や食品の管理を行うことで内部被曝を減らすことが重要である。
そして、内部被曝をした人はホールボディカウンタで検査をする。
昨年は1キロ当たり1ミリシーベルト以上の内部被爆者が47人いたが、半年間、食事の注意を徹底したことで、ほぼ全員が正常化したという。

「福島の子どもたちの健診は?」
と、ナジェージダ先生に聞かれた。
すべて子どもたちが健診を受けるには2年半かかると説明すると、不思議そうな顔をしていた。
それは、そうだ。もっと健診を徹底すべきだと思う。
ホールボディカウンタも、もっとたくさん配置する必要がある。
食品も、もっと自由に無料で測定できるようにすべきたと思う。

強制移住した地域も10年目に線量が低くなり、住民が戻ってくることを許可した地域もある。
その場所も、訪ねる予定だ。

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ベトカの母親と

ベトカに着くと、取材を依頼していた小さな子どもがいる2家族が病院で待っていた。

ナターシャさんは3人の男の子のお母さん。
社会保障係の心理療法士をしている。
12歳のときにチェルノブイリ原発事故が起きた。
町の人たちが半分いなくなった。
「何が起きたのかわからなかったけれど、たいへんなことが起きた」と思った。
それでも、一度も心配したことはなかった。
汚染の強い地域は強制移住の命令が出たので、それ以外の場所は大丈夫だと思ったという。
結婚するときも、子どもが健康に生まれてくるのかというような心配はなかった。
いま心理療法士をしているが、この町では放射線のことでノイローゼになっている人は少ない、ナターシャさんは一人もみたことはないという。

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マリーサさんは、2人の子どものお母さん。
チェルノブイリ原発事故当時、5歳。
「小さかったので何だかわからなかったが、なんだか大変そう」というのは感じたという。
いまはソーセージの製造工場で働いている。
このベトカで生まれ育ち、ベトカで結婚した。

南相馬の高村美春さんが、「福島の子どもたちのなかには将来、結婚できないのではないか、子どもが産めないのではないかと心配している子がいる」と言うと、マリーサさんは、「自分たちはそんなことは一度も考えたことはなかった」と言う。
「当たり前に好きな人と結婚して、子どももつくった」
ただ、すべきことはきちんとしてきたという。
健康診断を受けること、子どもをある時期までは年2回、いまは年1回、約24日間の保養に行かせることだ。
保養はイタリアかドイツという外国を選んでもいいし、黒海の近くの保養所に行ってもいい。
ベトカから約250キロ離れた、放射能の低い保養所に行ってもいい。
それは親が選ぶことができ、費用は無料だ。

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保養に行く前には、ホールボディカウンタで体内被曝を測定する。
それとは別に、ゴメリの専門病院から小児科、耳鼻科、眼科、甲状腺の専門医が来て健診をする。
血液やエコーの検査もする。
子どもだけでなく、親も年1回、ホールボディカウンタを受ける。

食品は、市場に出ているものは全て放射線測定され、証明書が出されている。
証明書がないものは売ってはいけないという。
それでも信用できないときには、自分で放射能を測定するところに持っていくと、自分で食べるものは無料、売るものは有料で測定できる。

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