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2012年3月 1日 (木)

強制移住区域のいま

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ベトカの地区病院のナジェージタ院長が用意してくれた馬車で、町中を巡った。
ベトカは小さいが、静かな美しい町である。

しかし、放射能地図では148万ベクレル(40キュリー)以上の高汚染地域がいくつもある。
そこは人が住んではいけないという強制移住区域だが、9人のサマショーロ(ロシア語で「わがままな人」という意味)が自分の判断で暮らしている。

市役所のナンバー2という人に話を聞いた。
この町は強制移住が徹底され、人口の半分がいなくなったが、今から考えてみると、ここで暮らしたいという人の希望を聞き入れてもよかったのではないかという。
町から都会へ移住した人のなかには、早く亡くなった人もいる。
住む場所、暮らし方を変えるということは、放射能とは違うストレスがあるのだという。

226photo_037 ゴメリ州の汚染地図

もちろん、この町に住むには徹底した健康診断や食品の管理を行うことで内部被曝を減らすことが重要である。
そして、内部被曝をした人はホールボディカウンタで検査をする。
昨年は1キロ当たり1ミリシーベルト以上の内部被爆者が47人いたが、半年間、食事の注意を徹底したことで、ほぼ全員が正常化したという。

「福島の子どもたちの健診は?」
と、ナジェージダ先生に聞かれた。
すべて子どもたちが健診を受けるには2年半かかると説明すると、不思議そうな顔をしていた。
それは、そうだ。もっと健診を徹底すべきだと思う。
ホールボディカウンタも、もっとたくさん配置する必要がある。
食品も、もっと自由に無料で測定できるようにすべきたと思う。

強制移住した地域も10年目に線量が低くなり、住民が戻ってくることを許可した地域もある。
その場所も、訪ねる予定だ。

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