がんばらない経済学①
~価格ではなく技術で競争
エルピーダメモリが2月に、会社更生法の適応を申請した。
負債総額は4480億円。
半導体のメーカーで、世界3位。DRAM製造でも世界3位。
しかし、パソコンに使うDRAMは価格競争が激しく、1つ60円くらいの納入価になり、にっちもさっちもいかなくなった。
それなりに優れたメーカーであったはずが、時代を読み違えてしまった。
宇都宮にあるマニーという会社の会長にお会いした。
手術用縫合針は、国内シェア90%、世界でも120カ国で使われ、欧州では手術針のロールスロイスと呼ばれている。
歯科用リーマといって、骨髄の化膿を防ぐために細いこよりのようなドリルで炎症性物質を外に抽出させる針などもつくっている。
つねに世界一を意識した開発を行っていると聞いた。
小さな会社であるが、計上利益率は35~40%近くととてつもない利益を出している。
製品は小さいものなので材料費はあまりかからない。
知恵と優れた技術が勝負の分かれ目である。
エルピーダメモリは価格競争のなかで競合する会社に打ち勝てなかったが、マニーはほかの会社に作れないものをじっくりと作り続けているという大きな違いがある。
日本にはおもしろくて、いい会社がいっぱいある。
優れた技術だけでなく、職員にあたたかい会社、地域に貢献している会社。
もちろん、長期間、増収増益している。
ぼくは今月末に出る経済の本「日本を幸せにするあたたかな会社」(集英社)の取材で、そんなおもしろくて、あたたかい会社を十数社見つめてきた。
鎌田の経済の本、お楽しみに。
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