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2012年4月21日 (土)

ミドルマン

社会学者ポール・ラザースフェルドは、無数のメディア情報を受け取って要約し、わかりやすく説明したり、イメージ化できる人を「ミドルマン」と言っている。

昨年3月の原発事故の報道で、「だいじょうぶ」と言い続けていた人たちは言葉の力を失った。
ミドルマンやリスクコミュニケーターとしての基盤がなくなり、みんな自分の殻に閉じこもってしまった。
専門家が、国民の視点や福島県の人たちの立場に立って発言し続けるか、問われているように思う。
それは、「だいじょうぶ」と言い続けることでもないし、「1マイクロシーベルトでも危険だ」とあおることでもない。
起きてしまった現実のなかで、国民や福島県民がどうしたらその人らしく最後まで生き抜けるか。
絶対的な正解がないなかで、丸に近い三角を、勇気もって提言しつづけることがミドルマンの役割のように思う。

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原発事故のブログは、もう400回以上になった。
常にぼくは「ミドルマン」でありたいと思ってきた。
よきリスクコミュニケーターとして存在していこうと思っている。
国民や福島県の人の立場に立ちながら、体制を批判するだけでなく、体制を動かせるようなポジションにいたい。
あおったり、批判したりするだけならば、簡単で気持ちがいい。
どうしても譲れないことに関しては批判しながら、福島県の人たちが少しでも安心のなかで生活でき、小さい子どもをもつ親たちがわずかでも不安を軽減できるように、何をどうしたらいいか、できるだけ具体的に考え、具体的な行動を起していこうと思っている。

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