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2012年4月14日 (土)

忘れない

福島の人たちからたくさんのあたたかなお見舞いの言葉をいただきました。
粉砕骨折でプレートとボルトが入り、ズキズキと痛むなかで、すぐにでも福島に飛んでいきたい気持ちです。
福島のことを思って、「忘れない」という詩を書きました。

                 ◇

年老いた漁師がつぶやいた
オレなあ、家も船も流された
家族を失った
海が憎い
でも誰か船を貸してくれたら、海に出る
海はおそろしいけど、命の源だ
2011年、3月の海は、忘れられない海になりました

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若いお父さんが津波で行方不明の小さな息子を
命がけで捜している
朝早くから夜遅くまで、1年が過ぎた
心の切りかえなんてできないよ
オレは、どうして、子どもを救えなかったのかと、
いつまでも、いつまでも思い続けるだろう
20113月の悲しみは、忘れられない悲しみになりました

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2011
3月、何度も、何度も雪が降りました
放射能を含んだ雪が、草や森や街を汚した
いつものようにみえる真白い雪に
ガイガーカウンターの音が不気味に響き続ける
美しい里山が悲鳴をあげているようだ
汚れてしまった悲しみに立ちつくす
20113月の福島の雪は、忘れられない雪になりました


1986チェルノブイリ
チェルノブイリの汚染地、
埋葬の村で老人から聞きました
天国はいらない、ふるさとが欲しい
ふるさとを壊してはいけない
ふるさとは大切
20113月、ふるさとを忘れないと心にきめました

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15
歳の女の子がぼくにきいてきた
私、大人になって結婚して
赤ちゃんを産むことができるでしょうか
見えない放射能におびえている
返事に困った。私たち大人の責任
必ず君のふるさとをきれいにするよ
20113月、忘れられない重い約束をしました

おなかがペコペコそうな子に
バナナをあげた。
避難所の少年は、
「ありがとう
みんなで分けていただきます」
みんな自分を失わなかった
20113月、忘れてはいけない大切なものがあることに気がつきました

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一人の人がいたら、声をかけよう
朝は必ず来ます。負けないで
あと3時間で太陽があがる
弱い人に手をかしてあげてください
あと1時間で日が昇ります
寒い、寒い。肩を寄せ合いましょう
2011年、3月、一緒にいることの大切さを忘れません


津波は
家や車や街や、命を奪っていった
それでも、翌日、太陽はあがった
東北の人はあったかい
よく来たな。一杯飲むか。泊まる所あるか
残酷な3月は絆の3月になりました

2011、つらいつらい3月を忘れません。忘れません

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