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2012年5月16日 (水)

原発事故421

ぼくは2020年までに原発を止めて、新しいエネルギーを確立すべきと言ってきたが、現在の状況を考えると、おそらく原発は再稼動できないだろうと思う。
その理由をこう考えている。

1、原子力規制庁ができていない。
なぜ自民党は議論をしないのか。国会で審議協力をしないのかよくわからない。

2、専門的議論がない。
原子力安全委員会の斑目委員長ですら、一次テストだけでは十分ではないと言ったことを、仙石さんはミスリードして、政治決断できると思い込んだところが大きな間違い。
政治的決断は、きちんとした専門家集団が結論を出したあとにすべきだと思う。
リスクコミュニケーションを考えたならば、原子力安全委員会を昨年5月くらいに引責辞任させ、新しく委員会をつくり、推進派2人、反原発派2人、ニュートラルな人を1人といった構成で、徹底的に激しい議論をしながら、方向性を出していれば、放射能汚染を少なくすることも、その後の原発をどうするかという問題も、もう少し国民にわかりやすく説明できたと思う。

能力のない原子力安全保安院、言葉に重みのない原子力安全委員会、そして目指していた原子力規制庁が作れない。
こんな状況で再稼動ができるわけがない。

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3、立地市町村だけでけなく周辺の地域を納得させるのは難しい。
これは、いちばん大きな理由である。
福島第一原発の事故で被害は広範囲に及ぶことがわかった。
ひとたび事故がおきれば、原発は少なくとも周辺30キロ圏の住民や、雨や風によりできたホットスポットの住民を巻き込んでしまう。
今までは小さな村や町を狙い撃ちして、膨大なお金をつぎ込み、その村や町の議会を納得させてしまえばすんだ。
しかし、事故が起きてしまった現在、立地市町村だけでなく、大きな被害が想定される周辺市町村が納得しないだろう。
浜岡原発の30キロ圏内には、11の市町村がある。
この市町村のすべての議会で承認されることは非常に難しい。
大飯原発も、福井県だけでなく、滋賀県、京都府の同意を得るのが非常に難しいと思う。

リスクコミュニケーションの視点から言えば、ぼくの言うようにもっと早くから明確に「2020年までに原発全廃」などのメッセージが必要だった。
そこへ行き着くまでにエネルギー問題をどうするか、民主的に、反原発派の専門家も含めたメンバーで議論をしていけば、今と違った道筋もあったかもしれない。
政治的決断でねじ伏せられると思ったところが甘いのである。

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