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2012年5月

2012年5月31日 (木)

原発事故431

あいかわらず原子力ムラが幅をきかせている。
原子力委員会の小委員会が新大綱策定をとりまとめようとしているが、その直前に原子力委員長代理や内閣府の職員が準備をして、日本原燃や高速増殖原型炉もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構、電力会社の社員に原案を配布し、その結果、原案が変わったという。
こんなことを許していいのか。

1205291__ 岩次郎小屋の庭に咲く

民主的であること、透明であることが問われているはずなのに、いつも閉鎖的で小汚いことをする。
そうしなければ原発を維持できないのだろうか。

政治優先を主張してきた民主党政府は、こんなことをさせていていいのだろうか。
国民は新政権に民主的な舵取りを期待したはずなのだが、きちんと政治決断をして、原子力委員会委員長に責任を取らせ、もう一度小委員会から議論をすべきである。
こんなまやかしのなかで、核燃料のサイクル事業が継続されてしまうのは納得できない。

いまだに変わらない原子力ムラの体制のなかで、再稼動しても、また同じことが繰り返されるだけである。
断固として政治の力で、こんな体制のまま原発を再稼動させてはいけない。

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ハワイの旅⑧

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最後の夜のパーティー。
ナイスパートナーや、おしゃれな人たち10人に、ぼくのサイン入りの本をプレゼントした。

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ぼくも杖をついたり、車椅子にのったりして、みんなに大切にされながら旅を楽しんだ。
やっぱり、旅は生きる力をくれる。

今年の秋の「ドリームフェスティバル」は、福島での開催が決まった。
昨年の松島に引き続き、東北を応援する旅になる。
自分も元気になり、その地域を元気にする旅、ぜひ、ご参加ください。

                  ◇

ハワイのご報告は、これでオシマイです。
感謝、感謝。

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2012年5月30日 (水)

ハワイの旅⑦

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2組が金婚式を挙げた。
今まで一緒に歩んできたカップルが人生の節目でもう一度愛を誓い合うという「バウ・リニューアル(新たな誓い)」が、ハワイでははやっているようだ。

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原発事故430

岩次郎小屋では、屋根に太陽光パネルを設置している。
先月の電気料は約1万円。
太陽光発電で得た電力を中部電力に売ったお金は5200円。
まだ電気の自給自足というわけにはいかない。

以前からぼくは、できるだけ省エネの生活を心がけてきた。
岩次郎小屋にはクーラーがない。
夏は屋根が熱くなるので、周囲に木を植えて、茂った枝葉で木陰をつくるようにしてきた。
カーテンは遮光カーテン。
昨年は窓辺にゴーヤを植えて、グリーンカーテンをしつらえた。

Img_1105 岩次郎小屋の周囲の木は大きく成長し、いい木陰をつくってくれる

人間の体感温度は、壁の温度に関係しているといわれている。
室温が高くてたとえば35度になっても、壁が20度ならば、体感温度は27~28度に落ち着く。
そこで、原村のカナディアンファームのハセヤンと相談して、この夏は屋根を冷やし、体感温度を下げようと考えている。
そのしくみは、太陽光パネルで得た電力でモーターを回し、ためた雨水を屋根に引き上げ、夏の日差しで熱せられた屋根に散水しようというものだ。
これに成功したら、来年は、同じようにモーターを使って、庭に打ち水をしようと思っている。
どちらも気化熱で、屋根や庭の温度を下げようという作戦だ。

冬場は、ペレットストーブで空気をあたため、大きな扇風機でゆっくりと空気を対流させている。
一階でペレットストーブを燃やすと、二階もあたたまるような仕掛けにした。
ペレットストーブではCO2を出すので、その代わりに木を植えることにした。
隣のオヤジさんの許可を得て、休耕田に木を植えさせてもらっているのだ。

できる範囲で、節電を試みながら、持続可能な社会をつくっていく必要がある。
そして、経済がうまくまわるように、電力の安定供給をはかりなから、穏やかで人間らしい生活ときれいな地球を次世代にバトンタッチすることを本気で考えなければならない時代が来ている。

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2012年5月29日 (火)

お知らせ

本日5/29の日経新聞夕刊、シリーズ人間発見に、鎌田が取り上げられる。
連載は今週金曜まで。

ぜひ、ご覧ください。

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ハワイの旅⑥

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98歳のおばあさんを筆頭に、障害がある人たちも海に入った。
青い海のマジックにかかって、みんな笑顔がはじける。

30歳の四肢マヒの青年も毎回、一緒に旅をしているが、少しずつ元気を取り戻してきているようだ。

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みんな、いい顔をしている。

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原発事故429

日本にある50基の原発が停まった。
福島第一原発事故の原因の究明や対処の仕方のミスなど、きちんと総括されるまで、原発は動かすべきではない。
このまま原発を停める方向で、日本の経済をどう成り立たせていくか、国民の生活をどう維持していくかを考えるほうがいいと思う。

国の委員会では専門家をきちんと集めて、今後の原子力政策をどうするか話し合いをすべきだ。
経済が悪くなって、管理職の自殺や病死が多くなっていることが、厚労省のデータからもわかる。
最新のデータでは、若者の就活の失敗で、若者の自殺が2.5倍に増えたという。

Img_1106 岩次郎小屋の庭も、新緑が鮮やかになってきた

日本の経済をよくして、雇用を拡大していくというのは、鎌田の経済思想の根本である。
お金を回転させながら、あたたかさを回転させる。
そのためにエネルギー確保は大きな問題である。
安くて安全なエネルギーを確保するためにきちんと議論をすべきである。
ただし、政治的主導は大事。
まず、脱原発を明確にするのが先だ。
野田首相は脱原発依存といいながらも、明確な線引きをしていない。

鎌田が言うように、最低でも2020年に原発を廃止し、それに向けて、どうやって停止し、廃止するか、全体のエネルギーの需給のなかで議論することが大事である。
どんなに経済が落ち込んでも、原発が停まったままの状態でいくべきという人たちもいるが、若者や中高年の雇用の問題にさらに大きく響き、失業者が増加するかもしれないことも含めて、国民の生活を守るために停めたままで大丈夫なのかを検証し、節電などでできそうならばこのまま停めるべきである。

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2012年5月28日 (月)

ハワイの旅⑤

サンセットクルーズに参加するため、船に乗り込んだ。

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すると、すばらしい夕日が。

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夕日を楽しみながら、フラのゆったりしたリズムに身をまかせる。
この後、立てる人たちは、みんなで踊った。

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原発事故428

ぼくは過激な考え方も、過激な行動もしていない。
ただ、ずっと脱原発を考えてきただけだ。

ドイツが2022年までに脱原発をするが、ドイツにできて日本にできないはずがない。
2020年までの8年という時間があれば、新しいエネルギー計画のもとに経済の成長戦略をはかることができるのではないか。
外国に工場をもっていかずに、できるだけ日本で生産活動を持続していく方法があるのではない。

Img_1118 青々と茂り、夏にはよい木陰をつくってくれる岩次郎小屋の庭の木々

大阪市の橋下市長はあまり好きではないが、この人の感性は鋭いなと思った。
1~3ヶ月の期間限定の原発の再稼動をにおわしたのだ。
もちろん、橋下さんは再稼動を認めていないが、議論としてそういう再稼動のさせ方もあるというのはおもしろい考え方である。

ぼくは原発は停めたままでも夏を乗り切れるのではないかと思っている。
電力会社に揺さぶられるているだけである。
ただし、経済はムードが大事。これが繰り返されるとで経済が悪化し、雇用がさらに冷え込む可能性がある。
これは避けなければならない。
国民も経済界もふくめて、納得が大事なのだ。
電力の需給状態が本当のところはどうなのか、隠し事なくオープンにされるべきだと思う。

原発の再稼動はできないというのがぼくの読みである。
再稼動しなくても、なんとかそれぞれの努力のなかで15%の削減ができるのかどうかを検討していく必要がある。
議論はオープンにしたほうがいい。
政府は「脱原発」を言い続けているわりに、明確にしていない。
まずは明確にゴールを決めなければ、新しいエネルギー計画は動き出さない。

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2012年5月27日 (日)

ハワイの旅④

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ご飯にハンバーグと目玉焼きがのっている、ロコモコ。
この「エッグスンシングス」という店は、東京にも進出し、とても流行っているという。

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ワイキキの店でも行列ができていた。
待つのはいやなので、テイクアウトした。
おいしかった。

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それにしても、ハワイの海は輝いている。

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2012年5月26日 (土)

ハワイの旅③

飛んだ!

操縦しているのは望月さん。
隣に乗った指導教官の指示に従いながら、操縦かんを引いたり、左右に旋回したり。
目が不自由と思えない、なかなかうまい操縦だ。

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ぼくも後ろに乗せてもらったが、上空からのハワイは最高だ。

「風が違うんだよなあ」と望月さん。
この音、この空気、このにおいは、日本では味わえないという。

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しばしの空中散歩の後、無事、着陸。
滑走路から脱輪もせず、ちゃんと着陸できた。

望月さんはハワイは初めてということだが、馬に乗ること、セスナを操縦することという夢が達成できたそうだ。
あきらめないのがいい。

ハワイがクセになりそうと話していた。

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2012年5月25日 (金)

ハワイの旅②

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参加者の望月さんは、目が不自由。
夢は、なんとセスナの操縦という。

視覚に頼れないぶん、触って理解する。
翼を触って動き方を実感したり、ハワイ島の模型を触って飛行コースも確認した。

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そして、いよいよ離陸!

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原発事故427

関西広域で15%の節電をすることが決められた。
もっと早くからこういう議論をすべきであった。
電力会社はごねていれば、原発を再稼動できると考えていたのであろうが、福島第一原発の事故の総括もされていないときに、再稼動できるというのは甘いと思う。

関電が節電のために新料金を提示するという。
遅きに失しているが、いいことだと思う。
午後1~4時のピーク時間、1キロ時間あたり50円前後の料金にし、オフピーク時間の料金は従来より安く設定するという。
東電の選べる新料金体系でちょっとがっかりしたのは、ピーク時間は高いのに、オフピーク時間があまり安くなっていていないことだ。
ピーク時間とオフピーク時間の料金のメリハリをつけることで、しぜんに節電に向かうはずなのだが。

Img_1123 岩次郎小屋のツツジ

関電でも、節電をしてもらうためのアイデアを出している。
ホームページから節電トライアルを申し込む(6/1から)と、7~9月の合計の電力使用量が、昨年同期と比べて5%削減なら500円、10%削減なら1000円、15%以上削減なら1500円のカードをもらえるという。
グッドアイデアである。

節電を大口の企業や工場に任せていると、日本の経済は悪化していく。
それぞれの家庭でも、節電する工夫が大切だ。
オール電化は電気料が安くなるというふれこみだが、実際には明らかに電力消費量を多くしようとする電力会社の経営戦略である。
今後はオール電化について考え直していく必要がある。
ちなみに、ぼくのうちはオール電化ではない。

電化製品では省エネをする方法もある。
例えば、照明、冷蔵庫、エアコン。
照明は、LEDにすれば、白熱電球の60分の1節電できる。
冷蔵庫は、最近の省エネタイプにすれば10分の1、エアコンも最近の省エネタイプでは圧倒的に消費電力が少ないという。
我が家では、すでに昨年、LEDに交換した。

電力料金が上がるとすれば、エアコンや冷蔵庫を新しい省エネタイプに買い換えるのも方法だ。
消費電力を抑えるので、買い替えのお金も5年くらいでペイできる可能性があるという。

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2012年5月24日 (木)

ハワイの旅①

障害があっても病があっても、旅をあきらめないを合言葉にしてきた「ドリームフェスティバル」は、今年で8年目。
今回は、トラベルサポーターも含め120人の旅となった。
ぼく自身も、杖をついたり、車椅子に乗って、参加者と交流した。
そんなハワイの旅の様子を、きょうから8回に分けて、写真を中心に紹介していきたい。

                 ◇

13日夜、ハワイに到着すると、さっそく小さなフラガールに歓迎された。

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翌日、サポーターたちの手を借りながら、みんな元気にワイキキのまちに繰り出した。

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ハワイはバリアフリーが行き届いているが、トラベルサポーターの存在はたのもしい。

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原発事故426

経済産業省が2014年以降、総括原価方式を止めるという。
やっと動き始めた。
地域独占もやめるという。いいことである。

せっかく政権が変わったのに、旧政権の尻拭いに追われてばかりいるのはおかしいと思ってきた。
新政権は脱原発依存を目指して、新しい電力システムを考えるべきなのである。
やっとスタートラインについたように思う。

Img_1103 ニセアカシアの大木にも緑の若葉が茂りはじめた

電力会社の利益の大半は、家庭。
特に東電は、4割しかない家庭向けの電力販売で、利益の9割を上げていたのである。
これはとても驚きである。

大企業に対しては安い契約がなされていた。
すでに電力の自由化は行われていたのである。
これに対して言いたいこともあるが、ある程度は納得している。
工場が海外に移転するのを防ぐことを考えれば仕方ない面もある。

今問題になっている夏場の電力不足は、、おそらく7/20~8/10の20日間が電力消費のピークになる。
ピークの時間帯は午後1~3時。
家庭も節電に協力しなければいけないが、家庭での電力消費は朝が多く、午前9時くらいから減りはじめ、午後3時半くらいまで低下する。
そして、夕方から夜にかけ、消費電力は増えていく。

その点、なんといっても企業の節電効果は大きい。
電力消費量がピークの期間に、夏休みをとることをすすめるか、ピークの時間帯に15%の節電をする努力をすれば、おそらく乗り切れるだろう。

話を電力の自由化に戻そう。
2014年からはそれぞれの家庭でも考え方にあわせて電力の選択ができるようになる。
発電と送電の分離がさなれれば、必ず新しい電力会社が生まれてくる。
少し高くても、新エネルギーを応援したいという人もでてくるだろう。
もちろん、安い電力を選ぶ人がいてもいい。
資本主義社会のなかで生きるということは、そういう選択ができるということである。
今までがおかしかっただけなのだ。

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2012年5月23日 (水)

がんばらない経済学⑦

~新エネルギーと雇用

大学新卒者の就職率が93.6%と、改善している。
昨年の秋までは内定率が低く心配していた。
先月『ニッポンを幸せにする会社』(集英社)を出したのは、日本の雇用をどう確保するか、書きたかったのである。
高校生の就職率も94.8%とよくなっている。
岩手、宮城、福島の被災三県の就職率も改善している。

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まじめに働きたいと思っている若者が働けない社会構造をつくってしまったのは大きな間違いだったと思う。
親に生活力があるうちはいいが、高齢になり生活力がなくなっていくと、親も子も共倒れになる心配がある。
働きたいと思っている若者たちが仕事を得られるような、資本主義社会のあり方を早く見つけるべきだ。

そして、今はエネルギー政策を考え直すとき。
自然エネルギーを開発できれば、雇用を生むことができる。
それまでは生みの苦しみだが、なんとか企業活動を停滞させないで、電力の需給バランスを改善していく必要がある。

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原発事故425

大飯原発があるおおい町議会が、再稼動に同意した。
あと福井県の同意があれば、再稼動を決定すると考えているようだが、民主主義の手法としては非常におかしい。

ひとたび原発事故が起これば、滋賀県や京都府の住民たちに影響が及ぶ。
場合によってはふるさとを追われる事態にもなりかねない。
その人たちの考えは無視されているのだ。
小さな町の議会は、大量の補助金をもらわなければ町が生きていけないと思い込んでいる。
でも、補助金がなくても、魅力ある町づくりをしている町はたくさんある。
立派な公共施設のハコモノが住民の幸せにつながるのだろうか。
そろそろ発想の転換をしたほうがいい。

Img_1102 岩次郎小屋の下の田んぼでは、田植えが終わった

日本全体で考えれば、猛暑になったとしても、節電することでほぼトントンのやりくりができるはず。
電力会社同士も融通しあい、自然電力を使っての揚水発電を徹底することで、この夏をしのげるのではないか。

福島第一原発事故の総括もされず、原子力規制庁も発足されず、原子力安全委員会も原子力安全・保安院もほとんど無能状態になっている。
こんな状態のときに、原発の再稼動を政治決断するのは民主主義の冒涜だと思う。

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2012年5月22日 (火)

動画:NHK復興カレッジin福島 vol.7

2011年11月上旬、福島大学キャンパスにて行われた福島会議に連動して開催された「NHK復興カレッジ」。(8回にわけて掲載。今回は第6回)

ベラルーシでは、内部被曝を減らすために徹底した食事の指導が行われている。放射線対策におすすめの食品とは。

鎌田實とナージャ先生は、福島県飯舘村を訪れた。

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円ブリオ基金

エンブリオとは8週までの胎児のこと。
身長4センチ、体重1グラム、心臓はしっかり動いている。
授かった命を生んで育ててあげたい。
そして、命をつなげていきたい。

そんな小さな命を守り、困難を乗り越えて産もうとする妊産婦を支援するNPO円ブリオ基金。
http://homepage2.nifty.com/embryo/

被災した妊婦78人を、総額1415万円で支援しているという。
ぼくもこの基金を応援することにした。

子どもがたくさんいた時代、ぼくたちの国はとても明るく元気だった。
若者が結婚して、子どもを生み育てられる環境にしてあげたいし、子どもがすくすく育つ、日本という国をつくらなければいけないと思っている。

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鎌田写真館~古い町並み

松葉杖をついて富山県の南砺市に行ってきた。
町並みがとてもきれいだ。

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ここから少し行くと、合掌造りの村で有名な世界遺産の五箇山がある。
美しくて古い文化はすてきだ。

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2012年5月21日 (月)

うまい燻製

少し前、原村のカナディアンファームを訪ねた。
ハセヤン手作りの燻製は、皮はパリパリに焼け、中は遠赤外線効果の窯でじっくりと火が通り、抜群にうまい。

Img_0413 燻製を切るハセヤン

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Img_0404 パンもおいしい

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お知らせ

『いいかげんがいい』が文庫になって、集英社から発売された。
加藤登紀子さんが解説を書いてくれている。

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「楽しく失敗したり、笑いながら、でこぼこに生きていけばいい。『いいかげんがいい』はその処方箋だ。ストレスをためない、いいかげんがいいのだ」
という帯がついている。

いいかげん=いい加減、がいい。
がんばりすぎる必要はない。
まだお読みでない方は、ぜひどうぞ。

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2012年5月20日 (日)

政治の空洞化

政治の空洞化はひどいものである。
民主党も自民党も何をやっているのだろう。
どちらの党も、消費税増税については「せざるを得ない」と考えているにも関わらず、社会保障と税の一体改革の議論も十分なされていない。
最低保障年金7万円の財源はどこからもってくるのだろうか。
後期高齢者医療制度を廃止するはずたったが、本当に廃止して、新制度を立ち上げることができるのだろうか。
問題は山積みである。
特に、後期高齢者医療制度の廃止に向けた委員会の委員として、毎月のように委員会に出席して意見を言ってきたので、この制度がどう改善されるのか見えてこないのが残念である。
同時に国民に約束している官僚の天下りの廃止と、国会議員80人の削減を実現し、日本の財政改革をどうはかるべきか、国会で前向きな議論をしないといけないと思う。

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2012年5月19日 (土)

原発事故424

原子力安全委員会の新大綱策定会議で、「原子力利用の取り組みと国民・地域社会との共生に向けて」という議題が外されていたという。
原発を再稼動させようという推進派の思惑があるようだ。
透明性の高い委員会にしなければ、国民の安心、納得はあり得ないし、政府に対する信頼も得られない。

民主党政権は土俵際に追い込まれているが、ここでしっかりと本気を出して、透明性の高い政権運営をすべきだ。
数々の失敗や間違いをしてきたが、せめて政権交代が行われてよかったと思う結果を、残りの一年でしっかりと見せてもらいたいものである。

民主党は政権を取ったら自民党に似てきてしまった。
経験があった自民党のほうがマシと、多くの国民が思うようになってしまった。
でも、自民党が反省しているとも思っていない。
国民にとっては、どちらの政権でも不幸である。
民主党政権もここまで来たら、日本を救うつもりで発想の転換をしたほうがいいように思う。

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2012年5月18日 (金)

原発事故423

こうなった以上は、どのような形で節電するかが問題だ。
電力消費が高まる夏も、本当に停電の危険があるのは2週間ぐらいのいちばん暑いときである。
それも、一日のうちの2時間程度。
その時間帯の電力をべらぼうに高い値段に設定すれば、消費する側は自然に節電に向けて工夫する。
たとえば、工場では朝、2時間ほど早く操業するところも出てくるだろうし、土日に操業するところも出てくるだろう。
それぞれが判断すればいい。
資本主義のルールのなかで、個人や企業が選択し、うまくおさまると思う。
地域独占をさせていた電力システムに、自由主義と民主主義のルールをきちんと入れることが大事なのだと思う。

Img_0428 富士見のお気に入りの喫茶店に咲く桜

そんななか、いい風が少しは吹いてきている。
東電は、時間別の料金体系の導入を7月から検討しているということである。
7~8月の午後1~4時までの夏場の時間を割高にするのはとてもいいことである。
その分、夜間は安い料金にする。
これもとてもいい。
ある時間帯にはほんの少し高くではなく、うんと高い値段をつけて、しっかりメリハリをつけたほうがいと思う。
少しずつだが、電力の本格的な自由化へ一歩一歩舵を切り始めているようなサインが現れだした。
歓迎すべきことだと思う。

この10年は、新しいエネルギー時代に向けて生みの苦しみを味わうと思うが、ここを通して日本は新しいエネルギーの最先端国になれるはずである。

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2012年5月17日 (木)

原発事故422

・・・前回の続き。
再稼動できない理由を考えた。

4、情報公開が徹底されていない。
原子力安全保安院は、2011年3月18日午後2時45分の時点で、1、2、3号機で炉心溶融が起きたと判断していたのにもかかわらず、国が炉心溶融を認めたのは2ヶ月後だった。
もっと早く情報が公開されていれば、子どもたちを放射線から遠ざけるなど、何らかの手段がとれたはずである。
徹底した情報公開をしないかぎり、リスクコミュニケーションの言葉の重さは出てこない。

5、核燃料サイクル事業の行き詰まり。
核燃料サイクルは無限に使えるといっていたが、最近になって原子力安全委員会は無限は無理と言いだしている。当たり前のことである。
高速増殖炉もんじゅはまったく動いていない。
核燃料サイクルそのものの考え方に結論をつけるべきだと思う。

使用済み核燃料をどうするのか、大きな問題だ。
原発の貯蔵プールには1万数千トンの使用済み核燃料が保管されている。
核燃料サイクルの撤退を考え、乾式貯蔵にしたほうがいいと思う。
今後、地震が起きれば、どこの貯蔵プールも心配である。

6、万が一、再び原発事故が起きたときの、住民の誘導方法や安全を確保する方法ができていない。
特に今回の事故で混乱を極めた、寝たきり老人や精神・身体障害者など弱者の安全をどう確保するか、具体的な議論はされておらず、マニュアルづくりもされていない。
救援医療班は宮城や岩手には全国から大勢集まったが、30キロ圏内にはなかなか入れなかった。
医療や介護のサポート体制も構築されていない現状で再稼動するというのは、かなり無理があるように思う。

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2012年5月16日 (水)

原発事故421

ぼくは2020年までに原発を止めて、新しいエネルギーを確立すべきと言ってきたが、現在の状況を考えると、おそらく原発は再稼動できないだろうと思う。
その理由をこう考えている。

1、原子力規制庁ができていない。
なぜ自民党は議論をしないのか。国会で審議協力をしないのかよくわからない。

2、専門的議論がない。
原子力安全委員会の斑目委員長ですら、一次テストだけでは十分ではないと言ったことを、仙石さんはミスリードして、政治決断できると思い込んだところが大きな間違い。
政治的決断は、きちんとした専門家集団が結論を出したあとにすべきだと思う。
リスクコミュニケーションを考えたならば、原子力安全委員会を昨年5月くらいに引責辞任させ、新しく委員会をつくり、推進派2人、反原発派2人、ニュートラルな人を1人といった構成で、徹底的に激しい議論をしながら、方向性を出していれば、放射能汚染を少なくすることも、その後の原発をどうするかという問題も、もう少し国民にわかりやすく説明できたと思う。

能力のない原子力安全保安院、言葉に重みのない原子力安全委員会、そして目指していた原子力規制庁が作れない。
こんな状況で再稼動ができるわけがない。

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3、立地市町村だけでけなく周辺の地域を納得させるのは難しい。
これは、いちばん大きな理由である。
福島第一原発の事故で被害は広範囲に及ぶことがわかった。
ひとたび事故がおきれば、原発は少なくとも周辺30キロ圏の住民や、雨や風によりできたホットスポットの住民を巻き込んでしまう。
今までは小さな村や町を狙い撃ちして、膨大なお金をつぎ込み、その村や町の議会を納得させてしまえばすんだ。
しかし、事故が起きてしまった現在、立地市町村だけでなく、大きな被害が想定される周辺市町村が納得しないだろう。
浜岡原発の30キロ圏内には、11の市町村がある。
この市町村のすべての議会で承認されることは非常に難しい。
大飯原発も、福井県だけでなく、滋賀県、京都府の同意を得るのが非常に難しいと思う。

リスクコミュニケーションの視点から言えば、ぼくの言うようにもっと早くから明確に「2020年までに原発全廃」などのメッセージが必要だった。
そこへ行き着くまでにエネルギー問題をどうするか、民主的に、反原発派の専門家も含めたメンバーで議論をしていけば、今と違った道筋もあったかもしれない。
政治的決断でねじ伏せられると思ったところが甘いのである。

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2012年5月15日 (火)

原発事故420

日本にある54基の原発をどう止めるか、自分なりに考えてみた。

使用済み核燃料は、世界でも処理する方法が解決されていない。
その使用済み核燃料を次世代に残していくのは許せない行為だ。

原発をもう作るべきではないということは10年前から言い続けている。
作ってしまった原発をどう止めるかが問題だ。

ドイツが2022年までに原発を廃止すると宣言した。
ドイツと日本は工業立国として世界で競争し合っている。
日本ならばその気になればあと8年で、発送電分離をし、自然エネルギーへのチェンジができるのではないか。
アイスランドなどの地熱発電や小規模の水力発電などを見てきたが、日本でも地域ごとの小規模水力発電、地熱発電、風力発電を中心に代替エネルギーを確保できるのではないか。

世界が新しい原子力エネルギーに変わる新しいエネルギーを必要としている。
日本が安全でコストの安いエネルギーをつくることが、世界の人々のためになる。

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2012年5月14日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(108)

「星の旅人たち」

監督エミリオ・エステベス。
世界中から年間1000万人を超える巡礼者が訪れるサンティアゴ・デ・コンポステラ。
日本でもお遍路さんの旅が注目を集めているが、神に触れたい、自分を見つめなおしたい、いろんな思いを抱えて、多くの人が巡礼の旅に出る。

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その巡礼の途中で、息子が死んだ。
巡礼に旅立つ前、父親は「おれは自分の人生を自分で選んで生きてきた」と言い、息子は「人は人生を選べない、ただ生きるだけ」と語った。
父親は息子の思いをついで、800キロを歩き続ける。
その旅のなかで、大切なものに気づいていく。

心に深い傷を負った父親が、人生に感謝を捧げるプロセスが見事に描かれている。
心があたたかくなるような旅である。
美しい映画だ。

6/2公開。

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2012年5月13日 (日)

鎌田流・健康レシピ⑥

~ちょい太という生き方

前回、メンタルヘルス検査義務化に疑問があると書いた。
科学的根拠が薄い検査の導入に、お金と労力をかけるのはどうか。
ちょうど、メタボ健診が導入されたとき、ぼくは「ちょい太でだいじょうぶ」を書き、むしろ少し太っている人のほうが、健康で長生きするという科学的データを提示した。

たしかに肥満は注意しなければならないファクターだ。
年間260万人が肥満で死んでいる。
BMI30以上の肥満が、トンガでは約60%、アメリカでは32%、イギリスやロシアでは25%、ドイツでは21%、韓国では7.3%。
そして、日本は166位で4.5%。先進国のなかでは太ってないのである。

Img_0341 岩次郎小屋と春の空

BMIは体重(キロ)÷身長(メートル)÷身長
日本のメタボリックシンドロームの考え方は、BMI25以上を肥満としているが、実は25~30の人がけっこう長生きをしているのである。
おいしいものを食べながら、長生きができるなんて、幸せなことである。
標準とされるBMI22は、見た目もスリム。
でも、見た目はどうでも、健康で長生きならいいという人は27くらいまでならいい。
自分に甘い人は30までは許してもいいだろう。

ところがメタボ健診は、肥満に特化し、やせているのに糖尿病とか、やせているのに高血圧という人をかえって見落としてしまう。
肥満は注意しなければならないファクターだが、肥満だけにスポットライトを当てすぎると見過ごしてしまうことがあるのだ。
しかも、日本人の肥満は軽度なのに、神経質になりすぎている。

こうした反省から、来年度からは肥満だけでなく、痩せている人の高血圧や痩せいている人の糖尿病の生活指導などを考え直そうとしている。
肥満だけに捕らわれない、おいしいものを食べて、にこにこ生きる「ちょい太」の生き方は、「ちょい太でだいじょうぶ」(集英社)を読んでもらえればわかるはずだ。

この健診をもちこんだのは自民党政権時代である。
せっかく政権がかわったのだから、もっと早く健診のあり方を見直していればよかったと思う。
おそらく、今回のメンタルヘルス検査義務化も、こんなことに検査費用350円をかける必要はないという結果になると思う。

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2012年5月12日 (土)

お知らせ

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明日13日午前10時からは「日曜はがんばらない」(文化放送)の放送がある。
今週のテーマは「幸福」だ。

Img_1749 番組パートナーの村上信夫さんと(撮影は2枚とも板橋雄一氏)

番組のホームページ↓では、これまでの放送を聞くことができるので、関東圏以外の方、聞き逃した方はぜひ、聞いてください。

http://www.joqr.co.jp/kamata/

13日夜からは、いよいよ「ドリームフェスティバルinハワイ」。
障害や病をもつ人たち120人と一緒に、ハワイを満喫してこようと思う。
ぼく自身も骨折という“障害”を抱えての参加。
旅の様子は、ハワイからお知らせしたいと思う。お楽しみに。

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鎌田写真館~田植えの季節

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岩次郎小屋の下にある水田に、水が引かれた。
いよいよ田植えの季節だ。

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心なしか、山も青く。

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2012年5月11日 (金)

外で気分転換

骨折をしてから、2階の書斎にも上がれず、1階にベッドを置いて、その周りに取材材料を集め、ベッドのなかで読んだり書いたりしている。
婦人公論、毎日新聞、週刊ポスト、がんサポートなどの原稿を書くには、気分転換が必要。
それには、ベランダに出て、外の空気を吸うことがちょうどいい。
初夏の風を感じながら、朝ごはんを食べている。

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超音波治療で、骨の着きをよくしている。
もうしばらく毎日、この治療が続けられる。
リハビリも、ロボコップのような装具をつけて、ベランダを歩いている。

1205052__

足は、一時間も座っていると足がパンパンに腫れて、巨大なタラコのように関節が隠れてしまう。
完治には時間がかかる。
だが、今は外に出られることに感動している。

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2012年5月10日 (木)

鎌田流・健康レシピ⑤

~メンタルヘルス検査義務化に疑問

自殺率は1995年以降、職種を問わず上昇してきたが、特に管理職や専門技術職の上昇が目立った。
2005年ごろから専門技術職は減ったが、管理職はさらに上昇傾向にある。
男性管理職で急上昇しているのだ。
これは、北里大学医学部の和田耕治氏らの調査で明らかになった。

年齢調整死亡率で、がんや脳卒中、心臓病などに関して職種との関係を調べると、1990年代後半に管理職およぴ専門技術職で上昇に転じている。
経済が不況のなかで、男性の管理職、専門技術職は病気の死亡率が高く、自殺率も上がっているという問題が起きている。
働く人の健康管理は、大事な課題なのだ。

Img_0320 岩次郎小屋の小鳥の巣。今年もヒナがかえった

そのなかで、従業員のメンタルヘルスの検査などを義務付けようという動きがある。
うつ病や自殺を減らしたいという、厚労省の気持ちはよくわかる。
しかし、メンタルヘルス検査の9項目というのが、なんとも科学的根拠がなさそうなか感じするのだ。

□ひどく疲れた
□へとへとだ
□だるい

上の3つは1つにくくることができる。

□気が張り詰めている

これはいいとしても、次の5つも一つにくくれそうだ。

□不安だ
□落ち着かない
□憂うつだ
□何をするのも面倒だ
□気分がはれない

検査は、それぞれ1ヶ月間で、「ほとんどなかった」という1点から、「ほとんどいつもあった」という4点までの4段階の点数制で、合計点を算出するようになっている。
これで検査費用が350円。
労働安全衛生法の改正案として、昨年末、国会に提出されたもので、事業者に対して従業員のメンタルヘルスの義務付けをしようという内容だ。

対象は約3千万人になるといわれているが、たいへんな枠になる。
天下りがいるような組織がこの検査の請負組織にならなければいいなと思う。
費用は会社側が負担することになる。
大きな負担を強いて、根拠の薄い検査をするのはどうだろうか。

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お知らせ

「Free&Easy」6月号の特集は「スタイルをもった静物(もの)と暮らしたい」。
ものにこだわった男性雑誌で、ちょっとシャレている。

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巻頭の5ページで鎌田のものの楽しみ方、生き方のこだわりが紹介されている。
書斎や装飾品、衣服の楽しみ方。
たとえば、ぼくは大きめのスーツやセーターが好き。
ネクタイは極端にきらいで、マフラーやストール、帽子にこだわっている。
実はいつもバスケットシューズみたいなものをはいている。
スーツにバスケットシューズというのはおかしいけれど、どこへ行くのもこれ。
大臣とテレビで対談するときもそうだった。
それから、大都市に住まず、小さな町に住んでいる理由も述べた。
信州のそばを楽しみ、岩次郎小屋から見える風景を楽しむ。

どうぞ、ご覧ください。

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「婦人公論」5/22号の「僕の好きな女性」は、安奈淳さん。
一緒に食事をするときもスッピン。
芝居やコンサートで舞台に立つときもスッピン。
化粧もせずに、なんでこんなに輝いているのか。
体重も宝塚時代から変わらない。
なんだか不思議な人だ。
こちらもぜひ、お読みください。

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2012年5月 9日 (水)

がんばらない経済学⑥

~消費税は時期の問題

日本の2012年のGDP成長率は2~2.1%。
アメリカやドイツよりも、日本は圧倒的にいい。
失業率も日本は4.5%。スペインは24%。
アメリカやドイツなど先進国のなかでも日本の失業率は低い。

しかし、インフレ率はドイツ2%、アメリカ3%、中国2%、インド8.6%に対して、日本はマイナス0.3%とデフレである。
なんとかインフレ率1%に持ち上げることができるかが大事なところである。

GDP成長率が上がるとき、1%くらいのインフレになると、経済に余裕ができてくる。
しかし、国の借金はGDP比で約230%、アメリカやドイツ、スペインより圧倒的に多い。

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景気がよくなって税収が上がらないかぎり、日本の借金は変わらない。
が、景気頼みで借金が増えていくと、日本が倒れ、それにより世界の経済も倒れていく可能性がある。
どこかで消費税を組み入れないと、日本の財政はにっちもさっちもいかなくなる。
問題は時期だ。
それは民主党も自民党も、民主党で反対している小沢派議員たちも、どこかで消費税増税をやらなければならないことははっきりしているはずだ。

消費税は時期の問題なのだから、ヒステリックに、政局にしたりするのはおかしい。
なんとか妥協点を見出すべきだと思う。
だれが政権を取っても、増税は無視できないことだ。
ならば国会できちんとした議論をすべきだ。

もちろん、消費税増税の前にすべきことはある。
国会議員の定数の削減をすること、天下りの財団法人やお金が流れていく道を早く断つべきである。
震災復興宝くじは1100億円も売れた。
本来なら、当選者の配当や経費を差し引いても、約400億円は被災地にいかなければならないのに、たった150億円。
自治総合センターや宝くじ協会などに巨額なお金がいっている。
その他の財団にも数億円単位で配られている。

せっかく政権が変わったのだから、これらの改革に精力を注ぎこまなければいけない。
民主党のなかで仲間割れをしている時期ではないはずだ。

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2012年5月 8日 (火)

感動の復興ピアノ

石巻で津波で流され、海水と泥に浸かったピアノ。
これを掘り起こし、解体して直し、何度も調律して、ようやく音が出るようになった。
4月下旬、この“復興ピアノ”で、クミコがコンサートを開いた。

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ぼくも車椅子でステージに上がり、クミコとおしゃべりをしたり、クミコのピアノとともに、書き下ろしの「忘れない」という詩を朗読した。

湯川れい子さんのグループがゴスペルを歌い、西田敏行さん、南こうせつさんらも、復興ピアノと共演した。
オーチャードホールは感動でいっぱいになった。

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2012年5月 7日 (月)

原発事故419

仙石由人さんが、原発の再稼動をしないのは日本がある意味、集団自殺をするようなことになってしまう、と言った。
民主党はお子様ランチみたいな議員が多いなかで、仙石さんはちょっと異色で、原子力村をつくってきた政治家みたいな体質が感じられる。
彼流の日本に対する考え方なのだとは思うが、言葉を使う政治家しかも弁護士である人の言葉としては、あまりにも感性が乏しい。

関係4閣僚で原発の再稼動を政治判断するといっているが、いつも仙石さんがオブザーバーとして参加していることも、なぜかわからない。
まるで仙石さんがシナリオを書いているような気がしないでもない。

Img_0256 諏訪中央病院の庭、チューリップが鮮やか

まず、大事なのは、電力が本当に夏、足りなくなるのかどうかである。
そのことに対して、中立な専門家がリスクコミュニケーションという考え方で、電力会社の言いなりにならずに、専門家としてのジャッジをすべきである。
国民に電力が足りるのか足りないのか、きちんと示さなければならない国民は納得できない。
4人の閣僚が政治判断で決めるなんてことで、納得できるわけがない。

原子力規制庁を早くつくることである。
原子力安全委員会も、原子力村に入らず、電力会社やその関連組織にお金をもらわずにやってきた専門家を登用すべき。
国民が納得できるようなメッセージを出せる原子力規制庁や原子力安全委員会をつくり、そこから発言したものを政治判断するのが最も正しいことだと思う。
質の高い、いろんな意見をもつ研究者、専門家を集めて議論し、それを国民に示したうえで、政治判断するのが、国民にはわかりやすいことだと思う。

議論は激烈になり、委員会は荒れてもいい。
民主主義だから採決で決められるが、どんな結果になったとしても、そのプロセスを国民に明らかにすることが大切だ。
そういう議論を経た結論でなければ、いきなりだれかがした政治判断には重みがない。

前々から言っているが、「低線量被曝の健康障害」とか「原発の再稼動」「電力の需給状況」などについて、一般にわかりにくいテーマをきちんとわかりやすく、ニュートラルな立場で説明できるリスクコミュニケーターあるいはミドルマンという存在をおくべきである。
言うまでもないが、原子力村の専門家は適当ではない。この人たちはすでに、言葉の信頼を失っているからである。

政治に最も問われるのは人事。
野田首相の人事ベタは有名であるが、外務、財務、防衛という国の根幹を任せる大臣がすべて素人である。
ミス人事としかいいようがない。
これでは政治中心の国家運営ができるわけがない。
原子力規制庁には、その根幹となる委員会のメンバーの人事に期待したい。

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原発事故418

昨年3月からぼくは一貫して、きのこや山菜についてはしばらくの間、放射能に注意すべきと言ってきた。
福島だけでなく、多くの地域のシイタケなどに、100ベクレルを超える放射線が検出されている。
シイタケの原木が、リスクの一つになっている。

Img_0264 諏訪中央病院の春らんまんの庭

また、茨城県や群馬県など想像できる地域からも100ベクレルを超えるキノコやタケノコ、山菜が見つかった。
千葉県ではタケノコが100ベクレル超、群馬県の野生のフキノトウから291ベクレルが検出された。

食品放射線量計で測定したもの以外は、東北、関東のフキノトウ、タラの芽、キノコ類はしばらくの間、要注意である。

しかし、どうしても放射線量を知りたければ、JCFに連絡してもらえれば、信州大学の大学院生が中心になり、測定してくれる。
手数料は少しかかるが、測定しておいたほうが安心できると思う。

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2012年5月 6日 (日)

骨、強化中

骨折をした右足に重装備の装具をつけて、歩行訓練が始まった。
装具の荷重を5キロから10キロ、体重の3分の1、2分の1、3分の2と、徐々にレベルアップしてきた。

今月13日から、障害者105人とともにハワイに行く。
ぼくも障害を負っての参加である。
車椅子をもっていくかどうか、いま微妙な判断に迷っているところだ。

Img_0293 岩次郎小屋のデッキで歩行訓練

骨を強くするために、食事に注意している。
ある日の鎌田家の夕食は・・・。
野菜サラダ。小魚のしらすをたっぷりふりかけ、チーズもたくさん入れた。
しらすもチーズもカルシウムが豊富だ。

黒く見えるのはグリルしたシイタケだ。
ビタミンDが豊富。
サーモンも、同様にビタミンDがとれる。

Img_0285 カルシウムとビタミンDを意識した、骨を強化する食事

おやつは、マグネシウムを補給するためにナッツを食べる。
朝は、ヨーグルトとバナナで、バナナジュースを飲んでいる。
ヨーグルトにはカルシウム、バナナにもマグネシウムが入っている。
小松菜やチンゲン菜、ひじきなども骨を強くするのに役立つ。

右足の筋肉がものすごく細くなってしまった。
骨に負担をかけすぎずに、筋肉の強化をするという難しい綱渡りをしている。

人生には失敗はつきもの。
全然、めげてはいない。

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2012年5月 5日 (土)

がんばらない経済学⑤

~「ニッポンを幸せにする会社」

キノコ類の放射線の基準値超が各地で相次いでいる。

4月末に出た『あってよかった!応援したい ニッポンを幸せにする会社』(集英社)の取材で、ホクトという会社を訪ねた。
エリンギ、ブナシメジは国内シェアトップ。
完全に屋根のかかった工場のなかで培養、育成、収穫をしている。
なおかつ栄養成分は野生のキノコと同じ。
パテオテクノロジーを駆使し研究開発も行っている。
食物繊維が豊富なキノコ類を、安全に安心して食べられるというのは心強い。

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この新刊では、ツムラのことも書いている。
「クローズアップ現代」で漢方の原材料が手に入りにくくなり、高騰していると報じていた。
中国も出荷制限し、漢方医学を立て直そうとしている。
アメリカ、ヨーロッパでも漢方に目を向けている、という。
当然、そういう時期が来ると思い、ツムラの吉井社長を訪ねた。
ツムラは経営危機から高収益の会社によみがえり、高い伸び率を誇っているが、漢方製剤の原材料をどう確保するのか、疑問に思った。
夕張工場まで行き、吉井社長に新しい戦略を聞かせてもらった。

国内生産は15%、中国依存度がきわめて高い。
夕張ツムラの設立はそのリスクを下げようとしての決断だという。
中国でも、漢方の原材料のカンゾウの栽培技術を教え、中国との関係を密にしながら、なおかつ日本国内で栽培をする準備に入っているという。

ぼくが吉井社長と夕張でお会いしたのは昨年夏。
吉井社長とは、それより2年前、財政破綻したあの夕張に工場をつくることで、社会貢献をしようとしていると聞き、手紙のやりとりをしながら、信頼関係を結んできた。

大事なのは雇用である。
日本をあたたかくて、やさしくて、強い国したい。
働きたいと思うすべての世代が、仕事をもてる国にしたい。

鎌倉投信の会社社長とも新刊で対談した。
その後、何度も丁寧に手紙をいただいている。
今回、社長からいただいた手紙には、「金融を通して、社会に希望と勇気を与える力になることが天命だと思っています。これからもあたたかな投資のあり方を目指して全力を傾けてまいります」とあった。

鎌倉投信の運用成績は年率プラス6.2%と好調。
月刊誌「日経マネー」で取り上げた後、さらに好調が続いている。
不景気になっても落ちないような株を買っているところが鎌倉投信の強みである。
少しでも株価が動くときには、もともと上がっていい株なのでじりじり上がっていく。

相変わらず6時ごろから出社して、トイレの掃除など社長自らみんなが嫌がる仕事をし、地域の人たちと信頼関係を結び、金融を通して社会貢献するという強い志をもっている。
実におもしろい会社だ。

明日6日の「日曜はがんばらない(文化放送、10.00~)では、仕事をテーマに雇用や経済のことを話そうと思っている。
日本を元気にするためにどうしたらいいか考えたい。

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2012年5月 4日 (金)

新CDのレコーディング

加藤登紀子さんと先日、紀伊国屋サザンシアターで対談をした。
ステージでは、鎌田がプロデュースし、加藤登紀子さんが歌う新しいCDの曲のお披露目をした。
「海よ大地よ」(作詞・鎌田實、作曲・加藤登紀子)と、「貝殻のうた」(作詞・和合亮一、作曲・加藤登紀子)の二曲である。

Img_6608 加藤登紀子さんと対談の後のサイン会

前日には、そのCDのレコーディングをした。
今までぼくは、「ひまわり」「おむすび」「ふるさと~プラハの春」の3枚のCDのプロデュースをしてきた。
今回の4枚目は、「ふくしま・うた語り」というタイトルを予定している。
ピアノは、3万2000枚ほど売れた「ひまわり」のピアニスト、フェビアン・レザ・パネで、とてもすてきなレコーディングができた。

Img_6567_2  レコーディングの打ち合わせの様子

発売は、6月の予定。
ぜひ、たくさんの人に聞いてもらいたいと思う。

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2012年5月 3日 (木)

高幡不動尊で講演

日野市にある高幡不動尊大師堂の落慶法要の記念講演会に行ってきた。
すばらしいお寺である。

Img_6618 桜は終わったが、これからはあじさいがすばらしい境内

「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥(くら)し」
そんな言葉を残した空海さんを祭っている。
人間は生まれ変わり輪廻を繰り返しながら、なんために生まれてきたのか、なかなかわからない。
そんな話をしながら、38億年の命のつながりについて話した。

Img_6616 おいしい精進料理をいただいた

このお不動さんには、一見の価値あるすばらしい仏像やお堂がたくさんある。
桜は終わったが、これからはあじさいがいい。
一度訪ねてみては。

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2012年5月 2日 (水)

鎌田写真館~茅野のさくら

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さくら、満開。
諏訪中央病院の近くにあるスポーツ公園で、4/28撮影。

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お金と幸せ

プレジデント5/14号の「年収300万父さんは、なぜ幸せなのか」はかなりおもしろい。

年収300万なのに4割がなぜか家庭円満。
仕事か家庭か悩む年収500万。
教育費がずしりと重い年収800万。
おもろい仕事がしたい年収1000万。
2割が家族と対話なく、社会貢献願望が強い1500万。

なるほどなと思う。

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ぼくもこの号で、アランの幸福論を引用しながら、幸福とは何かを語っている。
お金に困らない暮らし方、役に立つと思う。

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2012年5月 1日 (火)

ロボコップのような?

ロボコップのような?装具をつけて、松葉杖での訓練が始まっています。
これまでは左足ケンケンで移動していましたが、右足を少し着地できるようになり、ずいぶん楽になりました。

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すでに、クミコのチャリティコンサートに出たり、加藤登紀子さんのレコーディングをしたり、ニュースエブリィに出たり、忙しい日々が続いています。
足のむくみをマッサージでとりながら、動いています。

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