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2012年5月13日 (日)

鎌田流・健康レシピ⑥

~ちょい太という生き方

前回、メンタルヘルス検査義務化に疑問があると書いた。
科学的根拠が薄い検査の導入に、お金と労力をかけるのはどうか。
ちょうど、メタボ健診が導入されたとき、ぼくは「ちょい太でだいじょうぶ」を書き、むしろ少し太っている人のほうが、健康で長生きするという科学的データを提示した。

たしかに肥満は注意しなければならないファクターだ。
年間260万人が肥満で死んでいる。
BMI30以上の肥満が、トンガでは約60%、アメリカでは32%、イギリスやロシアでは25%、ドイツでは21%、韓国では7.3%。
そして、日本は166位で4.5%。先進国のなかでは太ってないのである。

Img_0341 岩次郎小屋と春の空

BMIは体重(キロ)÷身長(メートル)÷身長
日本のメタボリックシンドロームの考え方は、BMI25以上を肥満としているが、実は25~30の人がけっこう長生きをしているのである。
おいしいものを食べながら、長生きができるなんて、幸せなことである。
標準とされるBMI22は、見た目もスリム。
でも、見た目はどうでも、健康で長生きならいいという人は27くらいまでならいい。
自分に甘い人は30までは許してもいいだろう。

ところがメタボ健診は、肥満に特化し、やせているのに糖尿病とか、やせているのに高血圧という人をかえって見落としてしまう。
肥満は注意しなければならないファクターだが、肥満だけにスポットライトを当てすぎると見過ごしてしまうことがあるのだ。
しかも、日本人の肥満は軽度なのに、神経質になりすぎている。

こうした反省から、来年度からは肥満だけでなく、痩せている人の高血圧や痩せいている人の糖尿病の生活指導などを考え直そうとしている。
肥満だけに捕らわれない、おいしいものを食べて、にこにこ生きる「ちょい太」の生き方は、「ちょい太でだいじょうぶ」(集英社)を読んでもらえればわかるはずだ。

この健診をもちこんだのは自民党政権時代である。
せっかく政権がかわったのだから、もっと早く健診のあり方を見直していればよかったと思う。
おそらく、今回のメンタルヘルス検査義務化も、こんなことに検査費用350円をかける必要はないという結果になると思う。

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