産婦人科とホスピス
諏訪中央病院の緩和ケア病院の回診を再開した。
松本にあるアイザワ病院から緩和ケアの研修に医師が来られており、諏訪中央病院の若い医師と一緒にひさびさの回診をした。
諏訪中央病院の緩和ケア病棟の特徴でもあるが、患者さんたちに笑顔が多い。
午後は、たくさんの患者さんを診た後、産婦人科と緩和ケア病棟の先生たち6人でぼくの快気祝いと誕生祝をしてくれた。
特に産婦人科の青山先生は、緩和ケアや漢方医療にも興味をもたれて、諏訪中央病院に来てくれた。
緩和ケア病棟の原先生と鎌田と3人で、以前はよく回診したものだ。
気が合うのだ。
食事をしながら、こんな話で盛り上がった。
緩和ケア病棟では焼き肉会や七夕会をしたり、毎月のように催しものがあって盛り上がっている。
今度は、産婦人科と緩和ケアのスタッフと患者さんで、一緒に納涼会をしようという話になり、若手の研修医たちがやる気になっている。
これから院長や看護師長たちに了解が得られれば、いい交流会になると思う。
実は、緩和ケア病棟にはひ孫の誕生を楽しみにしていたおばあちゃんがいた。
しかし、命は秒読みの段階。
産婦人科ではそのことを承知していなかったが、難産になりそうで帝王切開になり、無事に生まれた。
おばあちゃんはひ孫を抱くことができた。
翌日、おばあちゃんは亡くなったが、出産した孫も大満足。
家中の人たちが納得した生と死だった。
死を前にした患者さんたちにとって、生命の誕生や赤ちゃんの存在は非常に大きな癒しになると思う。
自分は死んでいくが、新たな命が生まれてくることを確信すること、あるいは納得することで、自分が死んでいくことを少しだけ受け入れやすくなるのではないか。
新病棟をつくるとき、小児科産婦人科病棟と緩和ケア病棟を隣同士にしたのは、命のバトンタッチがみえるようにしたかったためだ。
引退した自分が口出ししては思い、そのことは語ってこなかった。
産婦人科の医師と緩和ケアの医師が交流しながら、そのことに気づいてくれたことがうれしい。
産婦人科と緩和ケアが一緒になって、何か、日本ではじめての取り込みができるかもしれない。
日本緩和ケア学会などでその成果や結果を発表したらいいね、と緩和ケアのドクターに話した。
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