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2012年8月14日 (火)

鎌田實の一日一冊(137)

「高木仁三郎セレクション」(高木仁三郎著、佐高信・中里英章編、岩波現代文庫、1482円)

科学者・高木仁三郎さんは2000年、大腸がんの肝臓転移で亡くなった。
その半年前、お宅を訪ねたことがある。
自分の余命を察知していた。
原子力の放射能廃棄物のたれながしについて、心を痛めていた。

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1986年のチェルノブイリの事故後、彼は「巨大事故と文明の選択」という論文を書いている。
そのなかに、こんな一節がある。

「日本の原発は炉型や安全管理が違う、だから安全というとらえ方は事柄の本質をはずしている。
日本でメルトダウンは起こらないというのはあくまで技術の論理の枠内の話だ。
Aの安全装置が故障すればBが働き、BがだめならCがバックアップする、という論理の通りに事がすすんでいたら、ソ連のチェルノブイリの事故も起こらなかっただろう」

まさに高木先生のいう「枠外」のことが起きてしまった。
3重に守られているはずの放射能が放出してしまった。
電源も5重に確保できるはずたったが、枠外のことが起きたとき、サポート電源も動かなかった。

「大事故は起こりうるという共通認識から文明の選択を考える時がきているのではないか」としめくくっている。

まさにそのとおりだと思う。

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