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2012年8月17日 (金)

鎌田實の一日一冊(138)

「原発危機 官邸からの証言」(福山哲郎著、ちくま新書、819円)

311の大震災で福島第一原発が全電源喪失をし、原発危機がおきたとき、東電と政府は記録をほとんど残さなかった。
リスク管理の視点からは、とても考えられないことである。

当時の官房副長官が311から約3ヶ月間、4冊のメモを残している。
その福山ノートをもとに、最高責任者が何をしたか書いている。

菅総理、海江田大臣、枝野官房長官、原子力安全・保安院の寺坂院長、原子力安全委員会の斑目委員長、東電から送り込まれた武黒フェローなど、とんでもないメンバーで司令塔をつくっていた。
ベントがなぜ遅れたのかも、この本で明らかにしている。
海水の注入が遅れたのもなぜなのか、わかってくる。

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参議院議員で政府中枢にいる著者は、2025年までに原発全廃を訴えている。
ドイツは2022年までに全廃をかかげている。
鎌田は2020年までに全廃すべきとかねがね語ってきた。

もちろん、できるだけ早く、場合によっては今すぐにでも原発を全部とめることに国民が納得できればそのほうがいい。
社会学者の宮台真司は、この本の帯で「彼が語る脱原発の提言はだれの発言よりも重い」と書いている。

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