鎌田写真館~収穫の秋
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「法テラスの誕生と未来」(寺井一弘著、日本評論社、2625円)
法律は一般の市民にとってはうっとうしいもの。
事件にまきこまれても、なかなか弁護士に相談しようという感じにはならない人が多いのではないか。
弁護士費用が高いというイメージもあるようだ。
病院の院長をしていたとき、病院の顧問弁護士と年一度くらい話をする機会があった。
相談する事案があるともあるが、職員が離婚でもめているときなども、相談にのってくれた。
これらの経験から、弁護士に間に入ってもらうことで、問題が整理され、解決の糸口がみつかりやすいことを実感した。
相談料なども、それほど高くないこともわかった。
法律や裁判にかかわるのは、、決して特別な人ではない。
その思い込みをなくすため、法テラスという電話相談がある。
法テラスは市民のニーズにこたえるサポーターとして進化している。
ぼくは現在、厚生労働省がすすめている「よりそいホットライン」http://279338.jp/yorisoi/という電話相談に、評価者としてかかわっているが、その前段階として、法テラスの電話相談などが貧困やDV、いじめなどでなやむ人に解決の糸口をしめす可能性があることに気がついた。
法テラスは、はじめのうちは弁護士への相談は無料。
弁護士への謝礼は、法テラスのシステムのなかで支払われる。
法律が、市民にとって身近なものになっていることを、この本で知ることができる。
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ついに年間1ミリシーベルトを超える体内被曝者がでてしまった。
ぼくが応援をしている、ひらた中央病院の公益財団震災復興支援 放射能対策安全研究所では今まで、もっとも高い人は1万9307ベクレルであった。
この人の妻は7700ベクレルで、夫婦ともに高い値となった。
この人の食生活をみてみると、乾燥シイタケを食べており、それは14万2134ベクレルという値が確認された。
1万1200ベクレルの体内被曝をしたほかの70歳男性では、原木栽培の乾燥シイタケ1766ベクレルを食べていた。
この人たちが食べているもので、放射能汚染が目だったものには、栗、わらび、にら、干し柿などがある。
また、ほかの人では、やはりイノシシが問題になっている。
市場に出ているものに関してはだいぶ測定がされるようになってきたが、自家製の野菜や山からとってきたもの、干したものなどは「放射能の見える化」を徹底させる必要がある。
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6月に「アハメドくんのいのちのリレー」をもって、パレスチナとイスラエルを訪ねました。
アハメド君の父親とサマハさんに、絵本の感想をきく鎌田
そのときの模様が、NHKワールドで「パレスチナ/和平の絵本」として世界に放送されました。
9/30まで見ることができます↓
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/movie/feature.html
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「ホモ・ルーデンス」(ホイジンガ著、中公文庫、920円)
何度も読み返している本だ。
遊びについて、哲学的な考察をしている。
祝祭なども、遊びになる。
スポーツと遊びの問題。
遊びと戦争。
遊びについて多面的に光をあてている。
ホモ・ルーデンスという言葉は、「遊ぶヒト」という意味。
人間は遊ぶということにこだわりを持ち続けている動物であるという。
カマタに影響をあたえている大切な哲学である。
「あの頃のこと」(吉沢久子著、清流出版、1575円)
吉沢さんは94歳。
いま、「前向き。93歳、現役。明晰に暮らす吉沢久子の生活術」(マガジンハウス)という本がベストセラーになっている。
「あの頃のこと」は、吉沢さんが27歳のころの戦時下の日記である。
若い女性が空襲のなか、どんな生き方をしてきたのかがみえる。
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くみこが、デビュー30周年を記念したオリジナルアルバムを出した。
60-70年代に聞いた外国のポピュラーソングやシャンソンを、くみこが日本語で歌う カバーアルバム。
なかなかしゃれたアルバムです。
何人かの著名な人たちが、
「クミコに歌わせたい思い出の名曲」を選んだ。
鎌田實が選んだ曲は、
「最後の恋~哀しみのソレアード~」。
アルバムに、おすすめの言葉をこう書いた。
最後の恋に生きるという出だしのフレーズ、ぞくっとくる。
声がぴったし。
もう一回青春を生きてみようかと、背中を押してくれる。
これぞ、くみこ的スタンダードナンバーだ。
くみこの、柔らかでちょっとかすれてせつなく低い声が、
♪おそれずに一歩だけ 輝く命のため
こんなフレーズを歌いあげていく。
「ラブ・イズ・ブラインド」や、「あなたしか見えない」など、恋の唄が特にいい。
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今月上旬、日光の輪王寺さんhttp://www.rinnoji.or.jp/によばれて、講演をしてきた。
輪王寺は、東照宮とともに世界遺産になった歴史あるお寺さん。
現在、10年をかけて大改修している。
一般の人でも、大改修の全貌をみることができる。
講演の後、NHK総合テレビの震災後1年半の番組に出るため、福島へ。
その途中、宇都宮へ出て、宇味屋(うまいや)という餃子屋で焼き餃子と、水餃子、揚げ餃子で腹ごしらえをした。
ライスはなし。
これが、この日の夕飯だった。
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「福島原発行動隊--今、この国に必要なこと」(山田恭暉著、批評社、1680円)
被曝による社会への影響をできるだけ少なくしたい。
特に、除染活動や福島第一原発のコントロールで若者が被曝する可能性を減らすために、高齢者がその任を担うことを提起している。
行動隊には、原子力関連で働いた人もいる。
工学系で勉強してきた人、製造業や建設業、放射線の専門家として働いてきた人たちもいる。
什器を使える人、建築の専門家もおり、即戦力になる。
福島原発敷地内の除染などに、これらシニアの力をボランティアとして活用してもらいたいと提案している。
しかし、国会内の院内研究会で、定期的に議員をまきこんで勉強会をし、シニアの力の活用を訴えているが、なかなか認可がおりない。
昨年3月30日、福島原発冷却系復旧老年決死隊の結成提案という呼びかけ文をつくっている。
老年決死隊という言葉がなかなかおもしろいなと思い、ある雑誌で、原発行動隊理事長の山田氏と対談した。
若者を被曝させないために、自分たちシニアがやれることをすることが大事、というのが彼の持論である。
同時に彼は、がんともたたかっていた。
国民の役に立ちたいと彼らは思っている。
そんな彼らの気持ちをくんであげるとうれしいだろうと思う。
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「平和のための名言集」(早乙女勝元編集、大和書房、1890円)
平和を願うすべて人へ贈る珠玉の一冊。
「1人を殺せば残虐な殺人者であり、100万人殺せば英雄だ」--チャップリン
「私は軍隊にいい子をだしたんです。それなのに軍隊はあの子を人殺しにしてしまった」--ベトナムのソンミ事件にかかわったアメリカの青年の母
「イラクの子どもの救援に行ったとき、泊まったホテルがテロにあい、50人以上も殺されました。偶然ですが怖いと思いました。世界の子どもにも、もう安全なところとはありません。でも子どもたちの命を支えていきたいのです。自衛隊をイラクに出すことよりも有効な支援のスタイルがあることを、形としてみせたいのです」--鎌田實
そう、ぼくの言葉も載っている。
「自分の国はもちろん大事だけど、隣の国も、その隣の国も・・・・。『おまえさんのところも大事におしなさいよ』『ええ、おたくも』っていうような感覚がほしいものですよ」--沢村貞子
いま、日本と韓国、日本と中国の関係がギスギスしている。
沢村貞子さんが言うような関係ができるといいなと思う。
ぼくのブログを読んだ人から、カマタは軟弱なところであるようで、もっとサムライのような行動や心持が必要、と叱咤の言葉をいただくことがある。
サムライのような毅然とした振る舞いは大事だが、日本中全部がそうなる必要はない。
サムライのように振る舞う首相や政治家がいて、市民と市民はいっしょにごはんを食べたり、平和について語りあったり、ゆったりとしたつながりも大事だと思う。
サムライのような毅然とした姿勢と、相手を思いやる柔軟な姿勢がある国が、本当に強くて、あたたかくて、やさしい国なのではないか、とぼくは思っている。
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大阪、岡山に行ってきた。
大阪では一年ぶりに行きつけのお好み焼きやにいった。
行列のできるお好み焼きやさんで、あまりの行列に数回あきらめたことがある。
今回は、店のなかに入れた。
大将が、「先生、ひさしぶり」と声をかけてくれた。
評判のお好み焼きやで、息子さんが大阪市内の支店をやっている。
弟子が丸の内と品川に店を出しているそうだ。
ここのお好み焼きやは抜群だ。
大阪でみた夕焼け。夕焼けをみると、我をわすれて感動する。「おお、きれいだ」と声に出す。幸せホルモンのセロトニンがでてくるような気がする。
これがぼくの元気のもと。日本中どこにいても、一日何回か小さな感動をすることにしている。
岡山では、ママカリが食べたくて、駅ビルのおすし屋さんに入った。
この店のお客さんから「あら、先生」と声をかけられた。
この人は知らない人。
なんだか、小さくなってママカリを食べた。
お店を出ると、雑踏のなかで5歳くらいの女の子に「せんせい」と声をかけられた。
この子はよく知ってといる。
まゆちゃんという女の子だ。
岡山に来るとかならず、お母さんにつれられてやってくる。
ぼくの講演には、このごろよく中学生くらいの子どもが来る。
本にサインをしていると、お母さんが「本人は医学部に入りたいといっています。勉強になりました」というようなことをいわれることがある。
5歳のまゆちゃんは、お医者さんか、看護師さんになりたいのだろうか、まだ聞いていない。
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瀬戸内寂聴 「烈しい生と美しい死を」
平塚らいてう、田村俊子、岡本かの子、伊藤野枝、管野須賀子・・・。
恋と革命に輝いていた烈しい女たちが、みごとに描かれている。日本という国そのものが青春であったことを感じさせるような本である。
大杉栄と、権力によって殺される伊藤野枝の生き方がすごい。
何人もの男と恋をし、七人の子どもを生む。
18歳から28歳までの10年間である。
そして若くして殺されていく。
「どうせ私たちは畳の上ではまともな死に方なんてしやしない。きっと思いがけない殺され方をするだろう。その時になっても悲しんだりしないで。私たちはいつだって好きなことを信じてやって死んでいったんだから、こう下ったと思ってくれ」
大杉栄の言葉である。まさにそのとおりになった・・・。
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「禅マインド ビギナーズ・マインド」(鈴木俊隆著、松永太郎翻訳 サンガ新書、900円)
亡くなったスティーブ・ジョブズが愛読した禅のバイブル。
「自己を学ぶ」という章では、
「仏教について深い気持ちをもつということはポイントでありません。夕食を食べる、眠りにつく、そのように、ただ、しなければならないことをするだけです。それが仏教です」
とある。
とてもわかりやすいのである。
「つねに空であること」というタイトルで、
「空の状態を知る人はいつも自分の問題を、いま、ここで、つねに消滅させることができます」
空を知れば、苦労している自分の問題をつねに消滅させることができるという。
空、仏教を学ぶときは、「心の大掃除をしなければなりません」とある。
禅の心はなかなかおもしろい。
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文化放送 「日曜はがんばらない」
10月7日(日)午前10時~。
関東地方以外にお住まいの方過去の放送分をこちらからお聞きいただけます
クミコがゲスト。アカペラで歌ってくれる予定です。
「友達」は圧巻です。
http://www.puerta-ds.com/kumiko/
ぼくの本に何度か登場している笹森恵子(ささもり・しげこ)さん。広島で被爆してアメリカに渡り、ノーマンカズンズの養女となった。
ちょうどアメリカから帰国中で、お昼をご一緒した。
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竹島問題で韓国とのぎすぎすした関係が強まっている。
政府は、毅然と本来日本の領土であることを言いつつ、
民間では、きちんと交流を続けることが大事。
韓国からの旅行者も来てほしいし、
日本人も韓国へ旅行へ行くべき。
韓国へ旅行へ行く暇がないので、韓国料理店へ行った。
新大久保店、新橋店、赤坂店、新宿西口ハルク店があり、どこも予約がとりにくい。
具だくさんの海鮮チヂミがおいしい。
そして絶品だったのは、ワイン漬けのサムギョプサル。豚肉の三枚肉を薬味と黄粉で食べたり、塩で食べたり。
ワイン漬けた豚肉がにこんなにおいしいとは思わなかった。
普通のサムギョプサルは、塩で下味をつけた豚の三枚肉に、ニンニクや唐辛子を載せ、レタスやエゴマの葉で包んで食べる。
デザートは、パッピンスという韓国風かき氷。小豆と黄粉とフルーツ、そして韓国餅がちょっと入っている。
抜群にうまい。
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10月8日、松本市にあるキッセイ文化ホールで、「ふくしま・うた語り」加藤登紀子チャリティーコンサート&鎌田實いのちの講演会を開催する。
加藤登紀子さんが名曲の数々をたっぷりと歌い、2人で楽しいトークをし、鎌田が講演をする。
福島から長野に避難している人は1000人ほどいるが、コンサートに100人ほどをご招待する。
コンサートの収益の一部は、福島支援にあてる予定だ。
福島を応援するために、ぜひ、松本にコンサートにおでかけください。
季節もいいとき。
松本は美しいまちだ。
浅間温泉もあり、ゆっくりすることもできる。
車で20分くらいのところには安曇野があり、わさび田を見たり、美術館やショップをめぐるのも楽しい。
コンサートの詳細と、チケットの購入方法はこちら↓
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畑中良輔先生のいない夏が終わろうとしている。
20数年前、「病コン、やりませんか」と声をかけられた。
諏訪中央病院のある茅野市の別荘地、蓼科に山荘をもっている。
そのころ東京駅ではじまった「駅コン」をもじって、病院コンサート、病コンをやろうというのだ。
畑中先生の人脈で、チェロの青木十良先生、声楽家の伊藤京子先生、岩崎由紀子さん、下野昇さん、フルートの峰岸壮一さんなど、そうそうたるメンバーが集まって、東京でも聴けないようなコンサートが、畑中先生の司会でおこなわれた。
出演料は、ボランティアがつくってくれた青野菜と、病院の庭のハーブの花束。
恒例の夏のコンサートになった。
作家の井出孫六さんが呼びかけてくれて、コンサートはチャリティーになった。
毎年たくさんの募金が集まった。
チェルノブイリやイラクの子どもの救援に役立った。。
2010年、畑中良輔先生と更予先生ご夫妻のお祝いコンサートがあった。
それから少しして奥様の更予先生が亡くなり、良輔先生も後を追うようにして亡くなられた。
3年前、畑中良輔先生自身が「ボランティアで病コンをやってきたけれど、ちょうど20回を区切りにしよう」と言われた。
ご自分の寿命のことを予想していたのかもしれない。
毎年、畑中良輔先生の山荘に野菜を届けた。
畑中良輔先生からは、どんなにお礼をしてもしたりないほど、大切なものをいただいた。
いつも患者さんに勇気をあげたいと言われて、クラシックになじみのない患者さんにも親しみのわく、わかりやすい話をしてくれた。
コンサートの会場となった病院ロビーには毎回400人以上の市民が集まった。
吹き抜けのロビーから、2階の小児科、産婦人科、緩和ケア病棟へと音楽が流れた。
たくさんの人たちがその音楽に心ふるわせた。
必死に出産にたちむかう女性は勇気をもらい、死が近い人にとっても、音楽は一つの希望になった。
畑中良輔先生のいない夏は、とてもさびしい夏だった。
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20回サイトウ・キネン・フェスティバル松本で、「火刑台上のジャンヌダルク」をみてきた。
昨年は、小澤征爾さんが食道がんの手術後、体調がもどらず、急遽出演がキャンセルになった。
今回ははじめから総監督ということで、指揮は若い山田和樹さんが振っている。
ジャンヌ・ダルクを演じたのは、イザベル・カラヤン。
ヘルベルト・フォン・カラヤンの娘である。
幻想的ですばらしかった。
合唱がいい。
しかし、サイトウ・キネン・フェスティバルの歴代のオペラとくらべると、華がなかったように思う。
サイトウ・キネン・オーケストラはたしかにすばらしいが、小澤さんがタクトを振っているかどうかで、色気がちがってくるような気がするのである。
この時期は、松本にたくさんの人がやってきて、まち全体が音楽のまちのようになる。
とてもいいことだと思う。
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MBSの「たね蒔ジャーナル」というラジオ番組がこの秋の改変で終わりになるというウワサがある。
そのウワサを聞きつけた市民たちが、存続運動をはじめた。
関西の人気番組である。
以前、鎌田も出させてもらったことがある。
出演者も出演料なしで、番組存続をうったえている。
有志が番組のスポンサーにもなろうということで、募金を呼びかけたところ、967万円集まった。
昨年3月11日、福島第一原発で事故が刻々と進行しているとき、多くのマスメディアは「だいじょうぶ」をくりかえした。
だが、このたね蒔ジャーナルは最悪の状況のシナリオについても、ヒステリックにならず、可能性のひとつとして語り続けてきた。
一方向の意見ばかりが取り上げられるのではなく、原発に対して厳しい考えをもっている人たちの意見もきちんと取り上げられていくことが大事だと思う。
そういう意味では、この番組はもっとつづいてほしい。
9月いっぱいで打ち切りか、存続されるか、9月19日には発表されるらしい。
たね蒔ジャーナルに注目してほしい。
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「トガニ 幼き瞳の告発」
2000年から4年間、韓国の聴覚障害をもつ子どもの学校で実際におきた事件である。
校長や教職員たちが聴覚障害をもつ子どもたちに、継続的に性暴力をおこなっていた。
しかし警察や法曹界は十分な対応をとらず、被害者たちは厳しい生活を続けている。
コン・ジョンの小説「トガニ」を映画化。
見るのもつらくなるような映画である。
残念なことに日本でも、千葉県の児童養護施設で同じような事件が起きている。
県知事に手紙を書いたりしたが、当初、千葉県はいっさいとり上げなかったという。
イ・ミョンパク大統領の竹島に対する子どもじみた対応をみると、なんとなく嫌になってしまうが、韓国は日本の大事な隣人である。
事実を告発するような「トガニ」のような映画をつくれるということは、中国にくらべればかなり良識的といっていいと思う。
日本は毅然とした態度をとりながら、一人ひとり感情に流されることなく、いいものはいい、わるいものはわるいとしながら、隣人とのパートナーシップを築いていく必要があるように思う。
ぼくたちの国の近くには、北朝鮮という国が存在し、なかなか大人になれない中国がある。
韓国とは毅然とした態度をとりながら、友人関係を構築していく必要があるように思う。
そのためには映画や芝居、芸術を通して、交流していくことがとても大事なのだ。
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「文明の十字路から」(本田徹著、連合出版、1575円)
プライマリ・ヘルス・ケアのことがよくわかるように書かれている。
著者は、NGOシェアの代表をしている友人である。
プライマリ・ヘルス・ケアという概念は1978年、アルマ・アタ宣言で初めて国際的に示された。
人々を健康にするには、自助や自決が大事で、その地域の住民自身が意識を変えて、自立していくなかで健康が生まれてくるという考え方である。
諏訪中央病院で地域医療を展開するとき、プライマリ・ヘルス・ケアということを考えながらやってきた。
UNRWAがパレスチナの138の診療所で展開している家庭医制度は、プライマリ・ヘルス・ケアの視点が色濃い。
福島の仮設商店街にある絆診療所がやろうとしていることも、おそらくプライマリ・ヘルス・ケアではないかと思う。
だから、鎌田は絆診療所に行き、ボランティアで健康づくりの話をするのである。
住民自身の意識をどう変えるか。
そこから、健康をめざした運動ははじまる。
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歌と朗読のCD「ふくしま・うた語り」が売れている。
初版5000部つくったが、加藤登紀子さんや作曲家の伊藤先生など関係者が手売りをしてあるいてくれているなど、たくさんの方が売ってくださったり、買ってくださって、売り切れ間近。
増刷することが決まった。
まだお聞きではない方は、よろしくお願いします。
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写真は、世界遺産のパルミラ遺跡だ。
紀元前1世紀、シルクロードの隊商都市として栄華をきわめた。
壮大な遺跡だ。
以前、シリアとイラクの国境沿いにあるノーマンズランドのアルワリードのキャンプに診察に行ったことがある。
ヨルダンのアンマンから車で国境を越え、イラクのアルワリードのキャンプに入り、その帰りにはシリアのパルミラ遺跡を通った。
いま、この遺跡がどうなったのか心配だ。
アルワリードのキャンプは閉鎖される予定だったが、シリアで戦乱がおき、いまシリアからの難民が急増している。
トルコへ逃げているシリア難民は7万4000人いるという。
ヨルダンへは5万8000人、レバノンへは3万8000人、イラクへは1万5000人にのぼるという。
◇
JIM-NETでは、アルワリードの難民支援の募金を開始しました。
共同通信の配信で、北海道新聞や東北の新聞でとりあげられ、募金が集まりはじめていますが、ヨルダン側に設置された難民キャンプからは、難民キャンプの診療所に医療機器の支援を要請され、多くの支援が必要です。
どうぞ、ご支援をよろしくお願いいたします。
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電源開発促進税というのがある。
家庭では110円はらっており、集まった年4000億円は原発推進のために使われている。
知らない国民も多いのではないか。
この4000億円を使って、地熱発電などを推進すれば、もっと安定した電力をつくることができると思う。
アイスランドでは小さな水力発電と、地熱発電の組み合わせで100%自然エネルギーでまかなうことができるている。
日本は第三位の地熱エネルギーの保存国といわれている。
地熱を使わない手はない。
温泉が出ているところが国定公園などに多く、いろいろな障害がある。
また、温泉旅館などの既得権も、いくつかの法律でまもられている。
しかし、このへんを注意しながら、大胆に地熱発電を開発していくことは大事だと思う。
太陽光発電は1キロワットあたり42円と買取が決まっているが、風力発電は20キロワット以上の場合23.1円、地熱発電は1.5万キロワット以上の場合27.3円ということで、地熱発電は効率がいいのである。
地熱発電を本格的に検討していく必要があるように思う。
以前、田中優さんとアイスランドの小さな水力発電や地熱発電を見てきたことがある。
温泉と地熱発電所が一体となっている。
世界一大きい露天風呂の向こうに地熱発電所がみえる。
地熱発電と温泉町の再生もかねて検討していけば、おもしろいまちづくりができるはず。
温泉町は観光のスタイルが変わり、厳しい現状に直面している。
そこにこの電源開発促進税4000億円を使い、新しいまちづくりとエネルギー確保に着手するというのはどうだろうか。
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「ゆうゆう」10月号で、「人生が豊かになる旅の愉しみ」という特集に出ている。
「生きてさいれば必ず旅はできる。失敗したっていい、自分流に旅をたのしめばいいんだ」
障がいがあっても、病があっても、高齢でも旅をあきめないで、いっしょに旅に行こうと呼びかけてきた、7年間のバリアフリーツアーのことが紹介されている。
今年5月には、ぼく自身が骨折のため松葉杖と車椅子をつかって、ハワイを旅行した。
まちを観光するリズムも、みんなと同じ。
おかげで、障がいをもつ旅仲間たちとも、より仲よくなれたような気がする。
ツアー参加者のしあわそうな顔
「ゆうゆう」では、ぼくの「本当の自分に出会う旅」(集英社)のサイン本のプレゼントもある。
9月24日からは「ドリームフェスティバルinふくしま」がある。
こちらも、興味のある方は、右側のバナーをクリックしてください。
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「鈴懸の径」で有名なクラリネットの鈴木章治さんのおいっこ、鈴木直樹さんを中心にした鈴木直樹トリオの演奏を聞いた。
スウィングジャズとディキシーランドジャズを足して2で割ったような上品なジャズ。
蓼科の森のなかで、田村能里子の壁画の前での演奏だ。
サッカーの川渕キャプテン、今回のロンドンオリンピックの日本代表選手団の総監督・塚原さん、ぼくとさだまさしさんのトーク&コンサートを応援してくれた豊田スタジアムの小幡さん、彫刻家の武藤順九さんと一緒に食事をした。
武藤順九さんは、宮城県出身。イタリアで活躍している。
大震災の鎮魂のモニュメントを4、5年かがりでつくろうという話もでている。
ちがう世界で活動している人間が協力し合い、新しい動きをしていくことが、今の日本では求められているように思う。
何かがはじまるかもしれない。
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9月9日の救急の日、東日本大震災から約1年半ということで、NHK総合で特番が組まれる。
「明日へ-支えあおう-被災地はいま・東日本大震災から1年半」
午前10時05分~の第一部と、午後1時05分~の第二部の生放送。
福島県の二本松をキーステーションに東日本各地をつなぐ。
ぼくは、コメンテーターとして出演する。
ぜひ、見てください。
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「ジョルダーニ家の人々」
イタリア映画。
なんと6時間39分。
いい映画なのだ。
奇跡のようにいい映画である。
美しい音楽、美しい風景、そこに織りなされる人間たち。
見事に家族の崩壊が描かれ、なおかつ再生が描かれている。
ローマに暮らす幸せそうな家族に、次々にいろんなことがおこる。
三男が交通事故で亡くなる。
医者だった母親はうつ病になり、精神病院に入院。
長男は男性と同棲をはじめる。
その男性には小さな女の子がいて、その子が大きな屋敷に転がりこんでくる。
長男は外務省で働いている。
イランとイラクの国境近くに、毒ガスで5000人もの人が殺されたといわれているハラブジャがある。
その町の近くから逃げてきた母と娘も、この屋敷に転がりこんでくる。
崩壊しかけた家が、民族や血をこえて、新しい家族として再生していく。
イラクから逃げてきた母親が必死で家を支えていく。
長男のパートナーの男性が末期がんになり、看護師の彼女が献身的に支える。
イラクから逃げてきた娘もこの家族を支える。
生きる勇気がなくなった長男を、膝に抱いて勇気付ける。
美しい台詞がちりばめられている。
エンディングで、「この家は港だ」という表現がある。
たくさんの人が集まっては、新たな地に出発していく。
いい言葉だと思った。
失敗続きの父親が、トリノに新しい仕事を求めていく。
その父親は最後に「弱さは悪いことではない」と言う。
本当の自分をさらけだして、家族のもとにとどまるべきだった。助けを求めることは恥ではないと自ら反省する。
しかし、それぞれ自分の人生の旅に出て行くのである。
長い映画だ。
岩波ホールでは、上映は1日1回。
13時40分から3回の休憩をはさんで、終わるのは21時15分。
暑い一日、涼しい映画館に入って、ところどころで大笑いし、何度か涙がこぼれそうになるのをたえながら、心をふるわせてみるのはどうだろう。
とにかくステキな映画。
鎌田の100%オススメ映画です。
岩波ホールでは9/14まで。
全国でも公開中か、近日公開。
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鎌田實ポッドキャスト
「空気に染まるな!~新しい日本を考える」 9月5日スタート!
空気に染まりやすい日本。
空気を読みすぎる日本。
しかしときには、よどんだ空気をかき回し、新しい風をふき起こそう!
カマタ流、空気に染まらない新しい生き方を提唱する。
イラク、チェルノブイリ、パレスチナ…世界中を旅して得た人と人とのつながり。
「ウェットな資本主義」など独自の経済観。
音楽プロデューサーとしての顔も持つ鎌田の芸術の世界。
命、人権、教育、医療。
そして今鎌田が最も力を注いでいる、被災地支援、原発問題。
生き方のヒントが満載、新感覚ポッドキャスト!
ぜひ聞いてください。
記念すべき第1回は、「カマタ流健康法」 と題して、血管によい食べ物、脳卒中になりにくい食べ物、血管にいい心の作り方についてお話ししています。
今後も、 ここでしか聞けない生の声を毎週お届けしていきます。お楽しみに。
iTunesで聴く↓
http://itunes.apple.com/jp/podcast/kong-qini-ranmaruna!-xinshii/id555250860
PCですぐ聴く↓
http://podcast.kiqtas.jp/kamata/
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岩次郎小屋の7月の電気使用量は291キロワット、9385円である。
屋根の上の太陽光発電の発電量は106キロワット、5088円。
差し引き約4300円。
岩次郎小屋では太陽光発電をしたり、LEDにきりかえたりするほか、家中の風通しをよくしたり、日当たりのいいベランダにひさしをつくったり、窓辺にグリーンカーテンをしつらえたり、よしずやすだれを置いたり・・・といろいろ工夫をしてきた。
おかげで、猛暑のこの夏ものりきれた。
沖縄では原発がないが、電力の安定供給ができている。
一般家庭の平均モデルは、本土での7007円に対して、沖縄電力では8070円と1000円ほど高い。
多くの人たちは安定やローコストも大事と思っているが、もっとも大事に思っているのは安全。
原発がないことで1000円ほど高い電気使用料をはらわなければいけないが、それでも沖縄では安定供給ができている。
福島原発の事故があって、原発のない沖縄に移住する人も多くなっているときく。
発想の転換が必要のように思われる。
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「イラン式料理本」
イランは不気味な国である。
ヨーロッパ文明にたてを突きながら、暴力的なゆさぶりをかけている。
核兵器をつくろうとする気配を漂わす。
これに対してイスラエルは過剰防衛気味になり、イランを空爆しようとしていた時期もある。
イランが大人になってくれれば、もう少し世界は平和になるのにと多くの人に思われている。
しかし、この映画をみると、なんだ、日本の家庭と変わらないじゃないかと思う。
イランからとどいた、とっておきの家庭の味である。
監督の義理の母は、ぼくの大好きな、ブドウの葉で包むドルマという料理を丹念に作る。
作りながら、嫁に来たときには夫の母親からいじめられたとことをおもしろおかしく話し、でも「今はわたしがボス」と言ったりするあたりは、なかなかおもしろい。
監督の妹、おば、母、母の友人が登場し、イランのキッチンで、いろんな料理がつくられる。
この映画を見ていると、イランが暴力的で、世界を不安におとしいれている国にはみえない。
イランの家庭がこんな家庭ならば、人間そんなに変わらないじゃないかとほっとする。
でも、やっぱり不気味な国だと思わせるのは、政治的なメッセージがほとんどないこの映画ですら、イラン国内では公開されそうもないという。
この監督の作品は、いままでイランで公開されていない。
自由な空気のなかで、映画がつくられ、映画好きが心から映画を楽しめる国に、はやくなってほしいと思う。
9/5から岩波ホールでロードショー。
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「俳句界」という月刊誌で、佐高信さんが「甘口でコンニチハ!」という連載をしている。
その9月号のゲストに呼ばれて、「命をささえるストーリー」というタイトルで対談をした。
「ふくしま・うた語り」に収録されている、ぼくの詩「海よ、大地よ」には、こんなフレーズがある。
「お前にホウレン草の悲しみがわかるか」
ホウレン草に感情があるかどうかわからないけれど、ぼくは勝手にそう思ってしまったのである。
コワモテの佐高信さんが、やさしい顔をして、このフレーズがとても気になったという。
俳句の雑誌なので、小林一茶の話をした。
「がんばらない」のあとがきに、ぼくはこんなふうに書いている。
「ぼくは小林一茶が好きだ。生涯の不遇な生活がなんともいえないペーソスのある作品を残した。『人は人われはわが家の涼しさよ』自立した信州人の意地のようなものが感じられて好きだ」
すると佐高さんが、一茶の句には、淡々とした生活のなかに性に対する強い思いを感じられるという。
というのも、一茶は63歳で脳卒中になって障害が残ったが、64歳でなんと3回目の結婚をする。
障害をのりこえながら、奥さんと毎日交合していたそうだ。
これをきっかけに話題は、人間のもっている異性へのあこがれについて移っていく。
経済学者でもある佐高信さんと、「ニッポンを幸せにする会社」(集英社)についても語り合った。
よかったら読んでみてください。
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