青森の階上町から南下して宮城県の岩沼へ。
今回、南三陸、陸前高田、八戸、階上とすべて海岸沿いを訪ねてきた。
岩沼でも大きな被害がでて、市の40%は崩壊と浸水している。
180人の人名も失われた。
市の職員も4人亡くなった。
住民に避難を呼びかけて、命を落としたという。
まだ子どもが小さい方もあり、遺族はいたたまれない思いだろう。
なんとかみんなで悲嘆を支えようと、講演で話をした。
講演の後、サイン会をしていると、「来てよかった」「元気がでた」「これからは泣くことも平気かもしれない」と話しかけてくれた。
この後、講演をしに福島の二本松へ。
第五回福島百年未来塾で、「困難な時代をどう生きるか、命・食・放射能・絆を考える」と題して講演した。
無農薬研究所が主催である。
20年かけて土地を変えながら、無農薬農業に取り組んできた人たちが、放射能のために甚大な被害を被っている。
ヘリコプターの農薬散布などに抵抗してきた人たちだ。
食の安全をずっと考えてきた人たちだ。
それが、一瞬で放射能に汚染されてしまった。
ここにも悲しみがあふれていた。
原発の城下町から来た人もいた。
原発はいやだと思いながら、なかなかいやだと言えなかったという。
よくわかる。空気に負けてしまうのだ。
1時間半の講演が終わると、今度は1時間、みんなで収穫祭をした。
つきたてのもちや料理がいっぱい並んだ。
農家の人たちが心をこめてつくってくれたものだ。
たくさんの人が集まり、若いお母さんがどうやって子どもを守るか、泣きながら質問してきたりした。
おばあちゃんは丹精こめてつくった野菜を食べてもらえず、生きがいをなくしかけている。
こうした状況を変えていくには、徹底的に放射能を測定し、その数字をオープンにすることが基本だと思う。
福島の米も野菜も、95%はほとんど放射能が検出されていない。
出たとしても、100ベクレル以下という規制値をはるかに下回る、5ベクレルとか、10ベクレルだ。
で、したほうがいい。
お米は全袋調査をしたことで、昨年に比べて買ってもらえるようになった。
無農薬野菜なども、放射能ゼロのものだけをしっかりとデータを明記して出したら、無農薬野菜を買っていた人たちも、安心でき、さらに福島の農家を応援したくなるとい気持ちになるのではないか。
測定結果をしっかり示すことは、消費者もどれを買うか、それぞれの価値観で選択できるようになる。
それにしても、こんなに農業を愛している人たちがいることを知り、うれしくなった。
この人たちの情熱をなんとか支えてあげたいとも思った。